【要請レポート】

第37回土佐自治研集会
第11分科会 自治研で探る「街中八策」

 高知市では行政改革が推し進められるなか、現業職においても職員数が大幅に削減されてきました。高知市職労では、これまで縮小一方だった現業職場に新しい形で多様性と広がりを持たせ、現業職の現場経験を活用して市民サービスの向上をめざし、現業職の実践力を市政全般に活かしていくため、現在、分会による自治研活動や現業職で結成している職域拡大チームによる活動を進めています。その取り組み内容について途中経過として報告をします。



現業職域拡大チームの活動
―― 変化する現業職 ――

高知県本部/高知市職員労働組合・副委員長 宮本 直樹

1. はじめに

 今日、本格的な高齢社会の到来や、その他社会状況の変化により市民生活は厳しいものとなっています。現業職は、市民に密着した業務を担っていることから、その厳しい生活状況を皮膚感覚として感じており、日々変化していく地域社会の状況や多様化する「市民ニーズ」への対応の必要性も常日頃から感じています。
 「市民ニーズ」に応えること、そのための施策を現場の実情に見合った形で立案し、実施していくために、わたしたち現業職員は取り組みを進めていかなければなりません。これまでの市民サービスの最前線で培った現場経験や実践力を活用し、市民の安全や安心、そして快適な生活を保障していくことが求められています。
 基礎自治体職員として「市民ニーズ」の充足に向けてどのように取り組むべきなのか、高知市現業職はこれまでも議論を続けてきました。そして、市民に直接サービスを提供する現業職は、さまざまな部署で毎日市民と接しながら業務を行っています。それぞれの職場事情も異なり、いろいろな課題を抱えながらも、市民にとって欠かすことのできない職員集団をめざし、地域の多様な課題解決に向けて努力する。そして質の高いサービスを確立すること。そのことに変化はありません。
 基礎自治体の現業職として、本来のあるべき姿とはどういうものなのか、市民から求められている現業職の役割とは何なのか。そのような観点を踏まえながら、高知市における現業職の現状や課題等、近年の取り組みを中心に報告します。

2. 高知市現業の現状

(1) 現業職員数の変化
 高知市の現業職においては、この20年来これまでにも、特別養護・養護老人ホームの指定管理への移行や直営での高齢・障がいヘルパーの廃止、清掃業務の定数削減、また近年では学校用務員の定数削減、学校給食調理の民間委託、救護施設の民営化の決定など、職種を問わずさまざまな部署において現業職場、現業職員の削減が行われてきました。
 職員数(※1参照)をみると、2007(H17)年には高知市現業職員数は557人でしたが、2016(H28)年は260人の職員数まで減少し、この10年間で約50%を超える人員削減が行われています。(2010年度より現業職採用再開)
 2008年度から実施されてきたアウトソーシング推進計画については2013年度末をもってひとつの区切りを迎えました。2014年度にはそれまでの計画の検証結果をふまえ、アウトソーシング推進と職員定数の計画を一体化した形で「定数管理計画」として策定されました。この「定数管理計画」におけるアウトソーシング予定項目(18事業)のなかには学校給食調理や保育園など現業職員が関係する事業もあり、今後、市の財政悪化も想定され、これからも民間委託等の攻撃が予想されます。
 また、2009年より現業職の採用試験(清掃等・調理等)が再開され、2010年4月より新規採用職員(行Ⅱ表)が配置されていますが、介護職については採用試験は凍結状態となっています。
※1 高知市の現業職の推移(高知県総務部市町村振興課資料より・各年4月1日現在)
市町村名2012(H24)2013(H25)2014(H26)2015(H27)2016(H28)2017(H29)
高知市340328289270260247
対前年減少数-12-39-19-10-13
対前年増減率-3.53%-11.89%-6.57%-3.70%-5.00%

