【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第6分科会 地域での子育ち支援

 保育所にできる子育て支援とは? アンケートにより0、1、2歳児を持つ保護者と保育士双方に、親子の関わり方、子育て(保育)をする上での思いや悩みを綴ってもらいました。その結果、世の中の不況、生活苦から保護者は自分の仕事や都合を優先させた支援・金銭面での支援を求め、心に余裕を持って子育てできない親が多い。この結果をふまえ、親子のふれあいを大切にする子育て支援に取り組んでいくことにしました。



手作りおもちゃで子育て支援
―作って、遊んで、ふれあって、親子の絆を確かなものに―

山梨県本部/富士川町職員組合 窪田あずさ

1. 手作りおもちゃ

手作りおもちゃ 
対象年齢
0歳~1歳児
おもちゃ名
ひっぱれピィ
材 料
牛乳パック
手芸紐
フェルト
ビーズ
ポイント
留意点
・遊び方が単純である。
・軽量でなめても大丈夫。
作り方
1.牛乳パックにフェルトをボンドで貼る。
2.紐の先にビーズを結び、止まるようにする。
3.千枚通しで、穴を開け、紐を通す。  
 牛乳パック、フエルト等で作りました。遊び方が単純で0歳児でも良く遊びます。


手作りおもちゃ 
対象年齢
0~1歳児
おもちゃ名
ポットンコロリン
材 料
箱 フェルト
カラーテープ
ガチャガチャの容器
ゴム
ポイント
留意点
・出したり入れたりが楽しいあきのこないおもちゃ。
・箱の中に坂を作り転がりやすくする。

 ガチャガチャの容器を使って作りました。出したり入れたりが楽しい飽きのこないオモチャです。

 以下、手作りドーナツ、りんりん、ひっぱれピー、マラカスチャチャチャ、お散歩しゃくとりむし、ポットンコロリン、他多数の手作りおもちゃを使用してみました。


(1) 手作りおもちゃで遊んだ親の感想
① キャップでポン
・とても安全性のあるおもちゃで、ふたと容器に入れたり出したりと繰り返し集中して遊んでいました。
・中に鈴やビーズが入っている為、振って音が出るのを喜び、握りやすい大きさで、0歳児にピッタリの遊びだと思いました。
・カラフルな色のビニールテープもよかったです。  
・身近なものや廃材でできていて、びっくりしました。


② はねるおもちゃ
・簡単なおもちゃでとても喜び、親子で楽しい時間が過ごせました。
・最初はひっくり返す作業をすることが理解できなかったようですが、大人が手を貸して一緒にすることで理解できたようです。
・台紙に折り紙をはったり、絵を描いたり親子で一緒にできてよかったです。


③ マラカス
・あまり難しくなかったので、「お母さんやろう」と言って親子で楽しむことができました。作り終わった後も、お兄ちゃんと楽しんでいました。
・中に入れるものをいろいろ変えてみても面白いと思います。また作りたいと思いました。
・子どもがよく遊び、楽しんでいる様子が見られてよかったです。


④ 牛乳パック・マジック
・パクパクする口の中に入れさせてみたり食べさせてみたり楽しんでいました。
 かわいかったです。
・上の子がやって見せたり一緒に遊べて良かったです。
・自分で操作したがっていたが手のサイズと力が足りず自分で出来なかったのが残念です。


⑤ ピアノ
・保育園でも遊んで家でもその延長であそびました。
・ピアノの向こうに絵本を立ててひき語り風に歌っていました。
・3歳になったので、ピアノを習うことにしました。良いきっかけになりました。


⑥ ティッシュボックス
・絵を見ながらそれに合ったことばをかけてあげると興味がふくらんだように思いました。
・カラーポリ袋を引っ張り出した時、ふーっと息を吹きかけるとポリ袋がゆれてキャッキャッと笑ってくれました。
・市販されているおもちゃよりコミュニケーションが多くとれました。


