【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第2分科会 ~生きる~「いのち」を守る

 一昨年の「集団的自衛権行使容認の解釈改憲を行わないこと」「特定秘密保護法廃止について」の意見書採択の取り組みから、市民団体や女性会等が議会に対して、平和で安心できる社会(三次市)実現にむけた取り組みの要請をうけ、「安保法制反対三次議員連盟」発足と立憲主義・平和主義・民主主義を取り戻すたたかいの経過と今後の取り組み



安保法制反対議員連盟の取り組み
―― 立憲主義・平和主義・民主主義を取り戻すたたかいを ――

広島県本部/自治体議員連合・三次市議会議員 竹原 孝剛

1. はじめに

 一昨年の「集団的自衛権行使容認の解釈改憲を行わないこと」「特定秘密保護法廃止について」の意見書採択の取り組み(2014年12月定例会12対13で否決)から、市民団体や女性会等が議会に対して、平和で安心できる社会(三次市)実現にむけた取り組みの要請があり、民主的議員が過半数以上になるよう議会内外で取り組んできました。
 そうした中、7月16日に自民・公明の強行採決で「戦争法」が衆議院を通過しました。しかし、8月30日に市議会議員12人が呼びかけ人となり、法案阻止に向けて市民集会・デモ行進を行い、市民へ「戦争法廃案」に向けたアピールを行ってきました。

2. 安全保障関連11法案の廃案をもとめる意見書を採択・可決

 2015年6月三次市議会定例会に三次市女性会・市民団体から「安保法案の廃案を求める意見書」が提出され、三次市議会総務委員会で審議しました。
 その中で賛成意見では「違憲である法案を通過させたら法治国家でなくなる」「平和に対するこだわりを三次市議会として持つべきである」「国民の声をしっかりと聴くべきである」。そして反対意見では「国防は一市民が考えることではない、政府が決めること」「違憲かどうかは憲法学者が決めることでなく最高裁が決めること」など意見の対立となり関係者傍聴のなか、委員会採決は4対4の同数となり委員長判断で否決となりました。しかし本会議では委員会判断を覆して13対12で採択・可決となりました。
 本会議でも賛成討論3人・反対討論1人が行われ、その内容は「この法案は立憲主義を無視するものであり、法治崩壊となる権力の恣意の抑制のためにある憲法」、「憲法9条1項では言うまでもなく『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』、2項では『陸海空軍その他の戦力』を保持しないとし、国の交戦権を認めていないことをみても法案は明らかに憲法違反である」こと、「憲法の理念の平和主義は平和に価値を置き、その維持と擁護は政府が努力しなくてはならない。この法案はまるで反対方向である。世界に先んじて日本が絶対平和主義の旗振り役となり、率先して世界の非武装の方向に変えていくことがより持続可能な安全保障である」こと、「戦後70年、被爆70周年の年でもあり、平和の実現が急務の社会状況であるにも関わらず、安倍政権により日本の針路が大きく誤った方向になっている。憲法前文や9条の戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認は日本の宝であり、憲法学者や国民が憲法違反である事を指摘している」こと、「戦争加害国である」こと、「長崎・広島での原爆被害を受け、なお苦しんでいる人々の声は市政に反映すべきである」など、廃案への正当性が訴えられました。
 反対討論では、「軍備をもって抑止力とすべきである」「安全保障の隙間のない体制を構築すべき」「日本はアメリカの占領下から脱却しなければならない」など時代錯誤や軍備容認の憲法違反の発言がされ、市民が見守る中、戦争法11法案廃案に賛成する議員13人、反対する議員12人と1人差では有りましたが「廃案」を求める意見書は7月1日採択・可決となりました。
 三次市市議会として賢明な判断であり、歴史的汚点にならなくてよかったと思っています。


 


