外国人の地方参政権
「国民」概念を超えて
外国籍住民に地方参政権を付与する法案が今通常国会で審議される。昨年の臨時国会で議員提案されたが、継続審議となったもの。多民族・多文化の共生する民主主義のバージョンアップのために、成立させることが必要だ。自治労も参加する〈外国籍住民の地方参政権〉共同キャンぺーン2001の共同代表のひとり・田中宏さんに話を聞いた。

「キャンペーン2001」共同代表・自治研助言者の田中宏さん(龍谷大学教授)
−法案の評価は?
日本を開かれた民主主義社会とするため、一歩前進だと思います。被選挙権を含まない点や、対象を永住権を持つ人に限定したことなど不十分点もありますが、まずは法案成立をめざすべきです。
「国民概念」を相対化し「住民概念」に転換
−参政権付与に反対する意見は「選挙権は国民固有の権利だ」としていますが
外国人に選挙権を認めない立場の人は、憲法第15条が選挙権を「国民固有の権利である」としていることを根拠に、外国人には参政権はない、与えるなら改憲が必要だとしています。しかしこれは間違いです。「固有の権利」とは「奪ってはならない権利」という意味で、「国民だけの権利」という意味ではありません。
さらに憲法第93条は、自治体首長、議員は「その地方公共団体の住民が選挙する」としています。外国籍の人も住民ですから、改憲しないでも地方参政権を外国人に付与できると考えます。納税義務も日本国籍の人と同様に果たしている点も重要です。
また、反対論者は国と自治体は一体だから地方参政権だけを与えることはできない、とも言います。しかし「官選知事」の明治憲法下ならともかく、現憲法は国と自治体の意見が異なりうることを前提としたものですから、これは時代錯誤の主張です。
自国民と外国人というニ分法でなく、内外人が同じ「住民」として地域を創って行くことが、これからの多民族・多文化の社会には必要です。
帰化論の欺瞞と国籍法改正の問題
−「選挙権が欲しければ帰化しろ」という意見もあります
公務員就任の「国籍条項」問題でも同じ議論があります。しかし、これは歴史的経過を無視した考えです。旧植民地出身の人は戦後、52年発効のサンフランシスコ講和条約で日本国籍を剥奪されました。国籍選択の機会を与えることなく一方的に国籍を奪っておいて、「帰化しろ」とは乱暴です。「帰化論」の本質は、日本側に問題があるのでなく、帰化しない方に問題があるというもの。これは責任転嫁です。
−国籍取得を緩和する法改正が議論されています
日本国籍を取りやすくすれば参政権問題は解決するという考えに立ったもので、参政権付与に抵抗の強い自民党が仕掛けています。
しかし、国籍取得の緩和は参政権とは別の問題。国籍法改正だけで参政権付与を見送ることは、問題のすり替えです。外国籍住民が外国籍のままで地方政治に参加できることが必要なのです。国政参政権を論ずれば国籍の扱いは避けて通れないと思いますが、地方参政権の主体は「住民」です。
住民投票条例を検証する
住民投票条例が盛んに作られています。市民参加の手法としての新しい動きですが、外国籍住民が参加できる内容になっていないのは問題です。住民投票条例の多くは選挙人名簿を利用しますので、自動的に外国籍者は排除されてしまいます。条例に外国籍の人でも住民であれば投票できることを明記することが必要です。自治労の皆さんのご努力もお願いします。
−今後の活動予定をお聞かせ下さい
2月20日に、〈外国籍住民の地方参政権〉共同キャンペーン2001を発足させました。この通常国会での法案成立をめざして、各地で集会などを開いていきたいと思います。自治労の皆さんにも、各地での集会に参加していただき、国会議員・政党などへの働きかけにも協力して欲しいと思います。
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■公明党・保守党の永住外国人地方参政権付与法案(骨子) 〈目的〉 永住外国人に自治体議員・首長の選挙権を付与する 〈永住外国人の定義〉 @永住者 A特別永住者 〈自治法・公選法の特例〉 申請により永住外国人選挙人名簿に登録された満20歳以上の外国人で引き続き3カ月以上市町村の区域内に住所を有するものは、その自治体の選挙権を有する 〈直接請求等に関する自治法等の特例〉 @条例制定及び監査請求の権利を有する A解散及び解職請求の権利を有する B直接請求の手続きは日本国民と同じ C被選挙権、町村総会への参加、選挙管理委員への就任を認めないため必要な規定を設ける (注)民主党案も同内容のもの |