【要請レポート】
1. はじめに
近年、自治体の入札制度を巡る動きには激動の感がある。当、大館市においても同様であるが、僅か8年前にはこの状況は想像できないものであった。
多くの自治体にとって、この変化は、2001年(平成13年)4月の「建設工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の施行によるところが大きい。しかし、大館市においては、もちろんその点もあるが、若干事情は異なる。
キーワードは、「情報公開」「行政の横断的連携」、そして「あるべき発注の姿勢=公正な労働の提供の姿勢」である。
2. 情報公開
(1) 1997年(平成9年)、翌年から情報公開条例を施行予定であった当市では、その前年に当たるこの年、一部の情報を試行的に先行公開することとし、建設工事の入札及び契約の情報もそのひとつとなった。それまで、建設工事の発注課においては、当然、入札及び契約は公正かつ適正に実施されてはいたが、その情報を公開することをはじめとして、入札や契約に関する情報の取扱いについては一般の行政情報のそれとは異なった対応がとられてきた。
(2) この情報公開と合わせて、97年から98年にかけて、次のような取り組みが順次とられた。
① 入札参加者名の事前公表の取り止め。
② 入札経過(当該入札の全参加者名、入札金額、落札金額)の事後公表。
③ 現場説明を取り止め、設計図書の閲覧方式に切り換える。
④ 発注課の執務室への原則入室禁止(あいさつ者への名刺置きの設置を含む)。
それまで、建設工事発注課では、入札関連の情報は秘密事項であり、外に出さないことを原則としつつも、入札前に参加対象者を公表することは当然の事として実施され、入札参加者が一堂に会する機会となる現場説明も同様であった。それにより、入札前に対象業者は「合い指名」の対象者を周知のものとし、執務室に自由に立ち入り、秘密厳守を義務付けられている職員の傍らで、それらの秘密を厳守するためのシステムについてはほとんど省みられてはいなかった。
(3) 翌99年には、それまで建設工事入札制度実施要綱として、唯一関係要綱が存在したが、できる限り、現在行っている仕事に即した要綱の整備を進め、関係事務提要として施行することとし、この要綱も全て公表の対象とした。この年から施行開始した「情報公開条例」の中でも、入札及び契約に関する情報については、できる限り全面的に公開の対象とすることで、同じく要綱の中で整備した。
(4) 次に公開の対象としたのが、「予定価格」である。これも、99年から準備をはじめ、関係要綱の制定と並行して庁内での合意を図る準備を整えてきたが、2001年4月、入札及び契約の適正化法施行と合わせ、試行実施した。この際、それまでの最低制限価格制度に代えて低入札価格調査制度を併せて導入した。
(5) このような経緯をたどったことから、適正化法施行にともなう、さまざまな入札・契約に係る情報の公表の義務付けは、様式の調整程度の労力で済むこととなった。
3. 行政の横断的連携
(1) 97年の情報公開への取り組みの必要から、各発注課では、それまで個別に実施していた入札や契約業務への対応を、全庁的に連携を取っての対応に変革せざるを得なかった。そのため、同年、契約担当者会議を立ち上げ、土木、都市計画、下水道、農林、教育委員会、管財等の各発注課に、企業会計の水道、病院を加え、定期的な協議の場を設けることとした。
(2) この中で、各発注課の当該業務に対する対応方法の違いが徐々に明らかになり、それが前述の事務提要整備の必要性を強めた。このことにより、全庁的な発注体制の調整、共通化がかなり進み、次の段階として、入札及び契約を所管する部署の設置を求める声が出て来た。
(3) 99年には、この方向性を受けて、鎌倉市ほかを対象とする1回目の先進地視察を契約担当者会議で実施。2001年の適正化法の施行が、入札・契約の専門的部署の設置を一層必要とした。加えて、2001年には、庁内の行革推進による機構改革の目玉として「契約専門部門設置」が打ち出され、横須賀市ほかを対象とする再度の先進地視察を経て、2002年4月から、それまでの検査課と併せて、入札・契約から検査までを発注所管から独立させる「契約検査課」が新設された。
