【要請レポート】
新しい公共の創造に向けた条例の制定と運用
神奈川県本部/大和市市民活動課 井東 明彦
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1. はじめに
2002年6月に「大和市新しい公共を創造する市民活動推進条例」(以下「条例」)が制定された。この条例は、市民が考えた素案を基本としたこと、そして、大和市独自の公共概念を示すとともに、市民事業や協働事業などの具体的ツールを備えているところに特徴がある。現在、新しい公共の創造に向けた様々な挑戦が行われているが、本レポートでは、条例の概要と協働事業を中心とした運用の状況について報告をさせていただく。
2. 条例の位置付け
この条例は、福祉、環境、教育など多分野における市民活動を推進するために、新しい公共の創造に向けた市民活動と行政との協働ルールを明らかにすることを目的としており、自治基本条例を支える総合的・横断的な条例として位置付けられている。
大和市では、みんなの街づくり条例(ハード面における協働の仕組み)→新しい公共を創造する市民活動推進条例(ソフト面における協働の仕組み)→自治基本条例(自治の仕組み)という形で、いわば「積み上げ型」による制度化が進んでいる。ある分野の政策課題に対応した条例制定が、より広い分野における政策課題の条例化に向けての呼び水となってきたのである。
自治基本条例については、「大和市自治基本条例をつくる会」(32名、公募市民、市職員、学識経験者メンバーで構成、2002年10月~)から、条例素案が5月末に市長へ提案され、現在市議会へ上程する条例案の調整作業が進められている。
この自治基本条例の考え方を受け、都市内分権を進めるために、今年1月から市民自治区に関する検討がスタートした。後述する協働事業の仕組みが、NPOなどテーマ別の活動を主な対象としているのに対して、市民自治区は、自治会など地縁型の活動を対象ととらえている。今後、大和市では、これらの制度を充実・発展させながら、地域社会を豊かにする環境づくりを進めていくことになる。
3. 条例づくりへの市民の関与
制度化の進展に応じて、条例づくりへの市民の関わり方にも変化がみられる。
みんなの街づくり条例では、「街づくり条例制定方針懇話会」(1998年7月~11月、委員10名)が組織化され、条例の制定方針について市長への提言が行われた。条例の骨格は市民が検討し、素案は職員が作成するスタイルである。
新しい公共を創造する市民活動推進条例では、条例素案自体を市民が作成し市へ提言する試みが行われた。市民素案から条例案に移行する際に17項目の変更が行われたが、大半が語句の修正であり、市民素案が最大限尊重された結果となった。
自治基本条例の素案づくりでは、パブリック・インボルブメント(PI)の手法を導入し、自治基本条例をつくる会が核となって多くの市民や職員を巻き込んでいくなかで、市民素案が形づくられていった。つくる会は、素案作成期間(2002年10月~2003年5月)の584日間(19ヶ月)で182回の会議を行い、そのうち62回がPIという活動内容である。3日に1回の割合で会議や市民との意見交換会が開かれていたことになる。筆者も職員メンバーとして参加したが、8時間を超える議論もたびたびであった。
このように、3つの条例づくりへの市民の関与は、行政があらかじめ示した枠のなかへ参加して意見を出すスタイルから、市民自らが主体として活動する形へと変化してきている。
4. 条例制定までの流れ
条例制定までの流れは、準備(1999年4月~2001年1月)、市民素案の作成(2001年1月~2002年1月)、市長提案としての条例案調整(2002年2月~5月)、議会審議(2002年6月)という4つの段階に分けられる。
庁内指針の策定、庁内検討体制の確立、市民活動団体実態調査などの準備段階を経て、市民素案の作成段階では市民が中心となって内容がまとめられ、その後の条例案の調整段階では市主導で検討を進めそこに市民が参加する、という形で、市民と行政との協働作業が行われた。その結果、内容もスタイルもこれまでの条例とは一味違うものになっている。
特に、市民素案作成の段階では、中心的な市民組織「協働ルール検討会議」(14名)に加えて、自由な参加の場としてのワークショップ、時間空間に左右されない参加の場としてのパソコンネットワーク、職員の横断的連携体制により検討が進められた。
このさまざまな参加の場による「複層的・複線的な検討体制」は、プロセスを重視する仕組みとして、条例づくりを通じて徐々に培われてきたものであり、現在の条例の運用体制にも引き継がれている。
5. 条例の理念
条例は15条からなり、「理念と役割(1~6条)」、「環境整備(7~10条)」、「具体的な仕組み(11条~15条)」で構成されている。そして、大和市独自の公共概念である「新しい公共」についてわかりやすく説明するために、前文が設けられている。
