【自主レポート】
地域と協働する組合活動
三重県本部/
松阪市職員組合
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1. はじめに
2005年1月1日に松阪市、嬉野町、三雲町、飯南町、飯高町の1市4町が合併し、新「松阪市」が誕生、職員組合においても同日に合併し、新「松阪市職員組合」がスタートしました。
私たち松阪市職では、「真の地方自治の推進」、「地方行政サービスの向上」といった社会的責任を運動の基調としており、合併前の過去それぞれの職員組合で培ってきた地域との連携を重視し、職場と地域を結ぶ活動を重要課題として取り組んでいます。
2. 市職自治研集会の開催について
(1) 旧松阪市職での取り組み
私たち松阪市職では、様々な地域の行政課題を市民と共に考え、学び、議論を行い、今後のあるべき方向を探っていくために地方自治研究集会を開催しています。
過去における集会の課題としては、「ごみ問題」、「まちづくり」、「高齢者福祉」など身近な行政課題を取り上げ、市政の様々な分野でもこの活動の成果は生かされています。
集会への参加者対象は、自治会、社会福祉協議会、老人クラブ、PTA、商工会議所、商店街、農業協同組合、森林組合、広域消防組合、市議会等に呼びかけを行い、広く住民にも参加を求め、地域の様々な課題について検討しています。
基本的に毎年、時勢に即したテーマを設定し、その分野で活躍されている方々を講師に招き、基調講演及びパネルディスカッション、行政や現場からの報告等も行っており、市からは補助金もいただいています。
過去の具体的な課題・内容をみてみると、1999年度には、松阪市の地域性を考慮した「中心市街地の再活性化」をテーマに住民参加という観点から検討し、基調講演、パネルディスカッション及び行政からの報告を行いました。
2000年度には、「資源循環型社会をめざして」をテーマに過去の集会でも何度となく取り上げてきた私たちにとって最も身近な問題の一つであるごみ問題について、基調講演、パネルディスカッション及び現場からの報告を行いました。
2001年度には、地方分権一括法が施行されるなか、「市町村合併を考える」をメインテーマに、基調講演、パネルディスカッション及びグループディスカッションを行い、市町村合併がもたらすメリットまたはデメリットなどについて論議しました。
2002年度には、介護保険について現場サイドからも様々な問題点が指摘されるなか、「27ヶ月たった介護保険」と題して基調講演及び現場からの報告を行い、様々な角度から介護保険制度を検証しました。 合併を控えた2004年度には、「これからの新しいまちづくり」をテーマとして地域コミュニティをキーワードとして、まちづくりについて開催しました。
これらの集会のなかで、市町村合併がまだ現実的でなかった2001年度に「市町村合併」をテーマとして開催した際の意見として、財政効率化や行政基盤強化などについてのメリットがある一方で、きめ細かな行政サービスが遠のき、住民の意見が行政に反映されにくくなるなどのデメリットがあることも指摘しました。
現在、地域コミュニティの形成は、市町村合併のデメリットを克服する一手法として注目を浴びており、住民の自発的活動が新たなまちづくりの担い手として機能している自治体も数多く出てきています。つまり、このような地域マネジメントを考える上においても、その核となるのが地域の活力であり、そのためには今後の組織づくりが急務であるといえます。
このことからも集会では、基調講演と地域からの実践報告をうけ、市町村合併後の自治体のあり方、地域のあり方について論議するとともに、「私たち自治体職員はどうあるべきか」という観点についても考えました。
開催年度 |
内 容 |
第36回(1999年度)
7月10日(土)~11日(日)
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テーマ 「中心市街地の再活性化」
~住民参加から住民主導型へ~
○ 基調講演
・講 師 松阪大学教授 伊藤 力行さん
○ パネルディスカッション
○ 行政からの報告
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第37回(2000年度)
7月22日(土) ~23日(日)
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テーマ 「資源循環型社会をめざして」
○ 基調講演
・講 師 三重大学教授 宮本 忠さん
○ トークショー「護美問題」
○ 現場からの報告
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第38回(2001年度)
6月16日(土)~17日(日)
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テーマ 「市町村合併を考える」
○ 基調講演
・講 師 三重大学教授 宮本 忠さん
○ パネルディスカッション
○ グループディスカッション
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第39回(2002年度)
