【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第12分科会 ほんとうの住民協働とは? ~地元スペシャルになろう

 都市部では、少子高齢化、核家族化による独居老人の孤独死が問題視されています。地方においても、核家族化は進み独居で住んでおられる方が増えつつあります。そこで、独居老人宅を訪問し、お年寄りの方とのふれあいを目的とした地域ボランティアの取り組みについて紹介します。



地域ボランティアの取り組みについて
独居老人宅ふれあい大作戦

自治労島根県本部/隠岐の島町職員組合

1. はじめに

 隠岐諸島は島根半島の北方、日本海に浮かぶ4つの島と他の小島からなる諸島です。
 隠岐の島町は4つの島の中でも最も大きな島である島後(どうご)に位置し、総面積は242平方キロメートル、人口約15,000人の町です。かつて隠岐郡西郷町・布施村・五箇村・都万村の4ケ町村で構成されていましたが、2004年に町村合併し、現在の隠岐の島町になりました。
 隠岐島は、自然、文化・歴史が多く残されており、2013年9月9日には『世界ジオパーク』に認定されました。また、日韓をめぐる領有問題となっている竹島が属する町でも知られています。
 人口は合併後に17,000人余りいましたが、減少傾向にあり、現在では14,901人となっています(2015年4月1日現在)。
 隠岐の島町においても、例外なく高齢化が進んでおり、高齢化率37.4%と特に高い数値となっています。さらに年少人口も減少し、学校統廃合が進み、現在小学校7校・中学校4校とここ数年で約半数となりました。結果、独居老人宅の増加・地域のつながりが希薄となってきています。
 こうした現状を踏まえ、隠岐の島町職員組合では10年以上前から地域ボランティア活動として、独居老人宅を訪問・お手伝いをしています。
 今回、隠岐の島町職員組合で行ったこれまでの活動について報告いたします。


2. 年末ボランティア活動の経緯について

(1) 年末ボランティア活動の趣旨
 活動自体は、独り暮らしのお年寄りが気持よく新年を迎えられるように、年末に家の窓ガラスを清掃し、そばを配布することです。
 窓をきれいにすることは、もちろん大切なこと……。しかし、何よりも、お年寄りの方とのコミュニケーションが最も大切なことです。
 また、それだけでなくボランティアをする側でも互いのコミュニケーションがとれることで、日頃の仕事では見えない地域の困りごとなどを発見することができます。

(2) 年末ボランティア活動の歴史
 ボランティア活動は、"さわやか小さな親切隊"と題し、町村合併以前の旧西郷町職員組合時代の2001年から活動をスタートし、2004年の町村合併後も引き続き隠岐の島町職員組合として活動を続け、現在に至っています。また、2002年からは隠岐高等学校生徒の皆さんが、2006年からは隠岐地区労働者福祉協議会との合同開催で他産別の労組の方々も参加し、100人以上がこの地域ボランティア活動に参加しています。
 当初は年末ということでつきたての餅を配布していましたが、2006年からは組合壮年部活動で収穫したそばを、窓ふき前日に作り年越しそばとして配布しています。

◎活動実績
実施年参加者数・訪問件数備          考
2001年29軒 68人参加 
2002年54軒 64人参加隠岐高校野球部参加・もち配布
2003年43軒 92人参加隠岐高校野球部参加・もち配布
2004年64軒 112人参加 隠岐高校野球部参加
2005年大雪により中止 
2006年70軒 109人参加隠岐高校野球部・労働者福祉協議会参加・そば配布
2007年52軒 100人参加隠岐高校野球部・労働者福祉協議会参加・そば配布
2008年64軒 98人参加隠岐高校野球部・労働者福祉協議会参加・そば配布
2009年64軒 99人参加隠岐高校野球部・労働者福祉協議会参加・そば配布
2010年98軒 144人参加隠岐高校・労働者福祉協議会参加・そば配布
2011年58軒 147人参加隠岐高校・労働者福祉協議会参加・そば配布
2012年39軒 123人参加隠岐高校・労働者福祉協議会参加・そば配布
2013年39軒 137人参加隠岐高校・労働者福祉協議会参加・そば配布
2014年26軒 117人参加隠岐高校・労働者福祉協議会参加・そば配布


