【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第1分科会 住民との協働でつくる地域社会

 IT(インフォメーション・テクノロジー)という言葉が、ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)に変わりつつあるなど、近年の情報技術の飛躍的な発展は、コミュニケーションづくりの重要なテーマとして意識されはじめてきました。
 地方自治に携わる私たちは、こうしたICTの進化にどのように向き合っていけばよいのでしょうか…。



SNSとクラウドとWi-Fiのススメ
―― ICTの進化に乗り遅れるな ――

秋田県本部/秋田市役所職員労働組合 菅原  稔

1. はじめに

 我が国の通信環境の分野が、歴史的大転換を迎えたのは、1985年(昭和60年)のことです。
 1980年代、世界を見渡すと、米国のレーガン、英国のサッチャー、ソ連ではゴルバチョフが、いずれも自由主義的政策を唱え、日本でも中曽根政権が、1985年(昭和60年)に通信自由化(次いで国鉄民営化も)を実現しました。
 自由化以来、固定式電話が移動式へ、有線接続が無線接続へ、ナローバンドからブロードバンド(高速・大容量)へと、通信環境は進化を続け、インターネットやEメールが一般に普及しました。
 そして、2000年を過ぎ、今度は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の時代が幕を開けました。
 今後、インターネット、さらにはソーシャルネットがますます広がりを見せていく中で、これからのコミュニケーションは、どのようにあるべきなのかを検証します。

2. 通信環境のうつりかわり~スマートフォンの世帯普及率6割を超える~

 総務省が毎年実施している通信利用動向調査によると、通信機器の世帯保有状況として、スマートフォン(多機能携帯電話)の2013年末(平成25年)の世帯普及率は62.6%となり、前々年末の29.3%、前年末の49.5%から、さらに大きく伸びています。
 初めてスマホを調査項目に入れた2010年末(平成22年)は、わずか9.7%であり、驚くほど急速に普及が進んでいることが分かります。(図表1
 今でこそ、スマホやタブレットといった端末が珍しいものではなくなりましたが、ひと昔前までは、通信といえば固定電話という時代が、約100年もの長きにわたり続いていました。
 それが、通信自由化からわずか30年で、通信環境はめまぐるしく変化し、発展してきたのです。(図表2

 

図表1 主な情報通信機器の普及状況の推移(世帯)

 

図表2 通信環境の変遷

3. インターネットからソーシャルネットへ

 1990年代後半になると、インターネットの発達により、ヤフーなどのポータルサイトや、グーグルなどの検索サイトが、身近な存在として利用されるようになりました。
 職場や家庭にパソコンが導入され、インターネットを使うことが、ごく一般的なこととして定着し始めました。
 このときのインターネットの使用感覚は、「コンピュータ」と「コンピュータ」が繋がり合っているイメージ、いわゆる、人格のない機械同士が繋がり合っているイメージでした。
 2008年のiPhoneの発売により、スマートフォンの普及が進み、それと前後して、mixi、Twitter、Facebook、さらにはLINEなどの、ソーシャルネットワークサービスが、瞬く間に浸透しました。
 インターネットが「コンピュータ」と「コンピュータ」をつなぐサービスだとしたら、ソーシャルネットはコンピュータの中にいる、「人」と「人」をつなぐサービスだといえるでしょう。(図表3

図表3 インターネットサービスとソーシャルネットサービスの違いイメージ

4. 武雄市が、市HPを廃止してFacebookに?

 2011年8月、佐賀県武雄市が、市役所のホームページを廃止して、Facebookに移行した というニュースが全国を駆け巡りました。当初、このことについては、Facebookをやっていない人を排除するのか、などの批判的な意見が大勢を占めていたと記憶しています。
 しかし、この表現には大きな誤りがあり、正しくは、市役所の「単体」ホームページを、Facebookページに一体化させたものでした。
 Facebookページの中に、市のホームページをきれいに格納し、それまでのホームページの機能は維持しつつ、さらにFacebookの機能を取り入れるという、画期的な取り組みだったのです。(図表4

