【自主レポート】
地元商店街活性化にむけた「もっくん商品券」購入活動
秋田県本部/能代市役所職員労働組合・書記次長 石岡 貢(旧二ツ井町職員労働組合)
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二ツ井町職員労働組合は、2006年3月21日の自治体合併に伴い、同日組織統合を行い、現在は能代市役所職員労働組合として活動しております。
はじめに、秋田県二ツ井町(現能代市)は県北に位置し、人口が約12,000人。農林業で栄えた町です。南北に細長く、南には「高さ日本一の天然杉」がある仁鮒水沢スギ植物群落保護林、北には世界自然遺産「白神山地」に隣接するブナ林「ふたつい白神郷土の森」があり針葉樹と広葉樹が混在しています。町の中心部には県立自然公園「きみまち坂」そして秋田県第二の長流「米代川」が町を蛇行しながら流れております。とても自然豊かな風光明媚な町です。1994年度からは、まちおこしの一環として、きみまち阪公園に伝わる優雅なエピソード(明治天皇が東北巡幸の際、きみまち坂で休憩をとり、そこから見える景観にえらく感動し、ここから皇后に恋文を送ったとされるエピソード)に基づき「きみまち恋文全国コンテスト」を開催し、2003年度までのそれぞれの作品集は通算45万部以上出版されました。特に第1回最優秀作品「天国のあなたへ」は今でも作品集がほしいなどの問い合わせが寄せられるほどです。
1995年度からは「きみまちの里フェスティバル」を開催し、「きみまちマラソン大会」や町内の特産品を展示・販売する「物産フェア」を開催しております。マラソン大会は県内有数のマラソン大会として定着し、毎年全国津々浦々から約2,000人のランナーが訪れ、秋の自然豊かな景色を眺めながら力走しております。また21世紀は環境にも力を入れ、2002年度には第10回「環境自治体会議 ふたつい白神会議」を開催しました。環境に優しい乗り物として、自転車に着目し、東京都杉並区から放置自転車の提供を受け、町内には、どこでも自由に自転車を乗ることが出来る仕組みとして「サイクルステーション」を設置しました。自転車は「チャリンジャー」として名付けられ、町の中心部はおろか各地域でもチャリンジャーに乗る姿が見受けられます。
二ツ井町職員労働組合は1957年に組合員の生活向上にむけて発足しました。私たちの今の生活があるのは、諸先輩の大変なご苦労があったからだなとしみじみ感じております。発足して当初の組合員数は少なかったと聞いておりますが、統合前の組合員数は101人(職員数156人)でした。
私自身、1991年から二ツ井町役場へ勤務しておりましたが、当初は「職員労働組合」って何? とよくわからないのが実感でした。しかし、諸先輩方からのご指導のもと「労働組合」の必要性をひしひしと感じております。組合員の生活向上にむけて、様々な労使交渉をし、全国の仲間とともに運動を展開していくことは「団結」なくしてはできません。今後とも「団結」でがんばっていきたいと思います。
近年の結果としては、8級制の導入・6級運用などを勝ち取ってきました。組合員の団結と執行部のがんばりであったと感謝しております。町職労は48年の長い歴史がありましたが、今年3月21日の自治体合併に伴い、能代市役所職員労働組合と統合いたしました。諸先輩方が培ってきた活動を私たちが引き継ぎ、旧二ツ井町職員労働組合の精神を能代市役所職員労働組合でもいかんなく発揮していきたいと思います。
ここでは自治研活動の一環として実施した、「もっくん商品券購入活動」を紹介させていただきます。最初に「もっくん」とは、何かということですが、二ツ井町は天然秋田杉の産地として栄えてきました。1995年に町のマスコットキャラクターを一般公募したところ、天然秋田杉をモチーフにした「木(も)っくん」が町のマスコットキャラクターとして誕生しました。そのキャラクターを利用し、町の商業協同組合が今までのスタンプ制から、ポイント制の磁気カードへ切り替え、そのカードを「もっくんカード」として運用を始めました。もっくんカードは100円の買い物につき、1ポイントが溜まっていき、最終的には700ポイントで満点となります。満点となったカードは1枚につき1,000円の商品券として町の商業協同組合加盟店で使用できます。また、満点になったカードは商業協同組合が指定した町内の金融機関で満点カード1枚につき1,000円の貯金が出来ることとなっております。年々参加する企業・商店も増え、町内ほとんどのお店で利用できます。誕生日にはポイントが2倍になったり、店独自にポイントが2倍や3倍になるよう設定するなど、工夫を凝らしながら集客に利用しているようです。このようなことから、町民のほとんどはもっくんカードを持っています。また、町内の企業に勤務している人、近隣市町村の住民や二ツ井町で買い物をする人など、多数の人がこのもっくんカードを持ち利用しています。さらにこのもっくんカードには多くの特典もあり、1,000円分のもっくんカードが3,000円分のもっくん商品券への引換などお得な特典も満載です。
