【自主レポート】
保育所での食育実践と環境学習
~今、ぼくたち・わたしたちにできること~
大分県本部/津久見市職員労働組合・自治研部
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1. はじめに
今、私たちが住むこの地球が侵されつつあることに、強い危機感を感じている。ここ近年でもたくさんの自然災害が地球を襲った。この自然災害を大きくしたのはわたしたち人間であることは言うまでない。我が大分県は大分の美しい自然を守ろうと全県挙げて「ごみゼロおおいた作戦」を展開中である。
将来にわたって環境を守っていくには、小さなことでも継続することが必要だ。
そのためには、次世代を担う子ども達が環境問題について学び、体験し、考え自然の大切さを理解することが、なにより重要であると考える。
時代の流れとともに、子ども達を取り巻く生活環境は大きく変化してきている。
それは食生活でも同じことが言えると思うのである。
現代は「飽食の時代」と呼ばれ、何もかもが贅沢になってきている。人間がそれに慣れ、物を大切にしなくなったことがこの今の、環境破壊につながっているのではないかと考える。今後「食育」を考えることが環境を守っていくことにつながり又、「環境」を考えることで食を学ぶことができると思い「環境」と「食育」は切り離せない関係にあることを明らかにさせようと研究に取り組んだ。
まず、はじめに、全園児対象に環境と食育についてのアンケート調査を依頼した。家庭での現状や実態などを把握し今後の参考資料にするために行ったのである。
2. 研究の概要
(1) 研究のねらい
① 家庭における食生活の現状を把握し、見直しをする。
② 環境問題についての関心度を知る。
(2) 実施期間 3年間
2003年4月~2006年3月
(3) 実施場所
津久見市上宮本町19番7号 津久見市立明光保育所
(4) 事業内容
2003年9月(全園児)に食生活及び環境についてのアンケート調査実施
① 調査方法 アンケート配布
配布枚数(60枚) 回収枚数(50枚) 回収率(83%)
*2004年2月に全家庭にアンケート調査結果の報告
② アンケート内容
(食生活について)
ア朝食状況 イ起床時間 ウ就寝時間 エ睡眠時間 オ排便 カ夕食状況
キ食事時のマナー ク好きなメニューと食品及び嫌いなメニューと食品
(環境について)
ア環境保護 イ環境活動
3. 研究経過
(1) アンケート調査結果報告
~~食育について~~
① 「朝食を食べているか」については、回答数50件中48件が食べており、2件のみ「時々食べる」であった。(図1)食べない理由は「朝起きるのが遅いと時間がないし食欲がない(22:30~8:00)」「まだ寝ている(23時以降~8:00)」という意見であった。「毎日食べる」という子どもに何を食べたか聞いてみた。「パンと牛乳(3人)」「パンのみ(3人)」「ご飯とスクランブルエッグとウインナー(2人)」その他は少数意見である。以上のことから食生活について朝食を食べている家庭がほとんどだったが、食事の内容は簡単に用意できるもので簡単に済ませているように思われる。

② 「夕食は誰と食べていますか」については、「家族揃って(50%)」が全体の半分を占めていることや、昨今言われている「コショク」が1人もいなかった事にホッと胸を撫で下ろした。(図2)「1週間の夕食で調理済食品を利用する頻度」についても、ほぼ半数の「ほとんど使用しない(49%)」という意外な結果であった。(図3)

③ 「お子さんの食事について日頃から心がけている事」についてはやはり「行儀(50%)」「はしの持ち方(23%)」などの躾部分に関心が寄せられている。(図4)

④ 「好きなメニュー」については「カレー(48%)」「からあげ(20%)」「ハンバーグ(16%)」と子ども達の好きな定番メニューが上位を占めている。(図5)「好きな食材」も「肉全部(19%)」「牛肉(19%)」「魚(17%)」と納得できる。(図6)
「嫌いなメニュー」については「野菜炒め(29%)」「野菜サラダ(24%)」と「煮物(29%)」も野菜を煮たものも含まれているようであるし、全体的に野菜嫌いが伺える。(図7)そして「嫌いな食材」も上位2つは、「ピーマン(66%)」「なすび(26%)」と野菜の仲間である。(図8)

