【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第2分科会 ~生きる~「いのち」を守る

 2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、運転を停止している(た)各地の原子力発電所について、再稼働に向けて、原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査が行われている。島根原子力発電所2号機についても、再稼働の方向性を決める時期が近づきつつある。
 そこで、改めて新たな原子力規制の概要や適合性審査の動向を概観しつつ、地元同意手続を含めた原発再稼働をめぐる論点の整理と提言を試みる。



新たな原子力規制と原発再稼働


島根県本部/地方自治研究会

【ポイント】
◎ 未曽有の被害をもたらした2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、原子力規制体制は抜本的に見直された。独立性の高い原子力規制委員会が設置され、重大事故対策及びバックフィット規制の法定化並びに設計基準の強化等の規制強化が図られた。
◎ 東日本大震災・福島原発事故後、全国の原子力発電所は運転を停止した。16原発24炉について、現在、原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査が行われているが、当初の予定よりも遅延している。一部の原発では、敷地内断層の再調査が求められている。
◎ 2014年9月九州電力川内原子力発電所1・2号機、2015年2月関西電力高浜原子力発電所3・4号機について新規制基準への適合性確認審査が終了。2015年5月四国電力伊方原発の審査書案が了承されたが、再稼働手続の在り方や避難計画の実効性、火山リスク評価の妥当性等が論点として浮上している。
◎ 2015年4月高浜原発の再稼働差し止めを求める仮処分が福井地裁で決定され、「原子力規制基準が不十分である」との指摘がされた。今年中の再稼働は困難視されている。一方、川内原発での同様の訴訟で鹿児島地裁は同月、一転して再稼働差し止めの仮処分を退けることを決定。早ければ、7月にも1号機が再稼働する見込みとなった。
◎ 島根原子力発電所2号機は、現在適合性確認の審査中であり、再稼働の方向性を決める時期が近づきつつある。そこで、島根県及び松江市において、課題となる「原子力防災の強化」「十分な合意形成」を図るための条例の整備を提言する。これにより、事業者、立地自治体及び関係自治体の適切な対応を促し、住民の安全・安心の確保を図る。


1. はじめに

 2011年3月11日発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、日本の原子力発電所(以下「原発」という。)は、順次運転を停止した。
 未曽有の原発事故の被害を教訓に、新たに独立委員会である原子力規制委員会が設置されるとともに新たな規制基準が決定された。
 原子力規制委員会では現在、11事業者16原発24炉について新規制基準に係る適合性確認審査を行っており、2014年9月10日九州電力川内原発1・2号機(鹿児島県)、2015年2月12日関西電力高浜原発3・4号機(福井県)の審査書を決定。2015年5月20日四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の審査書案を了承し、現在パブリックコメント中である。
 中国電力島根原発2号機は、現在適合性確認の審査中であり、今年中にも審査終了となるのではないかと見込まれる。
 ここで、改めて新たな原子力規制の概要や適合性審査の動向を概観しつつ、地元同意手続を含めた原発再稼働をめぐる論点の整理と提言を試みる。


2. 新たな原子力規制

(1) 原子力規制委員会の設置
 福島第一原発事故から得られた教訓を踏まえ、原子力の利用と規制を分離し、独立性・専門性・透明性の高い原子力規制体制を確立することが求められた。
 2012年6月成立した「原子力規制委員会設置法」により、同年9月原子力安全規制に関する業務を担う原子力規制委員会が発足。経済産業省・文部科学省・内閣府等が所掌していた原子力の安全確保に関する事務は、原子力規制委員会に一元化され、原子力安全・保安院と原子力安全委員会は廃止された。
 原子力規制委員会は、環境省の外局組織ではあるが、「国家行政組織法」第3条第2項の規定に基づく独立委員会である。

(2) 規制の厳格化
① 原子炉等規制法の大幅改正
 原子力規制委員会設置法に併せ、「原子炉等規制法」の大幅な改正も行われた。
 主な改正点は、①規制目的の見直し(人と環境の保護の明記等)、②重大事故対策を含んだ規制への転換、③最新規制の既存施設への適用(バックフィット)、④原則40年の運転期間制限の導入等である▼表1)。
 ▼表1 原子炉等規制法の主な改正点 

