【自主レポート】

自治労広島県本部・平和活動委員会の取り組み

広島県本部

 平和運動は、取っ掛かり安く、理屈を必要としない、非常に分かりやすい運動です。身体を動かすことが多く、終わった後の達成感もある等の理由で、労働運動の登竜門です。特に青年部・女性部運動の柱ともなっています。
 その平和運動が取り組みにくくなっています。例えば、平和行進、平和の火リレーなど、これまで、職専免や特別休暇等で対応できていたものが、当局が認めなくなったり、教育現場では、生徒の参加が困難になってきており、教組自体も及び腰です。また、戦後60年ということは、自治体職場から現役の被爆者がいなくなるということです。そして、被爆者の高齢化は着実に進んでおり、二世運動をどう進めていくかを考えていかないと、被爆者の頑張りだけでは原水禁運動は自然消滅してしまいます。えてして「世界最初の被爆地ヒロシマ」の上に乗っかかった運動となり、新しい動きを作る、広げていくといった取り組みも不十分でした。また、非核自治体宣言の取り組みは県内全体へと広がりましたが、そのことを具体的に実効のある平和行政へとつなげることはできていません。
 被爆60周年を前に、なんとか平和運動を再構築しなければなりません。そこで、原水禁の被爆60周年記念大会をひとつの到達点とした、具体的な運動を作り上げていこうと、広島県本部の中に平和活動委員会を設置しました。
 2004年5月に開催した地方自治研究広島県集会の平和・人権の分科会で、県内各単組の取り組み状況の調査結果を報告し、今後の運動をどう進めていくか議論をしました。
 その調査結果を報告します。
  対象単組 96
  報告単組 58
  回答率  60.42%

1. 平和活動委員会 各単組の取り組み状況

項   目
毎回実施(参加)している
ほぼ実施(参加)している
80%以上
ときどき実施(参加)している
40~80%
ほとんど実施(参加)していない
40%以下

(1) 反戦・反核座り込み行動
(参加人数は別として)

11単組
19.0%
9単組
15.5%
10単組
17.2%
28単組
48.3%
取り組める理由  平和都市広島に本部を設置する県本部の平和への願い、基本方針は単組の意向に合致している。
 核実験抗議のすわりこみが根付いており、結集できる場所がある。 
 「非核・平和宣言の町」をアピールしているため、行政と一体となって取り組んでいる。
 執行部からの要請と各級機関の連携が取れているから。
取り組めない理由  急な案内で対応できないことが多い。
 組織的にそこまで成熟していない。
 大衆運動になっていないため。
 時間的制約がある。時間外職場委員会などで対応している。
 反戦・反核への認識不足が考えられる。
 地区労で参加しているため単組で取り組んでいない。
 過去に実績がなく、新たな取り組みとして難しいため。
 単組独自の活動として基本方針を議論していないため実施できていない。
 座り込みという行動形態に対し、組合員が抵抗をもっている。

項   目
毎回実施(参加)している
ほぼ実施(参加)している
80%以上
ときどき実施(参加)している
40~80%
ほとんど実施(参加)していない
40%以下
(2) 反核平和行進について
(参加人数は別として)
35単組
60.3%
11単組
19.0%
4単組
6.9%
8単組
13.8%
取り組める理由  例年実施しており、慣例化されているため取り組みやすい。
 今日までの経過の中で、参加しやすいものと位置づけている。
 平和都市広島に本部を設置する県本部の平和への願い、基本方針は単組の意向に合致している。
 地区労等の事務局をしている関係や単組で青年部が取り組んでいる。
 県実行委員会のコースから外れているが独自で実施している。
 単組内の平和活動の中心的位置としている。
 意義を理解して取り組んでいる組合員がいるため。
 「非核・平和宣言の町」をアピールしているため、行政と一体となって取り組んでいる。
 行進は、比較的気軽に参加している。
 執行部からの要請と各級機関の連携が取れているから。
取り組めない理由  単組独自の活動として基本方針を議論していないため実施できていない。

項   目
毎回実施(参加)している
ほぼ実施(参加)している
80%以上
ときどき実施(参加)している
40~80%
ほとんど実施(参加)していない
40%以下
(3) 反核平和の火リレーについて(参加理由について)
52単組
89.7%
1単組
1.7%
 
 
5単組
8.6%
取り組める理由  例年実施しており、慣例化されているため取り組みやすい。
 今日までの経過の中で、参加しやすいものと位置づけている。
 青年部・女性部の取り組みの柱となっている。
 平和都市広島に本部を設置する県本部の平和への願い、基本方針は単組の意向に合致している。
 地区労等の事務局をしている関係や単組で青年部が取り組んでいる。
 平和活動行事としての認識が強く、当局の協力もあるため。
 単組内の平和活動の中心的位置としている。
 意義を理解して取り組んでいる組合員がいるため。
 「非核・平和宣言の町」をアピールしているため、行政と一体となって取り組んでいる。
 行進は、比較的気軽に参加している。
 執行部からの要請と各級機関の連携が取れているから。
 組織内議員からも首長に対し、協力を呼びかけてもらっている。
取り組めない理由  単組独自の活動として基本方針を議論していないため実施できていない。
 単組としての取り組み不足で、組合員の意識も薄れている。

