【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第1分科会 住民との協働でつくる地域社会

笠置の魅力探し「笠置町探られる里」プロジェクト


京都府本部/笠置町職員組合 長谷川瑛司

 笠置町は、大阪や京都から約1時間、奈良から近い距離にあり、都市からのアクセスが比較的良好な場所に位置し、歴史と美しい自然が調和する町です。町のシンボルでもある笠置山は、古くから信仰の対象とされ、山頂の笠置寺には日本一といわれている弥勒大磨崖仏があります。また、後醍醐天皇の行在所としても知られ、当時をしのぶ史跡も数多く残っています。
 毎年夏になると、笠置橋下にある木津川河川敷キャンプ場にバーベキューや川遊び等を楽しむレジャー客が訪れます。また、春は桜まつり、夏は夏まつり(花火大会)、秋はもみじまつり、冬には、全国ご当地鍋フェスタなど、四季を通じてイベントを開催し多くの来場者で賑わいます。
 笠置町の人口は1995年には、人口2,223人でしたが、年々人口減少が進み、現在では、京都府下では最も少ない1,568人となっています。全国では、2番目に人口の少ない町となっています。高齢化率も約40%と京都府下で2番目に高い割合となっており、若者の町外流出、少子・高齢化の加速により耕作放棄地や空き家の増加など暮らしを取り巻く状況は、年々厳しさを増しています。
 笠置町の課題となっている人口減少や高齢化、それに伴う観光や農業等の衰退という課題に対し、交流人口の拡大へつなげるために、地域資源の見直しと魅力探しを目的とし、町外の視点を取り入れようと考えました。そこで町民・町外者・大学生等を取り込み、魅力探しを通じた人のつながりで交流人口を増やし、定住促進や観光振興につなげていくことを目的とした「笠置町探られる里プロジェクト」を立ち上げ町の魅力や資源を整理することにより、笠置町の活性化に弾みをつけ、町内外の人材を活用した「持続可能な地域づくり」のため、新たな企画立案につなげていくことにしました。
 「探られる里プロジェクト」の目的を達成するために、プロジェクトの目的や調査方法を検討しました。次に町内の課題と資源やニーズを把握するため、統計調査の検証やヒアリング調査、フィールドワークを実施しました。現状の課題として、①定住促進及び交流人口を増やす取り組みの必要性、②近隣地域への情報発信の必要性、③交流人口の底上げ(リピーターづくり)の必要性が大切であると考えました。調査等を踏まえ、町内外から参加者を募りました。ワークショップを通じ、町内外の参加者のつながりをもってもらおうと、町内には参加者募集のチラシを全戸配布し、町外に対してはフェイスブックやブログ等で参加者を呼びかけ約40人の参加者が集まりました。
 ワークショップは計4回実施し、町内の6地区(南部区、切山区、西部区、東部区、飛鳥路区に分類されています。)の魅力を整理しました。ワークショップではフィールドワークとテーブルワークも適宜行い、笠置町の魅力を探り出し、整理し、冊子のまとめ方を話し合いました。ワークショップでは、地区ごとに異なる特色があることから、全地区の魅力探しを行い、地域住民と町外の参加者との対話を促すため、町内外の混合チームを編成し、地域住民が案内人の役目を担い、町外からの参加者と一緒になり魅力を探しました。
 そして町内6地区の魅力を収集し整理し、その魅力を1冊の冊子「笠置のイカした生き方帖」としてまとめました。冊子の制作は、プロのデザイナーやライターに依頼するのではなく、ワークショップ参加者を通じて、大部分の方向性を決めました。町内外の参加者が、この企画に携わり、意見を交わすことにより、町に対する愛着や冊子が出来た時の楽しみや、達成感を共有できると考えました。この冊子を通じ、地域住民に魅力を再認識や再共有してもらうために、冊子完成のお披露目会を実施しました。お披露目会は、プロジェクト参加者だけでなく、町内に開催チラシを作成し広く参加を呼びかけました。プロジェクト参加者が見つけた、魅力の写真やコメントを載せたチラシを作成し、全戸配布して参加を呼びかけました。
 「笠置のイカした生き方帖」のお披露目会では、呼びかけて集まった地域住民と一緒に、プロジェクト参加者が見つけた町の魅力を実際に見て歩く「笠置ツアー」を行いました。ツアー後は、感想共有と魅力を活かして、今後取り組んでいきたいことを地域住民を交えて話し合い、今後の取り組みが具体化していきました。地域で活動を始めるときは、地域住民の理解や協力が必要不可欠であり、この機会を活かして、今後の取り組みにつなげていくことが重要と感じました。参加した地域住民からも、慣れ親しんだ笠置の魅力を再認識することができ、魅力を共有することにより互いに良い刺激となりました。その他、プロジェクトの成果として、参加者同士のつながりができ地域住民同士でも新たな交流ができました。また、地域住民とのつながりができたことにより参加者の中から笠置町への定住希望者があらわれ、空き家を利用した定住者の確保にも結び付けることができました。
 今後の方向性として、現状の魅力の再発見や再共有の議論にとどまらず、これからの集落の在りかたや今後取り組んでいきたいことを議論する時間を設け、新たな施策を生み出すチームへと発展させることを考えています。また、今回のプロジェクトによってプロジェクト参加者や地域住民が笠置町内外で新たな取り組みに踏み出そうとしています。この機運を失わないようにスムーズに次の展開へつなげていく必要があり、更なる魅力の発信、継続方法を検討する必要があります。具体的には、今回行ったプロジェクト同様、笠置町内外の方が参加するワークショップを行い、再発見した資源を活かして、一定期間の交流や社会実験を行うことが必要と考えています。ワークショップを通じて、今回見つけた魅力の活用の可能性や課題を検討し、それぞれの魅力や資源に即した取り組みについて話し合い、個性と魅力ある観光スポット巡りの企画づくりに取り組み、町外の方にも「地域の応援団」になっていただき町内外のネットワークを活かした地域リーダーの発掘と活動を推進していきます。そして観光、農業の産業は、高齢社会とともに後継者不足が大きな課題となっているため担い手確保や育成の観点から人材誘致を念頭に置き、空き店舗や空き家を利用した活用策を考えたいと考えています。