3. 安保法制反対三次議員連盟発足

 2015年9月1日、安全保障関連法案に反対する議員連盟(三次市議13人と県議会議員1人)は14人で結成しました。参議院で審議されいつ採決が行われるか分からない状況で三次市議会議員全員に呼びかけましたが26人中13人という結果でした。結成の会では「解釈改憲は立憲主義を無視するもの」「法案は憲法違反」市民理解や反対運動に連動することなどを基本に、「署名活動」「ビラ配布」「街宣活動」「講演会・研修会」の諸活動を行うことを決めました。
 法案採決までは急を要するので「廃案を求める署名」1人100人以上・ショッピングセンターでの連日の街宣を行いました。市民からの反応は大変よく手を振っての応援や頑張れの声掛けはたくさん頂き、署名も10日間で3,282人を集め女性連合会の2,963人と合わせて6,245人分を安倍首相・山崎参議院議長に9月15日送りつけました。多く市民の声は反映されなくてはなりません。しかし国会は9月17日委員会欺瞞採決19日成立をみましたが、この法案自体が「明白に憲法違反・無効」であり「不成立法案」であることは指摘しておかなければなりません。また9月29日には、安全保障関連法の参議院本会議採決について三次市議会として抗議する意見書を13対12で可決して安倍首相・山崎参議院議長に送付しました。まさに議会ルール無視の採決は議会制民主主義の崩壊といえるのではないでしょうか。
 その後も議員連盟も市民団体とともに第1・3日曜に粘り強く街宣活動・講演会などを展開しています。



2015.8.25 中国新聞より
 
2015.9.2 中国新聞より

2015.9.6 中国新聞より

2015.9.15 中国新聞より
 
2015.9.30 朝日新聞より

4. 9・13ストップ戦争法「1万人」人文字集会参加

 8月30日に国民の声を国会へ安保法制反対集会が国会周辺13万人や全国各地(2,000か所・累計130万人)で開催され、参議院での審議はその声を反映しなければと思っています。そしてこの広島の地でも広島中央公園において、NO WAR・NO ABE人文字集会が多くの市民参加のもと開催され、三次市議員連盟からも参加しアピールを行い今後も連帯していくことを確認しました。


 

 

9・13人文字集会 各界の人たちのスピーチ、メッセージ(抜粋)

 福山権二さん(庄原市議会副議長) 市議会有志、女性会、NPО、退職教師の会、9条の会、民商など超党派で法案反対の署名活動をして、25日間で1万3,000筆を集めた。かつてないことだ。この署名を携えて今月1日に市選出の県議が「安保法案の即時撤回を」と首相官邸などを回った。「署名に反対する人はいなかった」という数々の報告を聞いた。安倍政権の暴挙に対して市民との連携を強めたい。まだ始まったばかりだ。
 竹原孝剛さん(三次市議会議員) 市議会の半分の13市議と市選出の県議の計14人で安保法案反対三次議員連盟を発足させた。国民の理解が深まらないのに、わが国の形を根本から変える法案を成立させるのは不条理だ。市内で街頭宣伝している。社会にはルールがある。国のルールは憲法。これを守らなければと子どもも言っている。安倍さんには是非、退陣してもらいたい。
 山崎幸治さん(連合広島事務局長) 安倍政権は、労働者派遣法改正についてもそうだったように、デモや集会でどれだけ反対を叫んでも私たちの声に耳を貸さない。圧倒的多数によって成り立っている政権を変えるためには、国会を緊張感あるものに変えていくしかない。法案が強行採決された場合でもこの怒りを忘れることなく、安倍政権に「ノー」を突き付ける闘いを継続していこう。
 佐古正明さん(広島県平和運動センター議長) 平和運動センターは戦争への道を突き進む安倍政権の戦争法に対し最大限闘ってきた。各種世論調査で法案に反対する国民の意志は明確で、政権がいかに無謀なことをしているかも明白だ。原爆慰霊碑には「過ちは繰り返しませんから」とある。先の戦争で命を奪われた2,000万人の人々が「お前たちは何をやっているのか」と悲しみと怒りの声を上げている。


5. 終わりに

 戦後70年・被ばく70周年の年にこの反動的な法律が成立しました。私たちは、こどもの「戦争になるの?」の問いかけにどのように答えるのでしょうか。自信をもってそんなことはないと言い切れるのでしょうか。世界では戦争が起こり子どもたちも危険の中にさらされています。いま私たちができることは戦争に加担しない。平和憲法をまもり積極的に平和を発信し続けなければなりません。
 民主主義が消えた今、取り返す取り組みを粘り強く展開し、独裁政治の安倍自民党政権を退陣に追い込まなくてはなりません。2015年の夏を忘れることなく、国政選挙ではあらゆる勢力と連帯し、この危機的状況をしっかりと訴えて、民主勢力の前進を勝ち取らなくてはならないと思っています。立憲主義・平和主義・民主主義を取り戻すたたかいを地域から起こさなくてはなりません。