【自主レポート】
男女平等推進委員会の取り組み
愛知県本部/自治労名古屋・男女平等推進委員会 下目 美雪
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1. 女性部運動から男女平等推進委員会の運動へ
1999年10月7日、第9回女性部定期大会で女性部を発展的解消し、男女平等推進委員会にその運動を引き継ぐことを決定した。
発足当時から運動方針の中に「女性部のいらない社会に」と題して、女性に関わる課題は女性だけのものではなく、自治労全体の組織で取り組むべきものとしてとらえ、各支部の男女平等推進委員会の定着と活動の充実、女性部を発展的解消し、本部を中心に男女の組合員で設置されている「男女平等推進委員会」に一本化することを掲げていました。
1999年9月24日、自治労名古屋第10回定期大会で、自治労名古屋21世紀計画に基づき女性部を男女平等推進委員会に改組して発展的解消し、男女平等推進運動の更なる前進を目指すことを確認していた。
自治労名古屋21世紀計画は、1997年8月に案が示され9月22日の第8回定期大会で承認されたものです。その計画の「男女がともに担う自治労運動の展開」で、女性参画を実現するためにはこれまで女性に関わる問題とされてきた課題について、組織をあげて取り組むことが重要であると説明している。また、「男女が担う自治労運動をどう具体的に展開するか」では、2000年を目途として「男女平等推進委員会」の定着及び活動の進捗によって女性部の発展的解消をめざし、その際には、本部の「男女平等推進委員会」を「男女平等推進部」に改める、としている。
自治労が「女性参加推進計画」の策定に着手したのは1994年2月。翌1995年の第64回定期大会で「男女がともに担う自治労計画」と改称して決定した。それまでの長い自治労運動では、「女性の問題」は女性部が担い、「母性保護」を中心に制度改善を進めてきた。しかし、それだけでは職場における対等なパートナーシップを確立していくには不十分で、男女ともに担うことが重要であると考えられるようになった。
そして、自治労は2002年度から「男女平等産別統一闘争」と銘打って、男女平等参画の課題を産別全体で取り組むことにした。男女平等参画社会を実現するために、職場・家庭・地域の三位一体で取り組むことが重要であるというものです。どんな場所であれ、女性だけで実現できるものではなく、男性も一緒に取り組むことによって実現していきます。
愛知県本部も2002年9月女性部総会で解消が決まり、県本部大会で「男女がともに担う委員会」に一本化することが承認された。
2. 男女平等推進委員会としてスタート
一本化された男女平等推進委員会は女性部が担ってきた役割を引き受けることになり、新たな出発をした。
委員会は、毎月1回の開催が定例化し、各支部から男女2人の委員が選出されて委員会の構成メンバーとなった。執行部も男女平等推進部として、専門部のひとつに格付けされた。
最初は男性の委員が少なく、女性部の延長のような顔ぶれだったが、年数を経るに従って、男性の出席が少しずつ増えてきた。
以前は、女性部の活動と本部の活動とがあまり横の連携が取れていない状態であったが、一本化したことにより、委員会で本部のホットニュースが報告されたり、委員会で議論したことが本部の執行委員会で報告されるようになった。
それまで女性の問題として課題となっていた「生理休暇」「更年期障害」「育児休業」「育児時間」「セクシュアル・ハラスメント」「お茶くみ等職場慣行」など、男女で話し合うことができるようになった。
本部がまとめる賃金関連要求にも、委員会で話し合われたことが盛り込まれるようになった。また、男女平等に関する課題については必ず委員会で話し合い、その結果をもとに本部の執行委員会で話し合われるようになった。
年次休暇の時間取得の問題にしても、要求としては女性部の頃から要求事項として掲げられ、本部の賃金関連要求の中にも加えられていたが、執行委員会で真剣に議論されたことはなかった。しかし、仕事と家庭の両立支援の立場から男女平等推進委員会では、是非とも実現させたい問題として話し合われ、執行委員会で議論されることになった。
(1) 毎年の6月の男女平等推進月間の取り組みとしては