3. 高知市の現業職の取り組み

(1) 清掃分会の自治研活動
 このような大変厳しい状況のなかでも、市民ニーズに迅速に対応できる体制づくりや、現業職の活性化等を目的として、さまざまな取り組み活動を行ってきました。
 その中でも特徴的なものとして清掃分会の絵本作成、配布(※2参照)の取り組みがあります。自治研究活動として、幼少期からのごみ分別などの意識づけやリサイクル推進を目的に、環境学習絵本「おようふくになりたい」を作成。市内の保育園等に配布し、保護者や保育士等からも好評を得ています。
 この絵本については、子どもと親が家庭で身近な環境のことや分別について話し合うきっかけとなり、また廃棄物行政への理解も深まっていると考えています。
 また、高知市では民間・直営・市民の3者が協力して資源物等の分別収集を実施しています。この「高知方式」を維持、発展させていくためには市民の協力が不可欠です。通常業務だけでなく、このような将来を見据えた環境学習等の取り組みによって、市民、地域との関係を深め、市民サービスの向上につなげています。
※2

(2) 調理分会・用務分会の自治研活動
 他にも近年では、調理分会の高知市立城西中学校における朝食提供の取り組みがあります。これは、朝食を食べない生徒や、さまざまな理由によりバランスのとれた食事摂取が不十分な生徒、そして早朝のクラブ活動後の生徒等に対して、調理員と用務員が家庭科部の生徒と協力して朝食を提供したものです。
※3 全国学力・学習状況調査における高知市、高知県、全国の朝食欠食の状況
項目区 分2012(H24)年度2013(H25)年度2014(H26)年度








高知市4.7%4.2%5.0%
高知県4.5%3.3%4.1%
全国3.9%3.7%3.9%


高知市9.1%9.0%10.8%
高知県7.2%7.8%8.0%
全国6.4%6.2%6.5%
※ 上記の割合は、「全くしていない」と「あまりしていない」の回答割合の合計
※ 参照資料 高知市HP 高知市中学校給食実施検討委員会(検討のとりまとめ)より

(3) 「学校教育的ニーズ」への対応
 高知市立城西中学校での朝食提供については、調理分会と用務分会が自治研活動の一環として、学校側と協力して行いました。高知市の中学生については全国や県と比較しても、朝食欠食(上表※3参照)の率が高く、健全な発育にとって課題となっています。
 この活動は現在の「学校教育的ニーズ」のひとつである「食事・食育」の重要性に目を向けたものであり、食事摂取については生徒の家庭環境等の影響も考えられるため、大きな視点で対応をしなければならないことであるとともに、非常に意義のある、そして潜在的なニーズを掘り起こしていく取り組みだと考えています。
 学校で働く職員として、また現業職として、その「学校教育的ニーズ」を把握した以上、課題解決に向けて、活動することは当然行わなければなりません。これまでどおりの給食調理や学校用務といった職種、職域を守り、こだわるのではなく、現在の児童・生徒の置かれている状況に目を配り、アンテナを立て「学校教育的ニーズ」に自分たちの働き方や現場で培ってきた経験や技術を適応させ、活用していくことが、本来の基礎自治体職員のそして現業職の役割だと言えます。
 この活動はこれまでの高知市の現業職にはあまり一般的な活動ではなく、市役所組織の縦割り行政の業務遂行とは少し違うかもしれません。だが、大切なことはこれまでの仕事の守備範囲を守ることではなく、課題解決のために、自分たちがどのようにサービスを提供すればいいのかを考え、実行していく。その繰り返しが自分たちに求められている仕事であると考えます。
 この活動は生徒たちの朝食状況や家庭環境の把握、そして調理技術の習得、栄養面や食育学習等において成果があるとの言葉を学校側からもいただいており、職員側としても、生徒と調理員や用務員(調理補助としてサポート)が、食事をきっかけに会話が増え、先生の知らない部分の生徒の家庭状況の把握や友人関係の把握ができたり、生徒から悩みを相談されたり、先生には打ち明けにくいことなどを話したりと、「先生と生徒をつなぐ役割」も発生していました。このような役割も、学校現業職員には求められていると言えます。
 調理員として「いつも安全でおいしい給食を提供すること」や用務員として「いつもきれいに整備された教育環境を提供すること」それらはサービスの提供を受ける側にすれば当然のことではないでしょうか。それらに加えた部分で、この「生徒と先生をつなぐ役割」等が学校現場において潜在的なニーズとしてあり、生徒や先生、保護者等が実は私たちに求めていると考えます。
 この朝食提供の活動は、市民、児童、生徒等が現在どのような状況なのかを理解し、その状況に対して現業職として何ができるのか、日々変化していく地域社会の状況や多様化する「市民ニーズ」「学校教育的ニーズ」へ目を向けたものです。
 そして、生徒たちが抱えるさまざまな悩みや課題について、また学校側が懸念する事柄について、他人事のような立ち位置ではなく、「チーム学校」の一員として関わり、生徒や先生たちと、そして保護者や地域住民等と密接につながり協力していく、そうすることにより、自分たち現業職の存在価値が高まっていき、無くてはならない存在として認知される。その延長線上に直営が堅持されることにつながっていくものだと考えます。

