【自主レポート】

自治体における地球温暖化防止対策の具体化

三重県本部/朝日町役場町民福祉課・主事 後藤 秀彦

1. 基本的事項

(1) 計画の目的
   20世紀の急速な産業活動の進展により、人類は物質的に豊かな生活を獲得し、その一方で地球温暖化を引き起こしました。1980年代後半から地球温暖化問題に対する国際的な関心が高まり、1992年各国で温暖化対策を行うため「気候変動枠組条約」が作成され、1997年12月に京都で開催された「第3回締約会議(COP3)」において、先進各国の温室効果ガスの削減目標等を定めた「京都議定書」が採択され、日本は2008年~2012年の間に1990年比6%削減することを世界に約束しました。
   国内では、「京都議定書」の6%の目標を達成するため1998年に「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下、「法律」という)を制定し、国・地方公共団体・事業者及び国民の責務を明らかにしています。
   地球温暖化の原因は、現在の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムそのものであり、このシステムを変えていくため住民・事業者・行政が一体となって日常生活や事業活動からの温室効果ガスの排出削減に取り組むことが重要です。
   このことから、法律では地方公共団体に対して、自らの事務・事業における温室効果ガスの排出抑制等のための措置に関する計画(実行計画)の策定を義務付けています。
 この法律の趣旨を踏まえ、朝日町は電気使用量の削減、廃棄物の減量化等を通じ、温室効果ガスの排出削減に率先して取り組むため「朝日町地球温暖化対策実行計画」を策定します。

(2) 計画の期間
   2001度~2005年度  5ヵ年

(3) 計画の範囲
   実行計画の対象範囲は、本計画4-(1)に掲げる、計画の推進と実施状況の点検における推進・点検・実行体制図に示す各課等の事務及び事業とする。
   外部への委託等により実施するもので、温室効果ガスの抑制等の措置が可能なものについては、受託者等に対して必要な排出抑制等の措置を講ずるよう要請するものとする。

2. 計画の目標

(1) 温室効果ガスの総排出量(現況)
   計画の策定に関して、まず朝日町の事務及び事業がいかに環境に対して負荷をかけているか現状を把握することが重要であり、これにより温室効果ガスの排出量を試算し、考慮していくことが計画をより確実に推進するためには不可欠である。
   このため実行計画を策定する基準年度である平成13年度の調査結果を報告する。
  ① 電気使用量
    電気の総使用量は、1,007,291kwhである。施設管理別の使用量は図1に、その使用割合は図2のとおりである。

図1 施設管理別使用量

電気使用量

図2 施設管理別使用割合

電気使用量割合

  ② 水道使用量
    水道の総使用量は、16,588m3である。施設管理別の使用量は図3に、その使用割合は図4のとおりである。

図3 施設管理別水道使用量

水道使用量


図4 施設管理別使用割合

水道使用量割合


  ③ 公用車燃料使用量
    公用車燃料使用量の総使用量は、11,753.56リットルである。管理別の使用量は図5に、その使用割合は図6のとおりである。

図5 管理別公用車燃料使用量

公用車燃料使用量

図6 管理別公用車燃料使用割合

公用車燃料使用量割合

  ④ ガス使用量
    ガスの総使用量は、9,088.6m3である。施設管理別の使用量は図7に、その使用割合は図8のとおりである。

図7 施設管理別ガス使用量

ガス使用量

図8 施設管理別使用割合

ガス使用量割合

(2) 温室効果ガス排出の実態(現況)
  ① 月別温室効果ガス排出量
    温室効果ガスの総排出量は、194,670kg-CO2である。月別の温室効果ガスの排出量は図9に、その発生割合は図10のとおりである。

図9 排出源別の月間二酸化炭素排出量

二酸化炭素(CO2)排出量

図10 二酸化炭素発生割合

二酸化炭素(CO2)排出割合

(3) 温室効果ガスの排出削減目標
   2001年度を基準年とし、平成17年度温室効果ガスの総排出量を6%削減することを目標とする。

年  度
総温室効果ガス発生量
削減率
2001年度
CO2=194,670kg
2002年度
CO2=188,830kg
3%
2003年度
CO2=186,883kg
4%
2004年度
CO2=184,937kg
5%
2005年度
CO2=182,990kg
6%


