Fiji通信
 赴任2年目で初体験するフィジーの病院と健康管理




 

フィジー大使館
鴻巣 玲子

 新年度が始まり、人事異動や新業務の開始、制度の変更など、あわただしい時間を過ごされている方も多いかと思います。私もこの4月で赴任して丸1年を迎え、赴任当初は不安ばかりで、一つひとつ問題をクリアしては自分を励ます日々でしたが、無病息災で無事1年目を終えたところです。3月には休暇をとって日本へ一時帰国し、職場の人たちや友人たちとの旧交を温め、美味しい食べ物とお酒を飲み、すっかりリフレッシュしてフィジーに戻ってくることができました。もしかしたらもうフィジーに戻りたくないと感じるかもしれないと日本で思ったりもしましたが、いざフィジーの空港に降り立ってみると、帰る我が家もあれば職場の同僚もおり、またむっとした空気もいつものとおりで、ああフィジーに戻ってきたんだなと思ったとたんに、日本の思い出はどこかへいってしまいました。自分は旅行者でもなく、もうすっかりフィジーの住人なんだなあと実感した次第です。

<フィジー4月模様>

シンガポールセブンスで優勝したフィジーチーム(Fiji Times HPより)

 ところで、こちらフィジーでは会計年度は1月から12月、トンガでは7月から6月、というように、桜で始まる日本の4月のすがすがしい雰囲気とはずいぶん異なります。あえて言えば、今年の南太平洋の4月は7人制ラグビーの国際大会で盛り上がり、イースター休暇で家族だんらん、という雰囲気でしょうか。
 4月最初の週末に香港で行われたセブンス決勝戦では、残念ながらフィジーは強豪イングランドに逆転負けして2位に終わりましたが、翌週のシンガポールセブンスではイングランドに競り勝ち、見事優勝を飾りました。昨年フィジーは香港のセブンスワールドカップで優勝し、フィジー本国では急遽優勝を祝して休日となったくらいです。ラグビーはフィジー、トンガ、サモアなどの島嶼国で子どもから大人まで広く親しまれ、オーストラリア、ニュージーランド、日本でも島嶼国出身の選手が多く活躍していますし、フィジーでもいたるところにラグビー場があります。特に7人制ラグビーではフィジーは常に世界のトップレベルで、ルールを知らない私でも大興奮するくらいとにかく動きが早くてパワフルです。これまであまり関心を持って見たことがなかったのですが、テレビで香港セブンスの生中継をフィジアンと一緒に観戦し、すっかりはまってしまいました。また4月中旬のイースターでは、4連休初日の金曜日・グッドフライデーに、キリストの十字架貼り付けのシーンの再現として、キリスト役のフィジアンが白い服を着て十字架を背負って歩き、その後ろを、ローマの兵隊の格好をした兵士役のフィジアンが鞭を振り下ろす仕草をしながらまちを練り歩く様子がテレビで放映されたのを見て、始めてフィジーのイースターの様子が分かりました。ホテルでは十字架の模様を描いたイースターのパンが出され、お店はどこも閉まり町は閑散としていましたが、皆家族や友達とピクニックなどに出かけてゆっくりと休みを過ごしたようです。フィジーの気候も次第に湿度と温度が下がり始め(3月末で湿度70%、温度31度くらいです)、快適に感じる日が増えてきました。

