【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 給食業務において、食育は重要な位置付けにあります。子どもたちに楽しく興味を持っておいしく食べてもらうように、給食展示・『もぐもぐ』という新聞の発行など保護者への発信。給食検討委員会などの学習会。そして給食の盛り付けでは、有名なキャラ弁のように行事食を工夫して可愛く仕立てています。嫌いな食材が食べられるようになったといった事例も出てきています。



食育の取り組み
こどもの日・七夕・ハロウィン・クリスマス・節分・ひなまつり

愛知県本部/岡崎市従業員労働組合・井田保育園 小林 和代

1. 食育「様々な食事を楽しむ・意欲的に食べる・食べる楽しさを知る」

(1) こどもの日
① レシピ
 ゆかりごはん[コイの体]
 きゅうり[ポール・目・ウロコ]
 のり[目玉・ウロコ]
 無着色ソーセージ[白目・ウロコ]●乳、卵不使用
 でんぶ[魚のエラ]
② 献 立
 野菜が少ないので具沢山のけんちん汁、バナナ。

(2) 七 夕
① レシピ
 チキンライス[鶏肉、タマネギ・人参入りケチャップライス]
 きゅうり[天の川に見立てて千切りきゅうり]
 星型コロッケ[業者の冷凍コロッケ使用・乳卵不使用]
 星型人参[星形で抜き塩ゆで]
 オクラ[切って茹でると星形でアクセントに]
② 献 立
 キャベツ、人参のコンソメスープ、スイカ。

(3) ハロウィン
① レシピ
 チキンライス[鶏肉、タマネギ・人参入りケチャップライス]
 のり[目、鼻、口にハサミで切る]
② 献 立
 コーンスープ、みかん

(4) クリスマス
① レシピ
 ご飯[大小丸いおにぎり]
 カレー[ヱスビーのカレールーは乳不使用]
 ブロッコリー[塩ゆで]
 コーン[ボタン]
 福神漬け[口]
 のり[目]
 とんがりコーン[帽子]
② 献 立
 キャベツときゅうりと人参の中華和え、クリスマスデザート
                   ●乳不使用

(5) 節 分
① レシピ
 塩ご飯[うす塩のご飯]
 きざみのり[髪の毛]
 人参[口の形にカットして塩ゆで]
 グリンピース[目、塩ゆで]
 でんぶ[ほお]
 とんがりコーン[つの]
② 献 立
 トン汁、いちご

(6) ひなまつり
① レシピ
 寿司飯[おにぎり]
 うずら卵[顔][卵除去の子はミニおにぎりで対応]
 きゅうり[笏(しゃく)]
 なると[扇]
 菜花お浸し 
 でんぶ 
② 献 立
 豆腐のすまし汁、三食花ゼリー(業者の行事用ゼリー)

2. 食育「保護者への発信」

(1) 『もぐもぐ』発行
① 年4回(春・夏・秋・冬)発行の給食室から発信する食育通信です。
② 各回はテーマを決めて、季節にも配慮します。
③ おすすめレシピでは手作りおやつなど提案しています。
④ 編集は有志の職員がグループに分かれ担当します。
⑤ 各園で献立表や園通信の裏に印刷して保護者へ届けます。

(2) 給食見本の展示
① 給食やおやつの見本を展示しており、親子で当日の給食について会話が弾んでいます。
② 野菜が多い保育園の給食を見ることで理想の献立を保護者に間接的に指導しています。
 幼児の適切な量、野菜の切り方など参考になります。

(3) 保育参観の日に給食試食会
① 実際に子どもと一緒に給食を食べてもらい、量、味付け、切り方などを体験してもらう。一人一人の量はかなり違います、担任のさじ加減で子どもの満足感を引き出します。
② クラス全体で楽しく食事をする、お友達につられて苦手な食べ物を食べる、競っておかわりするようになり子どもの成長を感じられます。保護者にも新たな発見があります。
③ 保護者同士が食に対しての情報交換ができます。

3. 給食担当者の学習

(1) 給食検討委員会
① 管理栄養士、保育士、調理員の代表により毎月給食の様々な話し合いが行われています。
 専門性の異なる職種が協働することで質を高めることができ連携を深めることができます。
② 重要な内容は主任会よりおろされ各園の主任から調理員に伝えられます。

(2) 献立会議
① 給食調理員が集まり日々の献立や調理方法、手作りおやつなどの情報交換を行います。
② 管理栄養士を呼んで除去食の学習会などを開催します。
③ 手作りおやつのレシピ集を作り各園に配布します。
④ 各園では保育士へ除去食の献立会議を行い指導。成分表を見てアレルギーの成分を確認させます。
⑤ 除去食の子どもの保護者と献立会議を行いチェック。食べられるものと、食べられないものの確認をします。

4. 食育を進めるために

(1) 食育は健康な生活の基本として『食を営む力』の育成を目標としています。
① 1.の工夫した盛り付けなどの行事食では、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合い食べる意欲を引き出すこと。
② 保育園では良く遊んで空腹感を感じ、ちょうど良い量をよく噛んで食べ、満腹感を覚えてもらうこと。
③ 一人一人の食べる量は違うので担任が調整し食べ切った満足感で自信をつけさせ、次のおかわりに進むステップも作ること。 ※ただ、一律のお弁当を配るのでは体験できない給食の良さである。
④ 保護者への発信も重要な食育であり、食育通信『もぐもぐ』、給食試食会などにより様々な情報を提供すること。
⑤ 保育士のアレルギー成分の指導と情報交換。
⑥ 各種学習会などにより調理員の技術、質の向上、また職員の連携を図ること。
 今回は触れませんでしたが、野菜を育て、子ども自ら食材に触れる機会や、栄養面、衛生面、除去食、おやつなどまだまだ食育に関する内容はあります。多様な体験、取り組みを模索して、子どもたちの心身の健やかな成長、食の質の向上に努めていきたいです。