(4) 教員負担軽減
 以前からよく話題となっている、教員の業務負担軽減も問題となっています。学校職員として防災や交通安全などの業務について、現業職員が直接関係していく、その内容によっては主導的立場に立って推進していくことで、教員の負担軽減にもつなげる。例えば、調理員や用務員が朝夕の交通安全指導を先生や保護者等と一緒に定期的に行ってもいいでしょう。これからはそういった姿勢を示すことが重要で、「チーム学校」の一員として、自分たちの強みは何かを理解し、絶えず日々の業務を見つめ直していくことが大切です。

4. 職域拡大に向けて(職域拡大チーム結成)

(1) 良き伝統を守る
 前述のとおり、高知市においても新規採用は継続しているものの、これまで学校給食の民間委託や福祉施設の民営化、学校用務員の定数減など、近年でも現業職場の削減傾向は続いています。全体的な状況として、これまでとまったく同じ業務内容を継続して行っているだけでは、退潮傾向に歯止めがかからない状況なのは明らかです。交渉等において、ただ直営要求を行うだけでは現業職場を守っていくことが難しい状況となっており、今後も定数削減や民間委託の流れが続いていくことが予想されます。
 先輩たちから引き継いできた良き伝統や業務は守り続け、実績として積み上げていくこと。そしてこれまでの経験を活かしながら新しい業務、新しい職域を開拓していくことも重要です。
 また、基本的に市民ニーズやその時代、社会状況の変化に適応していく業務のあり方や変化が求められています。例えば、現在全国的に行われている清掃業務の「ふれあい収集」などは市民のニーズや社会状況に適応させたものだと言えます。
 既存業務の向上はもちろんのこと、現業職員の現場実践力を市政全般に活用していかなければなりません。

(2) 職域拡大の必要性
 これまでの縦割り行政と言われている行政システムは、部局を横断した連携という点に着目すると、市民からの要望に対して、人員や予算の削減等もあり、迅速に対応できていない、または不十分だと考えます。その、行政として対応が不十分な部分を埋めていくことが必要です。
 それらの実現に向けて、現業職としてこれまでの職域から一歩踏み出していき、新しい業務を開拓すること、職域を拡大することが必要となってきます。
 これまでの現場経験を活用して、さまざまな業務について携わっていくこと、必要であれば行政職の職域にも食い込んでいくことも検討していかなければなりません。
 現業職の現場力を、行政として対応が不十分な業務の隙間を埋めることや、市政全般に活かしていくため、職域を拡大すること。厳しい現状を打破するため、そして職場を超えて対応が可能な係等の新設を念頭に、職域拡大チームを立ち上げました。

(3) 職域拡大チームの立ち上げ
 自治研活動の一環として、市民サービスの向上、現業職域拡大等を目的としたチームを編成。
① 実施主体:現業評議会を中心に編成(総勢8人)
② 構成メンバー:各分会等へ市労連ニュース等により参加者募集。→結果、チーム編成については高知市現業評議会の中堅・若手から参加となる
③ 事務局:高知市職労
④ 予算:高知市職労自治研究費等で対応

(4) 取り組み方法
① 非現業職場における現業職的な業務の洗い出し
② 市役所内各課のヒアリングの実施
  非現業の業務内容をチェックし、現業職的な業務がある職場をリスト化。→市政案内や各課ホームページ等を参考にする。→リスト化した各職場の管理職や係長へヒアリングを依頼する。(取り組みの趣旨を説明)

