「総合的見直し」への慎重対応を 地方財源確保を求める消防職員団結権付与も要求

総務大臣会見・消防職員に関する定例協議(11月5日)

自治労は11月5日、総務大臣との定例会見を行った。自治労側からは、氏家委員長、澤田副委員長、杣谷副委員長、川本書記長が出席、総務省からは、高市総務大臣、丸山公務員部長ほかが出席した。

 

氏家委員長が別紙の要求書を高市総務大臣に手渡し、「引き続き緊張感と信頼感を持ったパートナーとして活発な意見交換をさせていただきたい」と述べた上で、2点について、以下の通り要請を行った。

 

(1)地方公務員の給与決定について

人事院は本年の給与改定に加えて、「地域ごとの民間賃金の水準をより的確に公務員給与に反映させる」として、俸給表水準を平均2%引き下げる「給与制度の総合的見直し」を2015年度より実施することを勧告し、政府は10月7日、人事院勧告を踏まえ給与法改正を行うことなどの方針を決定した。閣議決定および同日発出された総務副大臣通知では、国の給与制度の総合的見直しを踏まえ、自治体でも国における見直しの実施時期を念頭に、適切に見直しを行うよう要請しているが、給与決定に関しては、労使の自主交渉と、自治体の自己決定を尊重し、対応することを強く要請する。

総合的見直しについては、国の場合は、給与原資の配分見直しにとどまるが、約4分の3の自治体では地域手当が支給されていないため、国同様の制度見直しをそのまま実施すれば、多くの自治体で給与水準が引き下がることになる。東日本大震災の被災自治体をはじめ、現場で懸命に働く地方公務員のモラール低下を招くことは必至だ。

安倍総理は「地域創生」を政策の重要な柱に掲げ、全国津々浦々に景気回復の実感を届けることが内閣の使命としているが、総合的見直しは、経済好循環をめざす内閣の方針とも矛盾するのではないか。地方公務員給与の引下げにとどまらず、一般的に公務員給与の影響を受けると言われる、学校、病院、社会福祉施設等の約140万人の民間労働者、さらに委託・公契約の仕事を扱う民間労働者の賃金へマイナス波及することが懸念される。結果として、地域経済を冷え込ませ、都市と地域間の格差を一層拡大させることになるのではないか、同様の指摘は、地方三団体からもなされているところである。

このようなことからも、政府・総務省に対しては、自治体の自己決定を尊重し、総合的見直しの実施に関しては、慎重に対応していただきたい。くれぐれも2013年7月の国の臨時削減に準じた削減要請のようなことは避けていただきたい。

 

(2)地方税財政の見直しと財源確保について

公共サービスの質の確保と、安定的な行政運営を実現するためにも、安定的かつ地域偏在性の小さい地方税財源を確立することが極めて重要。こうした点については、総務省と基本的な考え方は共有できるものと確信している。

さて、政府は、6月24日に閣議決定した骨太方針2014(経済財政運営と改革の基本方針)において、「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」「引下げは来年度から開始する」としている。本年4月からの消費税の引上げに加え、物価上昇局面にある中で、生活者・労働者の負担が増す一方で、復興特別法人税の廃止に続き、法人所得に関わる税率の引下げが打ち出されたこと自体に各方面から様々指摘がなされているところだが、仮に、こうした見直しを行う場合にあっても、地方交付税を含む、地方財政に支障が生じることはあってはならないと考えている。

そのため、法人事業税の外形標準課税の充実なども含め、代替財源の確保を確実に講じることを、また、消費税の引き上げ時に廃止となる自動車取得税の代替財源の確保をはじめ、地方税制全般の充実をはかるよう、総務省としてご尽力いただくことを強く要請する。

 

これに対し、高市総務大臣は、「60年にわたり、地方自治の発展と地方自治体で働く公務員のためにその役割を果たされている自治労に敬意を表するところであり、総務省と自治労が地方自治の推進にむけ、それぞれの立場で忌憚のない意見交換を行っていきたい」と述べ、以下の通り回答した。

 

(1)地方公務員の給与決定について

地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各団体の議会において条例で定められるものである。総務省としても、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考え方に立ち、必要な助言を行っていきたい。

地方公務員の給与制度の総合的見直しについては、総務省の有識者検討会の提言や、国家公務員給与の見直し方針を踏まえ、地域民間給与のより的確な反映など適切に見直しを行うよう要請したところ。

