自治労が新藤総務大臣と会見:「行革努力」の交付税算定導入に反対。地財確保とともに給与削減「要請」を繰り返さないよう強く求める。

 自治労は10月7日、総務大臣との定例会見を行った。自治労側からは、氏家委員長、澤田副委員長、荒金副委員長、杣谷副委員長、川本書記長、森書記次長が出席、総務省からは、新藤総務大臣、三輪公務員部長ほかが出席した。

 氏家委員長が別紙の要求書を新藤総務大臣に手渡し、冒頭、地方公務員の給与決定と本年政府が行った地方公務員給与削減「要請」について、「地方公務員の給与は、地方自治体が決定すべきもの。今回政府がとった対応は、地方自治、労使自治に反するものであり、自治体に重大な混乱をもたらした。我々だけではなく、地方三団体など首長側からも指摘があったとおり、次年度以降、こうした措置を繰り返すことのないよう、強く要請する」とした上で、2点について、以下のとおり要請を行った。

10・6氏家委員長

(1)地方財源の確保と地方交付税の見直しについて

 東日本大震災では、自治体が必要なサービスを住民に提供できないなどの実態が浮き彫りとなった。集中改革プランなどにより、必要以上に人員削減を進めた結果であると認識している。質の高い行政サービスを安定的に提供し、地方分権を推進していくためには、地方財源を確保し、充実していくことが、まずもって必要である。

 骨太方針2013(経済財政運営と改革の基本方針)では、地方財政について、「経済再生に合わせ、危機対応モードから平時モードへの切替えを進めていく必要がある。」とし、政府は、リーマンショック後の対策として臨時的に創設された「特別歳出枠」について廃止する方針を示している。しかし、行政需要・住民ニーズに対応する観点からも、地方財源の総額を実質的に確保することが求められており、「歳出特別枠」については、一般財源に付け替えを行うなど、引き続き確保するようお願いしたい。
さらに、骨太方針2013では、新たに「行革努力」「地域経済活性化の成果」の2つの観点から算定を行うこととしている。まさに、本年度の「地域の元気づくり事業費」への交付については、本年度の地方公務員給与の削減分を原資として、これまでの「行革努力」をもとに算定されたが、地方の実態も見ずに「行革努力」の観点から新たに算定を行うことは、国の政策実現のために、地方交付税を補助金化することにほかならない。地方交付税は、自治体間の固有の財源であることからも、こうした見直しは行わないよう強く要請する。
(2)臨時・非常勤職員の処遇改善と雇用の安定について
今や全国に60~70万人と言われている非正規職員は、自治体にとって欠くことのできない戦力であり、そのパフォーマンスは、行政サービスを左右するまでになっている。三位一体改革以降、自治体の非正規職員は増え続けているが、構造的に「官製ワーキングプア」を生み出し、自治体は非正規職員を搾取していると言っても過言ではない」実態にあり、放置しておけない問題であることは明らかだ。「官製ワーキングプア」の問題、非正規職員の処遇等については、国会でも、与野党問わず、改善が必要であるとの認識が共有化されつつあり、議論がなされてきている。総務省においても、自治体の臨時・非常勤職員の実態の把握に努めるなど、課題の解決に向け、この間、取り組みが進められてきているものと認識しているが、政府・総務省が旗振り役となって、より一層の取り組みを進めていただくことを、我々としても強く期待しているところ。
要求書にもあるとおり、自治労としては、まず「①」の非常勤職員への手当支給を可能にする地方自治法改正が喫緊の課題と認識している。そして「②」については、ご案内の通り、現行の地方公務員制度には、パートタイム労働法や国公の給与法のような、正規職員と臨時・非常勤等職員との間の均等・均衡措置を求める規定は存在していない。職務の内容と責任、そして職務経験などの要素を考慮して、正規職員との間で「均等・均衡」措置をはかる必要がある。さらには、ワークライフバランスへの第一歩、長時間労働で疲弊する正規職員がいる一方で、安心して働き続けたい非正規職員がいることを踏まえ、「③」の本格的な短時間勤務職員制度を創設していく必要がある。

