【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 封戸保育園の園児数は現在16人で小規模で家庭的な良さを生かした保育を行っています。現在、他園同様、園児数は減ってきており、定員に満たない状況ではありますが、この地区の自然に囲まれた穏やかな雰囲気の中で一人ひとりの個性を大切にした保育と、地域とのつながりを大切にした保育について報告しています。



保育園と地域のつながり


大分県本部/宇佐市職員労働組合・保育部会 矢野 綾香

1. はじめに

 宇佐市は大分県北部に位置しており、大分市と北九州市のほぼ中間点にあります。本市は2005年に1市(宇佐)2町(安心院、院内)が合併し新市となりました。歴史ある町で宇佐神宮や石橋など数多くの文化遺産を有しています。現在、同じ状況の自治体も多いかと思いますが、少子化傾向が続いています。
 市内に公立保育園は宇佐地区に2園、院内地区に2園あります。地域のニーズなどに違いはあるものの、各園の特性を活かしながら保育を行っています。


2. 園の紹介~封戸保育園の取り組み~

 私が勤める封戸保育園は宇佐市と豊後高田市のほぼ境にあり現在園児数は16人で小規模で家庭的な良さを生かした保育を行っています。現在、他園同様、園児数は減ってきており、定員に満たない状況ではありますが、この地区の自然に囲まれた穏やかな雰囲気の中で一人ひとりの個性を大切にした保育と、地域とのつながりを大切にしています。

(1) 世代間交流について
 年に2回、保護者と地域の方を招いて伝統行事の伝承と交流として3世代間交流の機会を設けています。
① 七夕集会
 7月に最初の世代間交流として、保護者と地域の方と一緒に笹飾りを作り、七夕にちなんだ給食を一緒に食べます。子どもたちの歌やリズム発表もあり地域のお年寄りの方も子どもたちのかわいらしい姿に目を細めてご覧になっています。笹飾り製作では子どもたちも「これはどうするの?」「みてみて できたよ」など地域のお年寄りの方に親しみながら、様々なことを教えていただきみんなで楽しんでいます。地域の方からは「子どものころに返ったようで楽しい」というお声をいただいています。
② もちつき大会
 かまどでもち米を蒸すところから始め、杵でもちをつき丸めてというように伝統的な方法でもちつきを行います。お父さんたちの力強さとかっこよさに子どもたちは熱い声援を送っています。また、お年寄りの方がつきたてのおもちを手際よく分けたり丸めたりしている姿をまじまじと見つめています。子どもたちを含め保護者や地域の方にとっても交流を深め、たくさんのことを学べる機会になっています。

(2) 小学校との交流について
 小学校の運動会に参加をするという保育園は多いと思いますが、近隣の小学校の児童数が少ないということもあり合同で行っています。子どもにとって小学校のお兄さんお姉さんは憧れの存在であり、きらきらしたまなざしで見ています。やはり園児にとっては小学校での運動会は特別であり、やる気や自信をつけていって力を発揮しています。両職員にとってもそれぞれの子どもたちの姿を知ることができることで、かかわり方や成長過程を知り得るきっかけとなっています。
 簡単な一例ではありますが、地域との交流を通して子どもの姿や園を知っていただくよい機会になっています。他3園でも園や地域の特性を活かしながらの活動を行っており、様々な交流を積み重ねていくことの大切さを感じています。


3. おわりに

 現在各園で様々な悩みや課題などを抱えていますが、その中でも2園においては園児数の減少が著しく、他2園も含め今後も緩やかに減少していくのではないかと推測されます。今現在、民営化等の話は出ていないものの園児数が減っていく中で、これからも状況は厳しくなっていくことが予想され、統廃合など今後の動向が気になるところではあります。 
 3年前より、宇佐市で開催されています幼児音楽祭に公立保育園も参加しており、他の地域や私立保育園などに公立保育園を知っていただけるようになってきました。園がある地域だけではなく他園や地域とのかかわりも増えてきています。各園の特色を知っていただき、今後も4園の存続を願い公立の保育園だからできること、役割などを考え、それぞれの地域に必要とされる保育園でありたいと思います。