項   目
ほとんど参加している
80%以上
ほぼ参加している
60~80%
ときどき参加している
30~60%
ほとんど参加していない
30%以下
(4) 原水禁大会の参加について(参加人数は別にして)
40単組
69.0%
8単組
13.8%
1単組
1.7%
9単組
15.5%
取り組める理由  例年実施しており、慣例化されているため取り組みやすい。
 今日までの経過の中で、参加しやすいものと位置づけている。
 平和都市広島に本部を設置する県本部の平和への願い、基本方針は単組の意向に合致している。
 意義を理解して取り組んでいる組合員がいるため。
取り組めない理由  単組独自の活動として基本方針を議論していないため実施できていない。
 単組としての取り組み不足で、組合員の意識も薄れている。

項   目
実施している
ときどき実施している
実施していない
その他
(5) 単組で平和学習会の開催
(講演会・ビデオ鑑賞・その他)
15単組
25.9%
10単組
17.2%
30単組
51.7%
3単組
5.2%
学習の内容と参加状況・組合員の反応  平和の火リレーに伴い、平和の夕べと題して青年部を中心に行っている。
 映画学習を主に行っており、組合員がほぼ全員参加している。この学習会は、組合員に改めて平和を考える機会となっている。
 反核平和の火リレーで走る意味を学習し、平和運動につなげている。
 青年女性部で取り組んでいる。参加者は平和の大切さを改めて感じているが、参加者が毎年同じ人となっているという課題もある。
 反戦・平和についての体験学習会(2泊3日) 毎年30人参加。
 拡大執行部学習会で現地学習や講演が中心。
 毎年8月に開催するため、参加程度は8割程度と組合員の関心は高い。
取り組めない理由  指導的立場で関わる人がいない。
 大衆運動・単組の全体的な運動となっていない。
 平和がいつまで続くかわからない状況に対する危機意識が薄い。
 過去に実績がなく実行できない。
 独自に企画する能力がない。
 特定の人に組合業務が集中しているため、学習会の準備ができない。

項   目
実施している
ときどき実施している
実施していない
その他
(6) 平和集会の開催について
(平和行進・リレー等の庁舎前集会・その他集会)
43単組
74.2%
8単組
13.8%
6単組
10.3%
1単組
1.7%
平和集会を開催できない理由  仕事が忙しく、一定規模以上の動員ができない。
 平和集会を単組で計画していない。参加のみを考えている。
どのように工夫して実施していますか  組合員全員に周知を行い、毎年継続して行う。
 市長・助役・教育長など当局に参加してもらい、当局を巻き込んで計画する。
 反核・平和の火リレーに合わせて夕・朝の庁舎前集会を行っている。夕の集会には町長や被爆者団体からメッセージをもらっている。
 広教組・解放同盟と連帯し平和に関する映画を上映してきたが、町の予算がなくなり単組での学習会に変更。
 時期時期に応じたタイムリーな内容になるようできるだけ努力している。
 8・6原爆の日の集会を庁舎前で全員集会として取り組み市内・消防・寺院等にサイレン、鐘のお願いをしている。

項   目
すべて対応している
要請の80%以上
ときどき対応している
要請の40%以上
あまり対応していない
要請の40%以下
その他
(7) カンパの対応
36単組
62.1%
6単組
10.3%
16単組
27.6%
 
(8) 署名の対応
41単組
70.7%
6単組
10.3%
11単組
19.0%
 
(9) 平和運動に対して、調査項目の他に工夫した取り組み  機関会議にて意識統一を行い、組織的に取り組んでいる。また、同時に機関紙によるPRを行っている。
 県本部から参加要請がある集会に参加する場合は、現地と係わりある平和活動家から事前に話を聞いて学習を深めている。
(10) 平和運動に対して、単組予算の都合で参加できない事情・取り組みの改正点や県本部への要望等について  平和運動の必要性・組合の関わり方など組合員を対象とした学習会の実施。
 8月3日の平和行進において山口県から広島県に引き継ぎがあるが、人数が足りないので協力を要請したい。
 平和運動が動員消化型で取り組んでいることを反省したい。
 国の反動的な組合員の意識低下など平和運動の更なる取り組み求められている。
 原水爆世界大会等の形骸化しているので、新しい取り組みが求められている。
 組合員数の減少に伴う、組合予算規模の縮小、運動に参加可能な組合員数の確保の困難さ、さらに継続課題への取組み等が多忙なため、平和運動が充分取り組むことができない。