 これに対し、新藤総務大臣は以下のとおり回答した。

新藤総務大臣
(1) 地方が安定的な財政運営を行っていくためには、必要な一般財源総額を確保することが重要と認識している。平成25(2013)年度においても、地方交付税を含めた地方一般財源総額について前年度と同水準を確保したところ。去る、8月8日に閣議了解された中期財政計画においては、「地方の一般財源総額については、平成26(2014)年度及び平成27(2015)年度において、平成25(2013)年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。」と決めている。今後とも、各年度において必要な一般財源総額を確保することにより、引き続き、地方が安定的に財政運営を行えるよう努めてまいりたいと考えている。
歳出特別枠(平成25(2013)年度/1兆4,950億円)については、リーマンショック後、地域の疲弊が深刻化する中、雇用対策、地域経済の活性化等の観点から拡充されているもの。当面は、日本経済再生と財政健全化の両立に十分に配慮し、地域経済の活性化に必要な財源を確保する必要がある。このため、単に国の歳出削減の目的で歳出特別枠を一方的に減額することは、地域経済に停滞をもたらしかねず、適切ではないと考えている。
次に地方交付税の新たな算定方式についてであるが、景気の低迷が続き、人口減少、少子・高齢化が進む中で、全国各地の地方団体において、行革により捻出した財源も活用しながら、地域経済の活性化に向けた取り組みに一生懸命努力されているところ。そこで、現在検討している「頑張る地方を支援する交付税の算定」では、このような努力を交付税算定に反映して欲しいとの地方の声も踏まえて、行革努力と地域活性化の成果の2つの観点から客観的な指標を設定し、その財政需要を算定しようとするもの。もとより、地方交付税は使途を特定されない一般財源であり、算定の結果として交付される交付税の使途については、それぞれの地方公共団体の創意と工夫に委ねられているところ。したがって、こうした措置が、交付税の補助金化につながるものではないと考えている。
(2) 地方公共団体においては、臨時・非常勤職員が多くの行政サービスを担っている実態がある。一方で、臨時・非常勤職員については、これまでも手当などの処遇や任用のあり方に関して、様々な指摘がなされているものと承知している。臨時・非常勤職員の任用と処遇については、まずは各地方公共団体が法の規定に沿って責任を持って対応していくべきものであるが、総務省としては適切な運用がなされるよう、引き続き必要な助言等を行ってまいりたい。

 引き続く、自治労委員長と総務大臣との消防職員に関する定例協議において、氏家委員長は「総務省として2010年に消防職員の団結権のあり方に関する検討会を設置し、当局を含む公労使で検討を進め、団結権付与を選択肢としたことは極めて重い事実。2012年5月11日に示された総務省の『地方公務員制度改革について(素案)』では『団結権及び協約締結権を付与する』とし、それを踏まえた法案の国会提出にまで至ったことは高く評価している。こうした長い歴史的な経過の上に、積み上げられてきた実績を大事にしていただきたい。消防職員の団結権の付与は、ILOから1973年以降、再三再四にわたり改善勧告を強く受けている問題であり、自治労のみならず、連合、そして国際社会からの要請である。消防職員の団結権問題は古くからの歴史ある課題であって、第181国会に提出し、廃案となった、地方公務員制度改革関連2法案の、策定過程で付属的に浮上した課題でないことを改めてご認識いただきたい。必ずしも現場の消防長すべてが反対しているわけではないことに留意が必要だ。全国消防長会は改革素案に反対していたが、2010年8月18日に全国消防長会が公表した団結権付与等に対する意向調査では、3割近くの消防長が団結権付与に賛成の考えを表明していた。消防職員の団結権付与を含む、国公、地公の関連法案については、本年3月26日に、ILOより「再提出されているかどうかを明らかにするよう」求められている。これら全体状況を正確に把握していただいた上で、消防職員の団結権付与に向け、再度、ご対応いただくよう強く要請したい。

 これに対し、新藤総務大臣より「消防職員を含む地方公務員の労働基本権については、国家公務員制度改革基本法附則第2条において『国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する』こととされている。ただいまのような経緯は承知しており、前政権において法案が出されたことも承知しているが、それらも含めて、今後の地方公務員制度改革については、国家公務員制度改革の動向を踏まえ、対応してまいりたい」との回答を受け、この日の要請を締めくくった。