(5) ヒアリングの内容
① 各課業務の労務作業の有無を聞き取り。(直営・委託を問わない。また、直営で実施したいが予算・人員等の理由で実施できていないものを含む)
② その業務について、現業職員を課内に配置するべきか、別の直営部隊による実施が良いか等の聞き取り。
③ その業務について、どのような流れで実施しているか。(例:要望受付→調査・現場確認等→作業→完了報告書作成等)
④ その業務について、範囲・量・頻度・緊急対応の有無、市民ニーズに十分対応できているか、超過勤務の原因となっていないか。
⑤ 行政職が直営で実施している業務。
⑥ 外注(工事や設計委託等は除く)している業務等。

(6) 取り組みのポイント
① 非現業職場への現業職員の配置や、職場横断的な直営部隊の創設(各課の業務を受託)または再直営化を視野に。
② 単に非現業職場の労務作業を洗い出すのではなく、その作業に関連する一連の事務(市民対応・受付・現地調査・契約・支払・報告・統計・台帳整備・起案等)も対象とする。また、地域との協働の観点からも実施可能な業務も検討する。
③ 既存の現業職場におけるサービスの向上や業務の拡大は、これまでどおり各分会での対応を基本とするが、洗い出しの作業のなかで既存の現業職場と関連してくる場合はチームで検討する。
④ 先進地視察等高知市人事課の予算の研修費補助事業(政策研究事業等)等を活用しながら、それで対応できないものについては自治研究費で活動を支援する。
⑤ 取り組みの成果は、市職労または現業評議会の要求として集約し当局へ提出を検討。
⑥ 「高知市職員提案制度」のチャレンジ提案として提出を検討。
⑦ 人材育成基本方針の「ジョブチャレンジ制度」(現業職が関係する事務職場での研修)を活用して試行する。(正式実施に先行も可)
⑧ 先進的な取り組みを行っている自治体の調査(レポート等の書類調査、先進地視察等)
 ※ 2018年3月には東京都葛飾区役所「すぐやる課」を視察、意見交換。自治労本部:小迫現業局長と全国情勢等について意見交換。高松市職労に依頼し、高松市の用務員業務(交通安全指導等)の視察・意見交換等

(7) 各課ヒアリングの結果 
 行政職等が行っている主な労務作業(5月1日現在・河川水路課等7課を調査)

① 河川水路課……市が管理する幅40㎝以上の水路の維持管理等。(浚渫・除草等)
② 農林水産課……市が管理する防潮保安林の剪定・土地の草刈等。管理する漁港周辺の草刈・不法投棄されたごみ等の処理。水産関係施設の維持管理・修繕(ペンキ塗布等)。農業用倉庫の維持管理(現在修繕は行えていない状況)。不法投棄のパトロール。台風時の漂着物の処理。
③ 耕地課…………堰・揚水機場・排水機場の維持管理・(水門・取水口等のごみ除去・施設の修繕等)農道・水路等の維持管理(浚渫・草刈等)
④ 保育幼稚園課…市立保育所の施設維持管理・施設修繕・剪定等(保育役務員で対応できない部分)
⑤ 環境保全課……市営墓地等の維持管理(草刈・剪定・側溝浚渫・支障木伐採等)

 ※ その他にも放課後児童クラブ施設の維持管理等(施設修繕・木工物作成・敷地内樹木剪定)などがある。主として、市が管理する施設・土地・水路・道路等について剪定や草刈、修繕作業等があり、それらから発生する廃棄物処理についても各課がそれぞれで対応している。

