【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第3分科会 自然災害に強いまちづくり~災害から見えた自治体の役割~

 台風、竜巻、大雨、洪水、地震等の自然災害が発生をした場合、その災害に対する対応が自治体にとっての責任が大きく課せられます。岡崎市を襲った2008年8月末豪雨に対し、第1線で災害に緊急対応した現業職員の必要性を提言します。



災害対応に必要な自治体現業職員


愛知県本部/岡崎市従業員労働組合 鈴木  等

1. 岡崎市を襲った2008年8月末豪雨

(1) 大雨警報発令後の対応と災害状況
 前夜に出された大雨洪水警報が解かれ、災害対策本部も廃止されたのも束の間2008年8月29日午前0時6分、愛知県西部地方へ大雨洪水警報が発令されたので、災害対応のため出勤するように職場の岡崎市役所道路維持課岡崎市総合現業事務所の統括主任から電話が入り、直ぐに着替えて職場に向かいました。車に乗り走り出すころは、小雨だった雨も次第に雨も強くなり、車中からの前方の視界は1m先も見えなくなり、まるで滝の中に突っ込んだかのような状態となりました。豪雨のため道路も川のようになり、車のタイヤの半分くらいまで水で埋まる状態の中、なんとかゆっくり車を走らせ職場へ辿り着くことができましたが同じように出勤をされた方は、辺りの道路が冠水しており、西部方面から出勤してきた職員は、市内の中心を走る国道248号線が冠水で横断ができず通常の通勤時間が30分の職員が2時間近くかけて出勤をされたことを記憶しています。また市役所本庁や小中学校や保育園、幼稚園や各施設に出勤途中に車両の水没等の被害に遭った職員の車両は実に70台にも及んだと聞いています。この日、気象庁岡崎観測所では、午前1時から2時までの時間雨量146.5mmの雨が観測されていますが、この雨量は8月としては気象庁の観測史上最大であり、年間を通じても史上6番目の観測値との発表がされています。ゲリラ豪雨とも報道された短時間局地的集中豪雨は、岡崎市に死者2人、床上・床下浸水3,365棟というまさに未曾有の被害をもたらしました。
 また岡崎市は、2000年9月に発生した東海豪雨においても甚大な被害を受けています。東海豪雨は、著名災害降雨として自治体の水害対策の基準とされるところでありますが、本市でもこれまでに治水や浸水対策のバロメーターに用いられてきました。2008年8月末豪雨での降水量は、時間最大雨量、24時間雨量ともに東海豪雨を遥かに上回っています。中でも、午前0時からの3時間雨量は240mmに達し、東海豪雨時の1日の雨量に匹敵します。水害対策の抜本的見直しが必要になりました。
 2008年の8月末豪雨に第1線で対応をした岡崎市技能業務職員の業務内容を報告します。


現場職員による土砂撤去作業
現場職員による土のう積み作業

(2) 2008年8月末豪雨の道路維持課被害状況と現業職員の災害対応
① 道路維持課被害状況
 ・法面崩壊152件・舗装盛り上がり24件・道路陥没17件
 ・道路冠水69件            合計 262件
 ・被害道路は、74本に及ぼした。
② 8月29日(金)現業職員の対応
 ・岡崎市石神町市道日名橋線(岡崎北高校前)の道路の冠水で、現業職員による交通規制及び側溝桝の清掃により冠水を排除して水が引いてから路面清掃を行った。
  他、岡崎市内41箇所
 ・高隆寺町地内の崖崩れで現業職員が安全施設を設置。
  他、岡崎市内17箇所
③ 8月29日(金)午前11時以降から本格的な土のう運搬と土のう積みが始まる。
 ・土のう運搬と土のう積み
  道路維持課による対応として、土のうを男川流域150袋、乙川流域485袋、伊賀川流域5,188袋、早川流域60袋、山綱川流域225袋、砂川流域1,500袋、占部川流域80袋、鹿乗川流域23袋を運搬したり、積んだりした。
                     計 7,711袋
④ 2008年8月30日(土)午後10時54分
 ・大雨洪水警報解除。
⑤ 2008年8月31日(日) 土のう運搬。
 ・道路維持課の現業職員で対応。山綱川35袋、砂川流域30袋。
⑥ 土のう運搬と土のう積み(河川課+道路維持課)


 
流域別
乙川
男川
伊賀川
早川
山綱川
砂川
占部川
鹿乗川
8月28日(木)  
 
300
220
225
 
206
350
8月29日(金)  
 
1,115
180
 
200
6
20
8月30日(土)
485
150
5,318
60
 
1,530
260
33
8月31日(日)  
 
 
 
35
30
 
 
合 計
485
150
6,733
460
260
1,760
472
403
総合計
10,723袋


(3) 岡崎市技能業務職員の取り組みについて
 岡崎市は、1982年に道路維持管理業務と下水施設管理業務と市立保育園営繕業務と市立小中学校、市立幼稚園の営繕業務と市営住宅の営繕等をする仕事を岡崎市総合現業事務所に統合して今も技能業務職員が、各町の総代さんからの要望、市民ニーズ、市役所の道路維持課を中心に各課からの対応に日々頑張っています。緊急非常配備態勢を敷いており、どんな非常災害にも対応できるようにしています。2000年9月の東海豪雨や2008年8月末豪雨、また台風接近に伴う非常配備、台風、大雨等の自然災害が原因でおきる倒木処理や法面崩壊や道路の通行止め処置などの災害被害対応や道路の陥没処理、市道の舗装修繕、側溝修繕、下水菅、雨水管の詰まり処理、道路上での交通事故の対応、市立の小中学校、保育園、幼稚園、市営住宅の緊急修繕、また冬季に降雪があった場合は、岡崎市役所道路維持課で塩カル散布や配布等、緊急対応をしています。
 また、いつ起きてもおかしくないと言われています東海地震、南海地震、東南海地震に備え、全国の自治体現業職員が減少をしている中で、それぞれの現業現場の第一線で頑張っている現業職員の存続の大切さを訴え、引き続き頑張っていきたいと思います。