【要請レポート】

第33回愛知自治研集会
第13分科会 温暖化ガス25%削減 地域での可能性を模索する

 特定非営利活動法人アースライフネットワークは、静岡県内の地球温暖化防止活動の普及・啓発を目的とし、2003年に法人化しました。その後、家庭生活における温暖化防止を中心に様々な事業を展開し、2004年10月、静岡県知事より「静岡県地球温暖化防止活動推進センター」の指定を受け、民生部門を中心とした温暖化防止事業を展開しています。本レポートでは、当法人の事業紹介をし、私たちが目指すものは何かをご紹介します。



NPO法人アースライフネットワークの事業紹介
~私たちがめざすもの~

NPO静岡県地球温暖化防止活動推進センター(アースライフネットワーク)  長内 隆久

1. 特定非営利活動法人アースライフネットワークとは?

 1997年6月に設立された環境市民団体「ストップ・ザ・温暖化」静岡県民ネットワークを母体として、2003年4月に設立された特定非営利活動法人です。
 2004年10月に、2007年度末までの第1期に続き、静岡県知事より第2期の静岡県地球温暖化防止活動推進センターに指定されました(第2期指定期間:2008年4月~2011年3月末)。
① オフィス
  静岡県静岡市葵区昭和町6-3 ダイエービル3階(JR静岡駅より徒歩で約10分)
② 組織・職員
  理事 5人 幹事1人 職員11人(センター長 事務局長 アドバイザー ほか8人)
③ 正会員
  33人(センターサポーター 4団体20人)
④ 事業収入
  7,895万円(2009年度)

2. 事業の紹介

(1) 温暖化防止の活動にまずふれてもらうための事業
① イベントの開催・出展(センター普及啓発・広報事業)
  出展回数:25回 参加者数:約36,000人(2009年度実績)
  ・センターと市町や企業と協働で開催するイベント
    例:ライトダウン&キャンドルナイトinあおば夏冬 エコマッチinエスパルス 等
  ・静岡県・市町が主催するイベントへの出展
    例:しずおか環境・森林フェア 湖西市秋の緑花フェア 等
  ・地域協議会・市民団体が主催するイベントへの出展
    例:環境フェアinふじのみや 焼津市消費生活展 等
  ・企業が主催するイベントへの出展
    例:とびっきり! 静岡あさひテレビ祭り  Switch!  Fair in Fuji 2009 等
 <事業のキーポイント>
  ※市町の環境セクションの職員、民間企業と他事業でのつながり
  ※楽しく参加できる子ども向けや大人向けのイベントツールを持ち合わせていること
② 相談・問い合わせ窓口(地球温暖化防止活動支援事業/講師等派遣事業 等)
  問い合わせ:511件 来訪:124件 依頼:84件 相談:77件 合計:796件(2009年度実績)
  講師等派遣:45件 参加者:2,101人(2009年度実績)
  ・問合 例:太陽光発電補助金、STOP温暖化アクションキャンペーン、環境イベント 等
  ・来訪 例:エコリフォーム関連、地球温暖化についての相談(学生)、パンフレット・資料の調達 等
  ・依頼 例:イベント出展、講師派遣、物品貸出、メディア取材、執筆依頼 等
  ・相談 例:企業における温暖化対策事業について 計画の策定について 等
  ・講演 例:民間企業研修、自治会連合会研修、教員研修、環境団体講演会 等
 <事業のキーポイント>
  ※県民や企業等が地球温暖化への意識が高まったこと
  ※専門知識を有する人材がいること(講師:センタースタッフ、センター特別スタッフ 等)
③ Webサイト運営/メディアへの情報発信
  センターホームページ訪問者数:243,530人(1日当たり667人)
  メディア報道・掲載件数:407件
  (新聞:124件 Web124件 行政・団体機関誌等:94件 テレビ・ラジオ:57件 メールニュース:8件)
  Weekly Reportの発行 発行数:44回(2009年度実績。212号まで発行)
  Sccca Weeklyの発行 発行数:46回(2009年度実績。170号まで発行)
 <事業のキーポイント>
  ※県民や企業等が地球温暖化への意識が高まったこと
  ※更新頻度を多くしたこと
  ※プレスリリース等、頻繁にメディアへ情報発信したこと
  ※センター事業が多くなったこと

(2) 何かはじめようという人をサポートするための事業
① アース・ファミリー事業
  概要:家庭生活における温暖化防止活動をサポートする事業です。各家庭で、夏または冬の2~3ヵ月間、20項目の取り組みを実践しながら、電気、ガス等の使用量を減らします。センターはデータをもとに「エコライフ通信簿」「エコライフ認定書」を作成し「認証式・交流会」で各家庭に返します。
  実施形態:静岡県、市町・団体、センターの3者連携・協力で行う事業
  2009年度実績:市町・団体[9市町2団体] 参加世帯数:753世帯 前年同月比:32.6t-CO削減
 <事業のキーポイント>
  ※参加家庭が具体的に取り組み、実績が数値やグラフで表れることでやりがいを得ることができること
  ※STOP温暖化アクションキャンペーンと連携し、参加家庭に実績に応じてストップ温暖化ポイントカードを付与するメリットをつけたこと
② アース・キッズ事業
  概要:子ども達がリーダーとなって家庭で温暖化防止に取り組むプログラムを提供する事業で、学校と連携して行います。子ども達は、キックオフイベントに参加した後、2週間、家庭で電気やガス等のメーターをチェックしながら省エネ生活にチャレンジします。センターはその数値をもとにCO削減量等を集計し、セレモニーイベントで「エコリーダー認定証」を授与します。
  実施形態:静岡県、市町・団体、センターの3者連携・協力で行う事業
  2009年度実績:19市町 参加学校数:52校 参加世帯数:3,773世帯 取り組み前比:5.5t-CO削減
 <事業のキーポイント>
  ※子どもたちが楽しみながら取り組めるように工夫していること
  ※これまで努力してきたことを称えると同時に、継続して取り組んでほしいという願いを込め、一人ひとりに違うメッセージの「エコリーダー認定証」を授与すること
③ エコ住宅普及促進事業(登録店302店・相談員86人・補助金申請130件)
  概要:エコリフォームを考えている県民に、エコリフォームに関する公的補助金の情報提供や、エコリフォーム相談員、登録店をご紹介します。
  実施形態:県や市町、民間の工務店、建築事務所等で結成される静岡県エコリフォーム推進協議会を立ち上げ、センターは事務局を運営。一部は環境省委託事業
  2009年度実績(一部):普及啓発イベント(計4回 総参加者1,300人)
             補助金申請:121件 事業によるCO削減量:853.3t-CO
 
