【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 あわら市職において以前から「ユース部」設立が求められていた。本レポートは、2012年設立に向けて試行錯誤しながら20~30代のあわら市職員組合執行委員で準備していった記録である。



あわら市職員組合ユース部設立までの歩み


福井県本部/あわら市職員組合 高橋  潤

1. 設立準備委員会立ち上げ

 2011年5月、あわら市職の執行委員に私は選出され「ユース部設立」の担当となった。あわら市においては2008年から毎年職員の新規採用が行われており2011年現在で38人に達していたことから、以前からユース部設立が求められてきた。
 一概に設立といっても初めての経験だったため何から準備していけば良いか分からなかったが、設立に向けてユース部設立準備委員会を立ち上げることから始めた。構成員は、20~30代の組合執行委員及び書記の計12人。10月に行った初会合では、フリートーク形式で「ユース部設立」について議論を行った。ユース部設立の目的を明確化した方が良いのではないか、実際に若手がどのようなことを悩み、考えているかを把握しないうちに準備などできるのか、など様々な意見が出たが、主にポイントとなったのは次の2点である。
 まずは「特定の人だけが参加するのではなく、全員参加型の組織を作ること」である。役員だけが活動して他の誰もその活動を知らないのでは新しく組織を作る意味がない。しかし、いかにその活動を部員間で共有できるか、というのは大きな課題である。組合活動そのものに関心がなく、組合に関する知識がない人もいるだろう。そういった人をどのように取り込んで活動していくか。そのためには、役員だけではなく部員全体の知識や意識の底上げを図る必要がある。
 2点目は、「設立初年度は無理のないように活動していき、あわら市職ユース部の存在を定着させること」である。まだ実績がないことを新しく行っていくことになるため、何ができて何ができないかを把握することは困難であり、それも課題となる。初年度は、私たちができることを模索し、ユース部員はもちろん親組合の組合員や他単組に対して活動をアピールしていくことに重点を置いて活動していくこととした。初会合において課題は明確化され設立に向けて一歩前進した。


2. 各部会

 準備を円滑に進めていくため準備委員会に3つの部会を設けた。

(1) 研修部会
 ユース部設立時に部員全員がある程度の知識を得ていた方がスムーズに活動を開始することができる。そこで、設立までの間に学習会を行って若手の知識研鑽を図る目的で研修部会を設け、合計3回の学習会を行った。
 初回は総務課人事担当を講師に招き、わたりや昇給等の「自分の給与」に関する制度について学習した。給与表を用い、実演を通して昇給について学ぶことができた。
 第2回目は、あわら市が展開しているHEECE構想事業を題材に自分たちの街のために何ができるかということについて、グループワーク形式で意見交換を行い班ごとにプレゼンテーションを行った。
 最終回は、福井県自治研究センターより伊藤藤夫氏を講師としてお招きし、公務員として果たすべき役割と「自治研」について学んだ。市民や街のために自分は何ができるかを常に考え、できることから実践していく。公務員になった当初は、おそらく誰もが考えていたであろうことだが知らず知らずのうちにそのような意識が薄れてきてはいないだろうか。ユース部設立前というこの時期だからこそ、公務員にとって最も大切なことをこの学習会を通して改めて感じることができ、大変意義深いものとなった。


 

(2) 組織部会
 他単組の規約や組織編成を参考に検討していった。この部会で最も苦慮したのが組織編成である。ユース部対象年齢を何歳とするか、役員決定方法はどうするか、親組合との関係性はどうするかなど、まさに課題山積であった。
 まず、組合員の総数に占めるユース部員の割合を3割以上となるように今後5年間をシミュレーションした結果、ユース部の対象年齢を36歳以下とした。(下記、グラフを参照)



 また役員決定方法だが、全員参加型の考えをここにも取り入れたかった。そこで参考にしたのが、勝山市青年部の方法である。勝山では、○○歳の部員が副部長となる、というように一部の役員については決まった年齢枠から選出する方法をとっていた。あわら市においては、全役員の選出の際にこの方法をとり(下記、表を参照)、入庁してから退部するまでの間に、誰もが一度は役職に就くという仕組みを作った。



(3) アンケート部会
 ユース部層が実際どのようなことを悩み、求めているかを把握し、設立後の事業に生かしていくため、アンケート調査を行った。調査の結果としては、他単組との交流を深め、様々な知識を得るために学習会の開催を求める声が多かった。
 それらを集約し、事業計画案を作り準備委員会へ打診した。2012年事業としては下記のものを計画している。



3. 活動内容

 設立準備委員会として合計6回の会議を行っていったが、主な活動は次のとおりである。



 そして2012年5月11日、ユース部設立総会を開催し、あわら市職員組合ユース部は華々しく産声を上げた。
 今年度の活動方針は主に2つ。1つ目は、前述したようにユース部層の組合に対する意識改革及びユース部の存在を内外に定着させることに重点を置き、活動基盤を構築させることである。具体的には勉強会を積極的に開催して知識習得に努め、将来的には各種団体や民間企業とも連携して活動できるようにしていく。
 また2つ目は、部員の世代間交流の活性化である。新規採用が毎年行われることにより、ユース部層の中でも小さな「世代化」が生じ、絆の希薄化が危惧される。そこで、部員間の親睦を活性化させることでユース部の組織強化を図る。
 本当のスタートはこれからである。今後、部員や他単組の仲間と共に活動していくことで、実りがあり、価値のある組織としていきたい。