【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 当町が独自に生み出した大きな広がりを持つ言葉の造語として、レ・コードが意味する「心の再生・回復」つまり、現代において失われつつある本来の大切な価値である「心・やさしさ・いやし・ゆとり・やすらぎ」が実感できるまちを「レ・コードなまち」と定義し、すべての町民が健康で楽しくいきいきと暮らし、笑顔があふれる新冠町の創造に向けて、我々職員は、地域住民との信用・信頼できる密接な関係を築いていることができているのか自由に考えてみました。
  レ・コード ⇒ RE(再生)・CORD(心) ⇒ 心の回復、心の再生、大切なものに帰る心



小さな自治体と地域住民の関係を考える


北海道本部/自治労新冠町役場職員組合

1. はじめに

 私ども小規模自治体職員は、地域の小道から家庭環境の隅々まで把握できる環境下にあります。
 反面、逆の立場から考えると、身近な距離ゆえに、地域住民から職員も常に監視、期待、把握されて密接な位置関係にあることを自覚しなければなりません。
 果たして、どれくらいの職員が常日頃から、それらの自覚を持った勤務態度を心がしているのでしょうか。
 自分たちなりに望ましい職員像のあり方をほんの少しだけ考えてみたくなりました。
多くの自治体やわが町の地域住民への行政運営の想いと思惑、反面、地域住民が行政へ本当に望んでいると考えられる本音も勝手に推測しながら、両方からの視点でそれぞれの想いを考えました。


ところで最高の望ましい自治体職員とは何か。 ⇒ その答えは……今まだわからない。

   
大きな壁画
 
役場庁舎
 
レ・コード館

2. “心”

 全体の奉仕者であるべき公務員が起こした不祥事が、最近よくテレビ、新聞報道されています。
 公務員は、国民の税金を給与として頂いています。
 そのことを各自が自覚し、自らの行動に責任を持たなければならないことは言うまでもありません。
 全体の奉仕者にあるまじき人も存在しています。人間の性格や思想は千差万別で、どんなに指導しても変わらない部分があるのも紛れもない現実でしょう。
 全ての公務員に、また役所(職場)に問題があるわけではないですが、確かに、職務上の立場を悪用した公務員がいることは事実です。
 しかし、あなたを含めて、ほとんどの公務員が真面目に一生懸命働いているのも事実なのです。
 一部の者の不祥事(公金横領、飲酒運転など)や仕事の怠慢者(大事な事を軽く忘れたり。上っ面の仕事しかしない職員など)によって、全ての公務員が悪人であるかのような批判をされる住民がたまにおりますが、その方は公務員に対する“偏った固定観念”をもっていると思われます。
 しかし、考えようによっては、私たちに「公務員として、わすれてはならない自覚」や「程よい緊張感」を与えてくれる有難い言葉として受け止めてはどうでしょう。
 何事も前向きに捉えましょう。そして、絶対的な正義の心、責任感のある心、半歩一歩の配慮の心、福祉の心、その他いろいろな心をたくさん持ちましょうよ。なぜなら私たちは、自治体職員なのだから……。


最高の望ましい職員とは何か。 ⇒ どうしても、まだ、わからない。

3. “やさしさ”

