【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第11分科会 じちけん入門!! ~じちけんから始まる組合活性化~

 延岡市の清掃業務を行ううえで、「直営堅持による行政サービスの向上」は欠かせないものとなっている。住民ニーズが多様化している今、そのニーズに的確に応え、「安全・安心」な行政サービスの提供が私たちには求められている。
 本レポートでは、本市の清掃職場の現状と課題から将来を見据えた業務内容を創出し、住民サービスの更なる充実と人員確保につなげる取り組みを提言する。



住民ニーズを的確に捉え、
清掃職場における人員増を創りあげる
―― 住民の視点に立った清掃業務をめざして ――

宮崎県本部/延岡市職員労働組合

1. はじめに

 清掃部門や学校給食調理員など、多くの現業職場が人員削減・民間委託などの合理化攻撃を全国的に受けてきました。この攻撃は、今後も継続される傾向にあり、さらに強化されると予想されます。改正地方公務員法が施行され、私たちを取り巻く情勢はさらに厳しいものとなっています。本県をはじめ、他県の自治体では、義務づけられた人事評価制度の導入を理由に、残された直営部門を攻撃し、職場をとるか、賃金水準をとるかの選択を迫られたところもあります。私たちは、これからの厳しい状況をたたかい抜くため、これまで以上の団結と、職場を守る取り組みが必要となっています。
 市場原理・コスト比較を口実とした民間委託化の攻撃に対抗するためには、住民ニーズに的確に対応し、「安全・安心」で住民から信頼される行政サービスを提供するための取り組みが必要ではないでしょうか。
 本レポートでは、「人員配置の充実こそが行政サービスの充実へつながる」という考えを基本として、住民のニーズに応じ、サービスの質を落とすことなく業務に見合った人員を確保していく行政サービスの在り方について提言します。


2. 現 況

(1) 延岡市の現況
 ・人 口       125,127人(2016年2月末現在)
 ・世帯数       53,214世帯
 ・自治区       397区
 ・ごみステーション  5,408箇所(うち資源ステーション 2,721箇所)

(2) 組合の概要
 ・組合員数     923人(再任用を含む)
 ・執行部      21人   ・青年部  15人 ・女性部  26人
 ・現業評議会    11人

■延岡市職労の組織構図


3. 本市の清掃職場に於ける現状

 延岡市は、2005年に旧北方町、北浦町、2006年に旧北川町と合併しました。
 旧北方町、北浦町、北川町の「燃やすごみ」、「燃やさないごみ」、「資源物」の収集は合併前と同様、既に委託していた民間業者が収集することになっております。
 旧延岡市の清掃職場に於いては、循環型社会の形成として①1996年度に古紙の分別収集、②1997年度に古布、びん・缶の分別収集、③2006年度にペットボトル・プラスチック製容器類の分別収集、④2009年度にプラスチック製包装類の分別収集、⑤2009年度にごみ処理の有料化を実施、⑥2010年度にペットボトル・プラスチック製容器包装類の収集回数増、⑦2012年度に古布の対象品目の拡充、⑧2014年度に使用済小型家電機器等の回収を実施しました。
 その傍ら、収集業務の効率化として①1998年度に旧延岡市のし尿収集民間委託、②2001年度清掃工場運転管理業務を民間委託、③2005年度に事業系一般廃棄物の直営収集廃止、④2006年度旧延岡市の「燃やすごみ」、「燃やさないごみ」、「粗大ごみ」の収集運搬を民間委託しました。

清掃職場の人員推移

年 度

項  目

班数

人  員

1992.4.1  
23班
85人(正規・臨時職員含む)
1995.4.1 透明袋による収集開始
22班

82人

1996.4.1

古紙の分別収集開始

22班
82人
1997.4.1

びん・缶、古布の分別収集開始

22班
82人
2005.7.1

事業系一般廃棄物直営による収集運搬廃止

 

 

2006.4.1

燃やすごみ、燃やさないごみの民間委託
ペットボトル、プラスチック製容器類の収集開始

9班

37

2009.4.1

ごみの有料化実施

 

 