<事業のキーポイント>
  ※住宅に関する専門家・団体とのコラボレーションによる実施
④ うちエコ診断事業/暮らしのアドバイザー事業(2010年度新規事業)
チラシ(表面)
エントリー用紙(表面)
 
  概要:うちエコ診断事業では、「うちエコドクター」を養成。各家庭のエネルギーの使い方についてPCソフトを使って診断し、その家庭に合った省エネの取り組みをアドバイスします。また、暮らしのアドバイザー事業では、「うちエコマイスター」を養成し、チェック&アドバイスシートを使って各家庭にアドバイスを行います。

タペストリー・看板 

 ⑤ STOP温暖化アクションキャンペーン
  概要:2006年度から全国初の温暖化防止の県民運動「STOP温暖化アクションキャンペーン」を展開。県や市町、企業・大学生等で結成される実行委員会を立ち上げ、センターは事務局を運営しています。チームエントリーした家庭や企業、地域や店舗等には、エントリーグッズを進呈します。チームの取り組みをメディアへ発信したり、キャンペーンのホームページへ掲載したり、イベントグッズをレンタルしたりする等の活動支援を行っています。毎年2月にはSTOP温暖化グランプリを開催し、部門ごとにグランプリ・準グランプリ等を表彰します。
  実施形態:静岡県、市町、企業、大学生からなる実行委員会を結成。静岡県や市町、企業等から協賛金を得て実行委員会形式で運営
  2009年度実績:921チーム(121,275人) CO削減量:32,193t-CO(1/31現在)
         ストップ温暖化ポイントカード発行数:38,548枚(3/20現在)
 <事業のキーポイント>
  ※イベント、講演会等の参加者へキャンペーンチラシを配布
  ※イベント、講演会等の参加者へちょいエコ宣言(キッズ版、大人版、エコドライブ版)の実施
  ※新聞記事等に環境活動内容が掲載された団体や企業等に、キャンペーンエントリーの依頼[チームの掘起し]

(3) 中心となってがんばる人を支援するための事業
① 地球温暖化対策地域協議会への支援(地球温暖化防止活動支援事業)
  概要:県内の地域協議会に対して、助成金を付与します。また、設立支援や活動継続支援として、地域協議会同士の交流を促す場を設定したり、地域協議会が主催するイベントへの出展、講演会へ講師の派遣等を行います。
  実施形態:静岡県から地球温暖化防止活動支援事業として委託
  2009年度実績:助成件数:12地域協議会 約92万円
 <事業のキーポイント>
  ※イベントや講演等を支援することで、地域協議会の活動情報や人的な交流を図ることができる
  ※活動資金を助成することで地域の特性を生かした地球温暖化防止活動が活性化する
② 調査研究・コンサルティング事業
  概要:県や各市町の温暖化対策を推進するため、その基礎となる温室効果ガス排出量を算定し、その結果と考察をまとめた報告書を提供します。また、民間企業における温暖化対策支援として、温室効果ガス排出量の算定や、機器等購入による温室効果ガス削減効果等の算定を行います。
  実施形態:静岡県、市、企業からの委託
  2009年度実績:静岡県、9市、2企業
 <事業のキーポイント>
  ※算定業務ができる専門スタッフがいること
  ※民間よりも安価で継続的に算定業務が可能なこと

(4) タイムリーな企画事業
① 冷えすぎ110番
  概要:クール・ビズを応援し、省エネを進めるためのスポット事業。「冷房が効きすぎていて、寒すぎる」という経験があった場合、センターの専門ダイヤルへ通報してもらいます。センターでは、通報があったお店等へ連絡し、設定温度の調整を促したり、改善策についてのアドバイス結果をホームページに公開したりして、情報の共有化を図ります。
  実績:2006年度 103件  2007年度 48件  2008年度 16件
 <事業のキーポイント>
  ※目を引くネーミング
  ※みんなが誰もが体験していることに注目し、お店や公共交通機関の省エネの推進を促す
② その他のタイムリーな企画事業
  ・映画上映会
   (「北極のナヌー」「不都合な真実」企業とタイアップで実施)
  ・ストンパ[ストップ温暖化パフォーマンスコンテスト]
   (歌やダンス、芸、演劇等様々な形で地球温暖化防止を訴えるパフォーマンスをコンテスト。大道芸ワールドカップの会場内で開催。SBS放送とタイアップで実施。) 等

3. 私たちがめざすもの

  ・「県民380万人とつながりたい」……取り組み県民+巻き込み県民を増やす
  ・「CO削減」……削減効果を見える化する
  ・「信頼」……企画力・機動力、ニーズに応える存在、成果をあげる存在になる