【自主レポート】
住民自治を直接担う現業職場の新たなサービスの発掘
愛知県本部/岡崎市役所従業員労働組合
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現在の自治体の職員数を取り巻く状況は、指定管理者制度への移行、市場化テストの導入など公共サービスのコスト削減とともに定数の削減も求められているようです。我々現業職員が提供できているサービスを今後とも維持することは、住民にしてみれば当然であり、それ以上のサービスも期待されていることと思われます。今後、社会の流れは民間活力の導入が進み、現業職はもとより非現業職にとってもますます厳しい状況になっていくことは間違いありません。
こうした時代になってきた以上、従来からの一辺倒の行政サービスでは住民が納得しないだろうと頭では解かっていても、なかなか具体的な発想と行動が伴わない現実があります。何か行動を起こせば組織の合理化が防げる確約がある訳ではないですが、単組としても活性化に向けた活動の取り組み体制を実現しようと「政策委員会」を立上げ、活動の具体化を議論してきたところです。
1. 岡崎市従政策委員会
(1) 活動趣旨
行革の名のもと、現業職場の合理化(人員削減)が加速する前に、従来からの労使関係を基軸にした『要求・交渉』の分野に加え、我々現業職員の存在と必要性が、市民に認知されるよう当局あるいは所管に対し、『提言・協議』の分野にまで踏み込んだ具体的な取り組みを考えていこうとするものである。
(2) 委員会での題材
① 全国、県内ここ数年間の現業職場の実状報告
② 各職場での担当業務と行革に対する認識度及び今後の取り組み等
③ 行革に関連するテレビ放送ビデオ『公務員が危ない』の視聴
④ 行政改革推進課より提案された『民間委託に関する方針(案)』についての考察
⑤ 現業活性化に対する取り組み事例:大阪市従『ふれあい収集』ビデオ視聴
⑥ 各自治体に対する改革の動向(市場化テスト法案)について
従来より行っている環境美化や児童養護施設への慰問等のボランティア活動は、特定の地域ならびに施設に限られてしまい市民全体に対する貢献度としては若干アピール度に欠けてしまう状況と、組合役員を中心とした活動になってしまう傾向もあり、今後継続していく活動ではあるがもう少し観点を変えてみようということで発案されたのが、「安全パトロール」であります。大阪市従の清掃業務の一環で取り組まれている「ふれあい収集」にヒントを得て、予算と人を増やさず、また、継続可能にするため日常業務に無理をきたさない取り組みをと考えました。昨今、全国的に児童や生徒が学校内あるいは下校途中に傷害、殺害といった悲惨な事件が発生しています。このような事件の未然防止に少しでも繋がる行政としての取り組みがないものかと思い、作業用公用車の有効活用に着目しました。
我々現業職場の中で、道路維持課については、毎日市内全域を対象に業務をしているため市内の地理にはかなり長けています。また、1日の業務が終了すれば必ず公所に戻ってきますので、この帰路となる時間を活用してみようと考えました。通常作業現場から公所に戻る時は、幹線道路あるいは最短コースで戻ります。あるいは、作業内容によっては終業時間より早く終わる場合もあります。この余力の時間で業務を行った地域を主体的にかつ、通学路等を帰路のコースにして、防犯的要素と業務的要素を取り混ぜての「安全パトロール」を行いながら戻って来るとした取り組みです。特に道路維持課の作業用公用車には、黄色回転等も装備されていますのでこれも作動させながら走行すれば、防犯的にはかなり効果があるのではないかと思われます。
この取り組みについては、組合としての発案であるため、職務中に行うためには「職務専念義務違反」にならないようにするために、所属長と3ヶ月ほど掛けて協議を行い、業務として位置付けして頂けました。その結果、2005年10月より平成18年3月末までを試行期間とし、2006年度4月より本格実施の了解を取り付けることができました。
2. 安全パトロール実績
*パトロール実施可能車両:28台(2t・3tダンプ,軽トラック)
2005年度
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10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
実施台数/月当り |
41 |
48 |
51 |
31 |
51 |
26 |
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4月 |
5月 |
6月 |
実施台数/月当り |
88 |
74 |
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また、この取り組みと関連しますが、我々は市民の日常の生活エリアにおいて業務をしているため、市民と接する機会が多くあります。その様な時に交通事故・急病・けが等で助けが必要な場面に遭遇する可能性が十分あります。また、大規模な自然災害等に見舞われ、けが人の救助活動に対応する可能性もあるため、救急・警察への連絡等は当然ですが、公務員として少しでも応急の救命処置ができればということで、心肺蘇生法・止血法・搬送法等を消防職員の協力を得て年1回ではありますが講習会を開催しています。例年同じ講習内容でありますが、継続することが必要とした主旨のもとに積極的な参加を呼び掛けています。また、このような講習以上にレベルアップをするため、上級救命講習(8時間講習)の受講を進めています。現在、道路維持課の現場職員57人の内、52人が講習を終了しています。この講習では、AED(自動対外式徐細動器)の取扱いも習得できます。岡崎市においても、公共施設に逐次設置がされているため、必要な場合は操作可能な体制にしていく必要もあるため、他の職場の組合員にも受講の要請を行っています。地道な取り組みではありますが、市民が困った時に役に立つ公務員をめざし、組合員に周知できる活動も展開していきたいと考えています。

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