(4) 02年の契約検査課設置後は、それまでの建設工事及び建設コンサルタント業務に、物品購入の入札と契約が加わった。ここまでは、機構改革の想定範囲であったが、実際に業務を開始したところ、各所管で実施してきた「役務提供」に係る委託契約全般にも関与せざるを得なくなってきた。直接携わる業務としては、入札を伴うものに限定するものの、随意契約においても、その実施状況について入札に付すものと対応が全く異なるのでは、行政としての公正性を欠くことになるので、50万円を超える随意契約は契約検査課との合議が必要となり、必然的に内容を審査し、できるだけ共通したものに改めざるを得なくなり、そのことにより全庁的な連携をとらなければならない範囲は大きく拡大した。
(5) また、02年の契約検査課設置以降、連携の輪は庁内に留まらなくなった。秋田県内では、2001年に県都秋田市で誕生した新市長が入札及び契約の改革を公約のひとつとして当選。同年には早くも改革に着手している。また、本荘市と大館市では02年から契約検査を合わせた所管課を設置。横手市でも03年から大幅な入札・契約改革に着手。能代市でも03年度統一自治体選挙で当選した新市長が入札・契約改革を打ち出し、同年7月から急遽機構改革を実施して契約検査課を設置した。こうした動向を受け、02年には既に県内9市の連携を図るため、契約担当者会議を開催し、情報交換を実施。03年には、この情報交換の成果を反映する改善が幾つかの自治体で実施され、その成果を踏まえて第2回の担当者会議を県の担当者を交えて実施。更に、そこでの情報と意見の交換が、次の改革のステップに寄与してきた。
(6) 現在、県内9市の体制が、05年度の合併後は12市になる予定であるが、この9市を母体とするうちの7市が、契約専門の所管課を置く体制になる。そして、現段階でも既に、公募型指名競争入札の導入等で複数の市が足並みをそろえていることから、県内外のかなりの数の入札参加を希望する方々からは注目を集める結果となっており、横断的な連携は、さまざまな改善策を打ち出すうえで、単独の自治体だけが、あるいは単独の部署だけが突出する場合と異なり、周囲の抵抗を緩和し、協同歩調を取り易くする利点が大きい。
4. 「公正な労働の提供」という姿勢について
(1) 2003年(平成15年)1月6日入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律、いわゆる「官製談合防止法」が施行された。入札・契約をめぐる不正行為の排除策として与党側が創設した法律で、外部から寄せられる圧力を排除するうえでは有効な面もあるものの、不正行為の排除に対する根本的な解決よりは、公務労働に携わる者にペナルティを課すことに重点を置いた内容であった。
(2) 私たちは、納税者に対する公正を基調に、入札や契約の制度を改善することを第一義とすることと併せ、公務労働に携わる者が安心して、かつ自信を持って当該公務に当たることで、公正な行政執行が果たせると考える。
(3) また、公共発注の姿勢として、入札、随意契約の方法を問わず、契約対象者となることができる機会の公平性、透明性、その手続きの公正性、透明性、更には発注に当たって、その内容(仕様、予定価格等)の適正性が求められている。
(4) これらを、個別に見てゆくことで、発注者側(公務労働に携わる者の側)にとっての公正な労働のあり方、受注する側が、その公務労働を受注することで公正な労働を提供できる、そのような発注になっているか否かを問うことができる。
(5) 公務労働に携わる者にとっての公正労働
① 情報公開の項でも述べたとおり、公務労働に携わる私たちが、どのような要綱やその運用基準等を基にその公務を執行しているのかを、できるだけ明記し、対処する者により、その場合により、恣意的な対応をできるだけ排するために、共通の方法を作成し、それらを公開することにより、説明責任を果たしつつ、共通の対応を一層取りやすくすることができる。
② 予定価格の事前公表により、官製談合防止法等への抵触の危険性を制度的に取り払い、かつ、入札の公正性を増すことが可能になる。
