1.　はじめに

(１)　中泊町の現状
①　町全体
　中泊町は、2005年３月に旧中里町と旧小泊村が合併し農業と漁業が基幹産業の町として誕生いたしました。合併し10年が経過し、当初人口約15,000人が、2015年９月１日現在は12,000人で、65才以上は37.7％で少子高齢化が否めない状況であります。また、若者の町離れによる人口減少も問題となっており、特に基幹産業の農業・漁業に多く見られ、漁業後継者不足に頭を悩ませています。
　また、飛び地合併というハンディもありながら、地域住民サービスの低下にならないよう様々な取り組みを行っています。
②　小泊地域
　小泊地域は水産業が基幹産業であり、一昔前までは人口の約半数が漁業を営んでいました。現在は小泊の人口約17％程度しか漁業者がいません。また、10代～40代の若者の漁業者は26人で、漁業者全体の５％です。昔は漁協青年部が存在し、若手漁業者との連携やハマの活性化に尽力していたと聞いていましたが、それは50年以上前の話であり、現在は漁業資材や燃油の高騰、不漁や魚価安による漁業不振が続き、ハマに活気がなくなりつつあります。
　現在の若手漁業者の多くは、後継者であり、昔のままの漁業体制（漁協や県漁連など）に不満をもったり、町行政に対しても不満をもったりしています。この状況が続くことは漁業者、町にとってもマイナスとなることから、早急に対応していかなければなりません。

2.　漁業をとりまく現状

　小泊は対馬海流（暖流）と津軽海流が流れる日本海と津軽海峡がある漁場で、新鮮な魚介類が豊富な地域です。また、津軽海峡では、潮の流れも激しく、脂ののったクロマグロが回遊する場所でもあります。
　多種多様な魚類が獲れる漁場でありながら、近年漁業不振が続き、1996（平成８）年の最高水揚げから比較し、７分の１程度まで落ち込みました。

	鮮度保持講習会

　漁獲量と比例して、魚価も低下し、漁業を辞める漁業者も出てきました。
　一方で、2014年11月に水産庁より承認された、「浜の活力再生プラン」において、魚価アップ推進活動により、鮮度保持講習会を開催し、活〆や神経〆といった技術を習得し、付加価値を付けていく動きも新たに加わってきました。
　また、若手漁業者を中心に地域団体を発足させようと、漁業者、漁協職員、町職員で構成する「中泊活ハマクラブ」を2013年12月に設立しました。設立当時は23人の会員でしたが、現在は35人の会員が所属し、地域を元気にするため、日々活動しています。
　具体的に何をやっていくかを目標にもつことはいいことですが、やはり、今、個人で思っていることを直球で受け留めることが大事だと考え、まずは、月２回（休漁日）事務所に集まり、世間話などの情報交換を主に行い、最近の漁獲量はどうだとか、魚の値段の話とか、普段思っていることを言い合ったりしました。その中から少しづつ、小さいものからでも取り組んでいくことができたらいい、とにかく実行してみようと考え、町や関係団体で行うイベントなどに参加してもらうところから始めました。今までは、見る側だったのが、実行する側にたち、会員の意識も変わってきました。その実践が功を奏し、活ハマクラブ主催の「活ハマまつり」を開催することになり、漁師ならではのイベントになりつつあります。また、漁師ならではの体験イベント、メバルの網外し体験ツアーを開催し、普段体験できないことを実施したことにより、漁業を身近に感じることができる、いい機会ができました。
　この活ハマクラブが設立し、町の関係する団体（漁協婦人部など）もハマに活気を取り戻そうと一緒に連携してくれるようになりました。

活ハマまつり		津軽海峡メバル網はずし体験

3.　ブランド化の推進

(１)　魚　種
　小泊で水揚げされる魚種で、最も多いのがスルメイカ・ヤリイカであり、全体の57％を占め、続いて、ウスメバルが11％、クロマグロが５％です。
　小泊港は産地市場であり、水揚げされて、競りにかかり、仲買人を通じて、卸売市場や小売店に運ばれていきます。特に、ウスメバルやクロマグロは、首都圏に流通され、地元ではほとんど目にすることがありません。
　知名度においても、「メバルってどんな魚？」「小泊でもクロマグロ（本マグロ）が獲れるんだぁ」など情報が行き届いていません。
　また、ウスメバルは「津軽海峡メバル」という名称で、東京築地市場では、高級魚として取り扱われており、青森県全体の水揚げは６割を占め、青森県ナンバーワンの水揚げ量を誇ります。