(1) 新しい公共
新しい公共とは、「市民、市民団体、事業者、市が協働して創出し、共に担う公共をいう」(2条1号)。行政だけに公共を委ねるのではなく、みんなで協働して知恵や力を出しあいながら、地域社会の現場から公共の課題を発見し、共有し、解決していこう、という考え方である。多様な価値観を認めあう豊かな市民社会を築くための礎となる考え方として、大和市独自の公共概念を示すという挑戦が行われたのである。
(2) 社会資源
社会資源とは、「情報、人材、場所、資金、知恵、技等の市民活動を推進するために必要な資源をいう」(2条6号)。通常は自分たちのために使われているさまざまな資源を「社会に開き、みんなのために使う」ことで、その資源がより豊かで価値のある社会資源になるという考え方である。新しい公共を創造する活動のエネルギーとして、市民、市民団体、事業者、市がそれぞれの立場から、社会資源の活用、創出、提供のための環境づくりを進めることが定められている。
6. 協働推進会議
第1 基本的事項 |
1. 目的 2. 協働の原則 3. 基本協定について |
4. 公開の原則 5. 成長するシステム |
第2 大和市協働推進会議の運営に関すること |
6. 委員 7. 会議 8. 事務局 9. 運営経費 |
第3 大和市協働推進会議経営に関すること |
10. 機能に関する基本的事項 11. 登録・届け出 |
12. プロジェクト・チーム 13. 協働事業 |
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(1) 基本協定
協働推進会議(14条)は、条例運用の中心組織である。条例施行後につくられた準備組織を基本として、学識経験者2名、市民団体・事業者関係4名、公募市民12名、市職員2名の20名(現在は18名)により、2003年4月に発足した。
協働推進会議代表と市長との間で「大和市協働推進会議に関する基本協定」(2003年5月、以下「基本協定」)が結ばれている。協働推進会議は、会議の自主性、独自性、自由な議論を尊重するために、附属機関(地方自治法第202条の3)としては位置付けられていない。そのため、協働推進会議の運営・機能や市との関係について明らかにするために、基本協定を締結するという手法が用いられたのである。
基本協定は15項目で構成されているが、条例運用の基本方針として「成長するシステム」を位置付けている。「成長するシステム」とは、みんなが一緒に歩み共に育つなかで、少しずつ制度の中身を濃くしていく考え方である。協働推進会議の運営や協働事業の推進など条例の運用には多くの課題があるが、具体的な事例を積み重ねながら、多様性を尊重した柔軟でゆるやかな制度づくりを進めていくことが、市民と行政との合意事項として明示されているのである。
(2) 拠点、資金、機能に関する検討
個別課題を検討する部会として、「協働の拠点部会」「資金部会」「協働推進会議の機能部会」が、2003年5月からスタートした。3つの部会は、それぞれ委員・事務局ボランティア・市職員で構成され、昨年度は月1回、今年度からは月2回のペースで会議が開催されている。
協働の拠点部会は、「社会資源の充実を図るための拠点」(9条)に関する検討の場である。中心的な拠点としての市民活動センター(2004年10月に仮オープン予定)の施設や運営について検討が重ねられてきたが、メンバーを新たに公募し参加の輪を拡げながら、今年4月からは、拠点準備会(15名)として取り組みが進められている。
資金部会では、マッチングギフト方式(1年間に寄せられた寄付金と同額を次年度に市費で上乗せして積み立てる方式)による「新しい公共を創造する市民活動推進基金」(2004年4月設置)や、基金を財源とした市民活動推進補助金(2004年度は、8月に公募・10月に公開審査を予定)に関する検討が行われてきた。さらに、社会資源の発掘や活用に関する幅広い議論も行われているが、その成果は、今年度後半に予定されている「市民事業と社会資源に関するワークショップ」での内容も踏まえて、「社会資源ガイドライン2004」としてまとめられることになっている。
機能部会は、「委員の選定方法の明確化」、「事務局の協働体制推進」、「協働事業推進に向けての道筋の明確化」など、条例づくりの段階から議論されてきた協働推進会議の機能について検討するために設けられた。昨年度は、協働事業の仕組みに関する検討が行われ、その成果は「協働事業ガイドライン2003」としてまとめられている。今後、上記3点に加えて、現場主義の視点を重視した協働事業の評価に関する検討が進められる予定である。また、拠点や基金が動きはじめ、それぞれの運営を行う組織が立ち上がるなかで、条例運用の中心組織である協働推進会議がどのように関わっていくのか、という点も、検討課題となっている。
