【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 新発田市職員労働組合では、職員相互の親睦と一般市民の組合活動への理解浸透を図るため、2010年から市民協働事業に取り組んでいる。この3年間は、「エコ」をテーマとし、海岸等の清掃活動や「エコ」に関するクイズなどを行い、地球環境に対する関心と理解を深めてもらうように努めてきた。本稿では、これまでの取り組みについて振り返る。



労働組合における市民協働事業の取り組み
~藤塚浜ぴっか☆ぴか 大作戦~

新潟県本部/新発田市職員労働組合 石井 克行

1. はじめに

 近年、市民との協働の必要性が叫ばれている中、新発田市職員労働組合では、2010年に市民協働事業実行委員会を立ち上げた。その目的は、職員相互の親睦と一般市民の組合活動への理解浸透を図り、組合運動の更なる発展のため、市民協働事業を展開しようというものである。実行委員会では、具体的な取り組みについて検討を行い、テーマを「エコ」とした清掃活動に取り組むことを決定した。この3年間は、多くの海水浴客が訪れる藤塚浜を会場に、「藤塚浜ぴっか☆ぴか 大作戦」と称し、海水浴シーズン前である6月下旬に清掃活動を行った。また、「エコ」に関するクイズなど、さまざまなイベントを盛り込み、子どもたちが清掃活動に参加しやすいよう工夫した。なお、藤塚浜は旧紫雲寺町であり、合併により新発田市となったところである。


2. 藤塚浜ぴっか☆ぴか 大作戦

(1) 2010年
① 実施内容の検討
  2010年は初めての取り組みであることから、実行委員会で数回にわたり実施内容を検討した。その結果、藤塚浜の清掃活動を行うこととしたが、家族で参加してもらえるよう子どもたちが楽しめるイベントもあわせて開催することとした。今回は、清掃活動終了後、地引網体験とエコクイズを行うこととした。また、清掃活動は早朝から行うため、地引網体験後におにぎりと豚汁を浜茶屋でふるまうこととした。なお、環境のことを考え、豚汁を食べるのに必要な箸とお椀は、参加者に持参してもらうこととした。さらに、チャリティー募金として、参加者に募金をお願いすることとし、募金は市の社会福祉協議会に寄付することとした。
  開催時期は6月下旬。募集人員は200人とし、参加費は無料。雨天決行、荒天中止、高波の場合は地引網を中止することとした。
② 周知方法
  組合員に開催案内を回覧。また、組合掲示板や藤塚浜周辺の公共施設等に同案内を掲示した。
  なお、1日保険をかけるなどのため、申込書には参加者の名前、性別、年齢、住所、電話番号の記載が必要である旨、掲載した。
③ 運営方法
  実行委員会のメンバーと執行委員で打ち合わせ。駐車場誘導、受付、清掃活動の先導・中間・最後尾役、エコクイズ出題担当、採点担当、表彰担当など、各担当を決めた。参加申込みが250人程度であったため、2班に分けて行うこととした。なお、地引網体験は地元の方に依頼した。地引網体験でとれた魚は参加者にあげることとした。エコクイズは10問出題し、正解数の多い方に景品をあげることとした。
④ 当日の状況など
  当日は天候もよく、組合員やその家族、市民あわせて252人が参加した。藤塚浜周辺と落堀川周辺を2班に分かれて清掃し、全体で250袋分のごみを回収することができた。落堀川方面清掃班は、途中道路横断などの危険な箇所もあったが、けが人の発生などのトラブルはなく、無事に行われた。清掃後は地引網体験、エコクイズ、おにぎりと豚汁のふるまいを行った。チャリティー募金は、参加者から10,411円の募金をいただき、市の社会福祉協議会に寄付をした。
藤塚浜清掃活動①
藤塚浜清掃活動②
地引網体験①
地引網体験②
おにぎりと豚汁のふるまい①
おにぎりと豚汁のふるまい②