① 規制目的の見直し(人と環境の保護の明記等) 第1条
 a.「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」が明記された。
 b.「大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生」が規制の想定として明記された。
 c.「原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で当該原子力施設を設置する工場又は事業所の外へ放出されること」の防止が明記された。
 d.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用について、「計画的に行われることを確保する」との記述が削除され、「平和の目的に限られることを確保する」のみが踏襲される記述となった。
② 重大事故対策を含んだ規制への転換 第43条の3の6他
 a.発電用原子炉設置の認可条件の一つとして、申請した事業者が重大事故の発生及び拡大の防止に必要な技術的能力があることが明記された。(第43条の3の6)
 b.事業者の義務である保安措置に重大事故対策が含まれることが明記された。(第43条の3の22)
 c.事業者の義務である安全評価の項目として重大事故発生の可能性が明記された。(第43条の3の29)(燃料加工や使用済燃料の再処理についても重大事故対策が明記された。)
③ 最新規制の既存施設への適用(バックフィット規制) 第43条の3の14他
 a.「発電用原子炉設置者は、発電用原子炉施設を原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」ことが明記された。(第43条の3の14)
 b.原子力規制委員会は、最新規制に適合しない発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転等の保安のために必要な措置を命ずることができるとされた。(第43条の3の23)
④ 運転期間制限(原則40年)の導入 第43条の3の32
 a.発電用原子炉を運転することができる期間は、使用前検査に合格した日から40年と明記された。
 b.ただし、原子力規制委員会の認可によって、一回に限り延長(上限20年)ができるとされた。

② 新規制基準
 原子炉等規制法の改正によって、原発の設置許可は原子力規制委員会の権限となり(第43条の3の5)、その基準は原子力規制委員会規則として定めることとなった(第43条の3の6)。新規制基準は、原子力規制委員会の規則と告示として公布され、併せて審査ガイド等の内規が公開されて2013年7月施行された。
 新規制基準の特色は、①安全機能の一斉喪失を防止する観点から、自然現象等の想定とその対策が抜本的に見直され、設計基準が大幅に強化されたこと、②原子炉等規制法に規定された重大事故対策が新たに盛り込まれたことの2点である。

ア 設計基準の強化
 想定外の事故の可能性を極小化するため、設計基準は格段に強化されている。例えば、津波の評価と対策やその他の自然現象への考慮は新設事項となっている。また、安全機能維持の観点から、火災、電源喪失、内部溢水等への備えが拡充された(▼表2)。

 ▼表2 設計基準の主な強化点 

① 基準地震動策定のための断層評価の厳格化(明確化)
 検討対象を活断層1から断層等2に見直し、従来からの基準である後期更新世(12~13万年前以降)の評価によって活動性が明確にできない場合、中期更新世(40万年前以降)まで遡ること。
② 断層等の直上に重要施設を設置することの禁止(明確化)
 安全上重要な建物等は将来活動する可能性のある断層等の露頭が無い地盤に設置すること(従来は活断層の直上に重要施設を設置することは「想定」していないと表記)。
③ 津波評価と対策の新設
 起こり得る最大級の津波を「基準津波」として、その到達・流入を防止するため防潮堤等の津波防護施設等を設置して、建屋への浸水を防止(「水密化」)すること。津波防護施設等には高い耐震性(圧力容器等と同等のSクラス)を備えること。
④ その他の自然現象に対する考慮の新設
 火山、竜巻、森林火災等への対策を規定。
⑤ 自然現象以外に安全機能の一斉喪失を引き起こす事象(その他共通要因)への対策
 ○火災防護対策の強化:安全上重要な設備の電気ケーブルの難燃性の確保等を規定。
 ○電源信頼性の確保:外部電源2回線の独立性確保、非常用交流電源の増置(恒設の非常用ディーゼル発電機を2台から3台とし、電源車を2台配備)と燃料備蓄(7日分)等による強化。
 ○内部溢水対策(配管やタンク等の破損により水や蒸気が漏れ出ることに備える対策)

イ 重大事故対策
 設計基準を超える過酷事故(シビアアクシデント)への備えは、従来は事業者の自主保安と位置づけられていた。新規制基準では、シビアアクシデントによって炉心損傷や水素爆発に至る重大事故を防止する対策や、重大事故となった場合にも放射性物質の大量放出を回避する等によってその影響を緩和する対策(併せて重大事故対策)が、新たに原子力規制委員会による規制対象に加わることとなった(▼表3

