【自主レポート】
当市における介護保険の現状と課題について
北海道本部/赤平市職員労働組合
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1. はじめに
高齢化とともに介護を必要とする住民が増え続ける一方で核家族化の進行による同居率の減少や扶養意識の変化、女性の社会参加等による介護力の低下等、次項の人口推移比率からも今後一層の高齢者層の増加が予想されている当市においては、介護保険は重要な課題の一つであります。
以下については、当市における介護保険に係る現状と課題について報告していきたいと思います。
2. 人口推移と将来推計人口
当市における総人口の推移と第1号及び第2号被保険者の将来推計(コーホート要因法)人口については、次の表のとおりですが、介護保険制度が施行された平成12年から平成16年とでは6.6%の減少、平成19年においては平成12年と比較すると13.0%の総人口の減少を推計しましたが、逆に高齢者比率は平成12年で29.2%、平成19年推計では35.1%と平成12年と比較すると5.9%上昇となる推計となっています。
区 分
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H12
|
H13
|
H14
|
H15
|
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16,110
|
15,771
|
15,771
|
15,350
|
|
6,127
|
6,000
|
5,824
|
5,633
|
|
1,501
|
1,475
|
1,458
|
1,447
|
|
1,171
|
1,227
|
1,232
|
1,237
|
|
2,672
|
2,702
|
2,690
|
2,684
|
|
|
16.6%
|
17.1%
|
17.1%
|
17.5%
|
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958
|
957
|
987
|
1,022
|
|
633
|
657
|
660
|
664
|
|
435
|
482
|
500
|
541
|
|
2,026
|
2,092
|
2,147
|
2,227
|
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12.6%
|
13.3%
|
13.6%
|
14.5%
|
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4,689
|
4,794
|
4,837
|
4,911
|
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29.2%
|
30.4%
|
30.7%
|
32.0%
|
|
|
1,143
|
1,219
|
1,232
|
1,270
|
|
|
24.4%
|
25.4%
|
25.5%
|
25.9%
|
区 分
|
H16
|
H17
|
H18
|
H19
|
|
15,022
|
14,695
|
14,353
|
14,013
|
|
5,449
|
5,266
|
5,101
|
4,936
|
|
1,408
|
1,371
|
1,320
|
1,288
|
|
1,260
|
1,283
|
1,252
|
1,221
|
|
2,668
|
2,654
|
2,581
|
2,509
|
|
|
17.8%
|
18.1%
|
18.0%
|
17.9%
|
|
1,021
|
1,019
|
1,038
|
1,057
|
|
681
|
700
|
697
|
695
|
|
571
|
601
|
628
|
654
|
|
2,273
|
2,320
|
2,363
|
2,406
|
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|
15.1%
|
15.8%
|
16.5%
|
17.2%
|
|
4,941
|
4,974
|
4,944
|
4,915
|
|
|
32.9%
|
33.8%
|
34.4%
|
35.1%
|
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3. 当市における介護保険の現状について
(1) 要介護者の状況
要介護認定者数については、平成12年度で488人から平成15年度では616人と128人の増加、率にすると26.2%増加しておりますが、要支援と要介護5の認定者はともに40%弱増加しており、認定申請者数の増加と、程度の過酷な要介護認定者数が他程度の認定者数より増加しています。
認定申請者、要介護及び要支援の認定者数ともに今後も増加傾向にあります。
また、施設サービスの利用状況から見て取れる部分でありますが、介護療養型医療施設の利用が介護老人福祉施設より過少なことからも、社会的入院等、医療から介護への移行がスムーズに進んでいない現状が考えられます。
(2) 介護給付費の状況
介護給付費用については、要介護認定者の増加に比例し年々増大しております。
施設サービス受給者は、サービス受給者の割合では約46%ですが、給付額では約84%を占めております。
サービスの種類別件数及び給付額は次のとおりです。
サービスの種類 |
平成12年度実績額 |
平成15年度実績額 |
件数① |
金額② |
件数① |
金額② |
訪問介護 |
989 |
14,996,583 |
1,306 |
32,114,463 |
訪問入浴介護 |
46 |
1,878,750 |
91 |
4,676,625 |
訪問看護 |
136 |
1,106,601 |
194 |
3,409,676 |
訪問リハビリ |
30 |
425,700 |
8 |
113,850 |
通所介護 |
829 |
19,701,666 |
1,003 |