(2) 2011年
① 実施内容の検討
  実行委員会で数回にわたり実施内容を検討した。その結果、2010年に引き続き藤塚浜の清掃活動を行うこととした。子どもたちが楽しめるイベントとして、今回はさくらんぼ種飛ばし大会とエコクイズを行うこととした。そのほか、おにぎりと豚汁のふるまいを行うこととした。また、今回の募金は東日本大震災チャリティーとして行うが、ただ募金いただくのではなく、野菜や果物を販売して得られたお金を募金として寄付することにした。なお、野菜と果物は、市の食料・農業振興協議会の協力により、市内で生産されたものを提供いただくこととした。
 開催時期は6月下旬。募集人員は200人とし、参加費は無料。雨天決行、荒天中止とした。
② 周知の方法
  組合員に開催案内を回覧。組合掲示板や藤塚浜周辺の公共施設等に同案内を掲示した。そのほか、連合下越地域協議会にも周知をした。また、市内に避難している東日本大震災の被災者にも参加を呼びかけた。申し込み締め切り時点で参加予定者数が少なかったため、再度執行委員から呼びかけを行った。
なお、1日保険をかけるなどのため、申込書には参加者の名前、性別、年齢、住所、電話番号の記載が必要である旨、掲載した。
③ 運営方法
  実行委員会のメンバーと執行委員で打ち合わせ。駐車場誘導、受付、清掃活動の先導・中間・最後尾役、エコクイズ出題・採点・表彰担当、さくらんぼの種飛ばしの測定・記録担当など、各担当を決めた。エコクイズは10問出題し、正解数の多い方に景品をあげることとした。さくらんぼの種飛ばしは、未就学児、小学校低学年、小学校高学年、中学生以上にクラス分けをし、各クラス1位から3位のほか、飛び賞、ブービー賞を設け、それらに該当する方に賞品としてさくらんぼをあげることとした。被災者は、2次避難所であるホテル・旅館に避難していたため、会場まで送迎してもらえるよう、旅館に依頼し、バスを出してもらうこととした。
④ 当日の状況など
  当日は組合員やその家族、市民あわせて149人が参加した。藤塚浜周辺と駐車場周辺を2班に分かれて行う予定だったが、雨天であったことから、藤塚浜周辺の清掃は行わず、駐車場周辺を短時間清掃するにとどまった。清掃後は浜茶屋内でエコクイズ、おにぎりと豚汁のふるまい、さくらんぼの種飛ばしを行った。募金は、野菜と果物の販売により、12,861円の募金をいただいた。
駐車場周辺清掃活動①
駐車場周辺清掃活動②
エコクイズ①
エコクイズ②
さくらんぼ種飛ばし①
さくらんぼ種飛ばし②

(3) 2012年
① 実施内容の検討
  実行委員会で数回にわたり実施内容を検討した。その結果、3年連続で藤塚浜の清掃活動を行うこととした。子どもたちが楽しめるイベントとして、今回は宝物探しとエコクイズを行うこととした。そのほか、おにぎりと豚汁のふるまいや募金も引き続き行うこととした。
 開催時期は6月下旬。募集人員は150人とし、参加費は無料。雨天決行、荒天中止とした。
② 周知の方法
  組合員に開催案内を回覧。組合掲示板や藤塚浜周辺の幼稚園・保育園、小学校に同案内を掲示した。そのほか、連合下越地域協議会にも周知をした。
  なお、1日保険をかけるなどのため、申込書には参加者の名前、性別、年齢、住所、電話番号の記載が必要である旨掲載したほか、準備の関係のため、宝物探し参加の有無についても記載いただくこととした。
③ 運営方法
  実行委員会のメンバーと執行委員で打ち合わせ。駐車場誘導、受付、清掃活動の先導・中間・最後尾役、エコクイズ出題・採点・表彰担当、宝物探しの宝物隠し担当など、各担当を決めた。エコクイズは10問出題し、正解数の多い方に景品をあげることとした。宝物探しは、番号札を隠すこととし、景品と番号札を交換するような方法とした。
④ 当日の状況など
  開催1週間前に台風が発生し、当日の天候も荒天が予想されたことから、開催数日前に中止と決定し、参加者に連絡した。


3. おわりに

 清掃活動を通じた取り組みが、参加者にとって環境に対する意識に変化をもたらし、将来を担う子どもたちの時代まで見通した活動につながることを期待している。また、行政を側面から支える活動の一環として、組合員と市民が一体となり取り組める事業を今後も展開していきたい。