【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 4月の熊本大分地震では、避難所に避難した子や車中泊をした子など、不安な夜を過ごした子が多くいます。園では地震対策マニュアルを整備していることから、今回の地震を体験し保育士それぞれが避難方法・準備等について再度考えるようになりました。今後、幼い命を預かる私たちが、いかに安全に確実に避難し、身の安全を確保させるかについて報告しています。



教育・保育施設における防災対策
(避難訓練、防災備品など)の取り組み

大分県本部/日田市職員労働組合・保育所部会 手嶌 美香

1. 始めに

 日田市は北部九州のほぼ中央、大分県の西部に位置し、福岡県と熊本県に隣接した地域です。また、周囲を阿蘇・くじゅう山系や英彦山系の美しい山々に囲まれ、これらの山系から流れ出る豊富な水が日田盆地で合流し、筑後・佐賀平野を貫流しながら、住民の生活や産業を潤しています。また、江戸時代には幕府直轄地・天領として繁栄し当時の街並みや伝統文化が今なお受け継がれています。


2. 熊本・大分地震

 4月14日午後9時26分、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生しました。続いて4月16日午前1時25分、本震といわれる地震が発生しました。
 日田市でも、14日には、震度4、16日には、震度5強を観測しました。16日は、これまでにない強い揺れを感じました。人的被害はないものの、土砂災害による交通規制が敷かれました。
 園での被害はさほどありませんでしたが、両日共に、避難所へ避難した子、車中泊をした子も多く、不安な夜を過ごし、寝不足もあり小さい子は体調を崩す子もいました。
 15日は、土曜日ということもあり、登園児は少なかったものの、通常保育を行いました。
 保育中にも何度も携帯の地震警報が鳴り、その度に、外へ避難し、子ども達の中には「地震、もうやだ」と言う子や、携帯の音に敏感になり怖がる子もいました。
 毎日、余震が続き、不安な日々が続きましたが、やっといつもの日々が過ごせるようになりつつあります。


3. 地震対策(マニュアル)

 園では、次のようなマニュアルがあります。
① 地震に備え非常用物品等を確保し、点検整備を実施する。
② 地震が発生した場合は、次の安全措置を行うものとする。
 ア 地震発生直後は、身の安全を守ることを第一とする。
 イ 火気設備器具の直近にいる火元責任者は、電源及び燃料の遮断等を行い、防火管理者に状況を報告をする。
 ウ 防火管理者は、二次災害の発生を防止するため建物、火気設備器等について点検、検査を実施し、異常が認められた場合は、応急処置を行う。
③ 地震時の活動は、自衛消防組織による活動を原則とする。
 ア 自衛消防隊長は、建物内外の状況を把握し必要な情報を自衛消防隊員に周知徹底させ、混乱を防止するために建物内にいる利用者に適切な指示を行うこと。
 イ 避難にあたっては、身の安全を確保した後、各避難所へ避難させる。
 ウ 利用者等を避難場所A・B・Cへ誘導する時は、順路、道路状況、地域の被害状況について説明する。


4. 今回の地震を体験して

 今回の地震を体験し、保育士それぞれが避難方法・準備等について再度考えるようになりました。
 毎月の避難訓練は行っているものの、午睡時に地震が発生したらどう対応するか、夕方の職員数が減った時に地震が発生したらどうするか。また、水の確保はどうするか。たくさんの課題・不安があります。
 午睡時には、蛍光灯等の落下危険物がない場所で、避難しやすいように入り口に近い場所にする等、各クラスで見直し、未満児を素早く避難させるために、朝、未満児の部屋の出入り口に避難車を準備するようになりました。
 また、毎月の避難訓練も、以前は、"何時からどこが出火場所で行う"と事前に周知した中で行っていましたが、避難訓練の日にちは決めるものの、"いつ・何の訓練か"は知らせずに行うようになりました。
 いつどのような災害が起こりうるかわかりません。幼い命を預かる私たちが、いかに安全に確実に避難し、身の安全を確保させるか、これからも、協議していかなければならないと思います。