【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第1分科会 住民との協働でつくる地域社会

 自治労福井県本部現業評議会の住民の声や顔が見える行動として福井駅前で開かれる「まちフェスタ」に参加し「懐かしの学校給食揚げパン」の販売や、県下の学校給食調理員による地場産食材を使っての「調理教室」開催の取り組み報告



知ってください 公共サービスの現場を
―― 市民ふれあい行動inまちフェス ――

福井県本部/副執行委員長(現業評担当) 中村 慎悟

1. はじめに

 地方自治体における公共サービスには、自治体直営・民間委託・指定管理者制度など様々なサービス形態があります。これらすべての形態が公共サービスであり、どのサービスが良いか、どのサービスの形態を選択するのかは、本来、地方自治体でなく地方自治の主権者である住民に選択権があり、私たち自治体職員は住民に選択してもらわなくてはなりません。自分たちの業務を、さらには多くのサービス形態の中から自治体直営というサービスの提供手段を住民に選択してもらうには直営の重要性・必要性を住民に理解してもらわなくてはなりません。
 自治労福井県本部現業評議会はこれまで自分たちの業務の必要性、直営の必要性を住民の皆様に理解してもらおうとこれまで(2000~2013年度)は、福井駅周辺でのビラ行動、街宣行動などの大衆行動に取り組んできました。しかし、この方法では単に一方通行の広報であり住民の声や顔が見える行動になっていないのではないか、より住民に私たちの業務を知ってもらうためには、どうすればよいかと考えるようになりました。

2. まちのにぎわい創出とともに

 2013年度、新議長就任に合わせ、何かこれまでと違う新しい取り組みができないか、それを最後まで自分たちで作り上げようと議論を重ねました。議論のポイントは「住民の声が聞こえ顔の見える行動」によって、まちづくりの一翼を担えないか、このコミュニケーションによって自分たちの業務を理解してもらえないかということでした。
 まちのにぎわい創出を考え様々なイベント会場名が議論に上りました。まず福井春まつり、これはさすがに準備期間がない。次に福井まつり、福井コンベンションビューロに問い合わせたところ参加企業がすでに決定ずみであり無理、敦賀まつりも無理でした。このような状況のなか『まちづくり福井株式会社』が2013年度より年4回行う『まちフェス』というイベントがあることを役員が聞きつけました。『まちづくり福井株式会社』は県都福井市のにぎわい創出のため福井市が出資した株式会社で、行政にできない様々な取り組みを福井市内で取り組んでいます。この『まちづくり福井』が実施している『まちフェス』に参加することは、まちづくりの一翼を担えるのではないかとなり、さっそくアポイントをとり企画書の作成に取り掛かりました。

3. 企画と障壁を乗り越えて

 当初の企画では給食調理員が住民の前で揚げパンを作り販売、給食の試食会、販売代金で東北支援そして自分たちの業務を知ってもらうためのパネル展示等、様々な企画を立案しました。しかし、そこに許認可と言う行政のかなり高い障壁がありました。
 手作り揚げパン販売には、菓子製造許可が必要でテント内の調理施設等かなり厳しい審査がありました。また、不特定多数への給食の試食は食品販売にあたり同じく厳しい審査があります。さらに調理に当たっては衛生責任者が必要です。衛生責任者については、多数の調理員がいる私たちですから、すぐにクリアーできますが、菓子製造許可については、素人集団では超えることができませんでした。なんとか自分たちの取り組みを実現するためにテント内の調理をあきらめ福井市企業局アンテナショップのGクックを会場として借りることにしました。しかし、そこでも防火等の問題で許可が出なかったのです。
 やむなく揚げパンの調理をパン屋への発注に、給食の試食を調理教室に切り替える代替え案で企画書を作成しました。パン屋への発注は代金交渉、納入個数交渉が必要になります。また、調理教室となると教えるメニューから始まります。
 このような障壁を乗り越え以下の6点の企画になりました。
① 揚げパンの店頭販売(きなこ・砂糖)
  製造はパン屋で販売のみ(基本は給食と同じもの)
② 飲み物販売……生協へ販売委託
  飲料物の販売許可を持つ生協へ
③ 調理教室……みなこのお笑いクッキング
  (自治労現評 給食部会全国幹事 青木みな子さん指導)
④ 給食で提供するメニューの調理教室・試食
  Gクックで行うことで企業局の宣伝を同時に行う
⑤ 業務紹介パネル展示
  今回は、給食・清掃に的をしぼったパネル作成
⑥ 当日配布チラシ・ポップ・パネルの手作り
  チラシだけではさみしいので給食定番のミルメークを同梱
  売上・募金は、全額東北支援へ

 福井市企業局、県庁生協を巻き込んだのだから巻き込めるものは、なんでも巻き込んでしまえと、県本部のホームページを使い加盟単組への広報を行いました。
 
 

福井県本部ホームページより

知ってください 公共サービスの現場を-市民ふれあい行動inまちフェス
 9月1日、県本部現業評議会は、福井市の駅前電車通りを歩行者天国にするイベント「まちフェス」に参戦。住民サービスの最前線で働く現業職員(学校調理員・清掃員・施設員・土木作業員など)の仕事内容を市民の皆さまに知っていただこうとさまざまなイベントを企画しました。スタッフ23人は、『ミルメーク』付きの呼び込みチラシを配布し、県本部現業評のブースへ足を運んでいただけるよう呼び込みました。
 ※『ミルメーク』は、牛乳をよりおいしく飲んでいただくための粉末のコーヒー牛乳の素で学校給食ではお馴染み。
 当日の様子を紹介します。