③ 従来型の指名競争入札から公募型指名競争入札に移行することにより、入札参加者の参加機会拡大を図りつつ、発注者側の恣意的な要素を排除する。もとより恣意的な発注はこれまでもなかったとは言え、ともすれば一定の範囲に固定化される発注体制が、公募型への転換により多様化し、発注者側の意識も徐々に変わることになる。
現に、2001年6月から一部建設工事に公募型指名競争入札を導入し、2003年9月からは、入札に付す全ての建設工事に、同年11月からは物品購入と役務提供の契約に、更に2004年4月からは建設コンサルタント業務に適用し、現在は原則として全ての入札に付す案件は公募型指名競争入札で実施し、それにより発注スパンがやや伸びたこと、内部的労働量が増えたこと等の難点はあるものの、ほぼ所期の目的は果たされつつある。
④ また、当市では本年4月から、全ての契約書に添付する約款を、業務ごとに統一することとした。建設工事や物品購入では当然のこの対応であるが、特に役務提供の委託業務では、随意契約を中心に、契約を締結する各所管がばらばらな対応を行っていたが、内容的な相違は仕様書で補完し、約款は統一することにした。このことにより、対外的な不調和、混乱を排し、発注する側が同じ視点でその業務に対処できるようにした。
(6) 受注する側にとっての公正労働
① 2002年の契約検査課誕生以降、全庁的な各種の発注を見て疑問に思い、いま現在もそれが解消できていない点として「役務提供(委託契約)について、発注のしっかりとした仕様、予定価格を算定するための根拠が薄弱な面」がある。
② このことについては、何回か全庁の説明会でも要請はしてきたが、構造的に直ちに解消することが困難な面もある。そこで、2002年3月に地方自治法の一部改正により、従来建設工事のみに認められていた、「最低額で入札した者を落札者としないことができる規定」、いわゆる最低制限価格若しくは低入札価格調査制度を委託業務に適用することを可能にする法律改正を受けて、2004年4月から試行的に入札に付す委託業務全般に低入札価格調査制度を適用することにした。
③ 2002年のある発注に際して、入札参加者から、当該発注では適正な労働提供が困難であり、発注者としての責任はどうなのかと疑問を呈されたことがある。こうした意見に加えて、庁内的にも一部の発注課からは、現行予算での発注に対して、受注者側の労働条件がどうなるのかの懸念が寄せられたことがある。
④ これらに対しては、発注根拠の明確化と予算設定の基となる予定価格の適正な設定を要請してきたが、なかなか改善されず、そこには地方財政の逼迫が影響を及ぼしている面も否定できない。
⑤ これに加えて、近年、委託業務における競争性が次第に高まり、落札率の低下が目立ち、顕著な低率も垣間見られるようになった。2003年7月、適正化法の中の適正化指針を受け、「大館市適正入札・契約推進委員会」が設置され、第三者による入札と契約の適正な施行を審査してもらう機関が誕生した。ここでは随意契約を含む全ての入札と契約を審査の対象としたが、その場でも同様の指摘が行われた。
⑥ そこで、少なくとも発注者責任を果たすためには、関係法令の遵守が可能なことを基調に、労働基準法、最低賃金法、独占禁止法の遵守を条件に、予定価格の65%を下回る入札額を提示した者は、落札者とするものの低入札価格調査の対象とし、契約の履行が可能か否か、関係法令の遵守が可能な履行体制か、の確認を行い、仮に法令の遵守が確実との判断ができかねる場合は、法令遵守を約束し、労働基準監督署、公正取引委員会に提出しても異存がない旨の誓約書の提出を受けて契約を締結することを試行している。
5. おわりに
この間の取り組みにより、おぼろげながら浮き彫りになって来た事項がいくつかある。
ひとつは、公正な発注、公正な受注とも、「本来その発注は誰を対象にすべきか」という課題である。従来、ともすれば慣例で発注してきた多くの事例の中には、その仕事を依頼する対象が実際はどの業種の人々であるのかの見極めをきちんと行うことにより、かなり様変わりする実態があること。そのことにより、発注者は公正な発注を心掛けざるを得なくなるし、受注者は本来の分野で力を発揮できることになる。無論、従来の受注者にすれば、機会を失するため抵抗は避けられないが、複雑な下請体制や旧慣体制が、このことにより別の機会を生むことに繋がる。