3. 年末ボランティア活動に向けて

(1) 独居老人宅配布用のそば作り
① そば畑の草刈作業
 そば作りと言っても、壮年部員の大半はそば作りに関しては素人です。種をまく時期を決めるのも天気との相談です。
 6月29日に1年間で生い茂った草を刈り、再度種まき前の9月9日に草刈りをしました。
② 種まき作業
 種まきの前に一度草刈を行い、耕しておきます。後に再度耕したうえで、種まきをします。
③ そば打ち作業
 そばを刈り取り製粉した後、いよいよそば打ちです。そば作りを始めてから半年、最終工程となります。
 新鮮なそばをお年寄りの方に届けるために、ボランティア作業の実施日に合わせてそば打ちをします。
 そば打ちは地元の方に手ほどきを受けてするのですが、そば粉をこねてから麺の状態になるまでに悪戦苦闘したことを憶えています。
 写真は昨年の様子ですが、隠岐地区労働者福祉協議会の呼びかけにより大勢の人達が集まりました。この後、そばを食べましたが、やはり自分たちで作ったそばは一味違います。隠岐そばの特徴は、そば粉100%でつくり短く切れるイメージがあるのですが、打ち立て作りたてのそばは、長いままで切れることはありません。風味も良くとてもおいしくいただけます。


4. 年末ボランティア活動の内容

 ボランティア活動は、"さわやか小さな親切隊"として独り暮らしのお年寄りの家に訪問し、窓ガラスをきれいにすることであることは先に述べたところです。
 昨年末の活動は参加人数117人、26戸のお宅を訪問しました。一時は100軒近くあった訪問宅も、老人ホームに入ったり、お亡くなりになられて、減少しさびしく思います。
 参加者は、隠岐の島町職員組合を中心にJP労組や電力総連、農団労等、島内の様々な労組や隠岐高等学校の生徒など、普段顔を揃えることのない面々が集まります。
 毎年、居宅介護支援事業所の協力を得て、介護認定を受けている独り暮らしのお年寄りの家をリストアップし、作業班を編成していきます。
 中には継続して訪問している家もありますが、高齢化の影響もあってか新しく訪問する家もあり、このボランティア活動を通して行ったことのない地区へ足を運ぶことができ、新鮮な気分になります。
 班の準備が整ったら、各々家に向かいます。もちろん、打ち立てのそばを手にして……
 訪問するお年寄りは耳の遠い方がほとんどなので、『こんにちは~、さわやか小さな親切隊です。窓ふきに来ました。』と、住んでおられる方を探すところから始まります。時には、『窓ふきのことは聞いていない。』と言われるところもありますが、事情を説明して納得していただき窓ふきを始めます。
 訪問する家は、古い家が多くガラスもレトロ風で触るだけで割れそうなガラスもあり気を使います。年末ということもあり、水も冷たく時には雪が降ることもあるので、正直言って寒いです。しかし、高校生の張り切って頑張っている姿を見るとそうも言ってられません。
 家の外側、内側とまんべんなく窓ふきをしていきます。近年では女性の方が窓ふきしながらお年寄りの方とお話しするので、無口な男性陣にとっては助かります。数人で作業するため一軒あたり30分ほどの作業ですが、これをお年寄りの方独りではできないだろうなとつくづく思います。
 窓拭きも終わりそばを渡すと、とても喜んでくれました。特製のさば出汁付きです。「良いお年を迎えて下さいね」とお渡しします。すると「これを食べなさい」と高校生達にお菓子や飲み物をいただいたり、お互いに温かい気持ちになることができました。


5. 年末ボランティア活動を振り返って

 最初に述べたように今回のボランティア活動は"さわやか小さな親切隊"と題しています。
 活動は①窓をきれいにする ②そばを渡す ③会話をし、コミュニケーションが生まれる。要約すれば、内容はこの3点となります。
 "小さな親切"は"大きなお世話"とも、捉えられがちなこともあります。しかし、それも奉仕する側の心次第と思います。お年寄り相手に"してあげている"と上から目線になっていないのか? そうであれば、"させていただきます"と謙虚な気持ちを持って行う。奉仕する側の心次第で"小さな親切隊"となるのではないでしょうか。
 私たちも例外なく年を重ねていきます。もちろん高校生もです。活動しながら、自分が奉仕される側になった時にどう思うのか、まだ考えることもないのかもしれません。ですが、少しでもこの活動を通じて、次の世代を担う若者たちに"小さな親切"の大切さを感じてもらえればとも考えます。
 今後この活動が、我々組合員だけでなく地区の方々も一体となっていくことを願ってやみません。