~~環境について~~
⑤ 「エコロジー(環境保護)に興味があるか」については「ある(73%)」「ない(27%)」で意外と関心があることに驚いた。環境に対して関心が深いと活動にも発展することが次のデーターで、実証される。(図9)「家庭でエコ活動を行っているか」について、「行っている(65%)」「行っていない(35%)」である。(図10)
「行っている」の内容は節電(12件)、節水(8件)、台所用石けんの使用(5件)、小さくなった服の譲渡(3件)、油は古布で拭き取る(2件)などである。

⑥ 「家庭でリサイクルをしているか」については、「している(56%)」「していない(44%)」である。(図11)リサイクルについての内容は、雑誌や、新聞紙、アルミ缶などは、リサイクル処理施設へ提出する(15件)。
生肉や、生魚の下処理に牛乳パックをまな板代わりに使用する(5件)。新聞の折り込み広告をメモ用紙にしている(4件)。トレーの再利用(3件)などである。

⑦ 「ごみ分別の仕方」については「知っている(78%)」「少し知っている(22%)」(図12)とそれなりに知識はあるにもかかわらず「ごみ問題についての話をお子さんにした事がある(37%)」と答えた家庭は「話をした事がない(63%)」を大きく下回った。(図13)

(2) アンケート結果より活動目標の設定
① 嫌いな野菜を育て収穫を喜び、それらの野菜料理を推進する。
② 命をいただく大切さを伝える。
③ 朝食などの重要性を保護者に知らせる。
④ ごみの状況や分別のしかたを考える。
⑤ ごみを出さず減らすことへの推進(食品のことも配慮)
⑥ 保護者のごみ問題への意識をたかめる。
(3) 活動内容(2003年度~2006年度実施)
① 食事の時のマナーを知らせる。
ア はしの持ち方や行儀の指導
イ ランチョンマット作成
② 野菜を育てる(種、苗植えから収穫まで)
③ 栄養指導、広報活動
ア 保育参観・試食会 カ 給食だよりにて食育を説明
イ 親子クッキング キ 祖父母クッキング
ウ 食育絵本の活用 ク おやつ作り
エ お弁当作り ケ 養豚場の見学
オ 運動会食育競技「食育のススメ」 コ 職員による食育学習会
④ 食育媒体作成
ア 6つの基礎食品群の表
イ 誕生会用ぺープサート「はらぺこいもむし」
ウ 絵あわせカード
エ 未満児用紙芝居
オ 以上児用食材マグネット
カ 誕生会用の食育旗
⑤ 環境について
ア 環境学習会
イ リサイクル説明会
ウ リサイクルのごみだし作業
エ 運動会リサイクル競技「エコエコ大作戦」
オ リサイクルの重要性を知らせる媒体(紙芝居)
カ ごみ処理施設への見学
キ 給食だよりにて環境活動を推進する
ク 生ごみ処理機導入
ケ 3・4・5歳児ごみ拾い活動
コ キャンドルナイトへの協力
(4) 計画に基づく実践 事例報告
① ランチョンマット作成
環境にも配慮して、使用済みカレンダーを使い作成。
子ども達が色を塗り、自分達で作り上げた。ナイロン袋でコーティングして毎回消毒をして使う。ランチョンマット内に正しく置き、使用しない時も主菜、副菜をきちんと置けるようになる。
② 野菜を育てる
生ごみを生かし、バイオの力を利用して作る。堆肥を使用して野菜を育て収穫したものを調理する。
(例)カレー大会(収穫したじゃが芋を使用)
前日にじゃが芋以外の食材を買いに行く。ごみを出さないように
自分のお道具入れのかごを持って歩いていく。
(例)野菜づくり
土を肥やして種まき、苗植え→水やり(栽培)→収穫
夏……なすび、ピーマン、ミニトマト、きゅうり、トマト、レタス、サラダ菜
冬……かぶ、大根、人参、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー
お昼の献立に取り入れると、自分達で育てたという自覚があり自発的に進んで食べる。又、未満児にも「らいおん組さんが育てたきゅうりが入っています。」と伝えると残さず食べる。
③ 栄養指導
ア 祖父母クッキング
昔なつかしい石垣もち作りである。講師を保護者(祖父)にお願いする。
~~祖父母の声~~