1999年12月、「もっくん商品券」の販売がありました。販売額5,000円で500円券が10枚つづりの商品券で、使用期間が限られたものでしたが、町の商業協同組合に加盟するコンビニエンスストアや、ガソリンスタンド・書店など町内のほとんどのお店で使用が可能なものでした。
さて、私たち町職労の取り組みですが、1999年には特別減税がありました。それを何とか地元の消費拡大に生かし、少しでも元気を取り戻してくれたらの思いで、町当局側から商業協同組合にそれについて相談したところ、「もっくん商品券」の販売となりました。当然、二ツ井町職員労働組合を通じた販売斡旋のお願いもあり、執行委員からも「地元の消費拡大に繋がるしいいのでは」「地元のために是非やりましょう」など賛同意見がほとんどでしたし、組合員もこの購入について賛同していただき、組合挙げての購入を決定しました。早速、全組合員に向け購入のチラシを発行しました。総務課にも交渉し、商品券購入費用を12月支給の給与から天引きしていただけることとなりました。一人あたり1口5,000円で上限を10口の総額50,000円と設定しました。50,000円購入された方もたくさんいました。このように組合挙げての購入の呼びかけと、購入時の支払がスムーズにできるよう配慮したことにより、ほとんどの組合員や管理職(組合員OB)が購入に協力してくれました。結果として地元の活性化に少しでも貢献できたのではと考えております。
それ以降、5,000円1口で500円商品券が11枚綴りの「もっくんプレミア商品券」やプレミア商品券に懸賞がついたものなども発売されました。2005年の購入活動としては、商品券の使用期間が12月初旬から1月中旬と期間が短かったため、購入者は例年より少なかったのですが、商品券の上限(30,000円)いっぱいに購入する組合員もいて、結果的には、670,000円分の購入活動ができました。このようにもっくん商品券が発行された場合は、職員労働組合から組合員へ購入を呼びかけ、地域内での消費が行われるよう商業協同組合と一体となった活動をしてきました。「地元で購入できるものは地元での購入」という考えも同時に再認識できたと思いますし、改めて考えさせられました。今まで地域外での買い物が多かった人も地域の商店などを利用するようになりました。今後は発売されるのを待ってからの後手的な行動ではなく、むしろ発売を促す活動も出来ればと考えております。
近年、シャッター街という言葉をよく聞きます。景気は回復してきているといわれておりますが、まだまだ地方では、景気回復が実感できるとはいえない状況です。シャッター街はまさにそれを象徴しているのではないでしょうか。地域の商店会に元気がないと地域全体にも元気がありません。地域に元気を取り戻すためにも、そしてシャッター街をなくすためにも商店会の活性化は必要です。個々では限界がありますが、商業協同組合・商店会と一体となって活動し、私たちも微力ながらできることをやる。時間はかかるかもしれません。しかし自治研活動を続けることに大きな意義もありますし、地域で暮らす私たちの生活を守るためにも必要です。二ツ井分会だけの取り組みではなく、市職労全体の取り組みとして行えればと考えております。
また同様に2004年度からは、毎年お盆の8月15日に行っている「もっくん夏祭り」の花火への協賛も行いました。当初この話になった時には、執行委員からは賛否両論がありました。しかし当時の執行委員長の強力なリーダーシップの元に協力をすることといたしました。当然、組合員からも賛否両論がありました。しかし、自治研活動の一環であること、「もっくん夏祭り」を花火の打ち上げを通じ盛り上げることで地域の活性化への協力を行うなどを説明し、組合員から理解を得て、カンパを募りました。それを打ち上げ花火への協賛金としてきました。多くの組合員の協力のもと、二ツ井町職員労働組合単独の協賛での打ち上げ花火も可能となり、夏の夜空にきれいな花火が打ち上げられました。多くの組合員が「よかった」「きれいだな」と感じています。
近年、具体的な自治研活動をしていなっかった二ツ井町職労、そして地元消費拡大を目的とした商業協同組合側としてもどちらもよい結果に繋がったと思っております。現在は能代市役所職員労働組合として活動しておりますが、魅力あるまちづくりの一環として自治研活動をすることは、自治体労働者としての使命との思いで、これからも各種機関と連携・協力し地域に根ざした活動を推進していきたいと感じております。
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