ふたつ目は、「入札は競争原理追求の手段のみであってはならない」ということである。
本来、随意契約の適用には地方自治法上の厳しい制約がある。それを安易に拡大解釈して随意契約を適用している事例が多いことから問題が生じるのであり、随意契約そのものが悪では決してない。それどころか、単に価格や数量的に把握するだけの要素以外に、十分な吟味を行った発注が可能であれば、随意契約が形式的な入札に優る事例は少なくない。しかし、発注の多くは、公正な制度を確立したうえでの入札により、契約の相手方を決するのが本来の姿ではある。そこに、公平な参加機会の確保、制度の透明性が求められるのは言うまでもない。
しかし、落札率の下落という現象に目を奪われたり、それのみを目的とする制度を導入し、入札を単に競争原理を追求するだけの手段としてしまうことは、長期的には受注者の信頼を失い、却って競争性を損ないかねない危険性を含んでいる。そこで、公正な入札を継続的に執行できるシステムの構築が重要であり、当初は競争性が前面に出ることが多いので反発を生むことも多いが、多様な制度の確立でさまざまな事態に対応できるようになることにより、参加する受注対象者が次第にその資質を高め、ひいては本来の意味合いでの競争力を養成し、そのことが行政目的のひとつである「地元業者の育成」に資することとなる。更に、公正な制度を透明な公開体制で運営することで、制度そのものへの信頼を勝ち取ることに繋がり、やがては真に受注者や納税者の指示を得ることが可能だと考える。
<参考資料>
1. 大館市で制定した入札及び契約関係の要綱、運用基準等
(1) 大館市建設工事入札制度実施要綱(2003年9月最終改定)
(2) 大館市合併等に伴う入札参加資格審査等の取扱いに関する運用基準(2003年4月)
(3) 大館市建設工事入札制度実施要綱の運用基準(2004年6月最終改定)
(4) 大館市建設コンサルタント業務等入札制度実施要綱(2003年9月最終改定)
(5) 大館市測量及び建設コンサルタント等業務入札制度実施要綱の運用基準(2004年6月最終改定)
(6) 大館市測量業務委託業者選定の運用基準(2003年2月)
(7) 大館市経常建設共同企業体取扱要綱(2003年9月)
(8) 大館市建設工事に係る経常建設共同企業体取扱要綱の運用基準(2003年9月)
(9) 大館市特定建設工事協同企業体取扱要綱(2003年9月最終改定)
(10) 大館市建設工事に係る特定建設工事共同企業体取扱要綱の運用基準(2003年9月)
(11) 大館市物品調達及び役務提供に係る入札制度実施要綱(2003年2月)
(12) 大館市物品調達及び役務提供に係る入札制度実施要綱の運用基準(2003年2月)
(13) 大館市小規模修繕等契約希望者登録要綱(2004年4月最終改定)
(14) 大館市小規模修繕等契約希望者登録要綱(2004年4月最終改定)
(15) 大館市競争入札事務取扱要綱(2004年4月最終改定)
(16) 大館市競争入札心得(2004年4月最終改定)
(17) 談合情報対応マニュアル(2004年4月最終改定)
(18) 大館市の入札・契約等に関する情報の公表及び公開に関する要綱(2004年4月最終改定)
(19) 大館市指名停止要綱(2003年9月)
(20) 大館市指名停止要綱の運用基準(2003年9月)
(21) 大館市適正入札・契約推進委員会設置要綱(2003年7月)
(22) 大館市適正入札・契約推進委員会運営要領(2003年7月)
(23) 大館市入札及び契約に係る苦情処理に関する要綱(2003年7月)
(24) 大館市が発注する工事契約に係る入札予定価格の事前公表に関する要綱(2002年6月)
(25) 大館市低入札価格調査制度実施要綱(2001年4月)
(26) 大館市低入札価格調査制度運用要領(2001年4月)
(27) 大館市委託業務等に係る低入札価格調査制度試行要綱(2004年4月)
(28) 大館市公募型指名競争入札実施要綱(2003年9月最終改定)