7. 協働事業の提案制度
協働事業は、「市民、市民団体、事業者、市がお互いの提案に基づいて協力して実施する社会に貢献する事業」(2条8号)と定義されているが、多様な公共サービスを生み出す仕組みとして、協働事業の提案制度がスタートした。2003年度は26件の応募があり、現在そのなかで9件が協働事業として実施されている。以下、その概要である。
実施中の協働事業 一覧
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1 青少年の自立支援事業 03/10/20(協定締結日)
2 やまと太陽光発電設備プロジェクト 03/11/06
3 大和市新渋谷中学校開放事業 04/03/03
4 渋谷(南部地区)土地区画整理事業における事業用
地景観美化事業 04/03/15
5 大和市の青少年に関する意識調査事業 04/03/19
6 子育て家庭サポート事業 04/04/01
7 移動制約者の外出介助サービス事業 04/04/01
8 人工透析患者ならびに身体碍者高齢者の通院・外出
サービス事業 04/04/01
9 生涯学習センターホール、リフォーム検討プロジェ
クト事業 04/04/07 |
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(1) 公開プレゼンテーション
5月に提案の募集が行われ、26件の応募があった。提案者の想いを共有する場として、6月8日に公開プレゼンテーションが開催されたが、委員、提案者、市民、市職員など90名を超える参加者でにぎわった。福祉、環境、青少年、遊休地活用、施設利用などさまざまな分野にわたる17件の提案が対象となった(9件は辞退)。
1チーム3分間で提案者が説明を行い、提案市場(提案内容を貼ったボードを並べて、参加者が自由に質問やアドバイスをする時間)で理解を深め、グループ別討議、全体での報告を行った。開放的な雰囲気で行われたこの公開プレゼンテーションは、提案者や参加した市民相互の交流や学習の場として機能した。
(2) 公開調整
公開プレゼンテーション後の1ヶ月間で、提案者、市担当課職員、委員、事務局による調整が行われ、個別の提案ごとに、提案内容、関連情報、課題、実現可能性などについて確認・協議が進められた。委員は、提案者からの相談に応じ、提案者の介添役として担当課職員との対話を促進する役割を担った。このように委員が個別の調整に参加する公開調整の方法は、提案者に安心感を与え、市民と行政との相互理解を深めるきっかけとなった。
(3) 公開審査ワークショップ
7月6日には、約90名の参加者により公開審査ワークショップが開かれた。市職員は、18課から30名が参加した。17件の提案について、1チーム5分で、公開プレゼンテーション後の調整内容の報告と修正提案が行った後、提案者、市職員、委員の3者による評価が行われた。それぞれの提案について、「1
実現性が高い」「2 もう少し熟度を高める必要がある」「3 実現は難しい」という3段階の評価が、シール貼りの方法により行われた。3者とも「1
実現性が高い」につけた提案は6件あったが、提案者が「1」で担当課と委員が「2」「3」をつけたものなど、評価結果はさまざまであった。そして、主に「2」と「3」がついた提案について、全体で内容確認や協議が行われた。
(4) 協働推進会議提言と市長の検討結果説明
8月5日に、協働推進会議から市長に対して提言が行われた。この提言は、17件の提案について、公開の場での協議や審査の内容を整理し、提言書としてまとめられたものであるが、10件の提案について協働事業として進めるべきとの意見が付された。
市では提言の内容を検討し、協働事業として推進する考えの有無とその理由を検討結果報告書としてまとめ、9月16日の第4回協働推進会議の場で説明した(参加者65名)。検討結果は、「協働事業として推進したい」提案が8件、「推進する考えはない」が5件、「その他」が4件であった。
(5) 事業化の動き
事業化へ向けて、「協働事業として推進したい」と市長が回答した8件を中心に、提案者と担当課との間で役割分担や費用負担などに関する個別協議が進められ、協議が整った提案から順次事業協定が締結され、事業がスタートしている。
現在、2003年度提案事業として9件が実施中である。いずれの事業も、提案者と担当課とが合意に達するまでかなりの回数の個別協議を重ねることとなったが、この協議の繰り返しによって、市民と職員との信頼関係が徐々に育まれていった。手間ひまはかかるが、このようなプロセスを通じて、協働事業を推進する力が蓄えられていくのだと思う。
2004年4月18日には協働事業報告会が開催された(参加者85名)。9件の協働事業について、提案者と担当課職員の報告に基づき、協定締結までの経過や課題を確認するとともに、協働事業をより良い方向へ導くための議論が行われた。今後も、このような公開の場を活用しながら、協働事業のモニタリングと評価に関する取り組みが進められていく予定である。