 ▼表3 重大事故対策 
① 炉心損傷防止対策
  各種安全機能が喪失した場合においても冷却機能を維持する対策を要求。
   例:炉心への注水を可能とする可搬式注水設備(消防車等)の配置
   例:沸騰水型原子炉(BWR)については注水作業を可能とするための可搬式電源によって逃がし安全弁を解放し、原子炉を減圧する手段を確保
② 格納容器破損防止対策
  炉心損傷が起きたとしても格納容器を破損させないための対策を要求。
   例:BWRについては放射性物質を低減しつつ排気するフィルタ・ベント(※)を設置
   例:溶融炉心を冷却する格納容器下部注水設備(ポンプ車、ホースなど)を配備
③ 敷地外への放射性物質の拡散抑制対策
  格納容器が破損したとしても敷地外への放射性物質の拡散を抑制するための対策を要求。
   例:原子炉建屋への放水で放射性物質のプルーム(大気中の流れ)を防止する屋外放水設備設置
④ 施設の大規模な損壊への対応(航空機の意図的衝突等テロ対策を含む)
  テロ等によって大規模な損傷を受けても原子炉格納容器等の冷却を行える対策を要求。
   例:可搬式設備を中心とした対策(可搬式設備・接続口の分散配置、原子炉からの一定距離確保)
   例:既存の中央制御室を代替する緊急制御室等の特定重大事故等対処施設の整備(5年間の猶予期間あり)

※ 格納容器内圧力及び温度の低下を図り水素爆発を防止するもの。BWRは原子炉格納容器が小さいことから設置が不可欠。加圧水型原子炉(PWR)については既存設備で当面の安全は確保できるとされ、5年間の設置猶予期間が有る。

3. 適合性審査等の状況

 東日本大震災時の自動停止や定期点検等によって、全国の原発は順次運転を停止した。その後、関西電力大飯原発が2012年7月、欧州諸国のストレステストを参考とした安全評価を経て再稼働したが、2013年9月定期点検のため停止した。
 バックフィットの法定化により、既存原発の再稼働に当たっては、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を審査することとなり、適合性の確認後、地元の同意等の手続を経て再稼働となるプロセスが予定されている。なお、適合性審査とは別に原発敷地内断層調査も実施されており、該当する原発については、その評価について一定の方向性が出ることが適合性審査に入る前提となっている。

(1) 敷地内断層調査
① 敷地内断層についての規制と再調査
 新規制基準の制定以前から、原発の安全上重要な「止める」「冷やす」「閉じ込める」等の機能が失われるおそれがあるとして、活断層の直上に原子炉建屋等の重要施設を建設することは「想定されて」いなかった。活断層のずれの動きや大きさを予測し、対策を講じることが難しいとされたためである。
 新規制基準では、地震源となる活断層(震源断層あるいは起震断層)のみならず、地盤にずれを生じかねないその他の断層や地すべり面も含めた断層等の直上に重要施設を設置することが明確に禁止された
 福島第一原発事故を踏まえ、原子力安全・保安院は、過去に活動性が否定された原発敷地内の断層についての再検討を行い、2012年9月7日日本原子力発電敦賀原発、東北電力東通原発、北陸電力志賀原発、関西電力美浜原発、日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ(もんじゅ)、関西電力大飯原発の事業者に対して、敷地内の破砕帯の活動可能性(断層リスク)について追加調査を求めることとした。
 同年9月発足した原子力規制委員会は、原子力安全・保安院の原発敷地内の破砕帯調査を引き継いだ。調査対象施設ごとに有識者会合が設置され、有識者会合による現地調査と評価と、その評価に対するピア・レビュー(別な専門家による科学的、技術的見地からの確認)を踏まえて、原子力規制委員会が最終的な判断を行うこととなった。
② 調査の状況と論点
 2012年秋大飯原発、敦賀原発、東通原発に有識者会合が設置され、現地調査を含めた評価が開始された。次いで2013~2014年もんじゅ、美浜原発、志賀原発にも有識者会合が設置されている。
 大飯原発については、有識者間の意見の隔たりもあり、「将来活動する可能性のある断層等に該当しない」との結論に至るまでに1年を超える時間を要した。
 敦賀原発については、「設計上考慮する活断層である」との結論が出た後、事業者からの反論を踏まえて追加調査が行われたが、見解は変わらない見込みである。
 東通原発については、「設計上考慮する活断層である」との評価案(2013年5月)に対し事業者から反論があったが、「敷地内に活断層がある可能性を否定できない(2014年12月)」との見解で一致。今後活断層があることを前提に審査が進められる見通しになった。
 志賀原発については、2015年5月13日有識者会合が、「1号機原子炉建屋など重要施設の直下にある断層について、活断層の可能性が否定できない」とする見解で一致。次回、結論をまとめた報告書案を示す方針。
 もんじゅ、美浜原発については調査が継続している。
 事業者の主張が必ずしも認められていないことや、調査に長い時間を要していることから、原子力規制委員会に対する批判もある。一方、福島第一原発事故の反省に立って、慎重かつ厳格な調査や評価を行うことを支持する意見もある。
 有識者会合の議論は公開されており、様々な立場からの評価内容の検証が必要となる。