7月20日(土)
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テーマ「介護保険のその後」
○ 基調講演
・講 師 大阪大学大学院教授 大熊由紀子さん
○ 現場からの報告
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第40回(2004年度)
9月18日(土)
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テーマ「これからの新しいまちづくり」
~自治会・町内会の課題と地域コミュニティの構築~
○ 基調講演
・講 師 松阪大学教授 高橋保幸さん
○ 地域からの実践報告
桔梗が丘まちづくり委員会
総務部会長 古澤 靖之さん
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(2) 2005年度 第41回自治研集会について
合併後、初めての開催となった自治研集会では、「災害に強いまちづくり」をメインテーマに掲げ、近い将来三重県を襲う可能性のある東海、東南海・南海といった大規模地震や風水害に備え、行政、市民の立場から「防災」について考えることで、今後の地域防災力の向上をめざすことを目的として開催しました。
集会では、自治会や市議会など市内の各分野で活躍されている方々にも呼びかけを行い、また講師選定等については、三重県地方自治研究センターと連携を行い、各方面から160人の参加のもと住民と市職員が同じ目線に立ち、論議等を行いました。
具体的内容として基調講演では、『阪神・淡路大震災10年』 神戸・長田から~「できたこと、できなかったこと」を演題とし、実際に大震災を経験されて、現在、震災時の様々な資料、経験を後世に引き継ぐため活躍されている神戸市長田区役所「人・街・ながた震災資料室」の清水誠一さんから講演をいただきました。
講演(活動報告)では、県防災危機管理局地震対策室の橋村清重さんから、「三重県の地震防災 2005年度自治研集会(10月15日華王殿)対策について」を演題とし、「地域防災」「自主防災」など重要な課題である「災害に対する備え」を中心とする講演をいただきました。残念ながら人の力では東海、東南海・南海地震といった大規模地震の発生は抑止することはできませんが、地震に対する備えや地震後の対応については私たち一人ひとりの取り組みでいかようにも変えることができます。近年、地域・住民の間でも、防災意識は高まりつつありますが、地震災害を可能な限り減らすために、今後さらに行政・市民・地域が一体となって地震対策を進めていかなければなりません。この集会を通じて、私たち職員組合も地域におけるネットワークの大きな主体の一つとして、地域防災力の向上に貢献していくことを改めて再確認しました。
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【 2005年度自治研集会(10月15日華王殿)】
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2005年度 第41回地方自治研究集会開催要項
1. 目 的 |
地方自治を取り巻く環境は、地方分権一括法の制定により国と地方が「対等・協力」の関係に改められ、行政と市民の関係など自治体行政全般にわたる改革が求められています。
こうした情勢の中、私たち松阪市職では、様々な地域の行政課題を市民の皆様と共に考え、学び、議論していただきながら、今後のあるべき方向を探っていくための地方自治研究集会を開催します。
今年度は、近い将来三重県を襲う可能性のある東海、東南海・南海といった大規模地震や風水害に備え、行政、市民の立場から「防災」について考え、今後の地域防災力の向上をめざすために開催します。 |
2. 主 催 |
自治労松阪市職員組合 |
3. 日 時 |
2005年10月15日(土) 13時30分~19時00分 |
4. 場 所 |
華王殿 (松阪市高町) |
5. テ ー マ |
「災害に強いまちづくり」
~地域防災力の向上をめざして~ |
6. 参加団体 |
松阪市自治連合会、松阪市社会福祉協議会、松阪市老人クラブ連合会
松阪市PTA連合会、松阪商工会議所、松阪青年会議所
松阪市商店街連合会、松阪市公民館連絡協議会、松阪農業協同組合
松阪飯南森林組合、松阪市を美しくする運動推進本部
松阪市議会、松阪地区広域消防組合、松阪市
三重県地方自治研究センター、自治労三重県本部
連合三重松阪飯南多気地域協議会、松阪市民病院職員組合
松阪市水道労働組合、松阪市職員組合 (順不同) |
7. 日 程 |
13:00 受 付
13:30 開 会
13:50 基調講演
・講師 神戸市長田区役所
人・街・ながた震災資料室 代表 清水誠一さん
・演題 『阪神・淡路大震災10年』
神戸・長田から~「できたこと、できなかったこと」
15:20 休 憩
15:35 講演(活動報告)
・講師 三重県 防災危機管理局 地震対策室
緊急支援グループ 専門監 橋村清重さん
・演題 「三重県の地震防災対策について」
17:05 ま と め