「わしらの若い頃はさつま芋ばかり食べよった」等、口々に昔の話が聞かれた。
イ 食育絵本の活用
田んぼを見たことがない子ども達が多く、米が出来るまでのお話を本物の稲穂を使って説明する。
~~子どもの声~~
もみ殻をむきながら「お米って白くないんだね」と言う。
ウ 養豚場の見学
~~子どもの声~~
昨日産まれたばかりの子豚もいて「小さくてかわいいね」「だっこしたらあたたかかった」などがあがる。
エ お弁当づくり
4・5歳児が自分のお弁当箱にバランスよく食品をつめていく作業である。
おにぎり(米を計る→研ぐ→炊く→ラップを使って握る)
~~子どもの声~~
「お母さんもおにぎり作ってくれるよ」
「お米って炊いたら水がなくなるの? どうして?」
~~保育士の声~~
「湯気が出て熱いから火傷しないようにね」
「この湯気がさっきのお水なのよ」
オ おやつ作り
5歳児のおやつ作りは「じりやき」に決定した。何を作りたいか意見を聞いた時のことである。(クラスに1人卵アレルギーの子どもがいる)
~~子どもの声~~
「卵を使わないおやつにしようよ! みんなが食べられるおやつがいいな」
卵アレルギーのお友達のことを考えた優しい配慮である。 カ 保育参観・試食会
子ども達が育てた人参を親子で収穫してもらう。その日の献立に取り入れ健康に育つための食材を使用する。
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ま→まめ
ご→ごま
わ→わかめ
や→やさい
さ→さかな
し→しいたけ
い→いも
~~保護者の声~~
「体にいい感じがします」
「なんだか本当に健康になりそうな献立ですね」「家でも作ってみます」
キ 運動会食育競技「食育のススメ」
親子で行う競技である。対象は4・5歳児。競技内容はカードと同じ絵を拾い、3色ボード(赤・黄・緑)にかけに行くというものである。
保護者の方が子ども達に教えられる様子がみられた。
④ 食育媒体作成
ア 誕生会用ぺープサート「はらぺこいもむし」
保育士が誕生会用の出し物に食育のぺープサートを作成してくれた。内容は小さないもむしが、好き嫌いなくなんでもたべて大きくなるというものである。
未満児も静かにみていた。
イ 6つの基礎食品群
赤・黄・緑の栄養成分の説明は難しいので 車に例えて話をする。例えば
赤はからだをつくる→車
黄はエネルギーのもと→ガソリン
緑はからだの調子を整える→車の整備士
保育園への送迎の大半は自家用車を利用しているので皆よく説明を聞いている。時にはピクニックの日にお弁当の中身をみて緑の食材が入っているか表を見ながら探してみたりした。又あるときは、実物食材の出現に大きく盛り上がり中を割って「種はどれだ?」などのクイズに発展していた。
ウ 絵あわせカード
使用済みの厚紙をリサイクルしてカルタとり形式で、絵あわせできるようにたくさんの赤・黄・緑の食品を書き、子ども達に色ぬりしてもらう。自分が色ぬりしたものは覚えていて、遊ぶ時は裏返しなのに「これリンゴ!」と言いながら楽しそうに見つけている。 遊び方も子ども達で考え、発案し同じ色同士を合わせたり、赤・黄・緑の3色が揃うようにしたりと工夫している。
エ 以上児用マグネット
マグネットで食材を作成し、上記記載の6つの基礎食品群の表と併用して給食時にその日食べた食材を確認している。その後、年長児のリーダーが展示ケースに貼り付ける作業をし、お迎えの保護者に見てもらっている。
~~保護者の声~~ ~~子どもの声~~
「今日はなにを食べたの?」 「緑のお野菜がたくさん入っていたよ」
「これ、嫌いなのに食べたの?」 「美味しかったよ」と自慢げな子ども達。
夕暮れ時期にこんな微笑ましい会話が聞かれる。
⑤ 環境について
ア 環境学習会
保育所職員で津久見市におけるごみ処理の現状や収集状況の説明を聞き、子ども達にリサイクル・可燃物・不燃物の仕分け方法を教える。ごみの収集日にもごみを実際に出してみる。回数を重ねる毎に子ども達自ら仕分けをするようになる。しかし、残念ながら事業所のごみの有料化に伴い、子ども達による活動ができなくなる。
イ 運動会リサイクル競技「エコエコ大作戦」
日頃ごみ出しを行っている保護者の方に協力を依頼し運動会の競技にとり入れてみた。お父さんの参加が多くわからない事は、子ども達から教わっていた。