(2) 適合性審査
① 審査動向
 新規制基準施行の2013年7月以降、11事業者16原発24炉について新規制基準に係る適合性審査の申請が行われている(▼表4)。
 当初、審査期間は半年程度との目安が示され、四国電力伊方原発3号機や九州電力川内原発1・2号機の審査は順調に進むと報じられていたが、想定する地震動(基準地震動)の見直しを原子力規制委員会が求めたことや、事業者の書類提出が遅延したことを要因として審査は滞っている。
 原子力規制委員会は2014年2月、基準地震動及び基準津波高が確定し他に重大な問題がない原発の審査を優先して行う方針を決め、同年3月川内原発が優先審査の対象となった。
 原子力規制委員会は同年7月、川内原発が新規制基準に適合するとの審査書案をまとめ、科学的・技術的意見募集(パブリックコメント)等を経て9月10日審査書を正式決定した。現在、再稼働のための工事計画等の認可や使用前検査作業が行われつつある。
 2015年2月12日には、敷地内断層調査の対象外であり基準地震動の設定が決着した関西電力高浜原発3・4号機の審査書が決定され、続いて、同年5月20日、四国電力伊方原発3号機の審査書案が了承され、パブリックコメントが行われている。
 ▼表4 適合性審査申請状況 

北海道電力   泊1・2・3号機   PWR 2013年7月8日
関西電力    高浜3・4号機    PWR 2013年7月8日 2015年2月12日審査終了
        大飯3・4号機    PWR 2013年7月8日
        高浜1・2号機    PWR 2015年3月17日
        美浜3号機      PWR 2015年3月17日
四国電力    伊方3号機      PWR 2013年7月8日 2015年5月20日審査書案了承
九州電力    川内1・2号機    PWR 2013年7月8日 2014年9月10日審査終了
        玄海3・4号機    PWR 2013年7月12日
東京電力    柏崎刈羽6・7号機  BWR 2013年9月27日
中国電力    島根2号機      BWR 2013年12月25日            
東北電力    女川2号機      BWR 2013年12月27日
        東通1号機      BWR 2014年6月10日
中部電力    浜岡4号機      BWR 2014年2月14日
日本原子力発電 東海第二       BWR 2014年5月20日
北陸電力    志賀2号機      BWR 2014年8月12日
電源開発    大間         BWR 2014年12月16日
(注)PWR:加圧水型原子炉、BWR:沸騰水型原子炉
(出典)原子力規制委員会「新規制基準適合性に係る審査(原子力発電所)」


② 今後の見通し
 敷地内断層調査中の原発については、その評価について一定の方向性が出ることが適合性審査の前提となっている。また、基準地震動の確定も耐震設計を固める上で重要な論点であり、川内原発、高浜原発、伊方原発に続き、九州電力玄海原発3・4号機の審査が進んでいる。
 加圧水型原子炉(PWR)の審査は、川内原発を先例としてよりスムーズに審査が進むものと見込まれるが、沸騰水型原子炉(BWR)の審査は遅延している。