2010.4.1

ペットボトル、プラスチック製容器包装類収集回数増

10班

40

清掃職場の人員推移

 以上のように、ここ数年で新事業を展開し、また度重なる合理化攻撃による業務の効率化を余儀なくされました。
 しかしながら、2009年度の「ごみ処理の有料化」に伴い、家庭から排出されるペットボトル・プラスチック製容器包装類の量が増加し、また、住民から「収集回数を増やして欲しい」というニーズが高まり、それまで隔週で行っていた収集を毎週に変更し、それに伴って収集作業員を増員しました。


4. 新たな課題

(1) ふれあい収集
① はじめに
 ごみ出しをすることが困難なひとり暮らしの高齢者や障がい者世帯等に対し、声掛けを行いながらごみ等を戸別収集する事業を実施することにより、日常生活における負担を軽減し、もって福祉の増進を図ることを目的としています。
 また、ふれあい収集の申請や実施を通して、行政内の他部署や福祉団体との間で、ひとり暮らしの高齢者や障がい者世帯等への対応について互いに情報共有や協力が必要不可欠です。このことにより、ごみの戸別収集を超えて、住民の生命の安全や生活の向上にまで踏み込んだ総合的な市民行政サービスが実施可能になります。
② 延岡市の現状
 行っていないが検討中です。
③ 実施している他市の現状
 ア 実施状況の比較
  熊本市 静岡市 八王子市
対象者の範囲
(自らごみを
排出することが
困難な者)
①要介護1~5までの者
②身体障がい者手帳1級または2級の交付された者
③精神障がい者保険福祉手帳1級の交付された者
④療育手帳Aの交付された者
①高齢者(65歳以上)のみの世帯に属する者
②障がい者のみの世帯に属する者
③その他市長が必要と認めた者
①要介護1~5と認定された者又と認定された者のみで構成されている世帯
②身体障がい者手帳1、2級の手帳を交付された者又は障がい者のみで構成されている世帯
③その他市長が必要と認めた者
品  目 可燃ごみ、不燃ごみ、
資源物、粗大ごみ
不燃ごみ、粗大ごみ 可燃ごみ、不燃ごみ、
資源物
回  数 週2回 市長が指定した日 対象者と協議の上、決定している
排出場所 利用者の玄関先 屋内 原則利用者の玄関先
安否確認 原則行わない 立ち会いのもと行う 声掛けを行う
排出が困難な場合の取り扱い 家の中に入っての収集は行わない 搬出に際し特別の工事を要する物及び住宅内から容易に持ち出すことができない物の収集は行わない 規定なし
備  考 ごみ出しがない場合は、呼び鈴を押すなどして応答を求め、応答がない場合は、申し出があった緊急連絡先に連絡する 対象者は、屋内への立入り及び事故に関する承諾の意思を表示するものとする 声掛けに対する返事がない、又はごみが連続して出ていないとき等には状況をみて確認をする。確認が取れないなど場合によっては申し出があった緊急連絡先に連絡する

 イ 八王子市の事例
 八王子市で2006年から始まったふれあい収集を担当している職員が、訪問した独り暮らしのお年寄りの異変に気付いて、家族に連絡するという出来事があった。お年寄りは意識障害があったが大事に至らず、家族は「無事だったのは、ふれあい収集のおかげ」と喜んでいた。
④ 今後の検討事項
 ・高齢者や障がい者等に対する収集の名称の決定
 ・対象者の範囲
 ・要項や申請書の作成
 ・収集体制の決定
 ・車両の決定
 ・関係部署や福祉団体との連携
 ・排出方法(品目、曜日、回数、場所、ポリバケツの使用)
 ・安否確認の有無
 ・専用カレンダーの作成の有無
 ・粗大ごみ等家庭内からの排出が困難な場合の取り扱い
⑤ 終わりに
 日本は近年、本格的な人口減少や少子高齢化の時代を迎えており、本市においても同様です。また、住民の地方公共団体に対する期待や要望などの行政需要は、これまで以上に増加していくと考えられ、特に高齢者を対象とした福祉関連事業に対する需要は、大幅に拡大することが予想されます。本市においても高齢者を対象とする行政サービスの提供は不可欠であり、早急な対応が求められています。
 他市町村においては、様々な福祉推進事業を展開していますが、このような事業について今後の検討課題であり、将来的には他部署や福祉団体等と連携を図り、様々な市民行政サービスを拡充し、住みよいまちづくりを行っていく必要があります。