2001年5月、「あなたの職場のやじろべい度チェック」と題して職場の男女平等をチェックするアンケートを行い、6月の「男女平等推進月間」の記念講演では「今、なぜ、男女平等条例?」をテーマに、金城大学教授武田万里子さんを招き、その結果を報告した。
2002年5月、「公正なワークルールづくりのためのチェックリスト」と題して職場のワークルールが男女平等になっているかどうかをチェックするアンケートを行い、各支部訪問を本部執行委員と委員会メンバーとで行った。その結果をもとに、6月の記念講演では「let's Step Up! いい風吹かそ男女平等産別統一闘争」をテーマに、自治労健康福祉局長徳茂万知子さんを講師に招いた。
2003年6月、記念講演では「見逃していませんか! あなたの楽しみ"男も子育て"」をテーマに、育児休業をいち早く取得した東京都の職員富永誠治さんを招き、男性の育児参加について理解を深めた。
2004年6月の記念講演は、「男女が働きやすい職場をめざして」をテーマに、民間の企業で先進的に子育て支援に取り組みファミリーフレンドリー企業として認証された㈱丸栄の人事担当課長の河村ふさ子さんを講師に行った。㈱丸栄では休業前後に面接で制度の説明や、本人の状況の聞き取りをしたり、休業による疎外感をなくすために通信物を自宅へ配布したりして、連絡を密にして職場復帰がスムースにいくようにしているなどが分かり、働きやすい職場のあり方を学んだ。
(2) この間の要求実現の取り組みでは
2002年4月からの「育児休業3歳までに延長」に先立って、2001年10月「仕事と家庭の両立を進めるための職員と家族の1万人署名」を取り組み、「育児時間の3歳まで延長」と「年次休暇の時間取得」をセットで要求した。その結果11,707人の署名が集まり、職員部長に提出し、両立支援の前進を訴えた。
2002年10月から年次休暇の時間取得が認められることとなった。
また、育児時間については、2003年4月から1日90分から105分に延長され、取得期間は育児休業終了後1年間で、上限2歳6ヶ月までとなった。育児休業については職員が取得した後配偶者が3ヵ月以上取得すれば再度職員が取得することができることとなった。
2004年4月からは、育児時間は1日105分から120分に延長された。また、係長昇任選考の在職年数に育児休業期間が通算され、定期昇給の延伸事由・成績特別昇給の欠格要件から分娩看護職免や看護職免が除外されることとなった。
3. 今後の課題
男女平等参画は時代の流れとして、組合の将来を考えた場合、組織全体の最重要課題であるという認識がまだまだ薄いということです。本部の体制は任務分担で決められていますが、組合として行う全ての活動に男女平等参画の精神が浸透していなければ、男女平等参画を取り組んでいるとはいえません。一部の執行委員だけが取り組んでいても、組合全体の問題に発展しません。そういう意味で、執行委員一人ひとりが男女平等参画の意識をもつことが必要であるということです。
また、各支部において、男女平等推進委員会をつくることです。女性部として女性だけが話し合っているだけでは、支部全体の問題として認識されず、問題解決になかなか至らないのが現状です。支部でも男女で担う組合を作ることが重要です。
次世代育成支援対策推進法が2003年7月に成立し、その行動計画を2004年度中に策定することが自治体に義務付けられています。これを追い風として、男女が働きやすい職場を実現するために、男女平等の課題を組合全体の取り組みとして強化していくことが今こそ必要な時です。
《参 考》
1999.4.1施行 セクハラ防止要綱
2000.4.1 女子事務服の廃止(ただし、着用することはOK)
2000.8.1 外部相談員によるセクハラ相談窓口設置
2001.2.1 旧姓使用取扱要綱
2002.4.1 男女平等推進なごや条例
2002.10.1 年次休暇の時間取得
2002.11.1 名古屋市男女平等参画苦情処理制度
2003.4.1 育児時間の取得が男女平等、105分、最長2歳6ヶ月
2004.4.1 育児時間120分
自治労名古屋切り抜き(2003年7月1日付け)
自治労名古屋切り抜き(2004年7月1日付け)
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