4. 川内原発をめぐる論点

(1) 適合性審査と再稼働
① 適合と安全
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、川内原発の審査書案をまとめた2014年7月、「一定程度(原発の)安全性も高まったと思うし、評価していいと思う」としつつ、「ただし、これがゴールではない」「安全審査ではなく、基準の適合性を審査した」「基準の適合性は見ているが、安全だということは申し上げません」と発言している。
 この発言や適合性審査と安全の関係について政府は、田中委員長発言の趣旨は、「原子力発電所の安全性について、いわゆる安全神話に陥ることなく、最新の科学的知見に基づき、不断に向上させるべきものである旨を述べたもの」と説明し、また、適合性を審査することが、原子力規制委員会設置法第3条に定められた原子力規制委員会の任務(「原子力利用における安全の確保を図ること」)に対応するとしている。
 新規制基準を満たすことは、必要条件に過ぎない。安全を守る第一義的な責任がある事業者は、安全確保のための努力を継続することが求められている。また、新規制基準には、地域防災計画(避難対策)は含まれていない点にも留意する必要がある
② 国の関与
 川内原発が新規制基準に適合すると認められ、原子炉設置変更許可が行われた2014年9月10日、菅義偉内閣官房長官は、エネルギー基本計画(注1)に基づき、川内原発の再稼働を進める政府の方針を明らかにした。
 その上で、政府として、立地自治体等への説明、避難計画を含む地域防災計画策定支援、再稼働後の対処等に取り組むことを表明した。また、伊藤祐一郎鹿児島県知事の要請を受け、この方針を示す経済産業大臣名の文書が同知事と岩切秀雄薩摩川内市長宛てに発出された。
 政府は、2014年10月29日、鹿児島県主催の住民説明会において、エネルギー基本計画や川内地域の緊急時対応について説明を行っている。これに先立ち原子力規制庁は、川内原発に係る新規制基準適合性審査結果に関する住民説明会を鹿児島県内5か所で開催している。
 また、2014年10月14日には、地域の原子力防災の充実・強化を図るため、内閣府に政策統括官(原子力防災担当)が置かれ、地方自治体の避難計画策定の支援も強化される。
③ 再稼働の判断
 最新規制が既存施設にも適用されるため(バックフィット規制)、新規制基準に適合することが原発再稼働の前提となる。原子力規制委員会による適合性審査(原子炉設置変更許可)の後、工事計画認可や保安規定変更認可、使用前検査を終えれば、事業者の判断で再稼働を行うことになる。国や原子力規制委員会が再稼働の判断を行うとの法規定はない
 ただし、再稼働には「地元の同意」が必要と考えられている。その根拠は、立地自治体(道県及び市町村)と事業者が結ぶ安全協定である。安全協定は、住民の健康と安全を守るため、通報連絡体制の確立、自治体による立入調査、施設の新増設時の事前協議と了解等を定めており、法的規制ではないが、公法上の契約あるいは紳士協定として、地域の信頼関係を構築するために重視されている
 川内原発の場合も、鹿児島県と薩摩川内市は、原子炉施設の増設や変更についての事前協議を盛り込んだ安全協定を事業者(九州電力)と締結している。「エネルギー基本計画」に基づいて国が再稼働の方針を表明した後、2014年10月28日薩摩川内市議会は再稼働を求める陳情を採択し、これを受けて岩切秀雄薩摩川内市長は川内原発の再稼働を進める政府の方針を理解するとの判断を表明した。また、同年11月7日鹿児島県議会が再稼働を求める陳情を採択。伊藤祐一郎鹿児島県知事も、「再稼働はやむを得ない」として、安全協定に基づく事前協議を了承した。
 新たな原子力災害対策指針は、避難計画の策定を求める自治体を、従来の原発周辺10km圏内から同30km圏内に拡大した。川内原発周辺8市町が九州電力と新たに締結した安全協定は、発電所の通常運転中の情報提供や異常時における連絡等を定めるものの、施設変更時の事前協議は含まれていない。
 「事前協議と同意を求める対象自治体を拡大すべき」との意見もあるが、伊藤祐一郎鹿児島県知事は、「鹿児島県と薩摩川内市の同意でよい」としている。

(2) 地域防災計画
① 深層防護と地域防災計画
 原発の安全を確保するためには、5段階で構成される「深層防護(Defense in Depth)」という考え方が重要とされる。
 日本では従来、異常の発生を防止する(第1層)、異常が発生した場合でも拡大させない(第2層)、異常が拡大した場合でもシビアアクシデント(設計基準を超える過酷事故)とはしない(第3層)の3層を深層防護としていた。
 福島第一原発事故を踏まえて新規制基準が策定され、設計基準が強化された上で、シビアアクシデントによって炉心が著しく損傷する重大事故を防止することと、その影響を緩和する重大事故対策が盛り込まれた。新規制基準は、深層防護の第1層から第3層の強化と、シビアアクシデント対策(第4層)に対応している。
 新規制基準には含まれていないが、深層防護の第5層は、発電所外の緊急時対応(放出された放射性物質の影響緩和)である。深層防護第5層に対応するため、「原子力災害対策特別措置法」及び「災害対策基本法」は、都道府県及び市町村に「地域防災計画」を策定することを求めている。原発事故時の避難計画は、「地域防災計画(原子力災害対策編)」の中に含まれている
 地域防災計画は国の審査対象ではないが、国は、内閣総理大臣を議長とする原子力防災会議の下、地域防災計画の策定と実施についての支援を行っている(注2)。川内原発の場合、鹿児島県、関係市町及び関係府省庁が参加したワーキングチームにおいて、川内地域(川内原発から概ね半径30km圏内)の避難計画を含めた緊急時対応が具体的かつ合理的なものとなっていることを確認し、その結果は、原子力防災会議に報告され、了承されている
② 原子力規制委員会の役割
 地域防災計画は新規制基準には含まれておらず、原子力規制委員会による適合性審査の対象外となっている。
 地域防災計画については、複合災害への対処、警察・消防・自衛隊等との連携等が必要となることから、関係府省の参加する原子力防災会議が、地方自治体への策定支援や調整に当たる。
 原子力規制委員会委員長は、同会議の副議長の1人であり、原子力事故に備えた政府の総合的取り組みにおいて、原子力災害対策指針の策定等、技術的・専門的な知見を提供する。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「再稼働の条件とはしないものの、地域防災計画は重要」と発言している。
 なお、米国では、原発新設時の審査対象に避難計画が含まれており、原子力規制委員会(NRC)は連邦緊急事態管理庁(FEMA)の意見を聴取した上で適否を判断している。2014年9月原子力規制委員会委員を退任した大島賢三氏は、その退任会見において、米国の仕組みを参考として、規制当局と防災組織が連携を強めるべきとの考えを示している。
③ 実効性の確保
 福島第一原発事故においては、想定にない広域避難が必要となり大きな混乱が生じた。
 2012年10月に原子力規制委員会が策定した「原子力災害対策指針」は、「予防的防護措置を準備する区域(PAZ-放射性物質放出前における即時避難等を準備する区域、施設から概ね半径5km)」と、「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ-避難、屋内退避、安定ヨウ素剤の予防服用等を準備する区域、施設から概ね半径30km)」を設定した。
 これにより、防災計画の対象となる市町村、住民の数は大きく増加する。川内原発の場合、7市2町の21万4千人が避難計画の対象となった。
 鹿児島県の避難時間シミュレーションによれば、PAZ及びUPZ圏の住民の9割が圏外に出る所要時間は最大で28時間45分である。PAZ圏内の住民の避難後にUPZ圏内の住民が避難する段階的避難を前提に、自家用車を交通手段とすることを想定している。段階的避難の現実性、自家用車以外の手段(バス等)の確保、交通渋滞への対処、地域の風向等の検討が不十分との指摘や、病人や老人等の要援護者への対応や避難先の受入れ体制の整備が遅れているとの批判もある。
 地域防災計画は、万一の事故に備える最後の砦であり、様々な指摘を踏まえ、また、今後の避難訓練で明らかになる課題にも対処して、その実効性を高めていくことが求められる。