(２)　ウスメバル（津軽海峡メバル）
①　特　徴
　・体色が赤橙色で、体側に５色の濃褐色の不定形な帯が５つある。
　・涙骨（眼下の骨）に２つ棘がある。
　・卵胎生魚である。
②　栄養成分
　・良質なタンパクを含み、低カロリー。
　・ＤＨＡ・ＥＰＡといった多価不飽和脂肪酸、オレゴン酸と言った一価不飽和脂肪酸が多く含む。
③　効　能
　・動脈硬化の予防・改善、脳卒中や高血圧などの生活習慣病予防。

　特に、小泊沖で獲れるウスメバルは、暖流と寒流が混ざり合う漁場があるため、そこに集まった豊富なプランクトンを食べ、津軽海峡の早い潮の流れによる適度な運動で身が引き締められることで脂の乗った上質な味わいを持ちます。さらに、その肉質の良さに加え、漁獲後すぐに氷で締められることで食味や鮮度が良く、刺身としても重宝されます。
　「ウスメバル」は自分の体内で卵をふ化させ、全長１cm前後の魚の状態で産みます。その後、全長２cmぐらいまで、海面表層で浮遊生活を送り、全長４～８cmになると、流れ藻の下に隠れて生活を行います。その後は、ごく沿岸で底生生活を送り、成長するとともに沖合へ移動し、３歳以上（全長15cm以上）になると、水深80～200ｍの岩礁帯へ移り、生息します。
　ウスメバルの漁法は２種類

4.　食によるブランド化の推進

(１)　序　章
　ウスメバル（津軽海峡メバル）（以下、「メバル」という。）のブランド化は、一定の業種のみでしか伝わらないブランドであり、（漁業者や仲買人、卸売市場など）一般の人には伝わっていません。マグロのように国民食でもない限り周知されないのが現実です。
　そこで、メバル漁体の周知より、メバルを食する方法でブランド化を図れないか考えてみることにしました。

(２)　カリスマプロデューサーとの出会い
　青森県深浦町というところでは、クロマグロ（本マグロ）を使ったご当地グルメが開発され、それが空前の大ヒットになっていることを知りました。これは、もしかしたら当町でもいけるかもしれないと思い、深浦町の新・ご当地グルメをプロデュースした、民間会社のプロデューサーと出会い、全国の食による観光まちづくりを実践していることを知りました。

(３)　キックオフ講演会
　新・ご当地グルメを開発し、食による観光まちづくり・食材のブランド化を始めていく前に、講演会を開催し、町としてどう進めていくか、そして賛同してくれる飲食店や関係団体の意識を高めるため、講演会を開催し、正式に、中泊町の新・ご当地グルメを開発していくことを宣誓しました。

5.　新・ご当地グルメ

(１)　新・ご当地グルメとは
　地場産食材に徹底的にこだわった、企画開発型の新しいご当地グルメのことを「新・ご当地グルメ」と呼んでいます（「企画開発型」というのは、もともと地元で親しまれている「自然定着型」のメニューとは別に、目的を持って新しく開発するという意味です。従って、ゼロから開発していくことになります）。
　新・ご当地グルメプロジェクトは、交流人口を増やし、地域を元気にするための「食」による観光まちづくり推進運動です。志を同じくする飲食店、ホテル、生産者、行政、各種団体、サポーター等がチームを組み、明確なコンセプトのもと定義・ルールを決めて、統一ブランド料理を提供します。

(２)　新・ご当地グルメのコンセプト
　～ビジョン～
　地産地消型「新・ご当地グルメ」で交流人口を増やし、地域を元気にしたい。
　～キーワード～
　「連携」と「競争」
　そして、創客へ