ウ リサイクルのごみ処理施設への見学
子ども達が集めたごみを持って行き、そのごみがどこへ運ばれるのかなど説明を聞いた。
~~子どもの声(質問)~~
「どうしたらごみは減るのですか?」
~~施設の方(答)~~
「何でも大切に使って下さい」という貴重な答えがかえってきた。子ども達はいつになく真剣に耳を傾けていた。
エ ごみ拾い活動
園外保育をするたびにごみ拾いをする3・4・5歳児である。ある日遊びに行った公園で、タバコの吸殻を拾いながら「大人が捨てたらいけんなあ~」と一言。もっともなご意見である。
オ キャンドルナイトへの協力
夏至の日の6月21日、午後8時~午後10時までの2時間節電をするなどの活動に取り組む。キャンドルナイトのことを子ども達に話し、保護者にも協力を依頼した。
4. 結果及び考察
目標① 「嫌いな野菜は摂取不足になるため、野菜を植え栽培して育てる喜びを知り収穫し食すこと」については、皆楽しそうに芽が出るのを待っていた。毎日朝、夕のみずやりを欠かさなかった。育てる間も環境や野菜の事を考え、米のとぎ汁を与えた。そうするうちに、自然と「大きくなってね! 美味しくなってね!」と声もかけてくれるようになる。雨が降ると「やさいが喜んでいるなあ~!」と感心をよせるようになる。嫌いな野菜№1のピーマンも献立の中に入っていることを伝えても「今日、僕がとったピーマンやあ~」と嬉しそう。食べた時の感想も「苦くなくて美味しい」との声が聞かれた。やはり自分達で育てた物には愛着を感じるようになるものだと改めて気づかされた。その年に初めて出来たきゅうりを1本人数分に切り分けて何もつけずに与えた。皆一番最初に一口で食べたようである。後から感想を聞いたら「新鮮で噛んだらポリポリっていったよ」「少なかった。もっと食べたい」と野菜嫌いな子ども達からの言葉で、こちらの方が驚いた。
目標② 「命をいただく大切さを知る」については絵本の読み聞かせをしてみたりしたが、やはり生きている食材が一番わかりやすいと養豚場の見学に出かけた。しかし昨日産まれた赤ちゃん豚が、大きくなって自分達の栄養になってくれるという話をするのは、あまりにも残酷ではないかと反省したが、それが大切な事だと考えなおし、改めて子ども達になぜ手を合わせ「いただきます・ごちそうさま」を言うのかを今一度念押しして学習した。話をする中で「かわいそう……」「でも大きくなるために命をもらっているのなら、きれいに食べないといけない」「残したらもったいない」と言う意見が聞かれた。それから「いただきます・ごちそうさま」もきちんと意識して言うようになる。
目標③ 「朝食の大切さなどを保護者に知らせる」については保育参観・試食会の日を利用して津久見地区の栄養士を講師に招いて講演をしていただいた。その時の感想として、「保育園児でもきちんと系統たてて話していけば、自分のからだにとってどんな食べ物が、必要なのかがわかるのだと改めて感じました」「今のようにスーパーへ行けばたくさんの惣菜が並んでいてつい手が伸びてしまう事が多いですが、そんな時でもひと手間かけてバランスを考えてみたいと思います」「せっかく作ったのに食べなかった時にはショックを受けますが、気長に食については話していくことが大事だと思いました」「講演はあっという間に時間が過ぎてもっと聞きたいぐらいでした」「いつも朝はバタバタしていてパンと牛乳と出来る限りフルーツをつけて食べますが、話を聞いてご飯の日を増やしてパンの時もさらにもう1品つけたいと思いました」「子どもひとりで食べる日が多く回りを忙しくはしりまわっています……反省します」「こんな機会でもないと考えさせられないので参加してよかったです」等が寄せられた。