 多くの小規模自治体は地域住民のさまざまな現状を理解、把握したうえで、息の長い取り組みを進めていることでしょう。
 自らの地域の生産と生活にかかわる総体を把握し、その問題点を政策課題として明確化し、それを具体化に施策化することは、お互いに顔のわかる関係にある小規模自治体だからこそ効果的になされるといえます。
 この利点を生かして、町村職員の多くは自らが永住型の地元住民であり、特に自治体が小さいほど、地域住民との繋がりが深くなります。
 こうした状況下にあることから地域活動に役所の職員というだけで、地域の各種団体・組織への参加を半ば強要されることもあると思われます。
 地域密着型の地方公務員という立場上、なかなか断りきれるものではありません。  
 しかし、多くの職員は、地域活性化のために思いやりのある“やさしい”決断の上、参加、協力をしている方々もたくさんいるでしょう。
 もちろん、全ての職員が各種団体に首を突っ込んでいる訳ではなく、全く関係していない職員も少なくありませんが、やさしい職員が豊富な自治体は、きっと多くの職員が忙しい中においても、地域自治会役員やPTA、各種後援会の活動、まちづくり団体やサークル・運動活動の中心的な活動に参加されている傾向が強いのは間違いないでしょう。
 特に小規模自治体の職員の場合、このように仕事と直接関係のない活動も多いわけで、単純に市町村職員としてどんな仕事をしているのかだけでは計りきれない部分があります。
 もちろん、部署によっては、本来の仕事だけで過酷な状況になっているところも多く、当然ながら、全ての役所が、また職員が暇なわけではないので、地域を支えたい、盛り上げたいが出来なく心で泣いていることでしょう。本当にあなたはやさしい人ですね。
 地域住民はあなたの“やさしさ”を求めております。 仕事だけのやさしさでも良い。 仕事外も合わせればもっと良い。


最高の望ましい職員とは何か。
・公務員としての自覚を強く持ち、住民に対して公正・公平・誠実に対応できる職員
・求められる職員像の既成概念にとらわれない自らも地域の一員であるとういう意識を持ち、柔軟な
発想をする職員。
・住民目線を重視する職務に取り組むことができる職員  など

本当にこれだけでいいのか? ⇒ やはり、まだわからない。


4. “いやし”と現実

 何と言っても我が町の自慢は、新冠温泉とレ・コード館であり、温泉での癒しは多くの方々より高い評価を頂いています。また、レ・コード館における風流ある音楽もまた心が癒されます。
 主な産業と言えば……農業であり、大きく軽種馬・酪農・肉用牛が主であり、春を過ぎると小さな町内のあちらこちらの道路両側一面に緑が濃さを増す放牧地が広がり、点在する馬たちがゆったりと草を食べ、駆けっこをしているのどかな牧場風景もまた心が本当に癒されます。

 でも、多くの牧場の現状を教えましょう。
  ⇒ 当町は、経営者の年齢は60歳以上が約3割を占め、高齢化の傾向が顕著になっており、農業後継者のいる農家の割合は全体の2割程度にとどまり、近い将来、高齢化による離農者の増加が懸念されています。
    また、基幹産業の軽種馬生産が長引く経済不況の影響による販売不振と1頭当たりの販売単価が低下基調にある状況下にあり、多くの軽種馬生産者は経営がひっ迫している状態であります。

 職員組合も応援
  ⇒ われわれ職員組合としては、町の政策とは別に出来る身近な努力として道営競馬の活性化を図るべく、数多くの職員を馬券場や応援イベント会場に派遣を行い、馬券購入による産業の活性化を図る地道な協力を取り進めております。小さな小さな地域活性化の努力です。また、馬券が当たれば心が癒されますよ。
    是非、道営競馬を応援してください。そして、当たり馬券で仕事のストレスを発散してください。


5. “ゆとり”

 私なんて真面目に仕事をしているのに、地域住民からは決して高い評価を与えられていないと思う。同僚職員からもそう評価されていると思う。
 納得できないこんな人事、意味がわからないあんな人事。さらに何かことがあれば、すべてが行政の責任として批判されることが日常的に各地で起きている。
 どこか不条理で公平性を欠くことがあり、真面目な職員ほど無力感に囚われやすい状況が多々あるのではないだろうか。
 しかし、住民の側に立ってみれば、世界が目まぐるしく変化し、仕事や生活の環境が激変している中で、個人も地域社会も生活不安を抱えている時に、そんな贅沢な悩みなんて……と思う住民は多いと考えられます。
 住民の中には、本当に税金の納めがいのある地方自治体であるか否かを切実な問題として考え、悩んでいる人もいるかもしれません
 この住民の視点から発想すれば、日々の生活がギリギリ状態であり、心も財布も“ゆとり”がない。
 税金だって、払わないのではなく、払えないということを理解してほしいと思っていることでしょう。
 あなたが感じている不条理さもわかる。でも、気持ちや発想の矛先をかえ、まさに地域住民が感じている理不尽さを少しでも解消してあげることによってあなたの不条理さが少しは克服されるかもしれません。
 あなたは、きっと頑張っている。アントニオ猪木がよく言っている「とにかく元気があれば何でもできる。」
 心に“ゆとり”を持ちましょうよ。 心に“ゆとり”がないといい仕事をすることは難しいと思いますよ。


