【要請レポート】
1. はじめに 明治以降、西洋文化に追いつこうとした日本は、大量生産・大量消費・大量廃棄の一方通行型の社会システムで潤い行く生活環境を良きものと考え、環境問題に目を向けず、また、そむけてきた。高度成長期時代を期に溢れだして来た環境問題はその付けであり、次世代に対して決して引き継ぐような事は行ってはならない。 2. 焼却・埋め立て処理と分別 1990年に改正された「廃棄物処理法改正」の施行に伴い、横浜市ではモデル実施として「びん・缶」の分別収集を行ってきたが、当時から更なる分別品目の細分化は組合(職員)レベルから声が上がっており、行政としても早期の分別品目拡大を策定する必要があった。しかしながら、インフラ整備に莫大な予算を必要とするなか、バブル崩壊による収入の減少も影響し、財源確保ができない状態で最低限の分別政策に留まっていた。 |
3. 15,000回の住民説明会 2005年春、これまでの「5分別7品目」から一気に倍の「10分別15品目」に拡大する「横浜はG30」プランを横浜市政最大の事業として立ち上げた。その事は、ごみを中心とした全市民と全行政職員が向き合う横浜市初めての事業である。 |
4. 焼却工場の役割 分別細分化により、プラスチック製容器包装が減少したことで、低ジュール(熱量)のごみとなったために、横浜市の保有する高ジュール用焼却炉の運転に細心の注意が必要になった。このことは、搬入計画やピットワークを少しでも怠ると燃焼が難しくなり、安定した発電供給(売電)も難しくなったのである。 5. 人的資源・物的資源 「G30」事業を行ううえで、拒否権を行使したくなる者が他にもいた。我々、現場職員である(もちろん完全否定しているわけではない)。リサイクルに関わる様々な法整備がされるなか、その知識はすべて網羅されておらず、これまで廃棄物行政に関わりながら職員自身もその解釈と理解に頭を悩ませた。そういった意味合いでは、住民から出された質問疑問はむしろ我々自身内部が最初に問い自問自答したと言っても過言ではない。 |
6. 国内製品と外国製品 「容器包装に関わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」が施行され、すでに10年以上が経過している。その間に、経済市場では外国資本の店舗が急速に入りだし、扱っている輸入製品に対して「資源の有効な利用の促進に関する法律第7章第24条」が十分に適応されていない。 7. リサイクルルートの監視体制(行政責任) 横浜市では、事業系一般廃棄物の搬入物検査を行っている。この事業は、分別推進を目的とした不適正搬入物の検査であり、その責任の所在は廃掃法にもあるとおり排出事業者である事は認識している。しかしながら、産業廃棄物の混載事例が後を絶たない状況も否めない事から、組合から当局に対し求めた事業である。 8. まとめ 2006年4月20日、衆議院で可決された「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」に限って言うならば、第5条の「適切な監督」や第6条の「国民の信頼を確保」するなど、ゼロから生まれる利益を適切な有価物に変えるために民間のノウハウがあだとならないためのセイフティーネットを確立する必要がある。行政に関わるコストは、目で見て無色透明だが、安心で安全な社会の構築に必要なものと認識していただきたい。このことは、例えば「容リ法」の特定事業者に課せられているリサイクル費用のただ乗り問題や不正製造等、網の目潜らせない監視体制を行政自ら牽引する必要があり、自治体の固有義務を果たす上で真剣に取り組む必要がある。 |