【要請レポート】
地域が輝きのあるくらしを求めて
沖縄県本部/沖縄県南城市大里生活研究会・会長 玉城 吉江
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1. 南城市大里の概況
南城市は、2006年1月1日、大里村、佐敷町、玉城村、知念村が合併し、人口4万人余りの新しい市です。その中で私の住んでいます旧大里村は、本島南部の中北部にあって那覇市から東南へ9.25kmの位置にあり、東は旧佐敷町、南は旧玉城村及び旧具志頭村、西は旧東風平町及び南風原町、北は与那原町と6市町村に隣接し、島尻郡のほぼ中央にあります。沖縄では珍しく海に面していない内陸の純農村で面積12.35km2 、人口12,176人(2003年調査)、大里地域の中央には饒波川が流れ、又、雄樋川、報徳川及び国場川の水域の源となっております。土壌は「ジャーガル」と呼ばれ、肥沃な土壌で粘土質のため耕作は労力を要しますが、保水性があり、サトウキビ栽培に適しています。又、畜産の盛んな所でもあります。大城跡一帯の台地、標高155.1mでそこからの眺望はすばらしく、毎年12月には地域おこし事業で「うふざとムーチー祭」も催されます。伝統芸能に古堅のミーミンメー、獅子舞、棒術や綱曳き等と無病息災、五穀豊穣等を願う行事がたくさんあります。
2. 私達の活動
1981年6月、生活改善を目的に女性たち9人で生活研究会(生活改善グループ)を結成し、農家生活に必要なことを学習してきました。主な活動を紹介しますと
(1) 環境美化、緑化推進、家庭菜園の推進→ハブの駆除と緑化推進
・緑化木、熱帯花木の育苗
・土づくり→農業青年の協力
・苗販売→共同売店(大南園芸グループ)→村内外へ緑化の貢献
(2) みその共同加工
・農産物利用の取り組み→生活技術で福祉活動、手作りみその普及
・みそを販売し活動資金
・独居老人へみそ、油みそのプレゼント
・わが家の自慢料理展でウッチンジューシー開発→全国変わりご飯大会沖縄代表で出店
・集落の行事等は大量調理をし、一同で食事する。→地域の一体感
(3) 資源の有効利用
・空き缶、古紙、廃棄回収→活動資金。活動の拠点である婦人の家の健康器具設置
・リサイクル運動→古着のリフォーム、工夫技術交換
・生ゴミの堆肥還元
・河川の浄化→米とぎ汁EM、発酵液、EMだんご作り
・廃油利用、手作り石けん→婦人学級やPTA等の指導
(4) 冠婚葬祭の簡素化の取り組み(見栄や無駄をなくそう)
・お返し廃止運動
・グループの資金で回覧板を作成し簡素化徹底を図る→区長が主体となり婦人会で
・生活設計の学習、家計簿記帳
(5) 地産地消の取り組みと特産品開発
・食の安全・安心──医食同源
・家庭集落の推進──直売市出荷で経済的効果
・特産品づくり協議会の中で特産品開発班が設置され委託される─特産品技術開発研究
・女性起業グループ結成──商品開発成功(きゅうり、かぼちゃ、パパイヤ、オクラ等の加工)
(6) むらおこし事業への協力
・地域資源の掘り起こしと活用
・鬼ムーチーの発祥の地として、もちの技術開発(スーチカーもち、油みそ、よもぎもち等)
・果樹利用→ローゼルゼリーやジャム、ドラゴンフルーツのゼリーやジャム
(7) 食育、食農教育
・県食育ボランティア登録、南城市食生活改善推進員活動
・幼稚園、小中学校への伝統料理実習→沖縄食の見直し
・子供たちと一緒に黒糖づくり
(8) 男女共同参画の取り組み
・女性自身の意識改革→女性議員、女性農業委員誕生
・農漁村女性……役職登用要請行動
・私の集落には1937年に簡易水道の落成を祝って作られた南風原音頭があります。その中に時代を表す「カマド改善われ先に」とあり、その五番に「男女の区別を捨てて、共存・共栄・頼もしや」と現在も歌い継がれていて、女性の私達は努力する所が沢山あります。また、区の綱引き行事の懇親会は男性だけという習慣があるが老若男女和気あいあいやっています。
3. 活動の成果と展望
約30年近い生活研究会の活動は、地域や役場と連携をとりながら、農業を実践し、子育てしながら地域の核となって活動してきたことは地域や行政からも一定の評価が得られてきました。活動成果の主なものを取り上げてみますと
(1) 生産物の農産加工やみその共同加工で独居老人への贈呈を通して福祉活動へと輪が広がっていったこと。
(2) 空き缶、古紙回収やリサイクル運動等資源の有効利用に取り組み、地域の環境整備が図られてきたこと。又、リサイクル運動による活動資金づくり活動を実践し、その資金を活用して健康器具を購入して地域の人たちの健康づくりに一役担ってきた。
(3) 地域の生産物であるパパイヤ、きゅうり等を活用して、特産品開発に取り組み、商品化に成功したこと。
(4) 食生活推進委員や県食育ボランティアに登録し地域や子供たちに沖縄伝統料理教室を開催し、沖縄の食事の良さを伝承してきたこと。
(5) 男女共同参画社会づくりの取り組みで女性議員、農業委員が誕生し、方針決定の場で活躍している。又、女性たちが意識改革を図ってきたことにより、農業経営においてもパートナーシップが発揮されてきたことや女性起業家の誕生等、経済的自立も図られるようになってきた。
以上のようなことで私たちの活動は多くの成果が出てきた。地域環境がよくなったから終わりでなくて、これから益々少子高齢化が進む中で「自分の健康は自分で守っていく」ことをモットーに努力と実践を連ね、私たちが出来ることからやっていきたい。又、他地域や全国の仲間とネットワークを図りながら世代を担う子供たちが心の豊かさと自然を実感できる農村らしい理念の中で夢と希望をもって生活がおくれるように子育て支援や地域の農業や食文化を守り育てていくために、又、「長寿の島沖縄」を回復するためにも一人一人が出来ることから努力し皆が輝きのある暮らしを求めて仲間と共にグループ活動にまい進し、農業振興に努めていきたいと思います。 |