6. “やすらぎ”

 やすらぎを求めて、みな新冠温泉レ・コードの湯へ



7. “まちづくり”

 時代は、きっと自治体職員に、公務員としての資質の向上だけでなく、公務員としてのあり方そのものの自覚的転換を求めているのではないでしょうか。
 こんなことで地域住民と一緒に良いまちづくりができるのですか。
・一部の自治体職員は、あえて住民と接することを極力避け、または必要性を感じることなく、上司の顔色や機嫌を取り、考えることは自分の保守、それが住民から見た自治体職員像を著しく片寄ったものにしていることを理解していない職員。
・膨大な書類づくりや雑用の処理などの見えない事務にいつも押しつぶされている職員。
・住民が地域づくりに関心を持ち情報の提供を求めたり、行政に意見を提起したりした時に、自治体職員が情報を出し渋ったり、住民の意見を無視したとしか思えない対応をした場合。 など

 多くの住民が行政に失望の声をあげるのは、こんなことでもすぐに発生すると考えられます。
 住民に何かを要求する前に、自治体職員自らが行政情報の住民との共有に熱意を持って取り組むことで住民のレベルを向上させ、住民の問題提起を正面から受け止めてその中から行政の政策課題を抽出する資質を磨くことができると思われます。
 住民が行政に不満を抱くのは多く場合、行政は自分が正しいことを前提としていて、住民の意見を理解する前に住民に理解を押し付けようとすることであります。住民の声を要望として聴くだけではなく、そこに政策課題に関する情報を聴き取る姿勢を持つことで、質疑応答を含めた真剣な対話が成り立ち住民の行政職員に対する満足度は確実に向上することでしょう。
 さらに、まちづくりへの住民参加を鑑みるに、「まちづくりを支える人材の育成」も欠かせない視点であると言えます。
 このことは、行政がまちづくりに関する会議を招集するとき、どの会議を見ても、結局選出されて出席する「同じ顔ぶれ」といった事態が起こることからも明らかなように、現状「まちづくりを支える人材」は稀少である。
 一部の人間が複数の役職を兼務しているケースが多く、地域における人材確保は永年の課題と言えましょう。
 いずれにしても、ネットや行政情報雑誌などによく出てくるキーワードのはやり言葉であります住民との“協働”を実現するためにも、行政側の意識改革が最重な課題と考えられます。


8. さいごに「笑顔」

 笑顔あふれるまちづくりを実現するためにも、職員はよく笑い気持ちにゆとりを持ち、仕事に遣り甲斐を見出すようにしなければなりません。
 自らを動機づけ、自らの職務の全体的意義を理解し、主体的に職務に取り込む職員が多い自治体のまちづくりはきっとお手本となることでしょう。
 最後に笑顔になれるように、

 ・スぺシャリストになりましょうよ。 あなたは行政のプロでしょう。
 ・ギスギスした職場環境を打開しましょうよ。 あなたなら出来るでしょう。
 ・ちゃんと仕事をしましょう。 なぜなら自治体職員なのでしょう。
 ・やっぱり頼りになる。 といわれる自治体職員となりましょう。
 ・ん?というな 住民は萎縮、不安になるでしょう。
 ・だって、だから、の上から言葉を無くし、すいません、しつれいしました、の下から対応をしましょう。
 ・ぜったいに止まるな。ちょっとずつでも良いと思う方向に進もうよ。 地域住民のためになるのだから。


最高の望ましい職員とは何か。⇒ その答えは……まだ決まっていない。