【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第7分科会 若者力は無限大∞ ~若者と創り出すまちづくり~

 霧島市青年部では地域貢献活動として、ボランティア活動を行っています。霧島市の組合活動もより広い視点で活動していかなくてはならない、地域の環境もより良くすべきという考えのもと、青年部の若い力で積極的な活動が何かできないかということから、ボランティア活動を行っています。



地域貢献
―― 市民に信頼される青年部をめざす ――

鹿児島県本部/霧島市職員労働組合・青年部

1. ボランティア活動の実施

 ボランティア活動が始まったのは2011年です。霧島市は各地域に支所があり、勤務庁舎が異なる職員間の交流がないため、若い青年部員同士のコミュニケーションを図るために活動を開始しました。
 また、市民の方から合併していいことがないという声がよく上がると聞き、日頃行政として目が行き届かないところに、慈善活動として何かできないかと思い、ボランティアを行うことになりました。
 2011年当時は人勧制度が廃止になるという話から、今後自分たちで要求・交渉していかなければ働きやすい職場は築けないと考え活動していました。人勧制度が廃止になった時、仮に賃金を上げて欲しいといっても、市民の方々が間違いなく反対すると予想されます。賃金に限らず、要求をした際に行政職員のイメージが良くなければ認めてもらえません。小さなボランティアではあるけれど、市民の方々から霧島市の職員は頑張っているなと思っていただけたら、我々の職場にも何らかの形で戻ってくるのでないかというのも狙いの一つでした。
 ボランティア活動は、毎年2、3回程度行っています。2011年度は、1年で7回、1市6町全てを回りました。内容としては、地域の行事参加、清掃活動、防犯活動などです。過去の活動を地域ごとに紹介します。
 横川地区では、山ヶ野ふれあい交流館周辺の清掃活動に参加しました。山ヶ野金山は江戸時代に2大金山として栄え、佐渡金山と並び称された歴史ある金山です。現在は史跡巡りとしてウォーキングイベントを開催しています。イベントに合わせて、清掃活動に参加しました。参加者の感想として、「社会とのつながりを再確認できた」、「ウォーキング大会の参加者が、きれいな街を見て霧島市を好きになってくれたら嬉しい」といった声が上がりました。
 また、横川町職場職域対抗駅伝にも参加しました。このイベントは、地元の企業からの協賛もある大会で、横川の中学校や企業などが参加しています。横川中学校の女子駅伝チームは、今年の全国大会に出場していて非常にレベルの高い駅伝大会になっているようです。霧島市青年部も今年全体で2位、社会人枠で1位という好成績を収めております。既に青年部を卒業した先輩方も刺激され、来年はOBチームでの参加も企画されています。横川町を活気付けられればと思っております。
 国分地区では、鬼火焚きの準備を手伝いました。鬼火焚きは、正月に鹿児島の各地域で見られる行事です。鬼火焚きで使用するやぐら組みに参加しました。参加者の声として、「参加する前はボランティアって大切だよなという気持ちと、少々面倒だなという気持ちがあったが、地元の方と接することができて楽しかった。お礼を言われて大変嬉しかった」という感想がありました。
 ボランティア活動は休日に行うので、なかなか参加したくないという部分があります。しかし、やり始めないとやる気が出ないという人間の性質もあり、最初億劫だった人も参加してみたら楽しく感じ、またボランティア活動をしてみたいと心境が変化したケースもありました。
 国分地区では他にも小学校周辺パトロールを行っています。警察や霧島市役所安心安全課から、通報事例が多い地域を教えて頂き、パトロールしています。今年は1週間の期間で活動し、総勢51人が参加しております。
 隼人地区では、宮内原用水路清掃活動に参加しました。宮内原用水路は、江戸時代に薩摩藩により作られた灌漑用水路施設です。歴史ある古い用水路で清掃活動を行いました。ちなみに薩摩藩は治水工事の技術が高く、岐阜県で治水工事を行った歴史もあります。そのため霧島市は、岐阜県の海津市と交流があり、職員を毎年派遣しあっています。
 活動の際は黄色のビブスを着るのですが、このビブスは最初にボランティアをした時に、周りから見ている人はどこの誰が何をしているのかわからないという意見から、周囲にもわかるように「青年部ビブス」を作成しました。
 また、隼人地区の嘉例川駅・横川駅開業110周年記念イベントにも、サポートスタッフとして参加しました。嘉例川駅は1903年に建てられた鹿児島県最古の駅舎の1つです。1920年には、昭和天皇や東郷平八郎も来たということです。嘉例川駅のすぐ近くに嘉例川弁当という駅弁を売っているのですが、こちらが非常に人気で、2009年まで3年連続で、九州駅弁ランキングの1位を獲得していました。
 隼人地区では他にも鮎祭りにボランティア・スタッフとして参加しています。鮎祭りは、今年で27回目を迎える歴史のある祭りです。最初は地元の人たちに利益還元をしようということで、鮎を無料で提供する祭りだったようです。今では規模も大きくなり、人手が足りないということで、ボランティアをさせていただきました。
 霧島地区では、霧島ふるさと夏祭りに参加しました。旧霧島町の夏祭りです。この夏祭りは、地元の青年団の方や商工会の方たちが中心になって開催する夏祭りで、朝8時から片付けが終わる夜の12時まで、ボランティア活動を行いました。今でも、旧霧島町の青年団の方々から、「また霧島市青年部に来てほしい。本当に助かった」という声をいただいております。
 牧園地区では、国道223号線の清掃活動に参加しました。牧園地区の温泉街と霧島神宮をつなぐ国道で、観光客が非常によく通る道です。清掃活動できれいにすることで、観光で来られているお客さんにきれいな町を見ていただき、また来ていただけるよう活動しました。
 福山地区では、佳例川地区運動会と、清掃作業に参加しました。福山町佳例川地区は、限界集落と呼ばれている地域で、住民の多くの方は高齢者です。しかし佳例川地区は、オリジナルの焼酎を造ったりして、どうにか町を活性化させようと元気に積極的に活動している地域です。自分たちも何か協力したいと思い参加しました。午前中は運動会、午後に草払いを行いました。6月には鰻のつかみ取りと草払いがあり、11月にはウォーキングイベントがあります。また青年部で参加したいと考えております。
 ボランティアの課題としてはなかなか活動に参加してもらえないというところがあります。そこで対応策として、少ない時間でも部員全員に参加・経験してもらう工夫をし、達成感や市民からのお礼の言葉を直に感じてもらい、部員のモチベーションを上げているところです。


2. ボランティア活動を振り返って

 ボランティア活動に参加した部員からは、「歴史や伝統を学べた」、「地域の活性化に協力できた」「各地域の抱える問題を再確認した」といった感想がありました。活動を通して地域のことを学んだ職員も多かったです。
 また、「ボランティアを通して地域の方と話すことで、行政職員として非常に勉強になった」という声や、「今後も地域への活性化に協力できたらと思います。参加してよかった」という声も多かったです。
 一番の収穫は、各地域の抱える問題を再確認できたということです。書類上では高齢者の多い限界集落がどういうところなのかもわかりません。しかし実際に現地へ行き、地域の人達と触れ合えば、理解が深まり相手の気持ちもわかってきます。このような経験は行政という仕事に必ず繋がっていくと思います。
 霧島市青年部では、これからもボランティア活動を行い、市民との理解を深め、住民サービスの向上につなげていきたいと思います。良い地域を作るということが、我々の職場環境の造成にもつながっていくのではないかと思います。