【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第1分科会 ~生きる~「いのち」を育む・いかす、支えあう

町とともに
「女性が働き・活躍躍進できる社会をめざして」
組合ができること

京都府本部/木津川市職員組合 吉村 智明・今中 景子
浅田 宣章・木村  誠

 木津川市職員組合では、2007年3月12日に市町村合併により旧木津町・旧加茂町・旧山城町より設立されました。合併時の組合員数と現在を比べますと激減傾向にあります。その中で発足時には本体組合・青年部がありましたが、なぜか女性部のみ、ない状態が継続していました。昨年度に本体組合において「準備部会」を発足しましたが、誰が「部長」等を行うのか。あわせて組合女性部において、どのように誰が事務を展開するのか。まったく不可解なことが生じていました。現在は全体で140人くらいの組合員数のうち45人が女性となっています。今思いかえせば合併を迎えたころから、お金が徐々に減り現在はほとんどない状態です。
 行政については、「まち・ひと・しごと」交流事業がさかんになり、どの規模の市町村についても積極的に参加となっています。昨年10月1日時点で実施した2015年国勢調査によると府内の人口と世帯数の速報値では京都府北部などで人口減少加速が顕著でしたが、増加数と増加率の上位3位は前回調査と同じ市町となり木津川市は3,082名(4.4%)と前回からの引き続き上位となりました。これは大阪通勤圏にもなる関西文化学術研究都市を中心とした府南部で増加傾向を示しました。木津川市は東洋経済新報社で発表している「住みよさランキング」で2014年度は京都府内第1位、2015年度では第2位と大変高い評価を得ています。市民が住みよいと感じるにはいくつかの要素があると思いますが、どんな施策が住みよいに繋がっていると思いますか。
 木津川市は全国的に見てもまれな人口増加自治体です。とくに若い世代の転入が多いです。若い世代が転入を決めるにあたっては、子どもが確実に保育所に入れるか。学校が近くにあるか。病院が充実しているかが基本です。統計によると30歳から40歳代の世帯が増加しています。そのため、子育て支援策を充実させています。最近の女性は働きながら子育てする方がおおいため、保育園の待機児童ゼロを目標にしました。増田寛也氏が率いる日本創生会議が2040年には子どもを出産する女性の9割強を占める20歳から39歳の女性の数が、5割以上減る市区町村が49.8%にのぼり、全国で1,718ある市町村のうち523が、人口1万人未満となって消滅するおそれがある、という推計を発表して話題を呼びました。全国的には、人口減少をいかにくい止めるかが大きな課題となっている中で、人口が増加している自治体は珍しいです。その点、木津川市は奈良や京都、大阪に近いですから、地理的には恵まれたところです。転入者にお聞きすると「京都や大阪の大都市で暮らしていたけれど、木津川市は自然が残っていて、通勤もそこそこ便利なため、子どもが生まれたことをきっかけに、引っ越してきました」といわれる方が多いです。木津川市は、ほどよく田舎で、都会の便利さも味わえます。
 また、企業誘致についても力を入れています。企業と身近なところで働きたいという住民ニーズがうまくマッチしていると思います。あわせて、木津川市が合併して来年3月でまる10年をむかえます。木津川アートは現代アートを活用した「まちづくり事業」です。誕生は2009年に遡ります。木津川アートの特色は、市内のさまざまな場所を舞台として、アーティストや地元の方がまちの新たな魅力を発掘・発見していただき、市民同士の交流はもとより、市外との交流も進めることにあります。旧町の垣根をなくし、新しい魅力を発信するきっかけづくりです。木津川アートを取り組む中で、住民に「自分たちも何かをやろう」という機運が高まっています。「木津川アート」でまちおこしをしていこうと思ったきっかけです。
 2010年に奈良市で開催された「平城遷都1300年」のとき、平城京ブースを借りて木津川市のPRをしました。翌年の「京都国民文化祭」では、聖武天皇が遷都された「恭仁京」を紹介しようと天平衣装を着てPRしました。現在、作家さんの募集を始めています。全国から200組ほど申し込みがあり40組を選びました。3組は招待です。木津川市で感じたことを表現するアーティストを選んでいます。選ばれたアーティストが自分で町中や山の中を歩いて展示スペースを探します。
 木津川アートは、アーティストだけでなく、地域の方が、自分の作品のように説明してくれます。アートを見てまわることで、旧町をこえた住民同士の交流やこれまで知らなかった他の町の良さを知るきっかけにもなりました。また、ボランティアとして関わることで、住民同士の一体感も生まれました。これは「木津川アート」の最大の成果だと思います。
 家族の理解と応援が、女性参画の要です。女性の職員や住民が活躍するためにはどのような取り組みをされていますか。女性が働くためには家族の理解が大事です。今の時代は、共働きをしないと生活できないという事情もあります。女性がどんどん外に出ていくには、活躍できる場が必要です。私達、木津川市職女性部もぜひとも協力して女性参加に貢献できれば思います。
 しかし、現在の木津川市の状況は、特に若い世代を中心に組合員離れが目立っています。私達、新役員は、他の単組と真剣な話をしようが、楽しく過ごそうが特に目に見えてプラスがない。だけど将来にはきっと役に立つと考えます。いますぐにどうこうはないけれど、きっと、と思っています。
 現在、行政は「まち・ひと・しごと」で町をよりいい方向にのばそうと考えています。一定いい方向かと思います。ただ、いつも思うのは人が変わったらどのようになるのか。組合は組合で切磋琢磨を行い、わがふるさとをちがう方向で見てみたい。その上で他の単組とひとにも意見を聞き、わがまちをもっといいものにしたい。行政との連携が大事ですが、やはり組合としての意見をもちたい。我々市職女性部はよその単組に比べれば年は浅いですが、何かできるのではないか。それが率直な意見です。