(2) 蛍光管回収
① はじめに
 近年では、蛍光灯型LED照明器具の普及により、蛍光管の廃棄量増加が問題となっています。しかし、従来の蛍光管には水銀が含まれており、環境汚染のリスクが懸念されています。事業所から排出される蛍光管以外、つまり家庭から排出される蛍光管の処分は自治体の責任となっていますが、未だに多くの自治体が焼却処分や埋め立て処分をしているのが現状ですが、こういった処分方法は見直すべきだと考えます。
 また、従来の蛍光管をリサイクルすると、ガラス、アルミ・口金、水銀に選別され、それぞれが再利用することが可能となります。LED蛍光管は水銀が含まれていませんが、従来のものと同様にリサイクルが可能です。
② 延岡市の現状
 延岡市では、蛍光管を燃やさないごみとして収集しており、その後は清掃工場で粉砕した後に埋め立て処分をしております。循環型社会が叫ばれている今日において、このような処理の仕方に疑問を感じます。
 蛍光管のリサイクルが進んでいる自治体では、役所や家電量販店等で拠点回収をする場を設け、月に1回ライターや体温計等と一緒に収集しているところもあります。蛍光管を燃やさないごみとするのか、資源物として扱うのかは自治体の責任となります。資源物として扱うと今まで以上に、人員やコストがかかってきます。しかし、環境を守る立場としてリサイクルできるものはリサイクルするのが本来の姿ではないでしょうか。
③ 今後の方向性
 今後、蛍光管をリサイクルするには、突然始めてしまうと、住民や職員の混乱が生じてしまうため、徐々に始めていくことが重要だと考えます。そこで、まずは清掃工場に持ち込まれた物のみ分別することから始めます。住民が直接持ち込んだ物のみ保管し、一定の量に達した際にリサイクル会社に引き渡します。次に、拠点回収を開始します。延岡市役所や、家電量販店、スーパーマーケット等の不特定多数の住民が訪れる場所に設置し、月に1回ほど回収を行います。設置するボックスは他の自治体を参考に、直管型、電球型、環型の3つに分類し設置しようと考えています。それでもリサイクル率が上がらない場合は、蛍光管、体温計、ガス缶、スプレー缶、ライター、乾電池等の資源ではあるが危険なものを特定品目とし、月に1回収集日を設け収集していきたいと思います。
④ 今後の検討事項
 蛍光管をリサイクルに回す場合、新たな課題がいくつか出てきます。1つ目は、蛍光管が家庭で割れてしまった場合の対応です。それについては、割れてしまったものは、燃やさないごみとして排出してもらい、従来通りの対応をしたいと思います。収集途中で割れてしまった場合も同じ対応をしたいと思います。2つ目は、清掃工場内の保管場所の設置です。延岡市の清掃工場内の資源倉庫にスペースを設置することが難しいため、回収場所と保管場所を別々に設置しなければなりません。その際、人の手では移動させることが難しいため、フォークリフトの資格が必要となってきます。現在、フォークリフトの免許資格を有している者が数人おりますが、今後、退職や人事異動等で赴任してきた職員や新規採用職員に対しての免許取得が出来る環境作りをしていく必要があります。3つ目は回収ボックスの設置です。回収ボックスの設置場所は、現在小型家電が拠点回収となっているため、それに伴って設置していきたいと思います。また、回収ボックスは中で割れてしまう可能性があるため、今後、他の自治体を参考に検討を重ね工夫していきたいと思います。

