【要請レポート】
1. はじめに 本調査は、富山県内において求職活動中の人に対して、主に自治体の雇用・労働施策としてどの程度ニーズが存し、ニーズの中身としてはどのようなものがあるのかを明らかにすることを目的に実施しました。 2. 調査の実施主体および調査時期、調査方法 本調査の実施主体は、富山県自治研センターであり、調査を担当したのは同センタープロジェクトの雇用・労働政策部会です。 3. 調査の主な項目と調査票の回収状況 調査票は、部会メンバーによる数回にわたる討議を経て以下の項目が盛り込まれました。 4. 求職者の主な属性(第1表) 第1表 回答者の主な属性
回答者の主な属性を要約的に箇条書きで示すと以下のようになります。なお文中において回答者の居住地域として、中心地域と周辺地域という表現が出てきますが、中心地域とは人口10万人以上の地域を意味し、具体的には富山市と高岡市を指します。これに対し周辺地域とは人口10万人未満の地域、つまり富山市、高岡市以外の地域を指しますが、その大多数は人口4万人未満の地域です。 5. 注目すべき居住地別・性別にみた回答者の像 以上のようにみてくると、回答者の属性は、居住する地域や性別によって一定の片寄りがあることがわかります。 6. 求職者の現在の生活状態と求める仕事の条件 (1) 現在の生活状態(第1図) (2) 再就職先を選ぶ際に重視すること(第2表) |
第2表 就職の際、重視すること(2つ以内選択) |
現在の生活水準を維持できる収入 | 安い賃金でもよいから楽な仕事 | 経営が安定している会社 | 今までの経験が生かせるような仕事 | 今までと違った新しい仕事 | 正社員として勤められること | 非常勤やパートで働けること | 専門的な技能・知識を生かせる仕事 | 福利厚生が充実した会社 | 不規則勤務や交代勤務がないこと | 知名度の高い会社 | どんな仕事・会社でもよい | 無回答 | 件数 | |
総計 | ①38.1 |
13.6 |
④17.4 |
②26.2 |
6.8 |
③19.1 |
⑤14.5 |
10.6 |
8.3 |
10.8 |
0.9 |
6.4 |
1.5 |
530 |
人口10万人以上 | ①36.1 |
13.3 |
④18.6 |
②24.0 |
8.0 |
③21.0 |
⑤13.6 |
9.2 |
9.2 |
10.4 |
1.5 |
5.3 |
1.2 |
338 |
男性 | ①34.3 |
⑤14.5 |
④20.3 |
②25.6 |
9.9 |
③24.4 |
5.8 |
8.7 |
6.4 |
8.1 |
2.3 |
7.0 |
0.6 |
172 |
女性 | ①37.8 |
12.2 |
④17.1 |
②22.6 |
5.5 |
④17.1 |
③22.0 |
9.8 |
12.2 |
12.8 |
0.6 |
3.7 |
1.8 |
164 |
人口10万人未満 | ①41.1 |
④14.6 |
④14.6 |
②30.3 |
4.3 |
④14.6 |
③16.8 |
13.5 |
7.0 |
11.4 |
・・・ |
8.1 |
2.2 |
185 |
男性 | ①36.8 |
⑤17.1 |
④19.7 |
②27.6 |
2.6 |
③25.0 |
3.9 |
11.8 |
6.6 |
5.3 |
・・・ |
14.5 |
1.3 |
76 |
女性 | ①44.0 |
12.8 |
11.0 |
②32.1 |
5.5 |
7.3 |
③25.7 |
⑤14.7 |
7.3 |
④15.6 |
・・・ |
3.7 |
2.8 |
109 |
※網かけ数字は総計との差が5ポイント以上多いことを示す ※下線数字は総計との差が5ポイント以上少ないことを示す |
(3) 望ましい就労場所(第2図) 7. 自治体雇用・労働施策へのニーズの有無と内容 (1) 自治体に求人情報や相談窓口があった場合の利用の有無(第3図) (2) 利用しない理由(第4図) (3) 自治体の雇用・労働施策への期待の有無(第5図) 8. ニーズの内容(第3表) そうはいってもニーズそのものは多くの回答者が持っています。その中身を見ると、全体としては「求人情報の提供・斡旋」(40%)、「求職相談窓口の設置」(36%)、「職業訓練の場の提供」(22%)がトップスリーですが、ここでも居住地や性別によって違いが見られます。 第3表 市役所や町村役場に対して期待すること
中心地域居住者では、先の上位2項目がほぼ同率で並び、次いで「職業訓練の場の提供」が多くなっていますが、その中にあって女性求職者では半数近くが「求人情報の提供・斡旋」をあげている点が目立っています。 9. まとめ まず地方自治体が雇用・労働施策を行うことへのニーズの有無では、多くの人がニーズを有しています。 ニーズの内容としては「求人情報の提供・斡旋」、「求職相談窓口の設置」、「職業訓練の場の提供」がトップスリーですが、このうち「求人情報の提供・斡旋」へのニーズは総じて女性で強く、とりわけ周辺地域の女性で目立っています。これらの地域の女性は、育児等の理由から一端離職し、子どもの成長に伴って就労経験を活かした就職や転職を希望している人が多いのが特徴です。しかし通勤可能な範囲で勤務できる求人数が少なく、まずは情報提供への期待、そして可能であれば求人の開拓への期待も少なくないと思われます。そのためには企業に対しては人的資源の視点に立った情報提供なども必要でしょう。 |