(3) 火山リスク
① 川内原発の火山リスク評価
 新規制基準は自然現象の想定とその対策を抜本的に強化しており、火山については、原発の半径160km圏内の火山を調査し、火砕流や火山灰の到達の可能性、到達した場合の影響を評価し、予め防護措置を講ずることが要求されている。特に火砕流は、原発の制御を不可能とし、事前に設計で対応することが困難なため、重大事故に直結する。
 川内原発について九州電力は、(ア)設計対応ができない巨大噴火の可能性は十分に小さい、(イ)地殻変動や地震活動をモニタリング(監視)し、巨大噴火の兆候があれば運転停止や燃料体の搬出等の対処を行う、(ウ)巨大噴火に至らない噴火については、降下する火山灰を15cm厚と想定して建物や設備の設計を含めた対策を講じるとしており、原子力規制委員会もその方針を妥当としている。
② 火山リスク評価の課題
 火山学者からは、(ア)巨大噴火の予知は現在の研究レベルでは不可能であること、(イ)巨大噴火の兆候を的確に判断することが困難な中で、冷却の必要な燃料体の搬出が可能なのか、搬出先は確保できるのかといった問題があること、(ウ)川内原発に15cm厚の火山灰が降下する場合の複合的影響(噴火に伴い降下した軽石による取水不能、火山灰による送電線切断による外部電源喪失、土石流の発生等)への対策が見えないこと等、九州電力と原子力規制委員会の火山影響評価の問題点を指摘する声があがっている。


5. 再稼働差し止めをめぐる司法判断

(1) 高浜原発の差し止め訴訟
① 福井地裁が差し止めの仮処分を決定
 福井地裁(樋口英明裁判長)は2015年4月14日、高浜原発3・4号機の再稼働の即時差し止めの仮処分を決定した。
 その理由は、①原発に到来することが想定できる最大の地震動である基準地震動の700ガルを超える地震が到来すれば施設が破損するおそれがあり、その場合炉心損傷に至る危険が認められること、②基準地震動である700ガル未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められること、③使用済み核燃料は、格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められておらず、使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性もBクラスであること、④規制委員会が設置変更許可をするためには、申請に係る原子炉施設が新規制基準に適合するとの専門技術的な見地からの合理的審査を経なければならず、新規制基準自体も合理的なものでなければならないが、当該規制基準が緩やかにすぎ合理性を欠くことから、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていないこと、等とされた。
 仮処分はすぐに効力を発揮し、決定の取り消し・変更や仮処分の執行停止がない限り3・4号機の再稼働はできない。
② 規制基準の見直し
 この福井地裁の決定に対し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、翌15日の記者会見で、規制基準は「世界で最も厳しいレベルだと国際的にも認知されている」と強調。「福島第一原発事故の教訓を踏まえ(対策を)厳しく要求している。見直す必要性は感じていない」との認識を示した。
 また、決定書には「重要なところの事実誤認がいくつかある」と指摘。実際には耐震クラスが最高のSとなっている使用済み燃料プールの給水設備が、Bとされていることなどを例に挙げた。
 今後の高浜原発の審査については、「地裁の決定はわれわれの行政手続きを妨げるものではない」として、再稼働の検査までは進める考えを示している。

