【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第8分科会 都市(まち)と地方の再生とまちづくり

 食観光日本一をめざす



食観光日本一をめざす


北海道本部/別海町職員組合 松本 博史

 日本有数の生産地である別海町は、まちづくりの大きなコンセプトとして、生産物を域外に広く販売し外貨を獲得することで、税収や生産者の活力を高め、教育や福祉等の行政サービスや市民活動を充実することが挙げられます。
 これは生産地であれば、どの自治体にも共通するコンセプトではないでしょうか。
 人口が減少し、経済が低迷し、観光振興の担い手である地域の中小企業は弱りつつあり、域内の消費を循環させることは当然のこと、交流人口を増加させ、外貨を獲得する必要があります。
 そのために、別海町長は、2期目の政策として5つの基本政策を掲げ、そのうちの2つを「中小企業振興」と「観光振興」としました。
 別海町は、酪農業及び水産業を基幹産業とし、生乳生産日本一という事実、ブランド価値の高い水産資源が複数あり、食材の宝庫であります。
 しかしながら、その知名度は低く、徹底的な知名度の向上を図ることで、まずは「別海町を知ってもらう」必要があると判断しました。
 観光振興と一口にいっても、温泉、景観等、観光資源の強みは観光地によってさまざまです。別海町には、確かに温泉もあるし、景観も優れたスポットはあるのですが、全てのジャンルに力を入れると散漫になり、人々に別海町の特徴をはっきりと伝えられないので、別海町は、まちの強みである「食」に着目し、「食観光日本一を目指す北海道の新しい観光地」というキャッチフレーズで観光振興に取り組んでいます。
 ご当地バーガー初代日本一となった「別海ジャンボホタテバーガー」に続き、今年の4月から「別海ジャンボホッキステーキ丼」、「別海ジャンボ鮭茶漬け」をデビューさせました。
 地域の食材とその背景にいる生産者と行政、観光協会が協力し、商品開発しました。
 このほか、「別海町ジャンボホタテ・ホッキ祭り」、「別海マルシェ ~サンデーブランチマーケット」等の他の祭りにない魅力を引き出したイベントを新たにプロデュースし、地域の皆さんに主人公になっていただき、オール別海で観光振興に取り組むこととしています。
 こうした取り組みが評価され、東京都に「別海町酒場」がオープン。現在では、4店舗となっています。
 別海町のご当地アイドル「別海ミルクガール」は、役場職員5人に加えて新たに民間からも1人加わり、「別海ジャンボホタテバーガー 別海ミルクガールオリジナルジョッキセット」、「別海ミルクガール ミルキーラブサンド」、「別海ミルクガール タルト」等の商品化を続け、ステージとお土産開発等に力を入れて、全国の酪農を応援する活動を続けています。
 別海町の観光振興は、外向きに別海町をPRしながらも、内向きには地域の生産者を応援する姿勢を堅持しています。このことで、人と人がつながり、観光振興に向かっていく総合力を高めています。
 多数のメディアに取り上げられ、「別海町は元気だ」と多くの人から評価を頂いておりますが、「食観光の別海町」が取りあげられるほど、地域の生産者の励みになるものと考えています。
 観光振興は、簡単ではありません。
 一つ成功すれば、それで知名度があがるでしょうか。
 そうではありません。
 徹底的に仕掛ける必要があります。
 地域の総合力を高めて、多くの町民が観光振興に関心を持ち、アクションを起こす。この繰り返しにより、ついには知名度の向上につながるものと考えています。
 今後も徹底的に仕掛けます。