(３)　新・ご当地グルメの特徴
　①　地産地消にこだわる
　②　通年で提供する
　③　おもてなし料理である
　④　昼食がメインである
　⑤　明確なコンセプトと定義・ルールがある
　⑥　組織（チーム）で運営する

(４)　新・ご当地グルメに欠かせない10の力
　①　商品力
　②　組織運営力
　③　情報発信力
　④　連携力
　⑤　金銭力
　⑥　品質管理力
　⑦　提供店舗力
　⑧　販売力
　⑨　人材育成力
　⑩　ＯＭＯＴＥＮＡＳＨＩ力
　この中で、特に大切な力は「商品力」と「組織運営力」、「提供店舗力」です。

6.　中泊町の新・ご当地グルメ

(１)　第１ステージ
　キックオフ講演会後日、第１ステージとして、食材を使った料理（お膳形式で）を作り、客観的にみた評価をしていきます。テーマは自由です。（アイデアフラッシュ）
　売れると思うか。食べてみたいと思うか。見た目はどうか。など率直な意見を出し合い、会議を進めていきます。

(２)　第２ステージ
　各料理人からのアイデアを基に、参加料理人と関係団体、事務局で組織する「チーム中泊」として、一つのメニューを考えていきます。（チーム中泊はのちに協議会の構成員になっていきます）

(３)　第３ステージ
　メニューの方向性が決まり、仕上げに入っていきます。
　提供方法まで含めた定義・ルールを決定し、各店舗での商品内容をチェックします。

(４)　協議会の設立
　提供店舗の料理人、漁協関係者、農協関係者、食材提供者、料理アドバイザー、青森県、中泊町が構成員となり、「中泊メバル料理推進協議会」（以下「協議会」という。）が設立しました。

(５)　メニュー完成
　キックオフ講演会から第１ステージ～第３ステージまでの会議は22回で、約１年かけて完成しました。

7.　中泊メバルの刺身と煮付け膳（愛称：中泊メバル膳）

　中泊町の新・ご当地グルメ「中泊メバルの刺身と煮付け膳」（愛称：中泊メバル膳）がついに完成し、2015年７月２日に完成披露会と協定調印式並びに認定証の授与を行い、翌３日から一般販売開始となりました。
　特徴は、高級魚メバルの刺身姿盛り（お頭付き）、高級魚メバルの熱々煮付け（ファイヤーグルメ）、イカ刺しごはん（イカは別皿）
　中泊町ならではの高級魚メバル丸々１尾使用したおもてなし膳です。
　小泊地域では、昔からメバルは刺身で食べる習慣があり、あえてシンプルに仕上げました。

(１)　定義とルール
＜定　義＞
　中泊町は高級魚メバル（ウスメバル）の水揚げ青森県ナンバーワン！そのことを訴求するために開発した、メバル一尾を使った刺身（姿盛り、お頭付き）と熱々煮付け（ファイヤーグルメ）のおもてなし膳。イカ漁が盛んなこともあり、イカ刺しごはん（イカは別盛り）も付いています。

＜ルール＞
　①　正式名称は「中泊メバルの刺身と煮付け膳」とする
　②　愛称・略称は「中泊メバル膳」とする
　③　水揚げ青森県ナンバーワンを誇る中泊産（小泊産）のメバル（ウスメバル）一尾を使用する
　④　刺身は半身を使い、姿盛り（お頭付き）とする
　　　刺身は７切れ、炙りは３切れとする
　　　刺身のタレは３種類とし毎年見直す
　⑤　煮付けはメバルの半身を使い、ファイヤーグルメとして熱々で提供する
　　　白髪ネギを添える
　　　火をいつでも消せるように火消し蓋をつける
　⑥　中泊産（中里産）のお米「つがるロマン」を使用する
　⑦　中泊産（小泊産）のイカを刺身にして別皿に盛り、ごはんの上にのせて食べてもらう
　⑧　各店こだわりの海鮮汁をつける（原則、旬の地場産の魚介類を使用する。料理内容は、季節等に応じて、自由に変えても良い）
　⑨　各店こだわりの香のものをつける（原則、旬の地場産食材を使用する。料理内容は、季節等に応じて、自由に変えても良い）
　⑩　協議会指定のお膳、メバル刺身皿・台、タレ皿（３連皿）、煮付け鍋・五徳、煮付け取り皿、ごはんどんぶり、イカ刺身皿、汁物茶碗、香のもの皿、箸置き、スプーン、火消し蓋を使用する
　⑪　協議会指定の箸袋を使用する
　⑫　「漁法別価格制度」を導入し、メバルの市場価値が年によって変動するため料金は毎年見直す
　※2016年の料金は以下とする
　固定式刺し網漁法（2016年６月２日～９月１日）⇒1,400円（税込）
　一本釣り漁法（2016年１月１日～６月１日、９月２日～12月31日）⇒1,600円（税込）