(2) 川内原発の差し止め訴訟
① 鹿児島地裁が差し止めの仮処分退ける
 鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)は2015年4月22日、川内原発1・2号機の再稼働の即時差し止め仮処分の申し立てを退けることを決定した。
 高浜原発3・4号機では、再稼働を認めない仮処分の決定が福井地裁から出されたばかりであり、国の新基準の審査に合格した2か所の原発を巡り、司法の判断が分かれた。
 主な争点は、(ア)耐震設計の基準となる基準地震動(想定する地震の最大の揺れ)の適否、(イ)火砕流を伴う巨大噴火の可能性、(ウ)周辺自治体が策定した避難計画の実効性。
 住民側は、2015年以降国内の4原発で基準地震動を超える揺れが5回観測されていると指摘。「基準地震動は過去の地震の平均像で想定されており過小。新規制基準でも想定手法は見直されていない」として、安全性が確保されていないと訴えた。
 巨大噴火の危険性については、「川内原発周辺に5つのカルデラ(火山活動でできた広大な陥没地)があり、予測は困難で危険性が否定できない」と主張。事故時の避難計画についても、「事故時の風向きや地形が考慮されていない。バスも大幅に不足しており、要援護者の計画にも不備がある」と訴えていた。
 決定理由で前田郁勝裁判長は、まず「新基準は専門家の審議で定められ、不合理な点はない」と判断。その上で原発の耐震設計の目安となる基準地震動が「自然現象の不確かさを考慮して定めており、新基準に適合するとした判断に不合理な点はない」と認定した。また、「九州電力の評価は火山学の知見にある程度裏付けられている。避難計画も現時点で一応の合理性、実効性を備えている」と退けた。
 同原発1号機について九州電力は、7月の再稼働、8月の営業運転開始をめざし規制委員会の「使用前検査」を受けており、順調にいけば今夏にも実現する見通しとなった。2号機は、使用前検査を受けるのに必要な工事計画の認可が得られておらず、1号機より1カ月半遅れの再稼働がめざされている。


6. 島根原発の対応状況

(1) それぞれ状況が異なる3機
① 廃炉が決まった1号機
 1974年営業運転を開始し2015年3月運転開始から41年を迎えた中国電力島根原発1号機は、原子力規制法の「40年運転規制」を受け、中国電力が2015年3月18日「廃炉」を決定。同年4月30日付で廃止され、今後廃炉措置が取られる予定である。
 島根原発1号機は、1971~1978年にかけて営業運転を開始し、東日本大震災と津波により甚大な事故を起こした福島第一原発1~4号機と同じ「MarkⅠ」と呼ばれる型の沸騰水型原子炉であり、格納容器容量が小さいことなどの問題が指摘されていた。
② 再稼働に向け動く2号機
 島根原発2号機は、2013年12月25日原子力規制委員会への適合性確認申請がなされており、並行して行われている対策工事では、沸騰水型軽水炉(BWR)に設置が義務づけられた重要免震棟が2014年秋完成、フィルターベント施設も2015年9月完成予定となっている。
 また、宍道活断層の再調査に基づく基準地震動の確定作業も同時に行われており、中国電力は現在、規制委員会の求めに応じ、原発周辺海域の活断層の長さを改めて調査している。
 沸騰水型原子炉の審査は全国的に遅延しており、審査終了の見通しは判然としないが、2015年中にも終了との見方もある。
③ 完成間近の3号機
 島根原発3号機は、福島第一原発事故の発災時建設途上にあり、当時の工事進捗率は93.6%。最終段階の燃料装荷直前でのトラブルで工事が中断していたものの、完成まであと一歩の状況にあった。
 民主党の野田佳彦政権は福島第一原発事故後の2012年12月、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との「革新的エネルギー戦略」を閣議決定。原子力に依存しない社会の実現に向け、(ア)40年運転制限制を厳格に適用する、(イ)原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働とする、(ウ)原発の新設・増設は行わない、の3つの原則を掲げた。
 その際、既に着工済みであった島根原発3号機、電源開発大間原発、東京電力東通原発については、「(既に原子炉設置許可が終了しており)新設ではない」と位置付けられ、建設が継続されてきた(現在新規制基準に基づく全体の工事計画が立てられないとの理由で、工事進捗率は発表されていない)。この「新設ではない」との考えは、安倍政権にも引き継がれている。なお、現時点3号機については、新規制基準に基づく適合性確認申請は出されていない。


