【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第7分科会 若者力は無限大∞ ~若者と創り出すまちづくり~

 中心市街地活性化は行政が主導して様々な取り組みがされていますが、郊外にできた大型スーパーなどの影響で、以前の中心市街地に集客を見込むことは大変難しくなってきています。2年前に開催された自治研で、「地域貢献」と「組織強化・拡大」を目的に実施してきた「くみ合コン」は地元労組でも反響を呼び、産別を超えたイベントに発展しました。自治労だけでなく、他の産別も参加した「くみ合コン」で中心市街地活性化が実現しましたのでレポートします。



イベントを通し産別を超えた連帯と中心市街地活性化


愛知県本部/岡崎市職員組合

1. はじめに

(1) 中心市街地(康生地区)の現状
① 岡崎市概要
 岡崎市は1916年に愛知県内で3番目の市として市政が始まりました。2016年には市制100周年の節目を迎えるため、昨年度「市制100周年記念事業推進課」を組織し、すでに様々なイベントが開催されてきました。また、徳川家康生誕の地として岡崎城を始めとする歴史的に意味のある建築物が数多くあるほか、2006年には宮崎あおいが主演のNHK連続テレビ小説「純情きらり」で脚光を浴びました。ドラマの背景にも出てくる八丁味噌は地元特産品の一つで味噌カツ、味噌煮込みうどん、赤だしなど名古屋めしに使用されています。近年ではご当地ゆるキャラ「おかざえもん」が人気です。
 教育・文化としては、自然科学研究機構の一つ分子科学研究所が設置されていて最先端の研究が行われています。また、毎年多数の東大合格者を輩出する県立岡崎高等学校もあり、それらの影響で小中学校から教育熱心な一面があります。「ドクター・ジャズ」こと内田修氏が収集した膨大なジャズのレコードやテープを保存・活用して「JAZZの街」としてジャズをストリート演奏するイベントを実施するなど愛好家の注目を浴びています。
 人口38万人超、名古屋市や豊田市の通勤圏内として近年ベッドタウン化し、マンション、アパートなどの建築が進んでいます。
② 中心市街地(康生地区)の立地
 康生地区は岡崎市の中心に位置し、岡崎城から近く、また松坂屋を始めとする百貨店やスーパー、映画館、市営プール(冬はスケート場)などが集中し賑わっていました。しかし、名古屋鉄道本線・東岡崎駅から徒歩圏内というには難しく、主要道路の国道1号線、248号線からのアクセスは容易ですが、自家用車を利用しても地区内の駐車場は有料のために敬遠される傾向にありました。そのうち、映画館、百貨店などが閉店し、中心市街地の新たな拠点として中央図書館が設置されましたが、以前のような賑わいは戻っていません。

(2) 2014年「くみ合コン」実績
① 自治労岡崎市労働組合連合協議会(以下「自治労岡崎」)主催概要
 自治労岡崎は、岡崎市職員組合(同「市職」)、岡崎市従業員労働組合(同「市従」)、岡崎市学校給食労働組合(同「学食労」)、岡崎市関係施設労働組合(同「関係施設労」)、岡崎市社会福祉団体労働組合(同「社福労」)、岡崎市社会福祉事業団職員労働組合(同「事業団」)の6単組で構成されていて、組合員数は2,700人超です。2014年2月に初めて「くみ合コン」を開催し、「夏ごろにも開催してほしい」という組合員の声をもとに9月にも開催しました。


2014年に実施されたくみ合コンの概要

開催日時 ①2014年2月7日(金)18:30~
②2014年2月14日(金)18:30~
2014年9月6日(土)18:30~
参加者数 ①男性88人 女性106人
②男性79人 女性 71人
男性100人 女性100人
協力店舗 康生地区6店舗(3時間貸切) 康生地区6店舗(3時間貸切)
参加費等 男性4,500円 女性3,500円
(非組はそれぞれ1,500円アップ)
男性4,500円 女性2,500円
(非組はそれぞれ1,500円アップ)
自治労岡崎主催だが、名鉄労組東部支部及び中部電力労組も参加

② 内外へ実績をPR
 自治労岡崎あるいは岡崎市職が加盟する関係機関として、連合愛知、連合愛知三河中地域協議会(以下「中地協」)、愛知県労働者福祉協議会岡崎・額田支部(同「労福協」)、岡崎地区労働組合連絡協議会(同「地区労」)があります。これらのうち、福利厚生活動に関連している労福協と地区労に対し、くみ合コンの実施をPRしました。

2. 民間労組も参戦した「くみ合コン」

(1) 民間労組も共通の悩み
 くみ合コンの実績をPRしていくと、民間労組から「ぜひ、うちの組合員も参加させてください」と問い合わせを受けることが多くなりました。話を伺うと、特に製造業は男性社会のため、女性と出会う機会に恵まれず、組合員に独身者が多いため組合として何かできないかと頭を悩ませているとのことでした。2014年9月6日に実施したくみ合コンでは、特別に名鉄労組鉄道東部支部と中部電力労組の組合員に参加を呼び掛けましたが、参加したのはほとんどが男性で、自治労岡崎の組合員よりも勢いを感じました。