(２)　食　数
　７月３日デビュー後は、○○食達成セレモニーの開催と、キャンペーンを行い、誘客を図ることができました。
　また、年間目標を10,000食として掲げてきましたが、デビューから111日目にして達成することができました。このことから、年間目標を20,000食に上方修正しました。 ※キャンペーンの内容は、抽選で10名様に、生のメバルと開き（生干し）のメバルそれぞれ３匹をプレゼントなどです。

(３)　経済効果
　売価・原価・連れ消費・関連消費を合わせると、中泊町に波及される経済効果は、20,000食で約１億1,182万円です。

8.　中泊メバル膳　今後の展開

(１)　キャンペーンの取り組み
　○○食達成キャンペーンを告知し露出面を強化させ、更なる食数アップを図ります。

(２)　商品開発
　中泊メバル膳のお土産バージョンを開発します。

(３)　メバルの日の制定
　毎月１回、メバルを食べる日を制定し、メバルの日は特典を用意します。

(４)　Ｓ－１あおもりとの連携
　深浦マグロステーキ丼の深浦マグロ料理推進協議会と、平内ホタテ活御膳の平内ホタテ料理推進協議会と、中泊メバルの刺身と煮付け膳の中泊メバル料理推進協議会と、田子ガーリックステーキごはんの田子ニンニク料理推進協議会の４つで組織する、新・ご当地グルメネットワークあおもり（Ｓ－１あおもり）が設立し、「食材王国・青森」から「料理王国・青森」へをコンセプトに、今後、４つのグルメのスタンプラリーや合同イベントを開催し、連携を強化していきます。

(５)　その他
　全般的にメバルを周知徹底するため、あらゆるメディアを活用しながら、中泊メバル膳を宣伝していきます。

9.　漁業協同組合の協力

　新・ご当地グルメの開発や完成、その後の運営など、食材の提供がなければこのプロジェクトはおしまいです。小泊・下前漁協では、開発会議において、食材のアドバイスやルート方法など適格な意見交換を行ってきました。また、両漁協の協力のもと、協議会の構成員も引き受けてもらい、協議会運営に賛同してくれました。特に食材については、提供店舗にロスがおきないよう、水揚げされた水産物を即座に提供していただくシステムを構築し、価格についても、浜値で提供していただくなど、漁協の協力なくてはスムーズに運営できない状況です。
　今後とも、漁協とは友好な関係性を維持し、同じ目的を共有していきたいと思います。

10.　津軽海峡メバルとの関係性

(１)　魚価について
　メバルの魚価は、漁法と漁獲量、季節によって差があります。
　中泊メバル膳デビュー後とデビューする前と比較してみました。 　デビュー後からのメバル価格の推移を前年と比較したところ、1.0～1.4倍、価格で平均215円高くなりました。
　このことから、中泊メバル膳でメバルが周知され、価格がアップされたものと思われます。また、流通の面では、今までのほとんどが東京築地市場に流れていましたが、県内でも流通されるようになりました。

(２)　地域団体商標の登録
　中泊メバル膳で一躍有名になったメバルですが、元々は津軽海峡メバルというブランド名で市場に流通されていました。これまでは、関係者しか知らない名前であり、エンドユーザーまで知ることはありませんでした。
　そこで、メバルを名実ともにブランド化させて、品質向上をめざし、津軽海峡メバルとしての定義を新たに作ることで、更なるブランド化を図ります。
　小泊漁協が主体となり、現在、地域団体商標の登録に向け、関係書類等を整理しています。

