【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第5分科会 医療と介護の連携による地域づくり

 大阪市健康増進計画の中にすこやか大阪21という取り組みがある。「すこやか大阪21」では市民の健康づくりをサポートするため、市民・団体・民間企業・行政で構成する「すこやかパートナー」制度をつくり、相互の連携を図っている。大阪市職員労働組合・環境保健支部も「すこやかパートナー」に参加し、2011年度に行った2つの取り組みを報告する。



すこやかパートナーによる市民協働
健康づくりをきっかけにした労働組合の市民参加

大阪府本部/大阪市職関係労働組合・環境保健支部 平子 一彦

1. はじめに

 大阪市職員労働組合(大阪市職)環境保健支部は、自治体の公衆衛生の現場職員を組織しており、公衆衛生にこだわった取り組みとして、市民の健康づくりを目的とする大阪市の「すこやかパートナー」制度(※)に登録して、民間企業・団体・市民と交流を続けている。
 昨今の労働組合バッシング、公務員バッシングを受けて、大阪市職もさまざまな対応や対策をしているところであるが、とりわけ組合員、支部という現場レベルでは組織的に非常に厳しい状況にある。しかし、ここを踏ん張りどころとして、現場から活動を展開していくことが必要だと考えている。そこで、2011年度には、「すこやかパートナー協働事業」として「長居公園ウオーク」と「大阪ヘルスジャンボリー2011」に環境保健支部として参加することとなった。以下、取り組みについて紹介したい。

※ 「すこやかパートナー」制度:大阪市健康増進計画「すこやか大阪21」に掲げられている基本理念「「全ての市民がすこやかで心豊かに生活できる活力あるまち・健康都市大阪の実現」に賛同する、企業・団体等を「すこやかパートナー」として登録し、その活動や、開催するイベント、講座などを広く紹介する制度。


2. すこやかパートナー協働事業「長居公園ウオーク」への参加

(1) 東日本大震災被災地支援に向けたイベントでの取り組み
 2011年3月11日に東日本を襲った大震災は、各地に大きな被害をもたらした。
 「長居公園ウオーク」の開催についても、大阪市職環境保健支部が参加する実行委員会では、全国規模で被災地支援を行っているなかで、イベントの開催はいかがなものかという意見もあった。しかし、実行委員会としても被災地支援に向けて、自分たちでできることをすることも必要ではないか、というスタンスで、次のとおり震災への取り組みを加えて開催することになった。

被災地支援に向けた取り組み
  参加費は義援金として、東日本大地震の復興支援に寄附。
① ゼッケンにて哀悼の意を表す。メッセージ例『東日本の被災地を全力で支援しよう。』
② 開会式の前に黙祷をする。
③ 参加者にカンパをお願いする。
④ チャリティーウオークとして、参加費を寄付する。
 なお、イベントの概要は「ちらし」のとおりである。
図1 「長居公園ウオーク」ちらし

(2) 「長居公園ウオーク」の開催
 イベントは2011年4月23日(土)に開催されることとなった。しかし、週間予報では「雨」。最終の一週間は当日の天気を心配しながら、参加者募集の〆切の関係、すこやかパートナーの調整、当日の進行などの確認をした。
 23日の朝は雨が降っていなかったが、11時の開会式が近くなるにつれ雨が強くなってきたので、実行委員会として雨天時の対応で開会式を開催する判断をした。
 開会式には、平松邦夫大阪市長(当時)にお越しいただいた。すこやかパートナーという健康づくりの民間・企業・団体の協働事業と、さらに市民参加を呼びかけたウオーキングというイベントと、平松市長が掲げる「人の都」、「市民協働」のコンセプトが合致したおかげで、来場いただけたのだと思っている。
 平松市長のあいさつの中で、「雨も、また自然です。健康づくりをめざしてください。」と激励を受けて、参加者の出発を見送っていただいた。

(3) 運営ボランティアの協力
 今回、支部では「長居公園ウオーク助け隊」という名前でボランティアスタッフを組合員から募集した。20人の組合員に参加してもらい、スタンプラリーのチェック、コース内の誘導など、雨の中で足元までずぶ濡れになって参加者の対応をしていただいた。
 他のすこやかパートナーのみなさんも、それぞれのブースや講習会にたくさん参加していただき、機会があればまた参加したいという「評価」もあって笑顔で解散できた。また、たくさんの参加者の方に楽しんでいただけたことや、けが人がなく終了できたことがなによりだった。


3. すこやかパートナー協働事業
 「大阪ヘルスジャンボリー2011」への参加

(1) 「Myおべんとう選手権」のブース出展
 2011年10月8日(土)大阪城ホール・城見ホールなどで開催された「大阪ヘルスジャンボリー2011」に、ヴィアーレ大阪、カゴメ㈱大阪支店、NPO法人海・空・太陽の協力を得て「Myおべんとう選手権」をブース出展した。
 「Myおべんとう選手権」は、8月から予選会を開催して、組合員の応募作品のなかから10のおべんとうを選出し、この日を決勝戦として来場者に投票してもらうもの。会場では、お弁当の写真、レシピ、ヴィアーレ大阪の日野シェフのコメント、カゴメ㈱大阪支店の協力による栄養バランス、NPO法人海・空・太陽からおべんとうに似合うハーブティーの写真をつけて、会場に来場された方に投票をお願いした。

(2) 選手権当日の投票
 投票の目標を300票として、来場者の方に声をかけていただいたが、会場には多くの健康ブースがあるので、午前中は苦戦を強いられた。午後からは、少し趣向をかえて、投票された方に粗品を提供する作戦に打って出ると、逆に人だかりになってしまった。
 試行錯誤しながらも、316人の方の投票をいただき、集計をして、メインステージで選手権の結果を発表した。
図2 「長居公園ウオーク」ちらし

(3) 「Myおべんとう選手権」の目的
 この「Myおべんとう選手権」は、食べること、おべんとうを作ることを通じて、「食育」という意識を広めていきたいと始めた。
 8月からの選手権を開始して、右往左往しながら「すこやかパートナー」の皆さんの協力を得て、特に、ヴィアーレ大阪さんには、事務局的な役割を果たしていただき、無事「Myおべんとう選手権」というイベント
を終了することができた。
 支部としてもこの経験を踏まえ、今後とも様々な主体との「協働」という取り組みを通じて、「公衆衛生闘争」の軸を確定していかなければならない。


4. おわりに

 2012年10月の大阪ヘルスジャンボリー2012においては、「10年後にちょっと気なる健康と環境のパネル展」が開催される。
 大阪市職環境保健支部としても、自治体労働組合の役割のひとつに、自治体職員として得たいろいろな情報を市民の方に伝えることがあると考えている。そして、まさに今、伝えなければならないことは、10年後、20年後を展望した「原発」ではないだろうか。そのことを知ってもらい、考えてもらおうと現在計画しているところである。
 勝利の日まで取り組みを続けたい。