【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第4分科会 安全な場所・逃げる場所ってどこなの? ~防災を知ろう~

 保育時間中に発生した東日本大震災。いつ、どこで起きるかわからない地震や災害に備えて、防災意識を高めていくことが重要です。子ども自身が身を守る方法や職員の研修での実践、保護者への啓発等において、保育所と保護者が一緒になって大切な『いのち』を守るために取り組んでいる防災の発信です。


『いのち』をまもる!!


三重県本部/自治労伊賀市職員労働組合・保育部会

1. 保育部会の取り組みから

  2011年3月11日午後2時46分、未曽有の被害をもたらした東日本大震災が発生しました。その時、私たちは卒園式を間近に控え、年長児と卒園のうたを歌っていました。まるで、立ちくらみのようにからだが浮くような地震の揺れの記憶がよみがえります。保育時間中の大きな地震、揺れの強い地域の保育所では保育士をはじめとする職員の人たちはどのようにして子どもの命を守り、安全に避難させられたのでしょうか。もし、自分が保育をしているときに大地震が起きたとしたら、子どもの命を安全に守ることができるのでしょうか。大切な『いのち』を預かる保育所として、最も重要なことです。
 保育所は定期的に避難訓練を実施しています。命を安全に守るために、伊賀市でも地震、火災、不審者、風水害を想定した避難訓練を実施しており、特に地震の避難訓練については大震災以降、毎月実施しています。南海トラフ大地震や東南海地震は近い将来に起きる確率が高いといわれており、伊賀市では山津波や家屋の倒壊が考えられます。万が一、地震が起きたときにはどのような動きをとればよいのか、私たちは通常行ってきた職場での訓練だけでなく、保育部会としても子どもの命を守るためにワーキンググループで活動をはじめました。

2. 『ダンゴムシ』になろう!!

 2013年度のワーキンググループは保育所で地震が起きたときに子どもたちが怖がらず、素早く自身の身を守る方法を研究しました。また、子どもたちへの啓発をどのように分かりやすくするかを各園の実践を持ち寄り話し合いました。避難経路は各園の建物の状況や周りの環境によってそれぞれに違います。そのため、各園の避難の仕方を統一するのではなく、子どもの防災意識を高め、子ども自身が身を守るための力をつけられるようにワーキンググループとして取り組むことにしました。
 安全な場所は各園の条件により違いますが、確実に安全な場所へ誘導するためには、まず、園児の"聞く力"を育てなければなりません。日々の保育の中で話しを聞く大切さを伝え、そして、自分のからだ(命)を守れるしなやかさを育てることに重点をおきました。また、防災頭巾を避難する時に使う訓練はしていますが、地震発生時、すぐ手元にあるとは限らず、机など潜れるところもあるとは限りません。

 そこで、私たちは子どもたちに人気の生き物"ダンゴムシ"になるという方法で、いざという時の身の守り方を考えました。訓練の時、近くにいる保育士が園児に「ダンゴムシ!!」と言うと、子どもたち自身がダンゴムシのように身体を思い切り小さくし、手で頭から首にかけて覆いながら、床に伏せます。何度か訓練したおかげで、子ども自身が命を守る姿勢を取ることができるようになりました。当時、テレビなどで流行っていた「あたりまえ体操」を替え歌にした「【防災バージョン】ダンゴムシ体操」も取り入れました。訓練は決して楽しいものではありませんが、子どもたちが覚えやすい方法を取り入れて、各保育所(園)で実践し、子どもたちへの啓発に役立てました。

3. いざというときのために

 2014年度のワーキンググループの取り組みは、救急救命の学習会をしました。伊賀市の各保育所(園)にAEDが導入されて数年が経ちました。導入されたときには使用方法についての研修は受けましたが、有り難いことに、実際には使用に至ったことはありません。と同時に、使用方法は記憶がうすれ、AED本体が手順を音声でガイドしてくれるとはいうものの、いざというときに本当に使用できるか不安です。そこで、地元の女性消防団の方々や消防士さんの指導のもと、救急救命についての研修を受けました。赤ちゃんから大人までの心臓マッサージと人工呼吸の方法、そしてAEDの使用方法を学びました。

 保育所にいるときだけではなく、家庭や地域、また出かけた先でも事故や怪我、災害や病気の人にいつ遭遇するかわかりません。そんなとき、目の前の人をなんとか救いたいという気持ちはあっても、いざとなれば実行に移せるかは不安です。しかし、周りの人を巻き込んで小さなことでもできたらよいのではないでしょうか。保育部会での取り組みが少しでも知識として活かされることがあればと考えています。

4. 親子で考える防災へ

  2015年度の取り組みは保護者への啓発を目的に、家庭で過ごしているとき地震が起きたらどうするか、「親子で考える防災」シートを作成しました。各家庭において危険箇所や避難時に必要なものは何かなど、子どもの備え、大人の備えを話し合ってもらい、保護者にも防災意識を持ってもらうことを目的としました。そして、伊賀市消防本部の消防士さんにもシートを点検してもらい、完成となりました。また、配付するにあたり、伊賀市の保育所(園)では外国籍の園児も増加しているため、誰もが使えるシートとなるようにポルトガル語版を作成しています。また、必要に応じて中国語、スペイン語やベトナム語の作成も検討しています。誰にでもわかりやすく、使いやすいように保育所職員の視点で作成し、9月の防災の日にあわせて配付しました。

5. 今後に向けて

 保育部会ワーキンググループで防災の取り組みを始めて4年目となりました。たびたび起きる自然の脅威により起きる災害。子どもの『いのち』を守るためには私たち保育現場で働く者が防災意識を高めていくことが大切です。今年度は、昨年度配付した防災シートについて保護者の感想を聞き、今後の活動へ繋げていく予定です。そして、今までの活動の検証を繰り返し積み重ねることを大切に、職場だけでなく、園児、保護者、地域など、幅広く一人でも多くの人に組合での活動を発信していきたいと考えています。一人ひとりのかけがえのない『いのち』を守るために保育部会として私たちのできること、そして誰もが互いにやさしくできることを模索しながら、これからも自治研活動を継続していきたいと思っています。