【自主レポート】

合併と社会福祉協議会

徳島県本部/脇町職員労働組合 藤園 益也

 2005年1月1日、美馬郡4町村は合併し美馬市が誕生する。社会福祉協議会は、社会福祉法第109条において「市町村社会福祉協議会は、一又は同一都道府県内の2以上の市町村の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であって、その区域内における社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加し、かつ、指定都市にあってはその区域内における地区社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が、指定都市以外の市及び町村にあってはその区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する者とする。」と規定されており、市町村社協は原則として市町村域に1つと定められている。よって、市町村が合併することにより必然的に合併しなければならなくなっており、4町村の社会福祉協議会(以下社協)も合併に向け進んでいる。
 さて、合併にともなう問題点、課題について報告する。

1. 合併における問題点

(1) 社会福祉協議会の多くの事務局は、職員が非常に少ない。この状況で通常の業務を行いつつ、合併の事務作業を行わなければならない。
(2) 合併による事業存続のあり方、事務事業のすり合わせが一部の職員の手によって進められており、全体化されていない。
(3) 各社協は、地域特性や規模、力量に応じて各種事業を柔軟に展開してきたため、社協の事業内容のすりあわせは非常に困難となっている。(合併によって福祉サービスの水準を落とさないように検討しているため)
(4) 行政と社協との合併後の委託事業打ち合わせが、行政職員と社協事務局長(行政職員)では、対等な形での協議になっていない。
 (例)介護保険事業について、過疎地域の介護保険事業についても行政主導により介護保険業者として参入することとなってしまっている。過疎地域で、非効率だからこそ、多くのリスクを背負いながらも社協がやるべきではあるのだが、これだけ自治体の財政が厳しくなると、赤字補填の補償について不安が残る。また、経営だけでなく、事故が発生した場合の対応なども含めて責任が負えるかどうかを検討をしたのかどうか。
   役員について社会福祉法第109条において「関係行政庁の職員は、市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会の役員となることができる。ただし、役員の総数の5分の1を超えてはならない。」と規定されている。つまり、地域福祉の推進を目的とする社協に行政が参加することは必要であるが、過度に行政の影響を受けないように制限しているということである。なぜならば、社協は公共的な性格を持ちながらも、行政とは違った立場で活動を行う必要があるからである。このように、法律で行政の関与を制限しようとしているのであるが実際は4社協とも事務局長は行政からの出向職員であり、会長は3社協までが行政の首長である。
(5) 自治体職員は合併特例法により雇用と労働条件は継続保障されるが、社協の場合は合併にともなう特別な法的な措置はなく、商法第103条により確保していかなければならない。(社協合併協議会では職員の身分については新市社協の職員として身分を引き継ぐとされている。)
(6) 賃金・労働条件についてであるが、各社協で大きく違っており、調整が難航することが予想される。

 このように、多くの問題、課題を抱えてはいるがこの合併を契機とし、これからの社協のあり方を再度確認する必要がある。今後自治体からの補助金、委託金は、ますます少なくなることが予想される。ゆえに、社協の合併後の経営形態を補助金依存型から介護保険収入をはじめとした事業収入により自立・安定化を図り、地域の特性やニーズに応じた活動を展開していくスタイルに変えなければならないと考えている。しかしながら、介護保険事業、支援費事業を行うに当たって、利益を上げることのみにこだわってしまうと社協本来の使命を見失ってしまう恐れがあり、営利目的の民間企業とかわらない一介護保険事業者、支援費事業者となってしまうため注意が必要である。