(2) 地区労主催で実施

岡崎地区労働組合連絡協議会構成単組一覧

組   合   名

名鉄労組鉄道東部支部

リコーエレメックス岡崎労組

岡崎市職員組合

岡崎市従業員労組

岡崎市水道労組

JP労組岡崎地方支部

岡崎市小中学校教職員組合

岡崎市関係施設労組

岡崎ニューグランドホテル労組

岡崎市社会福祉団体職員労組

岡崎市学校給食協会従業員労組

岡崎市福祉事業団職員労組

① 産別の枠を超えて企画立案
 名鉄労組鉄道東部支部と中部電力労組を参加者に加えたくみ合コンは盛況に終わりました。これにより、民間労組の参加を視野に入れたイベントの企画に自信が持てるようになりました。「次は、主催者が市労連でも市職でもなく、民間労組も加わってノウハウの継承をしなくては」との思いから、地区労主催で開催することで企画立案することになりました。
 地区労の中心組織となる市職、名鉄労組鉄道東部支部、リコーエレメックス岡崎労組の役員が開催日の3カ月前からほぼ月一回の定期的な会合を設け、今までの経験や反省点、ノウハウを共有し、また、協力店の店長たちの意見なども聞き入れながら検討していきました。
② 開催概要
 地区労を構成する単組全ての参加は望めませんでしたが、2015年7月18日(土)、25日(土)の2日間実施することができました。参加する組合が偏らないように事前の話し合いで募集枠を設定しました。単組によっては、募集枠を大幅に超える応募があったと聞いています。ただし、女性の参加者を岡崎市役所関係単組に頼らなければならない状況だったためと、お店側からの強い要望で一般女性にも開放し幅広く募集することにしました。

開催日時

①2015年7月18日(土)18:00~22:00
②2015年7月25日(土)18:00~22:00

参加目標

①男性100人  女性100人
②男性100人  女性100人

協力店舗

康生地区6店舗(4時間貸切)

参加費等

男性4,500円 女性2,500円
(非組は男性1,500円、女性500円上乗せ)


3. まとめ

(1) 組織強化・連帯強化
 元々組合員の「声」から始まったくみ合コンは、参加する組合員の関心を呼び、また、普段は執行部の限られた役員しか交流を持たない連合愛知の他の産別の民間労組と組合員レベルで交流を持つことができました。特に、企画立案から当日の運営まで民間労組の役員たちと協力しながら一つのことを実施したことは、今後の産別交流のハードルを下げることにもなります。また、今回民間労組も組合員の晩婚化の対策に苦慮している現状が分かり、職場がくみ合コンへの参加をバックアップするという報告を聞きました。運営側としては特に出会いの場の提供という点においては、分母が大きくなればそれだけ輪も広がり、産別を超えて一体となって連帯強化が図られたと同時に、各組合の組織強化にも一役を担いました。

(2) 組織拡大
 岡崎市職員組合は愛知県本部から、臨時・非常勤等職員の組合組織化の重点単組に指定されていました。このことが頭にあったため、本来組合員が対象のイベントでしたが臨時・非常勤等職員も組合員と同じ価格で参加できるようにしました。そうすることで組合に対する関心を持ってもらうようにし、参加者へは加入を呼び掛けました。

(3) 地域貢献活動
 くみ合コンが実施された地域は、岡崎市が中心市街地活性化に取り組んでいる康生地区でした。民間労組が参加することで実施日を土曜日に設定しましたが、どの店舗も快く協力していただけました。お店側の協力をいただきながら今までの経験を踏まえ、効率的なお店の運営ができるようになった結果、お店への支払額が縮小できたり(いわゆる参加費も安くすることができました)、貸し切りの時間を前回よりも1時間も延長できました。お店側からは次回開催を望む声がすでに寄せられていて、お店も中心市街地の周知・認識度をあげることに協力的になっていると思います。

番 外 編

くみ会い駅バル
 岡崎市職員組合では民間労組とくみ合コンを実施する傍ら、豊田市職労連と合同で交流イベントを実施しました。
 その名称は「くみ会い駅バル」。「バル」方式を活用した交流イベントに挑戦しました。
 会場となったのは、これから活性化が望まれるJR岡崎駅東商業地区で、土地区画整理が完了し、ようやく店舗が増えて賑わいを見せはじめているエリアです。
 協力店は、居酒屋チェーン店から和菓子店、さらには地元発展会がビアガーデンを自主企画するなど多様な顔ぶれでした。
 岡崎市と豊田市は隣接し共に中核市でありながら、普段からあまり業務上のつながりや情報交換などがされていない状況にあります。お互いが相手の敷居が高いと勝手に考えているのであれば、このような交流を通じて業務にも活かされればと期待しています。

【概要】

開催日時

2015年6月13日(土)18:00~20:00

参加人数

男性60人 女性60人(岡崎市・豊田市 男女30人ずつ)

開催場所

JR岡崎駅東商業地区

参加費等

1人3,500円(チケット制、6枚つづりで1枚につきドリンク1杯と食事1品)