(8) 主な各課の課題
① 市民から緊急対応の要望があるため、優先的に労務作業を行っており、事務処理に遅れが生じることがある。結果、超過勤務の発生にもつながっている。一人では困難な作業であり複数での作業が基本のため、職場を離れることが多く、本来の課の業務に支障が出ないように苦慮している。
② さまざまな業務を市民の協力をいただきながら行っている。各課のヒアリングにおいて、共通課題なのは近年においてはこれまでの間、各施設や土地等の維持管理について、ボランティア的に協力してくれていた市民が高齢化し、難しくなってきたこと。その部分の協力を自治会・町内会に依頼しても、若い人が少ないため協力を得られない状況が増加。その結果、市直営での労務作業が増加しており、対応しきれない状況が発生している。担当課としては予算があれば業者委託等が可能であるが、それも削減傾向であり、人員配置についても増加は見込めない状態となっている。
③ 今後についても労務作業が減少する可能性は低く、むしろ増加するとの各課の推測があり、現状の予算や人員では対応が難しくなってくる。このことは市民サービスの低下につながることであり、対応策を検討しなければならない。
④ 市民サービスの低下を招かないように、このような地域の総合的な課題に包括的に対応が可能となるよう、行政として体制整備が求められている。
⑤ 地域社会の課題として、過疎や高齢化の進展により地域を支える若年層が減り、これまでは伝統を守りながら維持・運営をしてきた地域行事等や自治会・町内会活動等についても住民同士のつながりが希薄になってきていることや引き継いで行える担い手も減少してきており、その人員確保や運営が困難な状況が発生している。
⑥ 地域づくりが必要。そういった地域に町内会等との連携について行政職だけでなく、現業職も参加し市民との関係を深めていくことが求められている。
⑦ 草刈や樹木の剪定、清掃作業等さまざまな労務作業において、発生する可燃ごみの処理をパッカー車を使用せずトラック等で処理を行っており、時間と労力が大きくかかっている。パッカー車を活用することで、スムーズに作業が進み、スピードは格段にアップすると考えられる。パッカー車配置を求める声は多い。

5. 働き方を変化させる

(1) 現業作業チームの新設をめざして
 前述のとおり各課ヒアリングで浮き彫りとなった課題については、これまで各課において行政職が行ってきた労務作業を、新しく係を設置する、もしくは既存の各課の係に追加した形で、現業職がチームを組んで職場横断的に対応する。そうすることにより、行政職には本来的な事務作業にある程度専念できる環境を整備することで、行政職の超過勤務の削減も可能となると考えることが出来る。結果、パッカー車等の使用も含め、労務作業の市民要望への迅速でかつ技術力を活用した行き届いた対応が図られるものと考えます。
 また、現業職として要望受付から業務完了報告までを行い、一連の事務作業も担当することにより、資質の向上も図り、その役割に幅を持たせることも可能である。一部事務処理について行政職と大きく差のない業務を行い、行政職と密着し、行政職と現業職が相互補完をしながらサービスを向上させていく。そうすることにより、現業職場の民間委託を難しくし、直営堅持や新規採用の継続の可能性を高めていくことが重要です。
 そして、地域づくりも課題となっており、町内会活動や地域コミュニティの再構築に向けて、そういった活動にも現業職として参加し、現状を把握すること。地域と行政の協働による地域づくりのつなぎ役としても高知市の実情を踏まえたうえで、制度や施策ごとの縦割り行政を突破し、現業職の実践力を市政全般に活用していかなければなりません。
 現在の職域を確保しつつ、新たに職域を拡大することは、人員課題等を考えても簡単ではありません。再任用職員の定数外配置での対応を検討するとともに、今後の定年延長の議論において新規採用を継続させつつ、最後まで働いていくことが出来るよう検討していく中で、職域拡大に必要な人員確保が出来ると考えています。

(2) 意識・働き方を変化させる
 現業職にとって、これからも厳しい情勢は続いていくと思われます。だからこそ、自分たち現業職が行っている業務に自信を持ち、自分たちに期待されている役割や業務の可能性を広げ、市民サービスの向上のため、自分たちの働き方を変化させていかなければなりません。現業職場を取り巻く情勢や地域住民のニーズ、あるいは行政が提供すべき公共サービスが多様化している現在において、社会状況が変化しているのに合わせ、自分たちも変化することが求められています。
 交渉等において「公務労働に区分なし」と訴えるのであれば、そして市民サービスの最前線で働いてきた自負があるのなら、これまでのように「できない理由探し」ではなく「どうすればできるのか」一度に全部は対応できないにしても、一部からでも始めることを考え、実行する。そうすることが、現業職に対する信頼が高まっていくことであり、市民から必要不可欠な存在であると認知されることにつながります。
 近年、これまでどおりの職域、業務内容を守ることに意識を向け過ぎたとすれば、その結果は、かえって現業職の衰退につながった側面もあると言えます。市民ニーズに合わせて自らの働き方を改革し適応させていく、「変化する現業職」を恐れずに実行し、これからも日々、自分たちの業務や存在意義を見つめ直し、全国的な状況も意識しながら業務改善を続けていかなければならないと感じています。