17:15 閉 会
17:30 懇 親 会
19:00 終 了 |
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3. 地域行事への参加
(1) 松阪鈴おどり
「松阪鈴おどり」は、本居宣長(松阪出身の国学者)の没後200年顕彰事業「宣長さん200年」の際に本居宣長がこよなく愛した「鈴」をテーマとして、世代、性別、地域などあらゆる壁を越え、子どもから高齢者まで誰もが踊れる踊りとして創作されました。
この事業は2001年から開催されていますが、年々各自治会、福祉施設等各団体にも受 け入れられ、大きな踊りの輪として広がってきており、市職としても毎年ボランティアスタッフとして参加しています。
当日は、120人を超える組合員がスタッフとして参加し、青年部が中心となって踊り手の先陣に立つプラカード持ちや会場の警備等を行い、現業評議会では踊りに参加するなど祭りを大いに盛り上げました。また、終了後には会場周辺の清掃作業を実施しました。
(2) 氏郷まつり
松阪開府の祖 蒲生氏郷の遺徳を偲び、また市の発展を願って毎年文化の日に開催される「氏郷まつり」は、馬上の蒲生氏郷公を中心とする「武者行列」が一番の呼び物であり、商店街などはお祭り広場として賑わいます。この武者行列には、毎年、新規組合員が参加しています。また、まつり終了後には、氏郷まつり交通規制区域である駅前商店街等の清掃作業も実施しました。
(3) 嬉野おおきん祭り
「嬉野おおきん祭り」は、『ありがとう(おおきん)』をテーマにした嬉野管内最大の祭りで、御輿コンクール、おおきん屋台、盆踊り、フィナーレを飾る花火などが行われます。
青年部では、各地域の諸行事に積極的に参加することで、交流を深め、お互いを知り、たくさんの価値観を共有することがこれからの松阪市の基盤になっていくとも考え、まつりの裏方としてごみの収集・運搬や警備スタッフとして参加しました。
(4) 飯南「泥んこドッジボール大会」
「泥んこドッジボール大会」は、『土と親しみ自然とふれあおう』をテーマとし、飯南のリバーサイド茶倉近くの休耕田を利用して実施する飯南体育協会の主催による大会です。青年部では、この「泥んこドッジボール大会」に選手として参加しました。
開催場所が水田のため、足をとられて転ぶ全身泥んこの選手が続出し、その度に大勢の観客から笑い声や励ましの声が絶えず、参加した組合員も自然や土、また、対戦相手や地域の方々ともふれあうことができ、楽しい1日を過ごすことができました。
(5) 「川と海のクリーン大作戦」ボランティア清掃
「川と海のクリーン大作戦」は、伊勢湾・三河湾を囲む河川及び海岸の沿川市町村が主催となって清掃活動を実施するものです。松阪市管内での清掃場所は、松名瀬海岸、高須町海岸、櫛田川左岸等がありましたが、市職としては三雲の五主海岸の清掃を行いました。
参加者は、地域住民、企業、自治体、海岸管理者等、多数であり、年々参加者は増加していますが、今後さらにこの活動の輪が広がり、私たちの生活を支える川や海への関心が高まることが望まれます。
(6) 松阪こどもまつり
遊びを通じてこどもの健全育成を図る 「松阪こどもまつり」が4月に開催され、幼保部では70人の組合員が参加しました。当日はあいにく雨天のため、予定していた中部台運動公園から体育館へ会場を移して開催されました。
組合員による「手あそび」、「パネルシアター」、「手作りおもちゃ」などが実施され、来場された皆さんに楽しい時間を過ごしていただけました。
また、おやつ試食として「ラスク」を試食していただいたり、幼保部を紹介したガイドブックの配布も行いました。
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【松阪こどもまつり(2006年4月23日)】
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4. 今後の活動
松阪市職員組合では、以上のような自治研集会の開催や各地域で開催されている諸行事に積極的に参加することで地域の方々とのふれあいや論議を行い、地域に密着した組合活動を展開することに主眼をおいて活動を行っています。
また松阪市においても、これからのまちづくりには「市民との協働」が不可欠となってきており、市民が主体となってそれぞれの地域の個性に応じたまちづくりを行う仕組みである「地域マネジメントシステム」の構築をめざしています。
この「地域マネジメントシステム」は、それぞれの地域の歴史、文化、伝統を生かすため、多様な主体と行政が協働・連携することにより、広範な市域となった本市においても、各地域が活性化するための鍵となりうる重要なシステムとして位置付けられています。
私たち市職においても、これまで以上に地域のことを学習し、身近なところに問題意識を持ち、地域活動に貢献していかなければなりません。
合併し、市域は広くなりましたが、今までそれぞれの職員組合で培ってきた地域との連携をさらに重視し、住民・自治体・各種団体等と一体となって協力し、活動を広げ、交流を行うことで、松阪市全体が活性化していくことを切に期待し、今後も『地域と協働する組合活動』に取り組んでいきたいと思います。 |