(3) リユース促進のための交換掲示板方式
① はじめに
 今日、企業は競い合うように新製品の開発やコストダウン化を推し進め、消費者の購買意欲を刺激し続けています。その結果、家具、衣類、家電製品等の買い換えのサイクルは急速に早くなり、まだ使用可能なものであっても不用品として処分されているという現状があります。市町村が収集する粗大ごみ等をサンプル調査した結果、1~2割程度のものは、まだ中古品として利用可能であったという調査結果があります(注)
 このような現状は延岡市でも例外ではなく、排出されるごみの量の増加だけでなく、許可を得ていない不法な業者による回収や、それに伴い不法投棄される家電製品等が問題となっています。
 そこで私たちは他自治体で実施されている「不用品登録制度」、特に「交換掲示板方式」に注目しました。譲り受けたいと考えている住民の方に情報を提供することで、ごみとして排出される量も減少し、不法な業者の横行を防ぎ、更に住民のリサイクル意識の向上につながるのではないかと考えています。また、廃棄物の発生量・処分量の削減に繋がり、廃棄物の収集運搬・処理費用等の低減、最終処分場の延命化に繋がることも期待できます。
② 不用品登録制度とは
 住民の方が不要となり、処分したいと考える一定の基準を満たした物品を、規定の様式に従い登録、公開を行います。公開された情報を見た他の住民の方がその物品を欲しいと思えば、連絡を取り、引渡を行うという制度です。そのうち、不用品交換のための掲示板を設置し、掲載を行う方法を特に交換掲示板方式といいます。


③ 延岡市の現状
 延岡市では、ごみ処理の有料化実施や資源物の分別拡充等を行い、ごみの減量化・リサイクルの推進を図っています。また、
リフューズ(Refuse) :不要なものは買わない
リデュース(Reduce) :ものを大事に長く使う
リユース(Reuse)  :使い終わっても、繰り返し修理して使う
リサイクル(Recycle):正しく分別する
という、「4R」という言葉をキーワードに、更なるごみの減量化をめざしています。
 しかし、排出されるごみの量は、ごみ処理の有料化が行われた2009年度の大幅減少以来、横ばいの状態が続いています。そこで、本取り組みにより現状の膠着状態を脱却し、延岡市の年度目標である、基準年度比(2008年度)20%減を達成できるのではないかと考えています。

④ 実施に当たり検討すべき事項
 交換掲示板方式で実施する際、準備段階と実施段階の二つに分け、更に予算についても検討する必要があると考えられます。想定される詳しい検討項目を以下の表に記載します。
 

検討項目

市町村の検討事項

準備段階 1)掲示板の運用ルール ・掲示板での交換対象品目
・登録・掲示内容
・運用方法
・引渡のルール
2)掲示板の設置 ・掲示板の設置(実物・電子)
・ウェブサイトの構築
3)効果測定の方法 ・情報登録数、成立数の把握
・掲示板の認知度の把握
4)住民への広報 ・ちらし、ポスター、CM等
・ウェブサイト・広報紙等への掲載

実施段階 5)掲示板の登録・引渡の仲介 ・掲示板への登録方法
・引渡の仲介方法
・登録・仲介の手数料(無料か有料か)
・情報管理
6)効果を高めるための工夫 ・写真の掲載の有無
・粗大ごみ等搬入受け付け時の利用案内
必要となる予算(主な費目) ・掲示板設置費用
・ホームページ作成費用
・広報関連費用(作成・印刷・配布等)


⑤ 他自治体の実施状況
  葛飾区(東京都) 泉大津市(大阪府)
申込方法 窓口受け付け
申込はがきの郵送
申請書のファックス
ホームページからの電子申請
電子申請
直接申請
掲載期間 掲載開始後2か月 掲載開始後3か月
掲載場所 区役所ホームページ 市役所ホームページ
市役所庁舎内掲示板
引渡方法 当事者による直接交渉 市役所に連絡後、直接交渉
掲載可能品目 日常生活用品に限る
営利目的のもの、食品、不動産は掲載不可
粗大ごみとして収集するもの
その他 区は情報交換を行うのみで
一切の責任を負わない
上限1,000円まで設定可能
引越し時に当取り組みを紹介

⑥ 終わりに
 はじめにで紹介したように、不用品交換を斡旋するメリットは大きいが、コストに見合うかは疑問が残ります。泉大津市でも、実施後3年間で成立した件数は150件程度で、そもそも住民の間にあまり浸透していないという現状があります。しかし、徐々にではありますが交換成立件数は増加しており、一定の効果があることも事実です。もし本市で実施する場合は、特に広報、フィードバックシステムに力を入れ、長期継続的に事業を展開していく必要があるのではないかと考えます。また、不用品交換のシステムとして、掲示板方式だけではなく、フリーマーケットのような住民同士の交換、交流の場の提供や、各事業者との連携により、不用品をリユースするといった事業を並行して展開するといった方法も考えられます。長期的活動により、リユースの意識が住民の方々の間に浸透するようになれば、ごみの量の減少に大きく貢献できるのではないかと考えられます。