調理教室
(企業局アンテナショップG-Cook)
 学校調理員が、学校給食で子どもたちに提供している「煮干とアーモンドのごまからめ」を実演。カルシウムもたくさん摂れ、栄養満点で家庭でも手軽に調理できる給食メニュー。調理員は、美味しく作るポイントを伝授しました。同じ味付けで他の食材を使った献立も紹介され、試食した親子からは「美味しかった。」「子どもたちが喜んで食べていたので、是非、家で作りたい。」という声がありました。

揚げパン販売
 給食の献立にある「揚げパン」を300個限定で販売。きな粉と砂糖をまぶしたものの2種類を準備したところ、午後1時30分には完売しました。懐かしさから「子ども」よりも「大人」が大喜びの様子でした。

パネル展
 学校給食の一日(調理員が実際に調理している給食室の内部や調理工程など)や、ごみの収集からクリーンセンター内部での焼却までの流れなど、現業職員の仕事内容をパネルで展示し紹介しました。訪れた市民等に対し、普段見ることのできない施設内部の写真を活用しながら説明しました。

 

 

 

 

マスコミの反応
 学校調理員による調理教室の取り組みはマスコミにも取り上げられました。
 (2013年9月2日『日刊県民福井』より)


 どうなるかと思われたイベントは、満点とまではいかないものの、十分な手ごたえを感じさせるものでした。
 訪れた市民と直接ふれあい交流ができ、現業職員の仕事について知っていただくことができました。これを契機に少しでも住民の方々に認めてもらえるために県本部現業評議会は、公共サービスの質の向上と水準の確保をめざし、多様化する市民ニーズに応えていく取り組みを強化するため、今後も多くの人が集まるまちづくり(地域活動やイベント)に関わり現業職員の職務の必要性・重要性をアピールすることを決意し2013年の企画を終了しました。

4. 二年目スタート

 2014年度、本年のアピール行動を継続し企画するにあたり、前年の取り組みの反省点の洗い出しから始めました。反省点は以下の通りです。
① あげパンが給食のあげパンとイメージが違う。(完成品の販売)
② パネル展の展示物趣旨が明確でない。(業種が多すぎる)
③ 調理教室の調理内容が煙の多い調理だった。(排気の関係)
④ スタッフが目立たない。(制服がない)
⑤ 飲み物販売は煩雑になる。   等々

 反省点を受け2014年度の企画に入り、見直しを行い実施した企画は以下の6企画になりました。
① 揚げパンの店頭販売(きなこ)……店頭で調理し出来立てを提供する
② 調理教室……給食で提供するメニューの調理教室・試食をメニュー変更して
  (越前市 青木みな子さん指導)
  Gクックで行うことで企業局の宣伝を同時に行う
③ 業務紹介パネル展示……巨大ポスター作製
  今回は、給食に的をしぼったパネル作成
④ 当日配布チラシ・ポップ・パネルの手作り……プラカード追加作成
  チラシだけではさみしいので給食定番のアーモンドフィッシュを同梱
  売上・募金は、全額東北支援へ
⑤ スタッフTシャツの作成
⑥ 飲み物の販売は行わない

 企画はできました。二年目スタートです。
 まず、店頭調理販売に向けての準備です。菓子製造業の露店許可にむけ、必要資材・衛生管理の必要資材・手続きを県健康福祉センターにて確認し必要資材のレンタル料金等を業者と打ち合わせし手続きを進め無事、許可を得ることができました。様々な手続き・資材の準備が必要でしたが、できる限り給食の味に近づけるためどうしても必要でした。さらに、当日調理する給食のスタッフにより調理工程の打ち合わせを繰り返すことで、限りなく給食の味に近づけました。
 次にスタッフTシャツの作成です。デザインをスタッフで決め低予算で、お揃いの『げんば力』Tシャツを作成しました。
 ユニフォームも決まり、あとは告知方法です。前年は、店頭でのポップのみで会場内での位置が目立ちませんでした。
 それを解消するために路上ポップを作成し更に、会場内でのチラシ配布時にプラカードを持ち、調理教室の案内、あげパンの販売宣伝を行いました。

 当日は、梅雨の晴れ間に恵まれお揃いのTシャツを着こんだスタッフであげパン500個を売り上げました。調理教室も3回60人の来場者が参加していただき大好評でした。
 私たち現業職場で働く職員も、自分たちの仕事の必要性ややりがいについて再確認し、現業職が地域を支える力になるのだと確認することができました。

自慢の巨大ポスターの登場 今年も登場!! みな子先生

5. おわりに

 まちフェスの福井市が賑わい創出の一角をにない、自分たちの仕事を市民に少しでも理解してもらい、身近に感じてもらおうと始めた私たちの取り組みが無事2年目を終えました。今後も、まちづくりに協働し、さらには公共サービスを直営で実施していくことの必要性を訴えるために取り組みを進めたいと考えます。
 例えば、集客の少ないイベントへ積極的に参加し、集客の一角をになったり、単組へのテコ入れとなるような取り組みを行うなど考えられる事は無限です。自分たちの取り組みを信じ考え今後も取り組みを進めたいと考えます。
 最後に本年のアンケートの一部を掲載します。
 今の給食は衛生面やおいしさ、子どもとの対話など、とても心を使っていると思いました。
 話を聞き、子どもたちの体のことを考え給食を作っていただきありがたかった。
 食中毒の原因の一つの鮮度のためにも、学校で作る大切さがわかりました。
 未来を背負う子どもたちのために色々尽くしていることがわかりました。
 こうした住民の声に応えていくためにも福井県本部現業評の取り組みは続けていかなければならないと決意しました。