【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第1分科会 住民との協働でつくる地域社会

 「別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例」(通称:ともに生きる条例)制定の過程における市民との協働の取り組み報告。



市民との協働による条例の制定


大分県本部/別府市職員労働組合

1. 地域にある課題(障がいのある人が置かれている状況)

① 人々の障がいに対する理解の不足により、障がいのある人に対する差別や偏見は依然としてなくならない状況
② 社会にある様々な障壁により、障がいのある人は生活のしづらさや不安を抱えている状況

2. 市民(障がいのある人)と市の共通の目的

 「障がいのある人もない人も安心して安全に暮らせる別府市条例(仮称)」を制定し、障がいのある人が置かれている状況を改善すること
 ◇市民(障がいのある人)と市は、共通の目的を達成するためのパートナー

3. それぞれの特性と役割

 市民:市民(障がいのある人)は、自らの置かれている状況を基に、現状の問題点を的確に指摘
 市:市は、問題点を改善するための手法を見つけるノウハウを持つ
 ◇市民と市は、相乗効果を生み出す関係

4. 条例制定までの経過

時  期

内  容

かかわり

H23.8~9

条例制定に関する意見募集

市民と市

H23.11

市長から別府市障害者自立支援協議会へ諮問

H23.12~H24.8

別府市障害者自立支援協議会条例制定作業部会で議論

市民と市

H24.9

別府市障害者自立支援協議会から市長へ答申

H24.10~12

条例制定庁内検討委員会で議論

H25.1~2

条例素案に関する意見募集・タウンミーティングの実施

市民と市

H25.4

市議会全員協議会の開催

議会と市

H25.5~7

厚生環境教育委員会所管事務調査の開催

議会と市

H25.9

平成25年第3回市議会定例会に条例案を提出

議会と市

H25.9.20

条例案の可決「別府市障害のある人もない人も安心して
安全に暮らせる条例」

議会と市

5. 条例制定に関する意見募集

 実施理由:条例の効力は市民に影響を与えるものであるため、市は行政サイドの考えのみではなく、様々な視点からの意見を基に、条例に盛り込む政策を議論し、決定したい。
 結果:意見者8人(意見22件)
 結果として、意見が少なかったことから、別府市障がい者計画策定のための市民アンケート調査(2010年(平成22年)10月実施)や第3期別府市障がい福祉計画策定のための市民アンケート調査(2011年(平成23年)9月~10月実施)などで得ている意見も今後の議論の題材として使用することとした。

意見を求めた場

時 期

人 数

件 数

別府市障がい者計画策定のための市民アンケート調査

H22.10

381

506

条例制定に関する意見募集

H23.8~9

8

22

障がいのある方の自立生活・共生社会の実現に向かう交流会

H23.8

66

101

第3期別府市障がい福祉計画策定のための市民アンケート調査

H23.9~10

88

123

合     計

543

752

6. 市長から別府市障害者自立支援協議会へ諮問

 別府市障害者自立支援協議会(以下「協議会」という。)は、地域の障害福祉に関するシステムづくりに関し中核的な役割を果たす協議の場として設置されている機関である(別府市障害者自立支援協議会設置要綱第1条)。
 市は、この機関に対し、「障がいのある人もない人も安心して安全に暮らせる別府市条例の制定」に関して意見を求めた。

別府市障害者自立支援協議会の組織構成(委員20人)

構成機関・団体名

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構大分障害者職業センター

別府公共職業安定所

大分県東部保健所

大分県南石垣支援学校

別府市自治委員会

別府市民生委員児童委員協議会

別府市老人クラブ連合会

社団法人 大分県別府市医師会

別府商工会議所

別府市身体障害者福祉団体協議会

別府市手をつなぐ育成会

特定非営利活動法人 星座オリオン

福祉フォーラムIN別杵速見実行委員会

地域包括支援センターいでゆの園

社会福祉法人 別府市社会福祉協議会

社会福祉法人 太陽の家

社会福祉法人 農協共済別府リハビリテーションセンター

社会福祉法人 別府発達医療センター

社会福祉法人 みのり会

別府市

7. 別府市障害者自立支援協議会条例制定作業部会で議論

 市長から諮問を受けた協議会は、条例の骨格を検討することとし、この検討をするに当たって、協議会の委員に限らずより多くの関係者からの意見を集約する必要があると判断して、協議会に条例制定作業部会を設置することとした。

条例制定作業部会の組織構成(24人)

構成機関・団体名

社会福祉法人 別府市知的障害者育成会

別府市身体障害者福祉団体協議会

大分県重症心身障害児(者)を守る会

別府市手をつなぐ育成会

社会福祉法人 みのり会

在宅障害者支援ネットワーク

特定非営利活動法人 あっとほぅむぷれいす

株式会社 リフライ

社会福祉法人 別福会

別府市肢体不自由児(者)父母の会

社会福祉法人 清恵会

公益社団法人大分県精神保健福祉会別府さつき会

社会福祉法人 農協共済別府リハビリテーションセンター

社会福祉法人 別府発達医療センター

特定非営利活動法人 べっぷ優ゆう

精神保健福祉別府家族教室

弁護士

大分県南石垣支援学校

自立生活センターぐっどらいふ大分

社会福祉法人 太陽の家

社会福祉法人 大分県社会福祉協議会

特定非営利活動法人 自立支援センターおおいた

別府市

 条例制定作業部会は、障害者福祉関係諸団体からの推薦方式により構成員を選出するとともに、その設置目的から、構成員24人のうち障がいのある当事者6人、障がいのある人の保護者8人が参加している。