24,192,181 |
通所リハビリ |
198 |
6,461,406 |
221 |
7,612,857 |
福祉用具貸与 |
161 |
1,730,250 |
986 |
8,787,789 |
短期入所 |
88 |
5,691,924 |
202 |
15,940,863 |
その他 |
0 |
0 |
123 |
26,672,630 |
居宅介護支援 |
1,824 |
12,921,660 |
2,623 |
22,066,852 |
介護老人福祉施設 |
1,215 |
351,085,809 |
1,325 |
372,816,081 |
介護老人保健施設 |
576 |
161,149,668 |
716 |
203,960,348 |
介護療養型医療施設 |
229 |
88,972,284 |
173 |
73,098,571 |
福祉用具購入 |
36 |
530,831 |
63 |
1,085,011 |
住宅改修 |
25 |
1,867,477 |
35 |
2,544,912 |
審査支払い手数料 |
5,703 |
646,715 |
8,918 |
880,983 |
高額介護サービス等費 |
825 |
5,168,087 |
1,223 |
7,136,501 |
合 計
|
|
674,335,411 |
|
807,110,193 |
(3) サービスの利用状況
サービスの利用状況としては、在宅サービス関連で訪問看護の利用実績が平成12年度で週あたり4件、平成14年度で8件となっており、医療行為の必要な要介護者(長期入院者)の在宅への移行が横ばい状態で推移している。また、短期入所サービスでは、制度施行当初に利用可能日数が制限されていたため、十分な利用がされていない状況にあります。福祉用具の貸与の関係では、平成12年度実績8台から平成14年度実績41台の貸与があり、特殊寝台の増加が顕著です。入浴補助用具等の福祉用具の購入の増加とともに住宅改修についても年々増加傾向にあります。
介護サービスの利用者数等は次の表のとおりです。
介護サービス利用者
|
在宅サービス利用 |
施設等のサービス利用 |
特養・老健・介護療養型 |
グループホーム |
数 |
率 |
数 |
率 |
数 |
率 |
利 用 者 数
|
262名 |
42.1% |
202名 |
32.4% |
12名 |
1.9% |
要 支 援
|
64名 |
24.4% |
0名 |
0.0% |
0名 |
0.0% |
要介護1
|
144名 |
55.0% |
15名 |
7.4% |
3名 |
25.0% |
要介護2
|
33名 |
12.6% |
33名 |
16.3% |
5名 |
41.7% |
要介護3
|
13名 |
5.0% |
39名 |
19.3% |
2名 |
16.7% |
要介護4
|
6名 |
2.3% |
58名 |
28.7% |
1名 |
8.3% |
要介護5
|
2名 |
0.8% |
57名 |
28.2% |
1名 |
8.3% |
(4) 被保険者の状況
被保険者の状況としては、第1号被保険者のうち所得段階で第1段階の被保険者が平成12年度で127名であったのに対し平成16年7月末現在では167名となっている。40名の増加の要因としては、要保護世帯の増加が考えられる。当市における特徴が伺える部分です。
なお、第1段階以外の所得段階の大幅な被保険者の増加は見られない。
私は日常業務で介護保険料の賦課を担当しておりますが、住民より苦情として介護保険料の負担が重過ぎる指摘を受けることが多々ある。
医療保険や年金保険等、介護保険もいわば社会保険ということになります。医療保険の負担が上昇し、介護保険が上がり、年金給付額が引き下げられ、雇用保険料も上がると結果として被保険者からは増税として受け止められるのも当然であると私は考えてしまいます。
使途が明確な介護保険だからこそ、介護保険制度の健全な成長に期待したいと思います。
区 分 |
平成12年度 |
平成16年度 |
第1段階(基準額×0.5) |
127名 |
167名 |
第2段階(基準額×0.75) |
2,214名 |
2,683名 |
第3段階(基準額×1.0) |
1,258名 |
1,302名 |
第4段階(基準額×1.25) |
881名 |
884名 |
第5段階(基準額×1.5) |
179名 |
237名 |
合 計 |
4,659名 |
5,273名 |
4. 今後の当市における介護保険の課題
(1) 高齢者人口比率の増加
平均寿命は男性で78.3歳、女性では83.2歳となっており、健康寿命の延伸状態にあるので、一層の介護予防、社会的入院等の解消や在宅サービスを促進する必要がある。
また、後期高齢者の増加にともない、痴呆の増加が見込まれる。
その他としては、少子高齢による人口の年齢構成比率が変化により、介護給付費用の負担のあり方についても課題点に上げられる。
(2) 要介護認定者の増加
65歳以上の人口の伸びに対して、要介護認定者数の伸びが大きい。このことは、介護保険が年々被保険者になじんできていることを示唆し、今後の介護保険制度の健全な充実、発展が求められると考えられる。
(3) 介護サービスの給付実績から
施設入所希望者が増加傾向にあることから、グループホームによる対応が必要となる。
通所介護(デイサービス)が不足している。また訪問看護ステーションが地域をカバーしていない等の課題が考えられる。
まとめとしては、住民には「できることなら福祉の世話になりたくない」「ヘルパーなど、他人が家の中に入り込むことに抵抗がある」「身内でなんとかしたい」というような考えが根強くあると思います。
支援が必要なところに臨機応変なサービスを提供することができるよう介護保険制度を育てていく姿勢であったり、介護サービスについて利用者がシステムを熟知できる体制を築いていくことが個人的にはもっとも重用な課題であると思います。
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