【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第3分科会 石巻に虹を架けよう~被災地の今を見る、知る、触れる、考える~

東日本大震災を振り返って


千葉県本部/神崎町職員労働組合 稲垣 秀男

1. はじめに

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災の災禍から早いもので5年が経過し、当町においても復旧、復興が順調に進み、震災当時の痕跡もだんだんと消えていき、風化してきていると感じる今だからこそ、当時の気持ちを思い起こし忘れないためにも、また、当時の教訓を今後に生かすためにも、もう一度振り返り災害に備える心構えが重要だと思いレポートする。

(1) 2011年3月11日……震災直後
 2011(平成23)年3月11日(金)午後2時46分、これまで感じたことのない巨大な地震「震度5強」が神崎町を襲い大きな被害をもたらした。
 震災直後、私は庁舎で事務を執っており、地震の揺れが収まった後、災害対策本部の指示で手分けして現場パトロールすることとなり、当町の北部の地区を確認することとなった。現場に到着し、まわりを見渡したときに愕然とした。液状化現象により家屋、電柱は傾き、道路のあちらこちらから砂が噴出し、まるで洪水に見舞われたかのように浸水し、路面が砂で覆いかぶされ、道路の段差、亀裂、陥没など今まで見たことのない状況が目の前に広がっていた。
 また、電柱の傾き、道路の破損により停電、断水など日常の生活に欠かすことのできないライフラインもストップし町民に混乱と不安を生じさせた。

日  付初動対応の内容
3月11日(金) ・避難所を神崎小学校体育館に開設(11日~13日午後2時まで)
・停電(11日地震発生時~13日午前11時ごろまで)のため、発電機、投光器、ストーブ、毛布等及び飲料水を運びこむ。また、体育館付近に給水タンクを設置した。
・神崎小学校敷地内にある防災倉庫には、停電に備えた上記の機材が無く、調達に手間取った。また、学校所有の寝具類や個人所有の機材等を借り受けた。
・食料品・灯油やガソリンの確保に困難を極めた。
・町内農業者等から飲食物の提供があり、加えて被災した農業者からもパック詰めイチゴを大量に贈与された。
・被災状況の確認による、米飯の炊き出しや給水タンク・仮設トイレ等の設置有無の判断。
・災害対策本部からの情報不足(停電による発信の遅れ)現場と対策本部との連絡方法の確認と徹底。
・独居高齢者(高齢者のみ世帯)の安否確認を行う。

(2) 震災後
① 神崎町の被害状況
 震災後の調査により、被害の状況が明らかになっていった。とりわけ当町の北部の地区は利根川の旧河道を埋めた土地であるため地盤の液状化現象が顕著となり多くの住宅、道路や水道施設等の公共施設に甚大な被害をもたらした。

【資料1】液状化被害区域図

 
液状化現象による電柱の傾き液状化現象による浸水
  
液状化現象による浸水液状化現象
  
道路の亀裂庭の亀裂
  
道路の段差道路の段差

② 神崎町の被害状況(家屋)
 液状化地区においては、家屋の沈下、傾き及び屋根の破損等の被害が多数あり、被害家屋は290棟にのぼった。

家屋の沈下

③ 神崎町の被害状況(神崎浄水場)
 神宿浄水場については液状化被害地区にあり、震災により施設の破損、場内地盤の亀裂のため稼動不能となり、被災を免れたもうひとつの古原浄水場から全町に給水を開始した。しかし、液状化被害地区は配水管も破損しており、断水が続くため、給水タンク及び仮設トイレを設置することとなった。断水は3月下旬頃まで続き、その後、仮配水管が敷設され、断水は解消した。

 
給水タンク給水タンク
  
仮設トイレ仮設配水管

④ 神崎町の被害状況(道路)
 液状化現象により覆いかぶさった砂の撤去を開始。神崎町消防団員、業者、町職員が手分けし砂を撤去。

神崎町の主な被害状況一覧

項 目被害状況被害割合
主な被害地区・本宿4区
・向野区
液状化による被害
・液状化区域の面積  143.8ha
 (宅地)      (33.8ha)
 (農地)     (110.0ha)
うち本宿4区、向野区 22.3ha
・町全体
 約7.2%(143.8ha/1,985ha)
・本宿4区、向野区
 約1.1%(22.3ha/1,985ah)
液状化による
住宅被害
 全地区本宿4区、
向野区  
・全壊 5棟 5棟   
・大規模半壊 35棟 29棟   
・半壊 56棟 43棟   
・一部損壊 194棟 110棟   
合計 290棟 187棟   
・全世帯
 約12.5%(290棟/2,311棟)
・本宿4区、向野区
 約8.1%(187棟/2,311棟)
・本宿4区、向野区のみでの割合
 約64.5%(187棟/290棟)
町道・町道27路線
 L=5,670m
・町道全延長
 約5.9%(5.67km/96.86km)
・本宿4区、向野区
 約45.8%(5.67km/12.38km)
神崎大橋・落橋防止装置等の損傷のため全面通行止め 
神宿浄水場・施設の破損、場内地盤の亀裂のため稼動不能
 不給水人口 3,022人
・給水人口全体の約57.8%
(3,022人/5,299人)
配水管・本宿4区・向野地先の配水管の破損
 L=3,850m
・全配水管延長の約4.3%
(3,850m/74,928m)

2. 検 証

(1) 震災に関する初動対応、課題の検証
 この震災は、今後の災害時に生かすため、初動対応及び課題の検証を行い万が一に備えるとともに、神崎町地域防災計画の見直しを行った。また、災害に備えて『町民ができること』『町ができること』など主に災害対応において『自助・共助・公助』の役割分担への理解が重要なこと、災害は社会全体を影響する事象であるために、その影響を受ける個人(企業)・地域・行政のそれぞれの役割を明確にし、お互いに補完し合う必要があることから神崎町防災マニュアルを作成し町民に配布した。

3. まとめ

 この震災による辛い経験と厳しい教訓は、災害に負けない地域づくりの知恵として永遠に引き継がなければならない。