 条例制定作業部会では、市に寄せられた752件の市民からの意見と「誰もが安心して安全に暮らせる別府市条例をつくる会」(条例制定作業部会に11人参加)に寄せられた416件の市民からの意見、計1,168件の意見を基に、現状の問題点が洗い出され、その改善策が話し合われた。

会議開催状況

回 数

開催日

議  事

第1回

H23.12.26

条例制定作業部会の運営について

第2回

H24.1.25

条例制定権と条例の構成について
条例の目的と理念について

第3回

H24.2.24

市民からの意見について
条例制定に向けた論点整理について

第4回

H24.3.28

相互理解の促進について
権利擁護について
別府市障害者自立支援協議会への中間報告について

第5回

H24.4.25

生活環境について
雇用・就労について

第6回

H24.5.23

保健・医療について
保育・教育について
芸術文化・スポーツについて
その他について

第7回

H24.6.27

生活支援について
別府市障害者自立支援協議会への中間報告について

第8回

H24.7.25

実体規定に関するまとめについて
定義について
前文について
罰則について
題名について
条例の目的と理念について

第9回

H24.8.9

答申案の取りまとめについて

第10回

H24.8.22

答申案の取りまとめについて

8. 別府市障害者自立支援協議会から市長へ答申

 協議会は、条例制定作業部会で話し合われた条例の骨格の検討結果を受けて、市長に対し、条例案を作成するに当たっての基本的な考え方について意見を述べた。

9. 条例素案に関する意見募集・タウンミーティングの実施

 市は、協議会からの答申を受けて、市内部で条例に定めるべき項目や内容を協議し、条例素案を策定した。
 そして、この条例素案に関して、多くの市民に内容を知っていただき、率直な意見を伺うため、意見募集とタウンミーティングを実施した。
 意見募集の結果:意見者13人(意見25件)

タウンミーティングの結果
【一般市民向け】のべ参加者数254人

回 数

実施日時

場 所

参加者数

第1回

H25.1.8 18:30~20:00

南部地区公民館

4人

第2回

H25.1.10 18:30~20:00

北部地区公民館

45人

第3回

H25.1.15 18:30~20:00

西部地区公民館

26人

第4回

H25.1.17 18:30~19:50

中部地区公民館

30人

第5回

H25.1.21 18:30~20:00

中央公民館

38人

第6回

H25.1.22 18:30~19:30

朝日大平山地区公民館

21人

第7回

H25.1.27 13:30~15:10

社会福祉会館

90人


【中学生向け】対象生徒数1,489人

実施日時

場 所

対象学年

対象生徒数

H25.1.10 14:35~15:35

朝日中学校

1・2年

307人

H25.1.18 14:35~15:25

山の手中学校

1・2年

240人

H25.1.21 14:25~15:35

鶴見台中学校

1・2年

310人

H25.1.22 14:35~15:25

浜脇中学校

1・2年

112人

H25.1.29 13:50~14:35

東山中学校

1・2年

7人

H25.1.30 13:35~14:25

北部中学校

1・2年

253人

H25.2.15 13:40~14:30

中部中学校

1・2年

260人


10. 協働に当たって

 この条例は、市がたたき台をつくり、それを市民に提示する形でつくり上げたものではなく、白紙の状態から、障がいのある人やその家族、その関係者が、地域に住む障がいのある人の声を集めてつくり上げていったものである。地域は、そこに住む地域住民がつくるものであるため、この条例を市民との協働により制定したことは、非常に意義深いものである。市が市民と協働することは、地域に密着した政策を実現する際に有効であると考えさせられたところである。
 市が協働により何かを行うことについて、この条例を制定する過程の中で感じたことは、「市の政策課題を解決するヒントを持つよきパートナーを見つける」こと、そして、「市は、そのパートナーの意見をよく聴き、その意見のうち受け入れられるものはすべて受け入れる」ことの重要性である。特に後者の姿勢は、協働するお互いの信頼関係を強固にするものであり、現に、条例制定作業部会の会議においては、条例の骨格をつくり上げる原動力となったものである。
 しかしながら、この姿勢は、時として、パートナーの役割を不明確にする場合もある。実際に、条例制定の過程の中で、市は、終始アドバイザー的な役割に徹し、市民(障がいのある人)の声を最大限尊重することに努めたところであるが、市民はパートナーというよりは、要望団体の様相を呈し始めたときもあった。こういった場合には、一度原点に立ち返り、お互いの役割分担を確認し合うことが肝要である。(条例制定作業部会第8回会議で確認。)