労組の女性役員、少なくない?

連合の構成組織に女性トップはゼロ

 

全員が拠出する組合費で運営し、全員が1人1票持つ民主的な運動体。それが労働組合なのであれば、女性の声も十分反映されているはず。

「実態は全然違う」という声を、主に女性たちからこれまで何度聞いたことだろう。それを裏付けるような調査を連合が行っている。

 

連合が毎年実施している「構成組織、地方連合会における女性の労働組合への参画に関する調査報告書」。

ホームページで公表していないので、連合に依頼して今年3月に発表した報告書を送ってもらった。調査時点は昨年5月、対象は51の構成組織と47の地方連合会である。

 

まず、構成組織の調査。女性組合員の比率は34.1%と、3人に1人は女性だ。ところが女性執行委員の比率は11.8%。「初めて1割を超えた」とはいうものの、女性組合員比率に比べればあまりに少ない。

 

また、51組織に女性の委員長・会長は一人もいない。

女性組合員が半数以上を占める組織が7つあるのだから、せめて一つぐらいトップに女性を選出する組織があってもいいのではないか。

 

トップ以外をみても、副委員長・副会長が6人、書記長・事務局長が1人で、三役の総数300人に占める割合はたった2.3%。女性の専従を置いている組織は11(全体の21.6%)で、前年より4組織減少している。

連合は、2017年までに「女性役員を選出している組織100%」を目標に掲げている。

ところが、女性の執行委員「ゼロ」の組織が19(全体の37.3%)もある。2008年の53.7%に比べ減っているとはいえ、今年中に一気に解消するには相当の努力が必要になるだろう。

 

地方連合会も似たような状況だ。執行委員に占める女性の比率は8.7%で、福井と沖縄では女性の執行委員が一人もいない。女性の三役は22人で、三役全体535人に占める割合は4.1%。

女性の会長は、構成組織と同じく一人もいない。

 

 

女性役員が多いほど取り組みも進む

 

「女性役員がいるからって格差解消などの施策が進むわけではない」と、心の中で思っている人が読者の中にはいるかもしれない。

 

私が以前いた新聞社でも、「介護育休など女性関連の施策は男性にも関心があるのだから、わざわざ女性部を設ける必要はない」という議論があり、実際、女性部は廃止された(余談だが、昨年私が退職した時点で、組合本部に女性役員はゼロだった)。

 

だがこの調査は、女性役員が多い組織ほど、男女差別の解消やハラスメントの根絶、ワークライフバランスなどの課題に積極的に取り組んでいることを明瞭に示している。

 

たとえば、セクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメント問題に「特に取り組んでいない」構成組織が13(全体の25.5%)もある。

 

この比率は「女性執行委員ゼロ」の組織だと47.4%にはねあがる。一方、「女性執行委員が2人以上」の組織で「取り組んでいない」は8.3%にすぎず、「単組への定期的な実態把握の要請」や「単組への相談窓口の設置要請」といった取り組みに、それぞれ半数以上が取り組んでいる(複数回答)。

 

 

男性が「げた」をはいているのでは?

 

個々の組織からは「役員になるだけの能力、経験、意欲をもつ女性がいない」といった反論があるだろう。

企業も女性を管理職に登用しない理由として、だいたいそんな言い訳をする。裏返せば「男性なら役員になるだけの能力、経験、意欲をもつ人がいる」ことになる。

 

どこかおかしくないか。

実は、男性だというだけで、キャリアの各段階ですでに「げた」をはいているということではないのか。

 

自治労も、連合の報告書によると女性組合員比率は44.8%で半数近くを占め、構成組織51の中で10番目に高い。

ではそれに見合った比率で女性たちが活躍の場を得ているだろうか。前回のコラムでも指摘したが、とてもそうは言えないのではないか。

 

私のわずかな観察ではあるが、女性が活発に活動している組織は風通しがよく、現状変革に取り組む意欲も高い傾向があると思う。労働組合こそが率先して、女性がのびのびと力を発揮しやすい組織づくりをめざしてほしい。

 


kimura-150x150ジャーナリスト 林 美子(はやし よしこ)
2016年まで朝日新聞記者。労働やジェンダーの分野を中心に取材、執筆活動を続ける。早稲田大学ジャーナリズム研究所招聘研究員。