3. 計画への取り組み

(1) 計画の目標

 
項   目
数値目標
内        容
電気使用量の削減 6%以上 対象施設における電気使用量を2001年度を基準に6%以上削減する。
公用車燃料の削減 6%以上 公用車燃料を2001年度を基準に6%以上削減する。また、更新時等において積極的に環境にやさしい車を購入する。
水道使用量の削減 6%以上 対象施設における水道使用量を2001年度を基準に6%以上削減する。
用紙等紙類の使用削減 6%以上 用紙等紙類の使用量を2001年度を基準に6%以上削減する。
事務用品等消耗品の使用削減 6%以上 事務用品等消耗品の消費量を2001年度を基準に6%以上削減する。また、積極的に環境に配慮した事務用品等を購入する。

(2) 取り組みに関する具体的な施策
   上表1~5の項目について数値目標を達成するため、全職員が日常業務の中で具体的に実行していく施策を次のとおり示す。
  ① 電気使用量の削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
1
照明機器の使用管理 ・事務所内照明の間引き消灯を行う。
・退庁時の不要照明の消灯を行う。
・ノー残業デイ(毎週水曜日)を徹底する。
空調機器の使用管理 ・冷暖房用空調機器は、室内冷房温度28℃、室内暖房温度20℃を目安に運転する。稼動期間は、冷房6月15日~9月3日、暖房12月1日~3月31日とし、運転時間は8:00~17:30を原則とする。
・夏季3ヶ月間(7月1日~9月30日)のサマーエコスタイルを徹底する。
OA機器の使用管理 ・退庁時にはパソコン、プリンター、コピー機の電源OFFを徹底する。
宿日直者の管理 ・宿日直者は、施設内勤務者・利用者等を確認し不必要な照明機器・空調機器を停止する。

  ② 公用車燃料の削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
公用車の整備 ・新規、更新購入時には用途に応じて積極的に低公害車を導入する。
公用車の管理 ・駐停車時にはアイドリングストップを徹底する。
・経済運転を励行する。
・運行簿の記入を徹底する。
・タイヤ空気圧等整備点検を定期的に実施する。

  ③ 水道使用量の削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
適切な水利用 ・日常的に節水に心がける。
・節水PRの啓発物を蛇口等に掲示する。

  ④ 用紙等紙類の使用削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
用紙等紙類の有効利用 ・コピー機、印刷機での両面印刷を徹底する。
・ミスコピーを防止するため、コピー機使用後のリセットを徹底する。
・ミスコピーの裏面利用及び不要用紙のリサイクルを徹底する。
・ポスター、パンフレット、封筒等印刷物には古紙配合率の表示を徹底し、その重量を把握し管理する。

  ⑤ 事務用品等消耗品の使用削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
購入する物品 ・詰め替え可能な消耗品の優先購入。
・環境ラベリング(エコマーク、グリーンマーク等)対象製品を積極的に購入する。
・用紙類は古紙配合率70%以上、白色度70%以上のものを購入する。

  ⑥ 廃棄物の削減

 
推 進 施 策
具 体 的 行 動
廃棄物の削減 ・適正な廃棄物の分別排出。
・古紙のリサイクルを徹底する。
・機密書類以外のミスコピー用紙は、廃棄せずリサイクルすることを徹底する。


4. 計画の推進と点検・評価

(1) 推進体制
   本計画を効果的かつ継続的に実施するため、次の体制により推進します。
   『ISO14001認証取得している機関、そうでない機関についても「ISO14001環境管理組織図」を活用し計画の推進を図る。』

朝日町環境管理組織図


(2) 計画の点検・評価

   ISO14001認証取得している機関、そうでない機関についても「環境マネジメントシステム文書」に基づき運用管理する。

(3) 実施状況の公表
   計画の進捗状況については、広報誌及びホームページ等により公表する。

(4) 職員に対する研修・啓発
  ① ISO14001「環境マネジメントシステム文書」により、地球環境保全に関する職員研修を実施する。
  ② 個人用ノートパソコンLANシステム等により環境保全に関する情報を職員へ提供する。