【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第2分科会 「新しい公共」を再構築する

 公園を利用される市民の誰もが「安心、安全、快適」に使用できる、また、提供するにはどうすればよいか? 行政として一方的にただ提供するだけでは、市民要望・ニーズが把握できない。こうしたことから、職場で協議をした結果、地域・市民のみなさんと行政が手を取り合って協働をすることが「安心・安全」につながることになるという結論となり、まず地域・市民のみなさんとつながり「つまり『輪』作り」をはじめました。



安心・安全つながる地域の『わ』


大阪府本部/大阪市従業員労働組合・公園支部東部班

1. まず、はじめることから

 地域の「わ」を作るためのきっかけ、まずイベントからとなり「冬のふれあいイベント」を大々的に開催することとしました。1年目に開催したイベントでは、こどもたちとクリスマスツリーをつくったところ地域でも評判となり大好評となりました。
 翌年には、今年も開催して欲しいとの地域住民・市民からの声(要望)が多数あがり、イベントを開催してきました。
冬のふれあいイベントでツリーを作成

2. イベントの成果

 「冬のふれあいイベント」を開催したことにより、地域住民・市民のみなさんが喜んでくれることが一番の仕事の励みになることが実感できました。
 また、イベントを通して地域の自治会や保育園、小学校などとの繋がり「ネットワーク」ができ、花や樹木などの緑に関する相談や、ネイチャークラフト教室を開催して欲しいなどの要望など様々な相談や依頼を受けるようになりました。
 ふれあいイベントを通して地域住民・市民の皆さんとのコミュニケーションが図られたことにより、まずは地域との「わ」を深めることが出来ました。

3. 地域の「わ」の広がり

 地域の「わ」のなかから、地域の子ども会とPTAから、「毎月公園の清掃活動を行っているのだが、他にも何かできることがあれば」という相談が寄せられました。早速、管理職、統括主任、部門監理主任、業務主任(現業管理体制)と子ども会・PTAと意見交換会を開催し、様々な提案や要望を出し合いました。
 話し合った内容を現業企画調整班が中心となり企画書を作成、職員も一緒になって公園の清掃を行う、「ふれあい清掃」と簡単な遊具の点検と、遊具の正しい使い方について講習を行うことになりました。

子どもたちや保護者と一緒になって「ふれあい清掃」 

4. 遊具の正しい説明ってむつかしいなあ

 公園を皆で「ふれあい清掃」後、室内において「遊具は、正しく使えば楽しい。けども注意しないとけがをする」子どもたちへの説明。①遊具は楽しく遊べる反面、不具合や不適切な利用をすると事故に繋がる、②私たち職員が日常点検・定期点検を実施していること、③過去にあった遊具による事故、どのようにしてどのような怪我をしたのか、注意するポイントなどパネルも交えてわかりやすく説明しました。
 そして、地域住民や市民のみなさんの協力を得ることで、より安心・安全に利用していただけることを強く訴えてきました。

遊具の説明と、説明を聞く子どもたち  

5. 遊具を使い実際に説明

 簡単に正しい遊具の使い方と言っても、子どもたちにどう話し説明をすれば理解してくれるのか? 初めての試みであるので見当もつかず、インターネットで検索したり、横浜市にパンフレットがあると聞き取り寄せたりなど、苦労に苦労を重ねた結果、資料を作成しました。
 資料をもとに1班10人程度、三班に分かれて遊具を前にして説明をしながら回りました。
 子どもたちも熱心に聞いてくれ、好感触に苦労の甲斐と喜びがわき出てきました。
 余談ですが、子どもたちに一番好きな遊具はと聞くと「クライミングスライダー」とほとんどの子どもが答えたのが意外でした。理由を聞くと「皆で遊べて楽しい」のだそうです。大人では分からないこと、「遊具で遊ぶのは子どもたちなのだ」と、子どもたちから聞くことに色々と教えられたこともありました。

遊具で遊ぶときの注意説明
人気のクライミングスライダー

 保護者(20人)に皆さんには、我々が行っているブランコ・砂場の点検の実演と、保護者の皆さんも一緒に各ポイントを説明しながら目視点検を行いました。

保護者の皆さんも真剣に聞いてくれました

6. 第2回目開催

 1回目に引き続き、現業企画調整班が子ども会・PTAと連絡・調整を行い第2回「遊具の安全な使い方」講習会を開催しました。
 当日は、大人20人、こども30人が参加してくれました。前回と同じく「ふれあい清掃」を行ったあと子どもたちに「遊具で遊ぶ時の危険な服装」を木製総合遊具のラダーを使って説明。服装ひとつで大きな事故につながることを説明してきました。
 講習後、砂場の点検を体験していただきました。まず、砂場に抗菌剤を散布、その後、子どもたちや保護者の皆さんにスコップとレーキを使って混ぜてもらいながら、ガラス片や危険なものが入っていないか? 砂場のフェンスに不具合はないかなどの点検をしてもらいました。

遊ぶ時の服装に注意
砂場の点検・清掃

7. 公園管理の限界

 私たちが行っている日常点検や定期点検で「ハザード」を取り除くことは出来ても、子どもたちが遊具を使用することによって「リスク」を取り除くことはできません。
 今後必要となってくるのは、「リスク」の適切な管理や遊具を使用する子どもたちに、いかに正しくきちんと使ってもらえるかを考える必要があります。

8. まとめ

 私たちは、今まで市民や公園利用者に対して背を向けて仕事をしていたのかもしれません。市民と接していたのか? 私たち現場で働く職員は、市民にとって身近な存在であり、行政の目であり、耳であることを自覚しなければなりません。その上で、市民とコミュニケーションを図りながら、色々な情報をいただき、我々も情報提供することで、地域住民の皆さんとどのような協働ができるか、また「安心で安全」な皆が憩える公園にすることが出来るのかが見えてくるのではないかと考えます。
 今の現状で満足せず、今後も地域との「地域のわ」「協働のわ」を広めていくことで、すべての公園がより「安心・安全で快適な」公園になると確信しています。