11.　課　題

(１)　協議会の運営
　中泊メバル膳全般を運営している協議会は、会長が提供店舗のオーナー兼料理長、事務局が役場水産観光課で事務局長が水産係長です。当然、役場（行政）ですと、人事異動がつきもので、担当が異動になると事務局としても機能しなくなるおそれがあります。
　最低、10年は同じ事務局が運営していくことが成功する秘訣と考えます。
　「新・ご当地グルメは10年続いて一人前、20年続いて本物」と提唱するプロデューサー。いくら商品が良くても、運営（事務局）がしっかりしないと失敗に終わってしまう。まさに「継続は力なり」です。

(２)　食材の確保
　単純にメバルの水揚げ量がなければ、新・ご当地グルメは成り立ちません。
　近年、漁獲量がだんだん減ってきているだけに深刻な問題でもあります。また、悪天候などの場合は、冷凍メバルの確保も必要になってきます。冷凍メバルの冷凍技術等を考えていかなければなりません（瞬間凍結など）。

12.　まとめ

(１)　地域バカ
　地域を愛し、地域を盛り上げるのが楽しくて仕方ない。そうして常に地域のことばかり考えている人を「地域バカ」と呼んでいます。新・ご当地グルメの総括を担う事務局長ポストになります。
　この「地域バカ」が存在しないと成功しないと言っても過言ではありません。

(２)　食による地域づくり
　中泊メバル膳ができた効果で、店同士が連携するようになり、情報共有や食材の提供など、ネットワークができました。また、協議会が組織され、提供店舗はもちろんのこと、食材提供の団体や企業との連携も強化され、一層のプラス効果が期待されています。このことから、「食」で人を呼び込むことは、地域活性化の最短ルートと考えます。新・ご当地グルメはあくまでも一つの点であり、この点をほかの点と結び、線や面にする。商品開発を通じて新たな連携が生れ、地域が変わる、これが地域活性化になり、地域づくりになるのだと感じています。
　また、新たに何かを探しだし創るのではなく、あるものを使い造る、「ないものねだりではなく、あるものづくり」が重要であり、ローカル地域がこれから存続・発展していくためには、「地域資源の磨き上げ」「魅力ある商品づくり」が大事だと思います。

(３)　中泊町の知名度
　「はじめに」でもあったように、旧中里町と旧小泊村が合併して中泊町になりました。町の名前も新しくなったため、青森県中泊町ってどこ？　行ったことない。そもそもどの辺ですか？　と言うように、青森県内でも知名度は低いです。
　新・ご当地グルメプロジェクトで完成した中泊メバル膳をツールとした様々な仕掛けを行い、中泊町をＰＲしてきた結果、「中泊町」と言ったら「メバル」。「メバル」と言ったら「中泊町」。というように知名度がアップしてきました。また、交流人口も増加し、町にたくさん人が訪れるようになりました（特に青森市や弘前市など）。

(４)　メバルの価値
　メバルは高級魚として認識され、「メバルってどんな魚？」「えっメバルって刺身で食べられるんだぁ。鮮度の高いメバルだからだって……。なるほど」というように、メバルは県内外で有名になりつつあります。
　また、メバルの価格も安定し魚価安に歯止めをかけるいいキッカケになりました。

13.　総　評

　新・ご当地グルメプロジェクトを進めてきた背景には、地域活性化という大枠な分類を成し遂げようとするも、具体的施策がないまま進むことは財力と時間のムダであり、何をすべきかと考えた結果、単純に、魚を有名にさせて、消費拡大とブランド化に繋がった成果があったからです。
　よって、中泊メバル膳は、元々ある地域資源（メバル）の宝物を掘り起し、磨きをかけ、世に出すことで、新・ご当地グルメのコンセプトである、「連携と競争、そして創客へ」がうまく誘発したのだと思います。この新・ご当地グルメプロジェクトこそ、人口減少に悩むローカル地域が生き残っていく手段だと考えます。