8. 2004年度の協働事業提案
2004年度の協働事業提案も動き出している。5月に提案を募集したところ、14件の応募が寄せられた。
公開プレゼンテーションが6月13日に開催され、100名の参加者があったが、職員の参加が40名と、昨年度に比べ大幅に増えている点が特徴的である。公開調整期間を経て、7月18日には公開検討会が開催され(参加者90名)、4つの提案が実現性の高い提案として評価された。今後、2003年度と同様に、協働推進会議提言、市長の検討結果説明、事業協定の締結と、取り組みが進められていくことになる。
また、2004年度は、行政提案事業も2件含まれているが、この行政提案事業の底辺をいかに拡げていくかは今後の課題である。
9. おわりに
条例7条では、「市民等、事業者及び市は、お互いの信頼関係を育むために、協働の原則に基づいて、対話し、交流し、学びあう」と、相互の信頼関係を規定している。この条文は、前文や基本理念でも述べられている内容ではあるが、条例づくりの議論のなかで、「とても大切なことなので、重複しても良いから単独の条文で表現すべき」との考え方から形になった経緯がある。
条例の運用が進むにつれ、この条文の重さをひしひしと感じている。言うまでもなく、制度をつくるのは人である。そして制度を動かすのも人である。協働事業、協働の拠点、市民活動推進基金など、協働の可能性はますます拡がっていくが、市民と行政との信頼関係を育むことを基本において、新しい公共の創造に向けたさまざまな試みを重ねていきたいと考えている。
●参考資料
大和市新しい公共を創造する市民活動推進条例
平成14年6月28日公布 7月1日施行
私たちのまち大和市には、子ども、大人、障害のある人、外国籍の人などを含め多くの市民が暮しています。市外からの通勤や通学などによる広い意味での市民もいます。
そこには、市民の数だけ多様な「私」がいて、多様な価値観があります。大和市は、それらを互いに受け止め、認めあえる、誰もが自由で健やかに過ごせる地域社会でありたいものです。
一人ひとりの暮しの中には、「私」だけの問題からみんなの問題へと、「公共」の領域へ拡がっていくものがあります。そのような問題を、私たちは長い間、行政だけに委ねてきました。その反省から、この10数年、福祉や環境、教育、国際交流など「公共」の領域に参加する市民や市民団体が急速に増えてきました。事業者も、地域に役立つ活動や市民との連携に目を向け始めています。
行政により担われていた「公共」に、市民や市民団体、そして事業者も参加する時代が来ています。「私」を大切にするために様々な選択肢があることが普通のことになってきました。
このように、多様な価値観に基づいて創出され、共に担う「公共」を、私たちは「新しい公共」と呼びます。
市民、市民団体、事業者それぞれが所有する時間や知恵、資金、場所、情報などを出しあい、社会に開けば、それはみんなのもの「社会資源」になります。行政も自ら資源を開き、「社会資源」の形成に参加することが求められます。市民、市民団体、事業者にとって、「社会資源」は「新しい公共」に参加する活動の源であり、未来を生み出す糧となるのです。
この条例は、市民、市民団体、事業者そして行政が自らの権利と責任のもとに対等な立場で協働し、「新しい公共」を創造するための理念と制度を定めるものです。
私たちはこの条例による制度を活用し、多くの市民、市民団体、事業者の参加により、一人ひとりの「私」を大切にしながら、共に育ちあえる、みんなが共生するまち大和市を実現していきます。
(目的)
第1条 この条例は、市民、市民団体、事業者及び市の協働により、新しい公共を創造するための基本理念及び基本的事項を定め、もって多様な価値観を認めあう豊かで活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(用語の意義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 新しい公共 市民、市民団体、事業者及び市が協働して創出し、共に担う公共をいう。
(2) 市民活動 市民、市民団体及び事業者が行う自主的な活動で、次のいずれにも該当するものをいう。ただし、宗教及び政治に関する活動を主たる目的とするもの並びに選挙に関する活動を目的とするものを除く。
イ 新しい公共に参加する意思のある活動
ロ 多様な価値観を認めあう活動
ハ 営利を目的としない活動
(3) 市民団体 市民活動を継続的に行う非営利団体をいう。
(4) 市民等 新しい公共に参加する意思のある市民及び市民団体をいう。
(5) 事業者 営利を目的とする事業を行う個人又は法人で、新しい公共に参加する意思のある者をいう。
