【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 2010年度の「群馬県民健康・栄養調査」では、野菜の摂取量は男女とも全世代(70歳以上の女性を除く)にわたり少なく、特に若い世代の摂取量が少ないという結果が出ています。そこで、行政管理栄養士(栄養士)等が高校生を対象に、食生活の実態を把握し、その結果を基に、それぞれの学校へ出向き、「もっと野菜を食べよう」(講話)を実施しましたので報告します。



もっと野菜を350(さんごーまる)プロジェクト
~高校生への食育推進~

群馬県本部/もっと野菜を350プロジェクト・代表 島田 純子

1. はじめに

 2010年度に実施した「県民健康・栄養調査」では、野菜の摂取量は、70歳以上女性を除く各世代の男女ともに少なく、特に若い世代の摂取量が少ないという結果が出ており、西部地域においても、「野菜摂取量」が目標量に達していない状況であった。
 そこで、2012年度から西部地域の行政管理栄養士・栄養士等で構成する「栄養・食生活改善業務推進会議」の一環として、元気県ぐんま21(第2次)の野菜摂取の目標量「1日350g」を正しく理解することを優先課題とし、西部地域で開催されるイベント等に出向き普及啓発を行った。その際に実施した野菜に関するアンケートの結果から、若い世代へのアプローチが野菜摂取量の増加に期待できると考え、2014年度より高校生をターゲットとして食生活の実態調査を行い、その結果を踏まえて各学校に出向き、「もっと野菜を食べよう」講話の形で還元する食育事業を実施した。現在、県内の小・中学校において、学校給食が提供され、給食を通じた食育や食に関する授業が実施されているが、高等学校に至っては、食に関する情報を得る機会が減り、また自ら食事を選択する機会が増える。そして近い将来親世代となる者にとっては、正しい食の情報を得ることが必要であると考えられる。
 本報告では、食育事業の一環として実施した高校生の食生活のアンケート(以下アンケート)から高校生の食生活及び野菜摂取の状況を明らかにし、今後の取り組みについて検討したので報告する。

2. 対象と方法

① 時 期
② 対 象

③ 方 法

表1 高校生のアンケート対象者の内訳
  男 性 女 性
1学年22835.211424.7
2学年42064.834775.3
648100.0461100.0

2014年9月~2014年12月
西部地域内の高等学校4校(県立学校3校
私立学校1校)に通う高校生1,109人。(表1)
野菜摂取や食生活に関する無記名自記式のアンケートを実施した。今回は、アンケートから、野菜摂取目標量、野菜摂取の意識別の健康状態、摂取している野菜の皿数、朝食の摂取状況について集計した。

3. 実施内容

(1) プロジェクト会議(栄養・食生活改善業務推進会議の一環)
                            2014年5月~2015年3月
① 高校生の食に関するアンケート調査の企画
 高校生の食生活の実態を把握するため、食に関するアンケート調査の内容や実施方法等を検討した。
② 集計分析
 食に関するアンケート調査の集計分析作業を行った。
③ アンケート調査結果に基づいた教育媒体の作成
 アンケート調査の結果から現在の食生活の問題点を把握し、わかりやすい指導媒体を作成した。特に、野菜摂取の必要性やその効果、目標量等を周知するための内容とした。

(2) 高校生の食に関するアンケート調査
① 高校生の食に関するアンケート調査の実施
 高校生の食生活の実態を把握するため、2014年9月~10月に対象の4高等学校において、食に関するアンケート調査を実施した。

(3) 栄養教育「もっと野菜を食べよう(講話)」の実施
① 栄養教育の実施
 アンケート調査の結果に基づき作成した指導媒体を用いて、正しい食生活や基礎知識についての講話を行った。また、教職員の協力を得て、地産野菜のクイズ等も実施し、野菜摂取の必要性やその効果、目標量等についての周知を行った。

講話風景①

講話風景③

野菜クイズ(野菜のかぶり物)①
  講話風景②

講話風景④

野菜クイズ(野菜のかぶり物)②

② 講話後のアンケート
 理解度を確認するため、講話後にアンケートを行った。

4. 結 果

(1) 高校生の食に関するアンケート調査結果
① 1日あたりの野菜摂取目標量の認知
 男女とも「350gより少ない量」を回答した人が最も多く、全体では51.9%だった。一方、「350g」と回答した人は、男性2.2%、女性3.3%、全体では2.6%と、正しく理解していた人は少数だった。また、無回答は、男性9.4%、女性25.4%、全体16.1%であり、このことは、目標量の想定ができなかったと考えられる。(表2)

表2 野菜摂取目標量の認知について
 男 性女 性
   <350g37157.320544.557651.9
    350g142.2153.3292.6
    350g<20231.212426.932629.4
無回答619.411725.417816.1
648100.0461100.01,109100.0

② 野菜の摂取状況と健康状態の意識
 野菜を「十分食べている」「まあまあ食べている」と回答した人は全体の65.0%、「ほとんど食べていない」と回答した人は6.8%であった。
 また、健康状態が「よい」「まあよい」と回答した人は全体の86.3%であり、これを野菜の摂取状況別にみると摂取状況が「まあまあ食べている」「十分食べている」の順に多かった。(表3)
③ 野菜の摂取状況と摂取している野菜の皿数(1皿を70gと換算)
 野菜の皿数は、「2皿」と回答した人が最も多く、全体の42.5%であった。
 また、野菜の摂取状況別にみると野菜を「十分食べている」と回答した人のうち、野菜の皿数が「5皿以上」は6.1%であり、野菜を「十分食べている」「まあまあ食べている」と回答していても、皿数は「2皿」が38.6%、47.7%と最も多かった。(表3)
④ 野菜の摂取状況と朝食摂取
 朝食を「ほとんど毎日食べる」と回答した人は全体の84.1%であり、これを野菜の摂取状況別にみると野菜の摂取状況が良いほど多かった。(表3)

表3 野菜摂取状況別健康状態、野菜の皿数、朝食の摂取状況

5. まとめ

 本調査により、野菜摂取目標量を350gと回答した人は、わずか2.6%で、高校生の野菜摂取目標量の認知度が低いことが分かった。また、高校生の食生活の実態として、1日の野菜の摂取量について、6割以上の人が「野菜を十分」「まあまあ」食べていると回答していたが、野菜の皿数は2皿(約140g)が最も多く、意識と摂取量にずれがあることが分かった。目標量の周知と併せて、具体的な野菜の実際量などが分かるような普及啓発活動が必要であると考えられる。
 一方、講話後に実施したアンケートでは、98.0%の生徒が「理解できた」「おおむね理解できた」と答えたことから、内容が受講者に理解されたと考えられる。今後は、さらなる詳細なアンケート分析を行い、事業内容を見直し、発展させた内容として高校生を対象とした事業を引き続き実施したい。
 さらに、今年度はこれまでの一連事業の評価を行うことを目的に、講話を受講した高校生を対象に追跡調査を実施する予定である。そして、講話内容がどの程度知識として定着しているか、実践に結びついているか等を検証したいと考えている。
 最後に、適正な野菜摂取については、県民の優先的健康課題である脳血管疾患・脳梗塞のリスクファクターである高血圧や糖尿病等の改善について多くの研究が報告されている。本報告の野菜摂取増加に向けた取り組みは、県民の健康寿命の延伸と医療費の削減につながると期待できる。そのために、「栄養・食生活改善業務推進会議」において、さらに効果的な事業方法を検討・検証し、広く県民に向けた事業を実施していきたい。