【自主レポート】

第38回地方自治研究全国集会
第2分科会 「ラッセーラー」だけじゃない 地域に根付いたねぶた(祭り)

 新型コロナウイルス感染症の影響により地域経済は2008年のリーマンショックに匹敵する不況に陥っています。道内では、地域経済を守るために組合として商品券やお弁当購入といった取り組みを行う単組が現れました。道本部は、そういった地域支援活動に対して助成金により後押しすることで、この取り組みを活発化させようとしました。本レポートは、後志管内単組の地域支援活動について報告するものです。



後志管内単組・総支部の地域支援について

 

北海道本部/後志地方本部・自治研推進委員会

1. はじめに

 新型コロナウイルス感染症が日本で初めて患者報告がされたのは2020年1月16日でした。その後、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令され、4月16日には対象が全国へ拡大されました。5月25日に緊急事態宣言は解除されましたが、東京オリンピック・パラリンピックは1年ほどの延期となり夏の全国高校野球が戦後初の中止になるなど、異例の事態が多発しました。
 5月中旬から5日の新規感染者数は2桁になり、収束に向かっていたかのように見えましたが、6月末頃から新規感染者数は急増し、今では、緊急事態宣言発令中のピーク時である743人を超え、2,000人を超える日が当たり前となっております。11月30日現在の感染者の総数は、すでに世界全体では6,500万人を超え、日本国内では16万人となり、重症者数は減っているものの依然として収束の目途はたっておりません。


画像:googleより引用

2. 経済の状況

 2月26日に日本政府からのイベント中止や縮小の要請があった以降は、学校の休校要請や北海道からの外出自粛を求める新型コロナウイルス緊急事態宣言、厚生労働省の「3密」を避けるよう勧告がありました。それにより3月以降は、全体的に外出自粛の動きが強まったことや自主休業を行う店が増えたことで、家庭におけるイベントや娯楽への支出は激減することとなりました。緊急事態宣言が解除された後でも、外出自粛の風潮が続いていることもあり、多くの業界では売上が激減したままとなっています。
 また飲食店においては、リモートワークの普及により内食需要が大きくなったことで、持ち帰りやデリバリーサービスに対応する店が増えました。しかし、デリバリー対応ができない店や居酒屋などの「3密」が生じやすい店は、客足が減ったことでシャッターを閉めることとなった店が増えました。
 また、雇用状況については、厚生労働省がハローワークなどを通じて調査を行った結果、新型コロナウイルスの影響で失職した人は、見込みを含め全国で5万人を超えたことが判明しました。これはあくまで、ハローワークなどが把握できた数字のため実際に仕事を失った人はさらに多いことが予想されます。また、感染拡大を受けて企業側が求人活動を控えていることもあり、国内の雇用状況は悪くなる一方です。
 そのため、収束の見えないコロナと共存する覚悟を持ち、消費者のニーズに合わせたサービスを提供していくことが各業界には求められています。

3. 道本部・地方本部として

 自治労は、新型コロナウイルス感染防止策として各種集会や会議は開くことができなくなり、活動は停滞していました。そんな中、疲弊している地域経済を少しでも活性化させようと取り組みを行う単組(下記の先進事例)が現れました。
 こういった、地域に対して行う「地域支援活動」はまさしく自治研活動であり、道本部としても道内の単組・総支部において幅広く取り組みを行えるよう活動費の80%を助成する制度を作り、サポートすることを決めました。
 地方本部としても、道本部の地域支援活動に対する助成の取り組みに賛同し、残りの20%の単組負担を少しでも減らすため5万円の追加助成を決め、単組・総支部の金銭的負担感を軽減させようとしました。

【単組が実施している地域支援活動の先進事例】
□ 地域飲食店のお弁当購入費を助成(比布町職・様似町職)
□ 市内飲食店(出前・テイクアウト含む)の利用経費を助成(富良野市労連・伊達市労連・登別市職労)
□ 地域商品券を組合で購入し定額で配布(ニセコ町職・雨竜町職労・広尾町職・本別町職・浦幌町職・幕別町職・標津町職・羅臼町職)
□ 基本賃金の3%を組合費として徴収し、額に応じて地域商品券を配布(足寄町職労)
□ 地元商店応援前売り券の販売・ローテーションで昼食を発注(大樹町労連)
□ 市内飲食店を利用した組合員に地場産品があたるキャンペーン実施(名寄市労連)
2020道本部企画総務局発第0161号より引用

4. 後志管内単組・総支部の取り組み

 後志としては、ニセコ町職が先進事例として地域支援活動の先駆けを行い、他の単組・総支部においても取り組まれ、合計8単組・総支部となりました。(8月31日時点)
 取り組み内容は、以下の通りです。
 ・3,000~5,000円の地域商品券配布(京極町職、積丹町職、寿都町職、ニセコ町職、真狩村職)
 ・お弁当購入費助成(共和町職)
 ・町内のごみ拾い、懇親会(黒松内町職)
 ・応募者に商品を抽選でプレゼント(後志総支部)
 多くの単組で取り組まれている「商品券を配布すること」のメリットとして、その地域で商品券が使われることで経済を動かすだけではなく、新たなお店の発見や継続利用にもつながる可能性があります。
 また、後志総支部の応募者への抽選は、「地域で使われたレシート3枚で1口の応募」というもので、応募総数は150口となったそうです。レシートが1枚1,000円と仮定すると、地域で使われたお金は後志総支部の取り組みだけで45万円となったことになります。
 結果として、後志管内で行われた地域支援活動の費用は全部で約180万円になり、後志総支部の45万円を足すと200万円を超える経済効果があったと言えます。
                            

(寿都町職 鎌田書記次長)
 
(後志総支部 山本書記長)

5. まとめ

 4.で紹介した組合としての取り組み以外でも、互助会や親睦会、役場単位でお弁当の購入斡旋や地元業者へのマスク発注など、地域を支援する取り組みは行われていました。
 新型コロナウイルスの影響により経済的被害を受けた地域を少しでも支援しようと各地で行われたこの活動は、支援しただけでなく、地域との繋がりを作ることにもなりました。この活動は一度きりのものとせずに、地域との繋がりを強化して、助け合いの社会を築くために、これからも自治研活動を行っていければと思います。