図表4 市のホームページが整然と配置された、武雄市のFacebookページ

5. Facebookは、コミュニケーションの最強ツール

 2014年4月、武雄市のFacebookページが3万いいね を達成しました。このことが、どういうことを意味するかというと、人口5万人の武雄市に、3万人の口コミ応援団がいるということです。
 ホームページの情報は、検索して見てもらわなくてはいけません。誰が見ているかは具体的には分かりませんし、そこから情報が広がることは期待できません。
 一方、Facebookページからの情報は、いいね の応援団に自動的に配信されます。そのうちの誰かが、いいね やコメントをしてくれることで、それは数珠つなぎに拡散していきます。
 Facebookは、実名制ですから、誰がいいね をしたかも、誰がコメントしたかも分かります。無責任な炎上発言の心配はいらないのです。
 Facebookのことをよくご存じないというかたには、Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグの「メッセージ」をいくつかお読みいただけると、そのイメージがつきやすいかもしれません。
 ・僕がフェイスブックをつくったのは、世界をよりオープンで、皆が繋がり合える場所にする、という使命を果たすためです。
 ・人々が情報をもっとオープンに交換するようになれば、世界はもっと良い場所になります。フェイスブックはその実現を助けます。
 ・これまでは、人々を繋ぐことが中心だったが、次の5年から10年は、出来あがったこの繋がりの上に何を作れるかが問題になるのです。
 ・フェイスブックでは、『ハッカーウェイ(ハッカー精神)』という独自の企業文化を育ててきました。これは、『最初から完璧をめざさず、こまめに修正、改善を繰り返すやり方』です。
 ・シリコンバレーの本社オフィスの壁に書かれた『完璧よりとにかく実行を』という言葉を見ては、この姿勢を忘れないようにしています。
 ・我々は、『速く動いて失敗せよ』『リスクをとらないことが最大のリスク』という言葉を肝に銘じています。
 ・『皆が驚くことをしたいね。楽しく生きて行くためにね』

 とはいっても、顔写真を載せるのはちょっと……、実名制なんてとんでもない……、という声もあるのも事実です。
 そこで私たちは、2012年に、Facebookの正しい理解と普及促進をはかるために「秋田Facebookいいね 同好会」という市民団体を立ち上げました。(https://www.facebook.com/groups/akita.like/)(図表5
 現在、会員数は1,100人を突破し、地域の繋がりの、一大グループとして地域貢献に尽力しています。
 こうした市民団体とも上手にお付き合いすることが、これからの行政には必要なことだと思います。

図表5 「秋田Facebookいいね 同好会」のグループページ

6. 次にブレイクするのは、LINE@でキマリ

 2011年6月にサービス開始したLINEは、無料トーク、無料通話のできるコミュニケーションアプリとして、世界中で利用者を拡大し、日本だけでも5,000万人を突破し、TwitterやFacebookをあっという間に追い越して成長を続けています。
 LINEは、友達同士がメッセージをリアルタイムに交換できる便利なサービスですが、ビジネス利用は認められていません。ビジネスでも利用したいという多くの希望に応える形で、LINE公式アカウントというサービスが追加されました。
 LINE公式アカウントは、初期費用800万円、月額費用数百万円という設定であったため、資金力のある大手企業だけが利用する、まさに高嶺の花でした。その機能を一部縮小したサービスとして、2012年12月から「LINE@」がスタートしました。
 LINE@は、月額5,000円の費用がかかるのですが、公共機関として審査基準を満たした場合には、無料で使用できることが分かりました。
 私の勤務する、官民複合施設「秋田拠点センターアルヴェ」として申し込めないかチャレンジしたところ、運よくアカウントを取得することができました(図表6)。
 Twitter、Facebookに加えて、LINE@も活用して、これまで以上の情報提供に努めていきたいと考えています。

図表6 LINE@のスマホ画像(@alve.akitacity)

7. SNSとクラウドとWi-Fiの導入で、ICTに対応しよう

 自治体のネットワークといえば、独自サーバーを保有し、制度改正の度にシステム改修を繰り返す、というパターンが多いのではないでしょうか。
 このたび、私の勤務する、官民複合施設「秋田拠点センターアルヴェ」では、開館10周年を迎え、ネットワークの見直しの時期となりました。
 年間3千万円を超える予算を使い続けてきましたが、SNSを最大限有効活用しながら、大胆な意識改革で1千万円のコストダウンに取り組んでいます。
 サーバーをクラウド(データを独自に保管するのではなく、文字通り雲形のように、インターネット上で管理すること)に移行することで、大幅なコストダウンがはかられます。
 ただコストダウンするだけでは芸がありませんので、公式サイトをマルチデバイス化し、スマートフォンやタブレットでも閲覧しやすくするとともに、インターネット予約の仕組みを取り入れるほか、全館にWi-Fi環境を導入するなど、近未来のICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)に対応できるようなネットワークを構築しようとしています。(図表7
図表8
 リニューアルオープンは、2014年10月1日。
 佐賀自治研で、この成果を具体的にご紹介できるように、日々がんばっております……。

図表7 アルヴェネットワークのリニューアルイメージ

 

図表8 アルヴェ公式サイト(http://www.alve.jp/)のリニューアルイメージ