目標④ 「子ども達に自分達の住む町のごみ状況や分別の仕方を知らせる」については、リサイクルの媒体資料(紙芝居)を使って説明することにした。環境問題でも近年課題とされるのが、日々生活から排出される『ごみ』。それをどう処理するかが大きな問題とされている。このごみ問題を解決する手だてとして、我が津久見市が全国に先駆けて、J-カトレルシステムを採用し、生まれたのがごみを固形燃料化する施設『津久見市ドリームフューエルセンター』である。ごみをエネルギーにリサイクルする画期的なこの施設で作られたごみ固形燃料(RDF)の説明をこの紙芝居に入れて子ども達に毎回伝えている。それと同時にいろんなものがリサイクルされ生まれ変わっていることも学習している。製作したときに出る切れ端を、「先生、これリサイクルでなあ」と言いながら保育室に置いてあるリサイクルボックスに入れる子ども達。家庭でも「リサイクルという言葉を使うようになり捨てる時も厳しいです」と母親の声も聞かれるようになる。
目標⑤ 「ごみを出さず減らす事」については生ごみ処理機を導入し、毎日給食室から出るごみをバイオの力で堆肥にするという、画期的なものである。また、食事中も、食べ物をこぼせばごみになり、食べれば栄養になると指導しているため、食べこぼしが極端に減った。
目標⑥ 「保護者のごみ問題への意識をたかめる」については、給食だよりに環境特集と題してリサイクルの記事を掲載したりしている。また、保育参観・試食会のときや、保護者会の総会でリサイクルについてや、ごみ拾い活動などの報告会を行っている。その報告を聞いた保護者は子どもと家でも、飲み干した牛乳パックを洗って開く作業をしたり、節電や節水に取り組む様子を伝えてくれた。保護者のみならず、保育士も以前から廃材を利用した保育をしていたが、この研究に園全体で取り組むようになり、少しでもごみを減らすためにといろいろな工夫をしている姿を見ることが多くなってきた。
5. まとめ
「今、ぼくたち・わたしたちにできること」と題し環境と食育という2本の柱を軸に、環境学習や栄養指導を通じ、人間づくりをこの幼児期から培っていきたいと考え、身近な事から進めてきた研究であった。環境問題では地球と共生する1人として、環境破壊を防ぐ意識をもてることを目的とし、食育では食品の選択知識を身につけ、将来望ましい食生活が送れるように、体験的な食育に取り組んでみた。
私たちがおかれている環境には物が豊富にあるが、何でもすぐに新しいものではなく、ひとつのものを永く使うことはとても大切な事である。この研究を通じてそんな気持ちを育んできたように思われる。リサイクルをするようになってからは「もったいない」という言葉が子ども達から聞けるようになり、物の大切さを知ることができたようだ。また、食育では食が元気な心と体をつくることがわかり始め、食べ物にも命がありそれをいただける幸せや、感謝の気持ちが芽生えてきたようである。子ども達がこれから成長していく上で、命の尊さを知る貴重な経験だったと思う。そして、それに携わってきた大人達(保育士・保護者)も改めて環境や食育を考えていくよい機会だったと考えられる。給食は保育の一貫と言われているが職員が連携を取り合いながら、子どもと保護者との信頼関係を大事にし、同じ思いで環境や食育について考えていかねばならない大切さを学んだ。
環境は、私たちの住む星「地球」に対して思いを寄せることから始まり、食育はその地球から生まれる「食」に思いを寄せることから始まる。環境と食育をつなぐ鍵は2つある。一つは感謝であり、もう一つは世代を越えて大きな目標を共有し、身近なところから取り組むということである。今回、アンケート調査で現状分析と課題の抽出を行い、それを基に目標設定し、活動計画を立て、日常での具体的な実践活動に取り組んだ。活動は、保護者・祖父母の参加や地域内の様々な施設の協力を得るなど、子どもたちから始まり様々な世代へ、また、保育所から始まり地域へと広がりはじめている。
子どもたちに今、私たちができること……私たちの住むこの地球と私たちの命をつなぐ地球から生まれる食を守り、次世代に継承するために、大きな目標を立て、足元から1歩1歩感謝の思いを育む取り組みを続け、津久見市のすべての世代そしてすべての地域に拡げていくことである。 そのため、これからも給食担当者として、美味しく食べるということで感謝の思いを育むことに加え、日常での環境と食をつなぐ取り組みを続けるとともに、食を通じて子どもたちの心身の健康を育んできた食の専門家として、食と環境を守り次世代へとつなげていく活動に取り組んでいきたい。
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