残念、今回も女性議員はたった1割

(トップ写真)「女性微増47人」の見出しで報じる朝日新聞の記事

 

衆院選、女性は「2人増」

 

10月22日に投開票があった衆院選で、47人の女性候補者が当選した。解散前より2人増えたものの、2009年選挙の54人には及ばない。全衆院議員に占める割合は10.1%。解散前は9.4%で、「10人に1人」の状況にほとんど変化はない。

 

22日夜、テレビの開票速報で新人の女性候補による当選会見がたびたびあったので、女性議員が増えたような印象があったが全然違っていた。そもそも、女性の候補者は立候補者全体のうち17.7%にすぎなかった。主要政党別でみると、女性候補の割合が一番高かったのは立憲民主党で24.4%、一番低かった自民党は7.5%。小池百合子氏を党首とする希望の党でも20%だ。

 

しかも希望の党の当選者を見ると、50人のうち女性はたった2人。立憲民主党は女性12人が当選した。小池氏は敗戦の弁で「鉄の天井」と語ったが、それだけではこの違いは説明できない。希望の党自身の「女性活躍」も決して自慢できる水準ではない。

 

「おごりがあった」と語り報道陣の質問に耳を傾ける小池百合子希望の党代表。毎日新聞デジタル10月22日配信の記事より

 

キルギスと日本を比較してみた

 

改めて考えてみる。世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数で、日本は現在。145カ国中111位である。低い理由は、指数を構成する4分野のうち、とりわけ経済(118位)と政治(103位)分野の指数が低いことにある。

 

ふと思い出したのは、先日、中央アジアのキルギス共和国出身の知人女性とした会話の内容だ。彼女の母国で問題になっているのは、誘拐してきた女性と無理矢理結婚する「誘拐婚」である。独身男性の親族がそれに加担し、親族の女性たちも誘拐されてきた女性のなだめ役に回る。私も以前、写真雑誌でこの問題を知り、衝撃を受けたことがある。キルギス人の知人によると、法律で誘拐婚を禁止したがなかなかなくならないのだという。

 

それでも、というとたいへん失礼だが、キルギスのジェンダーギャップ指数は81位で、日本より上である。政治分野では87位で、女性政治家が議員の19%を占めている。2010年には短期間だが女性が大統領を務めたこともある。知人によると、旧ソ連の支配下にあった時代に女性の進出が進んだのだという。

 

こういった指数の算定方法や、それによって国を順位づけすること自体への疑問もあるだろう。だが、日本における政治分野の女性進出が格段に遅れているいることはまぎれもない事実である。そのことが、夫婦別姓制度が実現しないことや、長時間労働や保育園不足、介護士不足などへの対策の遅れなど、女性の関心が高い分野への政治の取り組みがなかなか進まないことに直結していると、私は確信している。

 

 

 

「203050」でしょ!

 

「202030」という言葉をご存知だろうか。指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%に増やすという政府の目標だ。目標を立てたのは2003年。2020年は目前に迫っているのに、一向に手が届きそうにない。

 

「30%が目標とは何ごとぞ」という意見もある。人口の半分は女性である。だったら、指導的地位に占める女性の割合も50%が当然だという主張だ。国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)では、2030年にすべての分野で女性の割合50%を目指す「203050」を目標に掲げている。日本の現状との乖離に頭がくらくらする。

 

衆院選に話を戻す。「女性政治家」といっても一人ひとり千差万別である。今回当選した女性の中にも、「性別役割分担」の擁護を公言する人がいる。一方で、ジェンダーの問題に関心のある男性政治家ももちろんいる。

 

 

 

「オヤジ議員」が私たちのことを決めるな

 

大切なのは、多様な背景を持った政治家が増えることだと思う。たとえば、いま国会議員のかなりの割合を占めるのは「オヤジ」政治家である(この場合の「オヤジ」は中高年男性という意味ではなく、性別年齢に関わらず家父長的な考え方に固執する人たちという意味である)。世の中にオヤジがいる以上、オヤジ議員がいたっていい。だが、オヤジ議員に、オヤジ以外の人々の利害関心は代表されない。オヤジ議員が多数を占める国会で、私たちのことを決めてほしくない。国民の中の様々な立場、性別、階層の人々の意見が、きちんと反映されるような議会の構成であってほしい。それを前提に、国の行く末を議論してほしい。

 

そのためには、政党内での候補者選抜システムの改革や、クオータ制の導入、有権者への働きかけなど、様々なことが必要になるだろう。課題はますます明確になっている。あきらめずに関心を持ち、自分の考えに近い議員たちを応援することから最初の一歩が始まる。そんなことも実感させてくれた、今回の選挙だった。

 

ジャーナリスト 林 美子(はやし よしこ)

2016年まで朝日新聞記者。労働やジェンダーの分野を中心に取材、執筆活動を続ける。早稲田大学ジャーナリズム研究所招聘研究員。