(4) 資源物回収の効率化
① 延岡市の現状
 延岡市古紙・古布、びん缶の収集は、平ボディ車4台、塵芥車2台の6台体制で収集しております。さらに、収集地区を2分割し、1つの収集地区を平ボディ車2台、塵芥車1台の3台体制の計6台で毎日回収を行っております。平ボディ車は、新聞・ダンボールで1台、古紙・古布で1台とし、また塵芥車1台でびん缶を収集しております。
 しかしながら、収集の際に、新聞・ダンボールを収集した後、古紙・古布の平ボディ車が来るほんのわずかな時間に、住民の方が「古紙・古布がまだ収集されていないので新聞紙も置いておこう」と、すでに収集が終了したステーションに新聞紙を置く、というようないわゆる「後出し」が恒常的に見受けられます。そういった場合、「本日の新聞の収集は終わりました。次回は収集日の朝8時半までに出してください」という啓発シールを貼るようにしていますが、「まだ収集に来ていないから大丈夫」「いつも昼過ぎからの収集なので、昼前に出せばいい」という市民の方も、未だ多く見受けられるのが現状です。
② 問題点
 先に挙げたように、住民の方たちの「後出し」が恒常的に行われていることが問題点です。
 また、現在の平ボディ車では、集めた資源物を手で積み、手で降ろす作業を行わなければなりません(図1)。この作業は非常に重労働であり、作業員の大きな負担となっています。また、その際に荷台から落下したり、無理な姿勢での作業により身体を壊してしまう作業員も出てくるなど、安全面でも大きな問題があります。

図1 手作業で積み荷を降ろす作業


③ 改善策
 回転板の部分を仕分け、新聞、雑誌類、ダンボール、古布を一度に運搬・収集することができれば、問題点に挙げたような「後出し」はなくなるのではないかと考えています(図2)。また、塵芥車であれば、手で積んだり、降ろしたりする作業も少なくなり、作業員への負担、安全面の観点からみても、非常に有用な方法であると考えます。

図2 二分別塵芥車


④ 終わりに
 本市は、ごみの減量、住民への啓発と意識改善のために様々な取り組みを行ってきました。しかし、先の問題点以外にも様々な問題を抱えています。そのためにも、まず、現在顕著な問題となっている「後出し」や「作業員の負担」を取り除いていきたいと思います。これが足掛かりとなって、ひいては本市が掲げる「住民サービスの向上」に繋がるのではないでしょうか。


5. まとめ

 「ふれあい収集」、「蛍光管の分別収集」のみならず、延岡市の清掃行政の前進を図る上で「直営堅持による行政サービスの向上」は欠かせません。日増しに高まる住民ニーズに対応すべく、今後も、行政責任としての住民サービスの維持・向上・充実・強化を考えていくことはもちろんのこと、当局にたいしてもその視点をもって行政サービスを充実させていくよう求める必要性を感じます。また、日増しに高まり、変化する住民ニーズを的確に捉える中、職場段階でも日頃から行政サービスの重要性について理解を深め、将来を見据えた業務内容を議論していく必要があると考えます。


6. おわりに

 「住民が必要とすれば、現業職場はなくならない」。本市の清掃職場の現状と課題から将来を見据えた業務内容を考えることで、私たちは「住民目線の業務改革が、自らの職場を守る運動につながる」ということを強く感じました。住民に最も近い立場の私たちが、住民目線で現在のサービスの充実・向上をはかるための取り組みを進めていかなければ、住民の理解を得ることは難しいでしょう。自分たちの仕事を住民に理解してもらい、必要性を感じてもらうことこそが、民間委託や合理化攻撃を許さないための最大の取り組みであり、そうすることが結果として、私たちの職場を守ることにつながっていくことを再認識しなければならないと思いました。今後も、「住民が求めているサービスは何か」「住民のためにできる業務は何か」を模索し続け、自らの業務を職場から発信して創り上げていく取り組みを進めていきたいと思います。




(注) 環境省「平成22年度使用済製品等のリユース促進事業研究会報告書」(p108~137)