給与制度の総合的見直しに関しては、地方三団体からは、官民を通じた地域間格差の拡大への懸念を踏まえ、政府において、アベノミクス効果の地方への波及を図ることなどを期待する声があることは承知している。

そのため、10月7日の給与関係閣僚会議において、私から、「地方からは、給与制度の総合的見直しに関し、官民を通じた地域間格差拡大の懸念が指摘されていることも踏まえ、魅力あふれる元気で豊かな地方の創生のため、政府として適切な措置を講じていく必要がある」旨、発言したところであり、総務省としても、魅力あふれる地方の創生に全力をあげて取り組んでまいりたい。

 

(2)地方税財政の見直しと財源確保について

「骨太の方針」では、来年度から数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることをめざし、その財源は、課税ベースの拡大等による恒久財源を確保するとされたところ。

一方で、法人関係税収の多くが地方の財源であり、地方財政に穴を空けることはあってはならず、地方法人課税においては、税収中立での外形標準課税の拡大などの改革を検討したいと考えている。

具体的な方策については、今後、平成27年(2015年)度税制改正に向けた与党の税制調査会等でご議論いただくこととなるが、総務省としては、車体課税や地方法人課税の見直しの議論の際にも、引き続き地方の安定的な税財源の確保についてしっかりと主張して参りたい。

 

これに対し、氏家委員長は、自治労との信頼関係にかかる大臣の発言に謝意を示した上で、「総合的見直しに関しては、自治体の自己決定を尊重し、慎重に対応されるよう強く求めておきたい。また、安定的な行政運営の実現のため、地方交付税を含む、地方財政に支障が生じることがないよう、地方財政の確保、地方税制全般の充実にむけ、ご尽力いただくことを重ねてお願いししたい」と再度要請し、この日の要請を締めくくった。

 

 

自治労委員長と総務大臣との消防職員に関する定例協議

 

引き続き、消防職員に関する定例協議として氏家委員長は、以下の通り要請した。

 

消防職員の団結権に関わって、ILOは、第87号条約第9条を根拠に団結権から除外することが不適当である旨、1973年の勧告以降、繰り返し指摘してきている。これに対し、日本政府が2014年年次報告において「我が国の消防は、第87号条約第9条の“警察”に含まれる」と主張しているのは、問題である。消防職員の団結権否定の論拠とされてきていることは、職務上の問題であって、団結権とは無関係のものばかりである。

これに関しては、総務省「消防職員の団結権のあり方に関する検討会」(2010年設置)において、公平で合理的な議論・検証が行われている。報告書は「諸外国や本土復帰前の沖縄の状況を調査したが、団結権が認められていることにより、消防業務への支障があったか否かまでは確認することはできなかった」と事実認識にかかる指摘を行っていることには留意が必要である。

先の通常国会で地方公務員法が改正されたが、公務員全体の基本権に関する課題は勿論のこと、消防職員の団結権にかかる措置は何ら講じられていない。一方、消防職場は、依然としてパワハラ・いじめ等、職場環境をめぐっては改善すべき課題が多く、対等な労使関係を構築していくことが必要と考える。

ところで、政府は年次報告で「国家公務員制度改革基本法附則第2条の規定に基づき、今後も関係者から意見を伺いながら、対応を検討してまいりたい」としている。これも踏まえ、本日は意見を申し上げていることを重く受け止めてほしい。繰り返しになるが、消防職員の団結権付与は、ILOから再三再四にわたり改善勧告を強く受けている問題であり、自治労のみならず、連合、そして国際社会からの要請である。これまでの検討経緯を含む全体状況を正確に把握した上で、引き続き、ご対応いただくよう強く要請する。

 

これに対し、高市総務大臣は以下の通り回答した。

 

消防職員を含む地方公務員の労働基本権については、国家公務員制度改革基本法附則第2条において「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する」こととされている。

国家公務員の自律的労使関係については、担当大臣から多岐にわたる課題があり、これを措置することについて、いまだ国民の理解が得られるような段階にはない、引き続き慎重に検討する必要がある、との認識が示されているところである。

消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、今後とも、国家公務員制度についての動向を踏まえ、対応してまいりたい。

 

さらに、高市総務大臣から、「パワハラ・いじめ等についてのご指摘については、深刻に受け止めなければならない問題である。公益のために命を賭して働く消防職員がこうした状況におかれているのであれば看過できない。今後、具体的な事例等があれば、教えていただきたい」との発言を受け、定例協議を締めくくった。

 

以 上