(6) 社会資源 情報、人材、場所、資金、知恵、技等の市民活動を推進するために必要な資源をいう。
(7) 市民事業 市民等及び事業者が行う社会に貢献する自由で継続的な市民活動をいう。
(8) 協働事業 市民等、事業者及び市が、お互いの提案に基づいて協力して実施する社会に貢献する事業をいう。
(基本理念)
第3条 市民等、事業者及び市は、相互理解を深めながら対等の関係で協力・連携し、新しい公共の創造に貢献する(以下このことを「協働の原則」という。)。
2 市民等、事業者及び市は、協働の原則に基づいて市民活動を推進する。
(市民等の役割)
第4条 市民等は、その自主性及び自己の責任に基づいて、新しい公共を創造するための活動を行う。
2 市民団体は、その活動に伴う社会的責任を自覚するとともに、開かれた運営を行い、当該活動への市民の理解及び参加の促進に努める。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、新しい公共の創造に関する理解を深めて、積極的に社会資源の提供に努めるとともに、その社会的責任に基づいて市民活動を推進する。
(市の役割)
第6条 市は、市民活動を推進するための総合的な施策を実施し、市民等及び事業者が新しい公共を創造するための環境づくりを行う。
2 市は、市民等との協議のもとに、市民活動を推進するために必要な情報の公開を徹底し、継続的な自己改革を進める。
3 市は、市の施策や計画等の策定に当たり、早い段階からの市民参加を促進する。
(相互の信頼関係)
第7条 市民等、事業者及び市は、お互いの信頼関係を育むために、協働の原則に基づいて、対話し、交流し、学びあう。
(社会資源の活用等)
第8条 市民等、事業者及び市は、それぞれが社会資源を活用し、創出し、提供する。
2 市民等、事業者及び市は、前項の社会資源の活用等を進めるために、自発的な意思表明が可能な場や機会の充実に努める。
(協働の拠点)
第9条 市民等、事業者及び市は、協働の原則に基づき、それぞれの役割分担に応じて、社会資源の充実を図るための協働の拠点(以下「協働の拠点」という。)を設置し、その充実に努める。
2 協働の拠点は、原則として市民等がその運営を担う。
(市の施策)
第10条 市は、協働の原則に基づいて次に掲げる施策を推進する。
(1) 新しい公共の創造に関する市の施策の体系化を進めること。
(2) 施策の実施に当たり市民等との協働を進めること。
(3) 市職員に対して新しい公共の創造に関する啓発や研修等を行うこと。
(4) 協働の拠点が機能するよう、必要とする市の社会資源を提供すること。
(5) この条例に基づく施策の実施状況について公表すること。
(6) 前号に定めるもののほか、行政評価の結果及び施策の実施状況に関する行政情報を公開すること。
(市民事業)
第11条 市民等及び事業者は、誰もが生き生きと暮らせる地域づくりのために、自主的に市民事業を行う。
2 市民事業を行うに当たり市民等及び事業者は、前項の目的達成のための交流や市との連携を望む場合に、その自主性に基づいて市長に届け出ることができる。
3 市民等、事業者及び市は、社会資源を必要とする市民事業に対して、それぞれの役割分担に応じて社会資源を提供するよう努める。
(協働事業)
第12条 市民等、事業者及び市は、協働の原則に基づいて協働事業を行うことができる。
2 協働事業の実施に当たっては、市民等、事業者及び市長の間で当該事業に関する基本的事項を定めた協定を締結する。
3 協働事業を行おうとする市民等及び事業者は、市長に登録する。
4 前項の規定により行った登録は、市長が規則で定めるところにより取り消すことができる。
5 協働事業の内容等については、協働の原則に基づいて別に定める。
(市の施策や計画等への提案)
第13条 市民等は、新しい公共の創造に関する市の施策や計画等に関する意見又は協働事業について、次条に定める協働推進会議へ提案できる。
2 前項の提案があった場合は、協働推進会議が公開の場での協議を行ったうえで意見書を作成し、当該提案とともに市長へ送付する。
3 市長は、前項の提案及び意見書の送付を受けた場合、その内容を施策や計画等に反映するよう検討しなければならない。
4 市長は、前項の検討結果に関し、説明する責任を負う。
(協働推進会議)
第14条 この条例に基づく具体的手続や運用に関する事項その他新しい公共の創造に関する事項を調査審議するため、協働推進会議を置く。
2 協働推進会議は、公開とする。
3 協働推進会議に関する事項は、協働の原則に基づいて別に定める。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この条例は、平成14年7月1日から施行する。
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