(29) 大館市建設コンサルタント業務等公募型指名競争入札実施要綱(2004年4月)
(30) 大館市物品調達及び役務提供に係る公募型指名競争入札実施要綱(2003年9月)
(31) 大館市簡易公募型条件付一般競争入札実施要綱(2003年4月)
(32) 大館市簡易公募型条件付一般競争入札実施要綱の運用基準(2003年4月)
(33) 設計図書の閲覧等に係る取扱要綱(2004年4月最終改定)
(34) 大館市建設工事の施工体制点検等要綱(2004年4月最終改定)
(35) 大館市工事成績評定要領(2004年4月最終改定)
|
2. 大館市で制定した契約事項(契約約款)の一覧(全て2004年4月改定)
(1) 工事請負契約書
(2) 土木設計業務等委託契約書
(3) 建築設計業務委託契約書(著作権譲渡)(著作権共有)各1
(4) 建築工事監理業務委託契約書
(5) 測量調査等請負契約書
(6) 物品購入契約書・物品購入単価契約書
(7) 印刷契約書・印刷単価契約書
(8) 賃貸借契約書(保守管理含む)(保守管理除く)
(9) 物品等修繕請負契約書
(10) 電力供給契約書
(11) 業務委託契約書
(12) 機械警備業務委託契約書
(13) 印刷委託契約書
(14) 契約事項(契約約款)に関連した要綱、運用基準等
① 工事請負契約書の運用基準
② 工事請負契約書第25条(スライド条項)の減額となる場合の運用について
③ 完成工事未収入金債権の流動化のための債権譲渡の承諾について
④ 完成工事未収入金債権の流動化のための債権譲渡に係る事務取扱いについて
⑤ 公共工事に係る工事請負代金債権の譲渡を活用した融資制度について
⑥ 大館市委託設計業務等調査検査事務処理要綱
⑦ 大館市設計共同体取扱要綱
⑧ 大館市設計共同体取扱要綱の運用基準
⑨ 建築工事監理業務委託契約書の運用基準について
⑩ 建築工事監理業務委託の基本方針について
⑪ 建築工事監理業務委託共通仕様書
⑫ 測量調査等請負契約書の運用基準について
⑬ 物品購入契約書・物品購入単価契約書の運用基準について
⑭ 印刷契約書・印刷単価契約書の運用基準について
⑮ 印刷業務の取扱に関する運営基準
⑯ 賃貸借契約書の運用基準について
⑰ 物品等修繕契約書の運用基準について
⑱ 役務提供等の業務委託契約に係る業務委託契約書の運用基準について
※ 以上の要綱、約款、運用基準等については、大館市契約検査課のホームページに掲載しております。
|
3. 大館市委託業務等に係る低入札価格調査制度試行要綱(概要)
(趣旨)
第1条 この要綱は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10第1項の規定に基づき、入札により建設コンサルタント等業務委託及び役務提供に係る業務委託契約を締結しようとするときに、契約の内容に適合した履行を確保するとともに公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがないように取り計らうことを目的とし、試行として決定した落札者に事情を聞くために必要な手続を定めるものとする。
2 地方自治法施行令第167条の13の規定により、前項の規定は指名競争入札の場合にこれを準用する。
(調査基準価格)
第2条 予定価格決定者は、入札により契約を締結しようとする場合は、契約ごとに、契約の相手方となるべき者の申し込みに係る価格が、当該契約の内容に適合した履行がなされることを確認するために事情を聴取しなければならないと認められる場合の基準となる価格(以下「調査基準価格」という。)を定めるものとする。
2 前項に規定する調査基準価格は、当該契約に係る予定価格から消費税及び地方消費税の額に相当する額を控除して得た額に100分の65を乗じて得た額に1.05を乗じた額とする。
(調査基準価格を下回る価格による入札)