7. おわりに

 独立性と専門性の高い規制機関の設置、規制基準の大幅強化、審査の厳格化といった原子力規制の抜本的な見直しは、東電福島第一原発事故を教訓としたものである。
 新規制基準の内容や原子力規制委員会による審査方法については、福井地裁における高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定で「不十分」と指摘されており、原発を推進する立場からも反対する立場からも様々な意見がある。継続的な議論と、必要な改善をたゆまず進めることが何よりも重要となる
 また、川内原発をめぐる議論で浮上した論点、すなわち、再稼働の同意を求める自治体の範囲や法的位置づけ等を規定している「安全協定」の在り方や原子力防災計画・避難計画への国の関与の見直しと実効性の確保、巨大噴火のリスク評価については、原発立地地域の住民をはじめとして、広く国民の納得を得られる対応が求められている
 さらに、原発の再稼働の是非が論じられる時、「科学的」な判断が重視される。しかし、断層等の評価や基準となる地震想定については、専門家の間でも意見が分かれるケースがあり、現段階の科学的知見では予測困難な巨大噴火等、自然科学には限界があることも事実である。
 そこで、科学的な調査や検討を徹底的に行うことを大前提に、最終的な判断においては、人々の暮らしや次世代への責任を勘案した価値判断 ―― すなわち、科学を土台とした社会的判断が必要となるその主体となるのは、原発再稼働によって最も影響を受ける当事者 ―― すなわち地域住民である。地域住民が、この社会的判断に能動的に関わる仕組みづくりが必要であり、このような趣旨から、「島根原発の再稼働への対応について」を最後に提言する
 自治労島根県本部は、地方自治体に働くものの労働組合として、主権者たる県民の合意形成の下に誤りない判断が行われるべく、引き続き取り組みを進めていきたい。


島根原発の再稼働への対応について【提言】

 島根原発2号機の再稼働については、原子力規制委員会の規制基準への適合性審査が終了した後、中国電力から島根県及び松江市に対し「事前了解」が求められる手順となる。その際、広報・広聴や県民・市民への説明会等十分な「情報開示」が行われるべきであり、その上で、島根県議会、松江市議会及びUPZ(30キロ)圏域の安来市・雲南市・出雲市議会等において、「安全性の確認」「原子力防災」についての徹底した審議を尽くし「合意形成」を図ることが重要となる。
 この内、「安全性の確認」は最重要課題であるが、専門技術的な議論が必要であり、最終的に認識が一致することは相当困難と考えられる。徹底した議論の積み重ねを行うことにより、より高い安全性を追求していくことが求められる。
 他方、「原子力防災」「十分な合意形成」については、原子力利用について賛成の立場であれ反対の立場であれ噛み合った論議が可能な課題であり、この点について、事業者、立地自治体及び関係自治体の適切な対応が求められる。
 そこで、以下のとおり、事前了解の範囲拡大及び原子力防災の強化、並びに民意集約の手法の充実等を盛り込んだ島根県及び松江市における条例整備を提言する。

■「島根原発周辺地域住民の安全・安心確保条例(仮称)」の制定

 原発の再稼働等にかかる周辺住民の同意手続きや原子力防災の実効性の確保等住民の安全・安心の確保については、なお課題が残されている。
 そこで、島根県、松江市及び中国電力が締結している「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」をベースとした「島根原発周辺地域住民の安全・安心確保条例(仮称)」を県条例として定める。
 これにより、島根県及び松江市に加え、緊急時防護措置準備区域(UPZ)に位置する安来市・雲南市・出雲市についても、事業者への意見反映を可能とする仕組みを整えるとともに、併せて、地域防災計画(原子力災害対策編)及び避難計画についての立地自治体及び関係自治体の責務等を規定する。

■「島根原発2号機の再稼働にかかる松江市住民投票条例(仮称)」の制定

 再稼働の是非判断にあたっては、主権者たる住民の意思が的確に反映されることが何よりも必要であり、自治労島根県本部では、その判断が求められる適切な時期に「30キロ住民アンケート」を実施し、民意の正確な把握とそれに基づく関係機関への働きかけを予定している。
 さらに、「安全協定」に基づき現に「事前了解」の権限が与えられている松江市において、市長の最終的な判断に資するため、住民の意思を問う条例の制定を図る(※他の自治体でも要検討)。




(注1) 原子力を、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源(発電(運転)コストが低廉で安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源)とした上で、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組む」としている(「エネルギー基本計画」(2014年4月11日閣議決定))。
(注2) 地域防災計画の策定に関する地方公共団体に対する国による支援とは、①地域防災計画(原子力災害対策編)作成マニュアルの提供、②原子力防災専門官による指導・助言等である。