職場の不公正を直視し、労働組合は具体的な取り組みに着手を(前編)

非正規労働者──ここ数年は、とりわけ自治体で働く臨時・非常勤等職員の雇用(任用)・働を調査・研究テーマに据えてきた。

2012年に札幌市議会に付議された公契約条例※の制定運動にもかかわるなど、「なくそう!官製ワーキングプア」を掲げ、また、2014年度からは、公益社団法人北海道地方自治研究所に設置された「非正規公務労働問題研究会」で、調査・研究に取り組んでいる。調査・研究で見えてきた非正規問題(民間を含む)の問題性や組合の課題などを報告する。

※条例案は継続審議の後、2013 年秋に否決。

 

雇用はなぜ有期なのか──有期雇用の濫用

非正規雇用問題の不条理の第一は、仕事は恒常的に存在するにもかかわらず、有期で雇われることである。自治体職場でもそれは同様で、更新(再度任用)回数の上限や空白期間が設定されている自治体もある。ここに合理性はあるだろうか。

住民に広く雇用の機会を提供する必要があるから、とか、長く雇えば昇給がないこととのバランスがとれなくなるから、という説明が当局からなされる。

しかしながら、一見するとワークシェアリングを感じさせる前者は擬似的なワークシェアあるいは雇用の質を無視した主張であって、後者は、そもそも昇給制度のないことこそが解消されるべき問題である。

「任用」を盾に、民間雇用の労使対等原則が否定され、任命権者である自治体側の裁量が過度に容認されている中、雇用不安が職場に広がっている。そのことに自治体労組はどうむき合うのか。

労働契約法が改正され、民間職場では、5年を超えた非正規(有期)雇用者に無期雇用への転換権が与えられることになった。不十分な内容だが公務の世界でも追求されるべき課題だろう。

有期雇用の濫用を止める──短期的には、更新上限や空白期間の設定の廃止。上限を早急に廃止できないとしても、上限に達した労働者の再度の任用(合否)に労働組合が規制をかける(経験のある者の再任用拒否には合理的な理由を必要とする)──ことが課題であり、総務省通知(「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」2014年7月4日付)はそれを後押ししている。

 

その賃金は公正か──賃金をめぐる問題

臨時・非常勤等職員の多くが年収は200万円に満たないことをどう正当化しうるだろうか。

彼らの仕事は一時的・臨時的だから、というのは事実によって否定されているし、家族に扶養されているから、という主張も、主たる生計維持者が彼らの中に増えている事実によって崩れてきている(そもそも賃金の決定基準を、扶養か被扶養かにおく発想は妥当か)。

ところで、正職員と変わらない責任、内容の仕事をしているというこちら側からの主張に対しては、配置転換でさまざまな仕事を経験する正職員と一時点の状況で比較をするのは妥当ではない、という反論はありうる。しかし、では、処遇面での差は仕事上の差の範囲内(言われある格差内)におさまっているだろうか。仕事に見合った賃金が支払われず、経験が評価されぬことや諸手当が支給されないことはどう説明できるか。

賃金の決定基準や支払い水準の不公正を直視し、生活していける水準への底上げをすみやかにはかると同時に、勤続や経験を含め仕事内容が評価される賃金制度を構築することがめざすべき方向ではないか。

 

参考文献

上林陽治(2015)『非正規公務員の現在』

日本評論社、熊沢誠(2013)『労働組合運動とはなにか』岩波書店など参照

 


川村雅則(かわむら まさのり)北海学園大学 教授 川村 雅則 (かわむら まさのり)
北海学園大学教授。非正規雇用問題のほか、交通・建設・福祉など北海道の雇用の実証的な研究に従事。専門は労働経済。反貧困ネット北海道副代表。