第3条 入札執行者は、入札の結果、予定価格の制限の範囲内の最低の価格(以下「最低入札価格」という。)が調査基準価格を下回る価格であったときは、落札の決定を行ったのち、当該最低入札価格の入札をした者(以下「最低価格入札者」という。)から、当該内容に適合した履行が確保され、公正な取引の秩序を乱すおそれがないことを確認するため、様式第1号により調査を実施する旨を通知し、次条の規定により必要とする資料の提出を得、それに基づき作成した調査表(様式第2号)により当該契約の発注所管課とともに、事情をきく(以下「低入札価格調査」という。)ものとする。
(調査の内容)
第4条 前条に規定する調査は、次に掲げる事項について行い、様式第2号により調査結果を報告するものとする。
(1) 当該業務を実施するに当たり、当該最低価格入札者が予定している人員配置その他の当該業務の実施体制
(2) 当該業務を実施するに当たり、当該最低価格入札者が特別な事由により市場価格に比して低い価格で労務等の提供をできるという主張がある場合、その内容
(3) 当該最低価格入札者の経営状況等
(4) 労働社会保険諸法令等の遵守状況
(5) その他必要な事項
(調査結果を踏まえた契約履行の確保)
第5条 入札執行者は、前条の規定による調査をした結果、当該最低入札価格によっても、その者により当該契約の内容に適合した履行がなされると認められるときは、当該最低価格入札者と契約を締結するものとする。
2 入札執行者は、前条の規定による調査の結果、当該最低入札価格によっては、当該契約の内容に適合した履行は確保できるものの公正な取引の秩序に影響を及ぼすことが危惧されると判断された場合は、様式第3号により誓約書を提出させるものとする。
3 入札執行者は、前条に規定する調査の結果により、当該最低入札価格によっては、その者により当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれが明らかであると認めるときは、落札を取り消し、再度の入札に付すものとする。
(入札参加者への周知)
第6条 本制度の円滑な運用を図るため、市長及び入札執行者は、現場説明書等及び入札心得に本制度について記載し、周知するとともに、入札執行の際に次の事項を説明し、問題が発生しないよう考慮するものとする。
(1) 地方自治法施行令第167条の10第1項若しくは第167条の13の規定に基づき、低入札価格を調査するための基準があること。
(2) 調査基準価格を下回った入札が行われた場合の入札終了後の手続。
(3) 調査基準価格を下回った入札を行った者は、事後の事情聴取に協力すべきこと。
(低入札価格調査結果の公表)
第7条 市長は、低入札価格調査結果を様式第4号により公表しなければならない。
(その他)
第8条 この要綱の運用に関し必要な事項は別に定める。
附 則
この要綱は、平成16年4月1日から施行する。
(様式第1号記載の当該低入札価格で入札した者に対する質問の内容)
1 入札価格は、あなたの見積りより低く設定していますか。低く設定している場合、その価格で入札できる特別な理由があれば記載してください。
2 当該業務を実施するに当たり、あなたが予定している人員配置等、当該業務の実施体制を具体的に記載してください。
3 労働基準法、最低賃金法等関係法令等に抵触するおそれはありませんか。当該業務実施に当たり、関係法令との状況を説明してください。
4 独占禁止法に規定する「不当廉売」(いわゆるダンピング)に該当するおそれはありませんか。当該業務実施に当たり、不当廉売に当たらないことの説明をお願いします。
5 入札参加資格申請の際に提出いただいた以降の、あなたの経営内容を示す決算報告書をご提出ください。
6 その他必要と思われる書類については、随時提出をお願いします。
(関係法令を遵守するという判断ができかねる場合に徴する「誓約書」の内容)
誓 約 書
このたびの次の入札に関して、不当廉売等の不正行為は一切行っておりません。
また、本契約履行に際して、労働基準法、最低賃金法等の関係法令等を遵守することを誓約いたします。
つきましては、後日、不正な行為が判明した場合、大館市のとる措置には一切異議の申し立ては行いません。
なお、この誓約書の写しが、公正取引委員会、労働基準監督署等関係機関に送付されても異議はありません。
契約の名称
年 月 日
大館市長 様
住 所
入札者の名称
代表者名
|
|
|