(2) アンケートに対する全体の考察として
・ほとんどの親が子どもと一緒に遊び、関わりを大切に思っていることがわかりましたが、子どもの年齢が上がるにつれ遊ばない親が増えています。これは、子どもが一人遊びできるおもちゃが用意されているからか、親が忙しく一人で遊ばせているのか。
・手作りおもちゃは、作ったことのある親が意外に多く、身近な材料で作っていることから簡単に作れ、子どももよく遊ぶからではないかと考えられます。
・作ったことがない人の中にも、作ってみたいと考えている親が多いことがわかりましたが、年齢が上がるにつれて、作ってみたいと考える親が減っています。これは子どもが喜ぶものを作ることが難しいからか、市販のおもちゃで十分遊べるからか、又はテレビやビデオを見て過ごす時間が増えているからかと考えられます。
・作りたくないという親は、時間に余裕がなかったり、作るのが苦手、面倒という意見が多いですが、実は子どもと一緒に作る楽しさや、子どもと一緒に遊ぶ楽しさを見出せない親もいるのではないかと考えられます。
・おもちゃ遊びに、0歳児は安全を重視する姿がうかがえますが、年齢が上がるにつれ「知育、発達」など教育を意識する姿も見え、子どもへの期待感も読み取れます。2歳児では本人の興味のあるものを自分で選ばせたり、親子で一緒に選んでいる様子も見られます。


(3) いろいろな手作りおもちゃで遊んでみて……
・園で作ったおもちゃを持ち帰り、子どもと一緒に遊べてよかった。子どもが、親や先生のようでした。
・手作りおもちゃ工作は、一緒に作る過程から楽しめるので大好きです。
・買ったものでは味わえない、穏やかな気持ちになれました。
・難しいものではなく、昔ながらの簡単なものを作ってやろうと思いました。
・短時間でも一緒に遊ぶことが大切だと思いました。
・身の回りのもので出来ていて、びっくりです。
・仕事と育児で忙しいが、小さな本でも作れたらと思います。
・機械で作られた音ではなく、手作りならではのいろいろな音を自分で動かして、出して、聞いて……私もとても勉強になりました。


手作りおもちゃの推進標語
て  手間かけて 愛情かけて 子は育つ
づ  伝われ つながれ 親子の絆
く  苦労は一時 絆は一生
り  リセットが できない親子の 関係は
お  おもしろさ 作ってみれば 伝わるよ
も  もうあきた 高価なおもちゃ 押入れに
ち  父、母の 愛情いっぱい 子は育つ
ゃ  やってみて 作って遊んで ふれあって

2. まとめ

 「保育士が子育ての代替ではなく、親自身が子どもとの関わり方を学び、子どもと居る生活の豊かさや子育てそのものの楽しさを親に実感させる支援が大切」であり、「保育士と子どもの日々の実践に喚起されて、親がわが子の喜ぶ姿を想像しながらおもちゃを作ったり、一緒に遊ぶ中で親自ら子どもとの関わり方を発見し、子どもと居る時間が楽しいと感じることができる。また、子どもにとっては親から愛情に満ちた言葉をかけられたり、温かい時間が継続的に保証され、親子の良い関係が構築される」と思います。簡単な手作りおもちゃで遊ぶわが子を見て、保護者の考え方も少しずつ変わり、忙しい中少しでも時間の余裕、心の余裕をつくって「子育てを楽しもう」とする姿も見られるようになりました。また、保育士自身も子どもの成長に合わせておもちゃを工夫し、子どもと一緒に楽しむことができ、保育士と親とのコミュニケーションがより深められたことも成果の一つだと思います。


3. おわりに

 人と人とのかかわりが希薄になってきていると言われて久しい現在、それは親子の関係においても例外ではありません。親子の絆を考える時、何気ない日常生活の中で一緒に手をつないだり、話をしたり、体を寄せ合うという当たり前のことがなかなかできない親もいます。私たちは、親子の触れ合いを通して愛されているという安心感の中、伸び伸びと健やかに育つことを願っています。そして、私たち保育士にできることは、親の就労を支えながら、親子の絆の結びつきがより確かなものになるよう支援していくことであり、これからも子育て支援とは何か模索しながら日々努力していきたいと思います。