<病院初体験>

 さて、3月末に休暇から戻り、すっかりリフレッシュした気持で職場へ復帰したのもつかの間、帰国後一週間もしないうちに現在当地で流行中のウィルス性結膜炎にかかり、重ねて原因不明の蕁麻疹が体中に出て、体調を崩してしまいました。フィジーにすっかり順応したと喜んでいた私にとっては晴天の霹靂で腹立たしい限りでしたが、とりあえず辞書を片手に当地で一番設備が整っていると言われる私立の病院に診察に行き、蕁麻疹についてフィジー人の女医さんの問診を受けたところ、何かのアレルギー症状だといわれ(結局原因ははっきり分からないまま症状は治まりましたが)、薬を処方してもらうことになりました。問診料が20フィジードル(約1,400円)、薬の処方は街中の薬局で、5日分の飲み薬・塗り薬あわせて4フィジードル(300円弱)。特に保険があるわけでもないですが、意外と安いな、というのが実感です。病院の規模は小さいですが、清潔で落ち着いていました。当地では私立の病院・クリニックにはたいてい外国人などが行き、現地の人は主により医療費の安い公立病院に行くようですが、公立病院は待ち時間も長く、スタッフや医療器材・薬剤なども豊富ではありません。また都市部の病院であっても高度な医療技術は受けられず、脳外科や心臓外科の患者、重篤な患者などはオーストラリアやニュージーランドで治療を受ける必要があります。また、フィジーでできない検査などは、採取したものをオーストラリア等の病院に送って、その結果を待たなければいけません。これが地方や離島、またフィジー以外の島国になると、状況はさらに悪くなります。診療所の建物はあっても電気や水道がなかったり、機材やベッド・薬剤もなかったり……。これまで元気に過ごしていて気がつきませんでしたが、こうしてちょっと体調を崩してみて初めて日本の医療水準の高さ、また快適さに気がつくとともに、フィジーが途上国であるという現状と自分の健康管理の甘さにも気がついて、少し反省しているところです。

<当地の健康管理方法>

離島では海がきれいです(カンダブ島)
 
スバ港の様子
 
スバ近郊の上空写真
 
花の写真です

 健康管理には規則正しい生活と適度な運動が必要と分かってはいるのですが、実際は油っぽいこちらの料理に加え、毎日の車通勤と運動不足で、体重が赴任前に比べて4キロ近くも増加してしまいました。フィジーは南国の島国で海に行けばいつでも泳げるのでは、と皆さんは思われるかもしれませんが、残念ながら大使館のある首都スバの海は、港と工場、それに生活廃水とでかなり汚れており、海水浴を楽しむことはできません。海で泳ごうと思うと、車で1時間半くらい走ったリゾートまで行く必要があります。そこで運動といえば、たいていは車で30分圏内の各種スポーツ施設に出かけていくことになります。ただしスポーツ施設といっても、屋外プールに泳ぎにいくか(ただし底にはペットボトルやタオルなど、いろいろなものが沈んでいます)、蚊と戦いながらテニスを楽しむか、冷房のないジムで体を鍛えるか、雨が降るたびに田んぼのように足が沈むゴルフコースでゴルフを楽しむか、くらいの選択肢しかないのが実情です。しかも日中は日差しも強く体力が続かないので、早朝あるいは夕暮れ前などの涼しい時間帯が基本となります。私も、日頃の運動不足を解消しようと、こちらにきて半年くらいしてからゴルフを始めてみたのですが、日曜日早くに起きて雨でぬかるんだコースをカエルをよけながら歩き、草と泥に埋もれたゴルフボールを掘り進めていると、なんだかゴルフの腕前よりも足腰の方が鍛えられているような気がしているくらいです。それでも体を動かしたり日々の楽しみを持つことは、娯楽の少ない当地では非常に重要なことです。大多数の店舗がほぼ5時前後に閉店してしまうため、仕事のあと買い物を楽しむこともできませんし、治安上暗くなってからは徒歩で出歩くことが難しいため、どうしても行動範囲が限られて閉じこもりがちになってしまうからです。そのためにも自分でよい環境づくりを積極的に行って、気持ちの切り替えができるように心がけています。
 当地で暮らして早1年、最近ようやくフィジーらしさ、日本らしさを客観的に見ることができるようになってきました。着任した当初は日本と比べてはフィジーのいやな点ばかりを指摘していましたが、日本にいても問題は多々ありますし、ストレスは絶えず発生します。あまりストレスを溜めず、また頑張り過ぎないようにしながらも、自分のコンディションと相談しつつ、フィジー生活2年目を健康的に送りたいと思います。